胆石症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  2月23日

更新日:2021年  5月 15日

本日は胆石症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 胆石症とは
  • 胆石症の原因
  • 胆石症の症状
  • 胆石症の改善方法
  • 胆石症の予防
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

胆石症は、胆のうや胆管に石ができることで起こる症状の総称

胆石症は、胆のうや胆管に石ができることで起こる痛みなどの色々な症状をまとめた呼び方です。特に症状がないものも含めて全てを胆石症と呼びます。

 

胆石はできる場所によって3種類に分けることができます。1つ目は、胆のうにできる胆のう結石、2つ目は、消化液の胆汁が通る胆管にできる総胆管結石、3つ目は肝臓の中にある胆管にできる肝内結石です。

3種類の中でも1番多いものは、胆のう結石です。2番目に多いものが総胆管結石で、肝内結石が起こることは珍しいです。

 

胆石を構成している成分もいろいろあります。主にコレステロール、役目を終えた赤血球が壊れる時にできるビリルビン、カルシウムの3つです。

胆石症は様々な原因が考えられている

胆石症は様々な原因が考えられています。原因として考えられていることは、元々持っている体質や大腸菌の感染、赤血球が壊されることで起こる溶血性疾患、肝硬変、食物繊維やタンパク質が少なく脂質や糖質が多い食事、食事から起こる肥満などです。

 

年齢を重ねることによって発症する確率は高くなる傾向にあります。発症する年齢で多い年代は、中高年以上です。特に1番多いとされているコレステロール結石は中年以降の肥満の女性に多いと言われています。

胆汁は水分、コレステロール、ビリルビン、胆汁酸やレシチンなどによってできています。このバランスが崩れることによって胆汁が結晶化し、胆石ができると考えられています。

 

 

近年、日本人に胆石の人が増えた理由としては、主に2つの原因が考えられます。1つ目は食生活が欧米化したためで、2つ目は、技術の進歩によって無症状の胆石や小さな胆石も発見できるようになったためです。

胆石症は、胆嚢や胆管に石が形成される病気です。その原因はいくつかあり、遺伝的要因、食生活、生活習慣、肥満、糖尿病などが関与しています。

 

遺伝的要因:胆石症は家族内で発症することがあります。これは遺伝子が胆汁酸の分泌やコレステロール代謝に影響を与えるためです。

 

食生活:食生活も胆石症の原因の1つです。高脂肪、高カロリー、低繊維の食事はコレステロールの過剰な摂取につながり、胆石のリスクを高めます。また、食事によって摂取されるコレステロール量が増えると、胆嚢内のコレステロール濃度が上昇し、結晶化して石を形成する可能性が高まります。

 

生活習慣:運動不足や過度のストレスも胆石症のリスクを高めます。適度な運動は体内のコレステロール代謝を促進し、胆石の予防に役立ちます。

 

肥満:肥満は胆石症のリスクを高めます。体内の脂肪が増えることで、肝臓からのコレステロール分泌が増加し、胆石ができやすくなります。特に内臓脂肪が多い場合、リスクはさらに高まります。

 

糖尿病:インスリン抵抗性がある糖尿病の発症者は、胆石症のリスクが高まります。インスリン抵抗性は、胆嚢の収縮機能の低下やコレステロールの代謝異常につながり、胆石の形成を促進します。

 

性別、年齢・ホルモンバランス:女性は男性よりも胆石症にかかりやすいです。これは女性ホルモンのエストロゲンがコレステロールの分泌を促進し、胆石のリスクを高めるためです。また、年齢が上がると胆石症のリスクも高まります。これは、胆嚢の収縮力が低下し、胆汁の循環が悪くなることが原因です。

 

妊娠:妊娠中の女性は胆石症になりやすいです。妊娠中にはエストロゲンの分泌が増加し、コレステロールの濃度が上昇します。また、プロゲステロンの増加により、胆嚢の収縮力が低下し、胆石の形成が促進されます。

 

高齢者:高齢者は胆石症のリスクが高まります。これは、年齢とともに胆嚢の収縮力が低下し、胆汁の循環が悪くなるためです。

 

急激な減量:急激な減量は胆石症のリスクを高めます。ダイエットによる急激な体重減少は、胆嚢の収縮機能の低下やコレステロール代謝の異常につながり、胆石の形成を促進します。

 

一部の薬:高コレステロールを改善するための薬の一部や、避妊薬、ホルモンの補充などは、胆石症のリスクを高めることがあります。これらの薬は、コレステロールの分泌を増加させるか、胆嚢の収縮機能を低下させることが原因です。

 

胆石症の原因は複数あり、それぞれが相互に関連しています。胆石症の予防やリスク低減のためには、遺伝的要因以外の要因に対処することが大事です。

特徴的な症状は、右側の肋骨の下辺りやみぞおちに感じる激しい痛み

胆石症の特徴的な症状は、右側の肋骨の下辺りやみぞおちに感じる激しい痛みです。右側の肩や背中の痛み、腰痛やへその上辺りの痛みを合わせて感じることもあります。

 

痛みは数十分から数時間続きます。常に痛いものではなく、数十分から数時間の間に落ち着きます。痛みが起こる時間帯は食後や夜間が多く、特に脂の多い食事をした後は起こりやすいです。

 

中には、胆石症が起こっても自覚症状が全くない人もいます。

胆のうに炎症が起こった場合、吐き気や嘔吐、38度以上の高熱などの症状があることもあります。

 

胆石が胆管に詰まったり胆のうの炎症が進み胆のうが腫れたりすることによって、胆管が圧迫されると黄疸や肝機能障害に繋がることもあります。

胆石症は、胆嚢や胆管に石が形成される病気です。石のサイズや数、位置によって症状が異なります。

 

胆石発作:胆石症の最も一般的な症状は、胆石発作と呼ばれる激しい疼痛です。石が胆嚢の出口や胆管をふさぐことで、胆汁の流れが妨げられ、胆嚢が炎症を起こします。痛みは右上腹部に発生し、背中や右肩に放散することがあります。発作は数分から数時間続くことがあり、食事後に起こることが一般的です。

 

胆嚢炎:胆石が長期間胆嚢の出口や胆管をふさぐと、胆嚢炎が起こることがあります。胆嚢炎の症状は、激しい疼痛、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐などです。

 

黄疸:胆石が胆管を塞ぐことで、胆汁の流れが阻害され、肝臓から分泌されたビリルビンが体内に蓄積します。これが黄疸の原因となり、皮膚や目の白い部分が黄色くなります。

 

胆管炎:胆石が胆管に詰まることで、胆管炎が起こることがあります。胆管炎の症状は、激しい疼痛、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐などです。

 

膵炎:胆石が膵臓の胆管をふさぐことで、膵炎が発生することがあります。膵炎の症状は、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などです。

 

無症候性胆石症:多くの場合、胆石は無症候性であり偶然見つかることがあります。無症候性胆石症は通常、改善の対象とはなりませんが、将来的に症状が現れる可能性があります。そのため、医師と相談しながら状況を監視し、適切な対策を講じることが重要です。

 

胆汁うっ滞性肝炎:胆石が胆管に詰まることで、肝臓の機能が低下し、炎症が起こることがあります。胆汁うっ滞性肝炎の症状には、疲労感、黄疸、かゆみ、体重減少、腹部膨満感などがあります。

 

胆石イレウス:極めて稀な状況では、大きな胆石が腸に移動し、腸閉塞を引き起こすことがあります。これを胆石イレウスと呼びます。症状には、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、便秘、腹部膨満感があります。

 

胆石症の症状は個人差があり、症状が現れるまでに数年かかることもあります。

胆石症の改善には手術が基本

胆のう結石の改善には、基本的に腹腔鏡手術を行います。腹腔鏡手術によって胆のうを摘出するのです。

 

基本的には臍部を含む腹壁に4~5箇所の穴を開けて手術を行いますが、最近では臍部だけの1箇所の穴から、手術を行うこともできるようになりました。

 

改善には開腹手術を行うこともあります。開腹手術は今までに胃や腸の手術を受けたことがある人や胆のうの炎症が強かったり胆のうが強くくっついていたりする人の場合に行われることが多いです。

総胆管結石を改善するためには、胆のうを摘出するだけでなく、胆管の結石も摘出する必要があります。

 

肝内結石を改善するためには、一般的には皮膚から肝臓の中の胆管にチューブを入れ胆管鏡を使って結石を取り出す方法を行います。胆石がある部分の肝臓を切る手術を行って除去する方法で改善を行うこともあります。

 

他にも、薬で胆石を溶かすという方法で胆石症の改善を行うこともありますが、胆石の成分によっては有効でない場合もあり、再発する可能性も高くなってしまいます。

胆石症の改善法は、症状の重さや胆石の大きさ、位置、数などの状態によって異なります。

 

無症状の胆石症であれば、特別に改善を行う必要はありません。しかし、症状が出た場合は、痛み止めや抗炎症薬を処方されることがあります。また、軽度の症状がある場合は、食事制限や体重管理によって症状の改善が図られます。

 

胆石の大きさや成分によっては、経口胆石溶解薬が処方されることがあります。これらの薬は、胆汁中のコレステロールを溶かす効果があり、胆石を縮小させることができます。ただし、この改善方法は、コレステロール胆石にのみ有効であり、効果が現れるまでに数ヶ月~数年かかることがあります。

 

外科手術が困難な場合や小さな胆石がある場合には、体外衝撃波によって胆石を粉砕させる方法が適用されることがあります。衝撃波を使って胆石を細かく砕くことで、自然に排出されやすくなります。ただし、繰り返し改善が必要な場合もあり、再発リスクも高いため、適切なケースでのみ適用されます。

 

胆石症の最も一般的な改善方法は、胆嚢摘出術です。この手術は、開腹手術または腹腔鏡手術で行われます。腹腔鏡手術の方が回復が早く、合併症のリスクも低いです。手術後は、通常の生活に戻ることができますが、一部の患者は、消化不良や腹痛などの症状が続くことがあります。これらの症状は、通常は食事や適切な栄養管理によって改善されます。

 

胆管内に胆石が詰まっている場合や、胆石によって急性の炎症が起こっている場合は、ERCPという内視鏡手術が行われることがあります。この手術では、内視鏡を使って胆管内にアクセスし、胆石を取り除くことができます。胆石が取り除かれた後、胆管内にステントを挿入して胆汁の流れを改善することがあります。

 

胆石症のリスクを減らすためには、食生活の改善が重要です。低脂肪食や高繊維食を摂取し、適度な運動を行うことで、体重を適切な範囲に保ち、胆石の再発を防ぐことができます。

 

胆石症が原因で起こる合併症に対する改善が必要な場合もあります。これらの合併症は、通常、抗生物質、痛み止め、抗炎症薬などの薬や、胆石の除去を目的とした手術で改善が行われます。

 

胆石症の改善方法は状態や胆石の特徴によって選択されるため、適切な改善方法を選ぶためには、専門医の判断が重要です。

バランスの良い食事や適度な運動、規則正しい生活を心がける

胆石症は、コレステロールなど脂肪分の多い食事や食事によって起こる肥満、糖尿病、脂質異常症などの病気が非常に大きいリスクになります。栄養バランスのとれた食事や適度な運動、規則正しい生活を心がけることが大切です。

 

豆類や昆布、わかめ、果物、大麦などに含まれる水溶性の食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きやコレステロールを含んだ胆汁を出す働きがあります。積極的に摂取することをお勧めします。

食事で気をつけること

 

・肉や魚の肝などのコレステロールの多い食べ物を避ける

・脂肪が多く含まれる食べ物は避け、青魚を食べることを心がける

・精製砂糖などの糖分はとりすぎない

・食べ過ぎやカロリーの高い食事に気をつける

・肉や魚、豆腐など高タンパクな食べ物を積極的に食べる

・果物や野菜からビタミンCをとる

・水溶性食物繊維を積極的にとる

・水分を十分にとり、便秘に気をつける

過度のアルコールやコーヒーは適度に摂取する

胆石症の改善例

Aは、45歳の女性で、過去数年間、定期的に右上腹部痛を経験していました。彼女はある晩、激しい腹痛が始まり、緊急外来にいきました。彼女の症状などから、胆石症と判断されました。彼女の胆石は、超音波で調べて確認され、腹腔鏡胆嚢摘出術が推奨されました。術後の経過は良好であり、彼女は症状が消失しました。

 

Bは、60歳の男性で、高コレステロール血症を発症していました。彼は定期的な調べで無症候性の胆石症が発見されました。胆石は小さく、症状がなかったため、彼は経口胆石溶解薬を処方されました。数ヶ月後、彼の胆石は縮小し、その後の経過観察で胆石の再発は認められませんでした。

 

Cは、55歳の女性で、過去に胆石症の症状がありましたが、手術を受けることを避けていました。彼女は、胆石の再発を予防するために、食事の改善と適度な運動を開始しました。彼女は低脂肪食を摂取し、体重を減らしました。その結果、彼女の症状は軽減し、胆石の再発は観察されませんでした。

 

参考文献:Gurusamy, K. S., Vaughan, J., Toon, C. D., & Davidson, B. R. (2013). Early versus delayed laparoscopic cholecystectomy for people with acute cholecystitis. Cochrane Database of Systematic Reviews, (6). https://doi.org/10.1002/14651858.CD005440.pub3

Bazzoli, F., Malavolti, M., Petronelli, A., Barbara, L., & Roda, E. (1990). Efficacy and safety of ursodeoxycholic acid for the prevention of gallstone formation after weight loss induced by a very-low-calorie diet: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. The American Journal of Gastroenterology, 85(10), 1255-1260. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2213749/

 

Festi, D., Colecchia, A., Orsini, M., Sangermano, A., Sottili, S., Simoni, P., ... & Lapenna, D. (1998). Gallbladder motility and gallstone formation in obese patients following very low calorie diets. Use it (fat) to lose it (well). International Journal of Obesity and Related Metabolic Disorders, 22(6), 592-600. https://doi.org/10.1038/sj.ijo.0800645

 

Dは、70歳の男性で、胆管内に大きな胆石が詰まり、炎症が起こっていました。彼は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影と内視鏡的胆石取り出し手術を受けました。手術では、内視鏡を使って胆管内にアクセスし、胆石を取り除くことができました。胆石が取り除かれた後、胆管内にステントが挿入され、胆汁の流れが改善されました。その後、彼の症状は改善し、回復しました。

 

参考文献:4. Tse, F., Yuan, Y., Moayyedi, P., & Leontiadis, G. I. (2017). Guide wire-assisted cannulation for the prevention of post-ERCP pancreatitis: a systematic review and meta-analysis. Endoscopy International Open, 5(12), E1231-E1241. https://doi.org/10.1055/s-0043-120569

 

これらの改善例は、胆石症を発症した人が異なる方法で、成功した結果が得られることを示しています。胆石症の改善方法は、状況や胆石の大きさ、位置、成分などによって異なるため、適切な改善方法を選択するためには、専門医の判断が重要です。

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