公開日:2021年 6月 2日
更新日:2025年 5月 6日
本日は神経性胃炎について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
神経性胃炎は、胃に全く病気が見られないにもかかわらず精神的な不安や苦痛が胃の症状となって現れることです。
主に胃の病気のような症状が現れ、胃もたれや胸やけ、吐き気、胃の痛みなど様々です。
神経性胃炎は病気によっておこっているものではないため、体の色々な部分を調べて病気がないという確認ができたら、症状が危険なものではないということをきちんと自分で理解することが必要です。
神経性胃炎の原因は精神的な不安や苦痛です。大きなストレスを抱えていたり、疲れていたりすることによって自律神経が乱れ、過剰に胃酸が分泌されることによって起こる胃炎です。
そのため、原因となる病気はありません。精神的な問題で胃に症状が現れるのです。
・食生活の乱れ
暴飲暴食、断食、辛いものの取りすぎなどで胃に負担をかけていると胃を傷つけてしまっている可能性性があります。
・外邪の侵入
東洋医学では自然界の気候の変化になぞられた病気の原因があります。風、寒、暑、湿、燥、火のそれぞれの邪気が体に入って病気を起こすと考えられています。
・アレルギー
エビ、カニ、卵などのアレルギー症状が出やすいものを食べることで胃の不調が出てくることもあります。
・脾胃虚弱
虚弱体質や病後の疲れなどで胃の張りがよくみられるという東洋医学的な解釈があります。
・ストレスによる自律神経の失調
ストレスにより胃酸過多になり胃が傷付けられてしまいます。
・肝胃不和
長期にわたって肝の停滞が続くと胃が傷付けられてしまいます。慢性的な脇腹の痛みがある場合は肝の影響が発展してしまっているかもしれません。
・臓腑機能の低下
過労や老化によって胃の痛みが現れることもあります。
◆ストレスによる自律神経の乱れ
私たちの胃は、自律神経によって動いています。ストレスを感じると、交感神経が優位になり、胃への血流が減り、胃の働きが低下します。すると胃酸が過剰に分泌されて粘膜を傷つけたり胃の動きが悪くなって食べ物が滞留したり筋肉がけいれんしてとした痛みが出たりします。
◆脳が痛みに過敏になる脳腸相関
胃が本当に傷んでいるというよりも、脳が痛みとして過敏に反応していることも多いです。この脳と腸の関係は脳腸相関と呼ばれています。ちょっとした胃酸の刺激や軽い膨満感でもストレスがあるときには脳がそれを痛みとして強く認識してしまうのです。
◆睡眠不足や過労によるセロトニン不足
胃や腸の働きを穏やかに保つ神経伝達物質セロトニンは、90%以上が腸に存在しています。セロトニンが不足すると、胃腸の動きが不安定になり、痛みや不快感が起こりやすくなります。セロトニン不足の原因には、睡眠不足や不規則な生活、運動不足、栄養バランスの乱れなどが挙げられます。
◆過去のストレス記憶
大事な会議の前や嫌な人に会う前、過去に緊張した場所などの経験と胃痛が結びついていることもあります。これは条件反射型の自律神経反応といって、同じような状況になるだけで、自律神経が乱れ、胃に痛みが出るようになります。
神経性胃炎の症状は、胃の病気とほとんど同じです。胃もたれや胸やけ、吐き気や胃の痛みなどが症状として現れます。
自分は病気であるという思い込みを強く持ってしまっている場合は、体全体に倦怠感を感じたり、夜眠れなかったり大きな不安を感じたりすることもあります。
さらに思い込みが強かったり考え込んでしまったりすると、抑うつのような状態になってしまうこともあります。
神経性胃炎で起こる痛みでは、キリキリとした鋭い痛みや圧迫されるような重たい痛み、むかむかや胃もたれを伴う痛み、時間帯や場面によって変わる痛みなどが現れます。
特に緊張している時、仕事の前、人と会う前などに出やすいのはキリキリとした痛みで、胃のあたりが針で刺すように痛い、キリキリと収縮する感じがあります。
ギューっと押される感じ、胃のあたりが重だるいというような圧迫されるような痛みは食後に悪化する場合もあれば、空腹時に出る人もいます。
むかむかや胃もたれを伴う痛みは、なんとなく気持ち悪い、痛みというより不快感が続くという症状で、吐き気はなく常に胃の中に何か残っているような感じがすることが多いです。胃酸の逆流やげっぷを伴うこともあります。
時間帯や場面によって変わる痛みは、朝になると痛いけど夜になると楽になる、仕事中は痛いのに休みの日はほとんど感じないというように痛みが起こる時間や場面が限定されます。胃薬を飲んでも効果があまり感じられないことがほとんどです。
神経性胃炎を改善する方法は、生活習慣を整えることと薬です。
改善のために使う薬には、胃酸の分泌を抑える薬や漢方薬があります。精神的な問題から起こる胃の症状のため、抗うつ薬や抗不安薬などを使うこともあります。
神経性胃炎の改善のためには生活習慣を整えることも非常に大切です。睡眠時間を十分に確保するなどしてストレスや疲れをなるべく溜めないように心がけましょう。
食事は胃腸に優しいものにすることをお勧めします。適度な運動は気分転換にも効果的です。負担にならない程度に運動をすることも良いでしょう。
◆自律神経を整える
神経性胃痛の最大の原因は交感神経の過剰な緊張です。そのため、深呼吸や腹式呼吸を意識する、スマホやパソコンを見る時間を減らす、ぬるめのお風呂に浸かる、寝る前にアロマやハーブティーでリラックスするなどの習慣を取り入れましょう。特に就寝前1時間をリラックスタイムにすると、自律神経が整いやすくなります。
◆胃腸にやさしい食生活
神経性胃痛の方は、胃の動きが不安定になっているため、何を食べるか以上にどう食べるかが大切です。よく噛んで、ゆっくり食べる、一度に食べ過ぎない、刺激物を控える、起床後すぐや深夜の食事は避けるなど胃の負担を減らす食べ方を心がけましょう。
◆セロトニンを増やす生活習慣
セロトニンは、胃腸の動きや気分の安定に深く関係しています。セロトニンを増やすには、日光を浴びる、ウォーキングや咀嚼などのリズム運動をする、良質なたんぱく質をとる、十分な睡眠時間を取ることが大事です。
◆鍼灸による改善アプローチ
鍼灸は、神経性胃痛の根本にある自律神経の乱れや胃の緊張に対して、直接的に働きかける方法です。鍼灸によって薬を使わず、本来の身体のバランスを取り戻すことを目指しましょう。
◆心の緊張をゆるめる
神経性胃痛は、まじめで我慢強い人に多い傾向があります。そのため、考え方や心の習慣をゆるめることも回復に役立ちます。心にゆとりができると、胃もゆるむのです、
・食生活の見直し
食べすぎると内臓疲労が起こります。当院でも食べすぎている人が多く、そのような人は仰向けになると胃が膨らんでいます。これは食べすぎたことで胃が拡張し、拡張が溶けずにずっと胃が膨らんでいる状態です。腹八分目、香辛料は少なめをオススメします。またジャンクフードは控えましょう。
・環境
ストレスは胃の病気の元になります。ストレスによって自律神経や交感神経が傾き、胃の細胞が刺激され、胃酸をたくさん出して、胃の壁が傷付けられて胃潰瘍が起きるのです。
ツボを使って自律神経と胃酸を落ち着かせるアプローチがあります。東洋医学的には脾胃を活発にすることで改善を行います。
まず、気虚を改善するために関元と印堂を使って気を促しましょう。そして足三里にお灸をします。足三里は脛をさすってへこんだ場所にあります。ただし、足三里のお灸は胃酸を出やすくするという研究もあるため、行っていて調子が良い場合は続けて欲しいですが、変わらなかったり辛かったりする場合はやめてください。
中脘はお腹の真ん中にあるツボで胃の働きを落ち着かせてくれるツボです。へそから2〜3センチ上にあります。
神門は1番効くツボです。手の関節の皺の小指側のくぼみにあります。東洋医学の「神」は「神は脈を蔵し、脈は神を宿す」と言われており心臓の他に血や精神も多く含んでいます。「神」は神様のことではなく、その人らしく生き生きと行動する意識のような意味で心配事や緊張から思考がうまくまとまらない時にオススメです。脳が興奮したり交感神経が昂っている時にお灸をしてほしいツボなのです。
・関元
・印堂
・足三里
・中脘
・神門
この5つのツボにお灸をすることで体の体質が変わって胃が楽になるはずです。押すのも良いですがお灸を使うとより効果的であるため、試してみてください。
当院に胃痛や胃の不快感で来院される方は、6〜7割は食べ過ぎが原因です。
さらに、気が足りない虚弱体質からくる胃痛も多いです。辛い出来事があったり辛い環境に置かれたりしてしまうと胃酸が出て胃が傷付けられて辛くなります。
それだけではなく、脳がこの環境から逃げたいと思う反応でわざと胃に不快感を感じさせることもあります。胃は傷ついていなくても胃に意識を感じさせてストレスから逃す自己防衛反応です。胃が辛くても胃カメラをしても異常がない時は5つのツボにお灸をすることをオススメします。
神経性胃炎は日本人の4人に1人が経験していると言われています。ストレスを感じることが多い現代でよく見られる現代病なのです。
改善のためには、アルコールを飲みすぎないことや禁煙を心がけることなども必要です。食事は、規則正しくよく噛んでゆっくりと食べると良いでしょう。
消化に負担のかかる甘いものや脂肪分の多いもの、濃い味付けのものなどは避けましょう。強い香辛料なども胃を刺激してしまうため、避けた方が良いです。
神経性胃炎が起こった時は、病院できちんと話を聞き、危険な症状ではなくストレスが主な原因であるということを理解する必要があります。
大きなストレスや疲れが主な原因のため、特に薬などで改善を行わなくても生活習慣を見直しただけで改善することもあります。
症状は人によって様々あるため、薬を使って改善を行うことも多いですが、神経性胃炎が大きな不安になってしまう前に早めに病院に行って調べることが大切です。神経性胃炎では、安心することが改善のためにも非常に大切なのです。
・梁丘
・労宮
・太白
・中脘
梁丘は、胃の痛みや胃もたれに効果を発揮するツボです。腸の動きを正常にする働きもあると言われています。
胃痙攣の発作にも非常に有効であるとされており、胃痙攣によって起きる胸焼けにも効果があります。下痢にも効果的で、急性の下痢にも慢性の下痢にも使われます。
他にも膝関節炎や足のだるさにも効果的です。
労宮の労は労働という意味で、 労宮の宮は中央という意味です。労宮は働く手の中央にあるツボなのです。
労宮は心包経という経絡に属し、 精神機能を司っています。そのため、労宮は、脳の活性化を促す作用があり、脳が活性化されることによって緊張が和らぐ効果につながります。
さらに、筋肉の疲れを和らげる効果もあります。
太白は、脾の調子を整える働きのあるツボで、脾経の原穴にもあたります。
太白は、食欲がでない時ややる気が出ない時などに効果的なツボです。さらに、下痢や嘔吐、腹部膨満感などの消化器に現れる症状に有効です。
梁丘は、膝蓋骨の外側から指3本分上がったあたりにあります。
押すときは、足が床に着く高さの椅子に座り、両手で包み込むように親指で押します。3~5秒ツボを押し、離す動作を3分繰り返すことをお勧めします。
労宮は、手を軽くグーに握ったとき、人差し指と中指の先になる部分の間にあります。
押すときは、手を軽くグーにして反対の手の親指で押します。
太白は、足の親指の付け根にある太い骨の内側で、膨らみの後ろのへこんでいる部分にあります。 探すときは、足の甲の親指の骨の下を足首の方から撫でて下がっていき、骨の膨らみにあたった場所という意識で探しましょう。
押すときは、息を吐きながらゆっくり押します。親指で3~5秒、気持ち良いと感じるくらいの力で押しましょう。