薬物乱用頭痛の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 4月 3日

更新日:2025年 5月 5

本日は薬物乱用頭痛について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 緊張性頭痛とは
  • 緊張性頭痛の原因
  • 緊張性頭痛の症状
  • 緊張性頭痛の改善方法
  • 緊張性頭痛のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

薬物乱用頭痛は、痛み止めの薬の使いすぎによって起こる頭痛

薬物乱用頭痛は、痛み止めの薬の使いすぎによって起こる頭痛のことです。特徴は、ほぼ毎日頭痛があり、朝の痛みが特に強いことです。

 

頭痛薬を飲んでいるのに効かない、頭痛が慢性化した状態の場合は薬物乱用頭痛かもしれません。薬物乱用頭痛では痛み止めの効果が弱くなる、痛みが増す、痛みの場所や質が変わるなど、通常の頭痛とは異なる症状が現れることもあります。

当院では、「頭痛外来でもらった薬をずっと飲んでいても頭痛が改善せず、1日8錠飲んでいる」「台風の前や雨の前、生理の前に頭痛が悪化する」「薬局の痛み止めで誤魔化しているが薬の効きが悪くなりどんどん痛み止めの薬を飲む回数が増えていて不安」などの話をよく聞きます。

 

これは薬物乱用頭痛といいます。薬物乱用頭痛は偏頭痛をきっかけに起きる頭痛で、近年非常に増えている頭痛です。偏頭痛を放置したり痛み止めで誤魔化したりすると頭痛発作が増えます。この状態を慢性偏頭痛と言い、月に10〜15日起きる頭痛が3ヶ月を超えて続いている場合は要注意です。

 

この頭痛発作を慢性化させる最も一般的な要因は痛み止めの濫用です。国際頭痛学会では薬物乱用性頭痛(M O H)と呼んでおり、原因となる薬物は偏頭痛発作時に利用するエルゴタミン、トリプタン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬のアスピリンとイブプロフェンなどです。

 

国際頭痛学会の調べによると全ての頭痛の約15%が薬物乱用頭痛で、そのうち女性が7割を占めています。年代は30代から50代に多いです。

 

頭痛薬の依存はドラッグに似ていることもわかっており、最近は偏頭痛の予防薬を処方する病院も増えています。薬物乱用頭痛は頭痛薬の摂取をやめることで対処できます。

段々と薬への依存がエスカレートしていく

薬物乱用頭痛の原因は、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛剤などの鎮痛薬、トリプタン、複合鎮痛薬、エルゴタミン製剤などの薬を常用することです。

 

頭痛がよく起こる人は、いつ頭痛発作が起きるかわからないという不安から痛いときだけではなく頭が痛くなくても予防として薬を飲んでしまうことが多いです。予防として薬を飲んでいるうちに段々と薬への依存がエスカレートしていく傾向があります。

 

そのうち薬の量が増え、効き目が続く時間も短くなり、脳の過敏状態が増大し毎日のように痛みを敏感に感じとってしまうようになり薬物乱用頭痛は起こるのです。

薬物乱用頭痛の原因となる薬

【1】トリプタン系薬

例:スマトリプタン(イミグラン)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、リザトリプタン(マクサルト)など

 

【2】エルゴタミン製剤

例:カフェルゴット、ジヒデルゴット

 

【3】NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

例:ロキソプロフェン(ロキソニン)、イブプロフェン(イブ)、ジクロフェナク(ボルタレン)

 

【4】アセトアミノフェン

例:タイレノール、カロナールなど

 

【5】オピオイド系鎮痛薬

例:コデイン、トラマドール

 

【6】カフェイン含有鎮痛薬

例:エキセドリン、ノーシンなど

薬物乱用頭痛は、ほぼ毎日頭痛発作がある

薬物乱用頭痛は、ほぼ毎日頭痛発作があり、ほとんどの人が起床時から頭痛に悩んでいます。頭重感、しめつけ感が続き、時折発作性の激しい頭痛が入り混じるような頭痛が起こります。

 

以前から時々頭痛があり、片頭痛や緊張型頭痛と言われたことがある、月に15日以上頭痛がある、月に10日以上薬を服用しており3ヶ月以上前から続いている、などのことが当てはまる場合、薬物乱用頭痛の可能性があります。

 

今まで効いていた頭痛薬が効かなくなったように感じている場合は薬物乱用頭痛かもしれません。

薬物乱用頭痛のセルフチェック

① 頭痛が月に15日以上ある(週に3〜4回以上)

② 市販薬、処方薬を月に10日以上使っている

③ 痛くなりそうな時に予防的に薬を飲んでいる

④ 同じ薬では効きが悪くなってきた気がする

⑤ 薬を飲んでも頭痛がすぐにぶり返す

⑥ 「薬を飲まないと不安」という感覚がある

⑦ 朝起きたときから頭が重く、薬を飲んでから動けることが多い

⑧ 頭痛のタイプや場所が変化してきたように感じる

⑨ 医師から「薬を減らした方がいい」と言われたことがある

⑩ 薬を数日やめると逆に頭痛が強くなることがある

 

3個以上当てはまる場合→MOHの可能性があります。頭痛日記や服薬記録をつけて医師に相談することをお勧めします。

5個以上当てはまる場合→薬物乱用頭痛の可能性が高いです。薬を見直してみましょう。

薬物乱用頭痛の改善方法は、薬をやめること

薬物乱用頭痛の改善方法は、薬をやめることです。徐々に薬を減らしていくのか、すぐに薬をやめるのかは原因となっている薬によって違います。

 

どのように薬を中止するのか、薬を中止したあとに起こる頭痛に対してはどのように対処するのか、などのことは医師と相談をすることが大事です。

薬物乱用頭痛の主な改善方法

・原因となっている薬の中止または漸減

頭痛悪化、吐き気、不安感などの離脱症状が一時的に数日〜1週間起こることがあります。この時期は精神的サポートや代替法が非常に重要です。

 

頭痛の予防薬導入

薬をやめただけでは頭痛が止まらないこともあるため、予防薬が処方される場合があります。

 

ライフスタイルとストレスの見直し

規則正しい睡眠、カフェインの取りすぎを避ける、脱水を防ぐ、PC作業やスマホの使いすぎを控えるなどが大事です。

 

・鍼灸やマッサージなど

マッサージや鍼灸で頭皮や頸部の緊張緩和、自律神経のバランス調整、脳の過敏性の鎮静化を行います。これらは薬を減らす間の離脱症状緩和や、予防的な体質改善に有効とされます。

薬物乱用頭痛による体のケア

薬では肝臓と腎臓の疲労が起こります。薬は肝臓と腎臓で代謝と排泄をおこなっているため、量が増えると内臓の負荷が大きくなります。肝臓の炎症や腎臓の血流障害も起きやすいため、回復を促すことが大事です。

 

そのためには期門と大椎のツボが効果的です。この2つのツボは肝臓と腎臓それぞれの機能をアップさせるためお勧めです。1日1セット3回お灸をしてほしいです。

 

 

また、偏頭痛は側頭筋のこりが原因のことが多いため、鍼灸では側頭筋の施術で楽になる人が多いです。

期門

期門は肋骨と肋骨の間にあるツボです。第5肋骨と第7肋骨を探ると痛い場所があります。そこにお灸をしましょう。

大椎

頚椎を探ると盛り上がった骨があります。その下にお灸をしましょう。

頭痛ダイアリーを活用しよう

薬物乱用頭痛の原因として最も多い薬は、市販の鎮痛薬です。気軽に手に入りやすいこともあり、気がつくと飲む量や回数が増えていることがあるのです。頭痛ダイアリーを活用して服薬日数を確認するようにしましょう。

 

頭痛ダイアリーとは、頭痛の症状を記録して頭痛のパターンや原因を把握するためのツールです。頭痛の頻度や痛み、持続時間、薬の服用状況など、頭痛に関する様々な情報を記録することで、頭痛のコントロールに役立ちます。

 

また、病院に行った際は医師の判断の参考にもなります。

薬物乱用頭痛に効果的なツボ

足臨泣

百会

率谷

足臨泣

足臨泣は、片頭痛を和らげる緩和に効果があるツボです。足臨泣は、少陽胆経という経絡に属しています。血液の循環が悪くなって起こる瘀血や体に余分な水分や老廃物が溜まって起こる痰湿が原因で片頭痛が起こっている場合に効果を発揮します。

 

特に目の疲れやかすみ目、片頭痛、めまいによく使われるツボです。

百会

百会は頭痛に効果を発揮するツボです。百会の場所は体のさまざまな気の流れが集まる部分で、幅広い症状に使われ、すべてのタイプの頭痛に効果的です。

 

色々な症状に効果があるツボで、頭痛や肩こり、目の疲れなどにも使われます。

率谷

率谷は、肩こり、頭痛、耳鳴り、側頭部の頭痛、食欲不振、ホルモンバランスの安定化に効果があるツボです。

 

率谷は側頭部にあるツボです。頭の筋膜が張ってくると側頭部がパンパンに腫れた状態になるため、刺激をすることで筋膜にゆとりを持たせ痛みを和らげることができます。

ツボの場所と押し方

足臨泣

足臨泣は、足の薬指と小指の間から足首へ3〜5cm上がったところのくぼみにあります。

 

ツボを押すときは、3〜5回ほど繰り返し押しましょう。痛気持ち良いくらいの強さがオススメです。

百会

百会は頭の頂点にあるツボです。

 

ツボを押すときは、指の腹を使って垂直に押します。気持ち良いと感じるくらいの力で呼吸に合わせて押しましょう。

率谷

率谷は、耳の上にあるツボで、髪の生え際から指2本分上がったところにあります。

 

押すときは指を3本使って幅広く押していきます。軽く押さえながら回すように刺激をしましょう。

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