公開日:2019年 12月23日
更新日:2024年 8月16日
本日は血の道症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
血の道症は月経や妊娠、出産や出産した後、更年期障害などによって女性ホルモンが変わることが原因で起きる精神不安やイライラのような精神神経の症状や体の症状です。
女性は14歳頃月経がはじまり、女性として最も成熟した年齢は28歳だと言われています。そして49歳頃閉経します。女性の思春期から性成熟期、更年期の間の月経や出産、出産した後に関係して現れる症状のことを血の道症というのです。
月経前、女性ホルモンが変わることによって月経前に起こる不快な症状のことをPMSと言います。
血の道症は月経や妊娠、出産、産後、更年期障害などの女性ホルモンのバランスが変わることによってあらわれる精神神経症状や身体症状のことです。
血の道症とPMSの違いは、血の道症はPMSより範囲が少し広がり、更年期まで含まれていることです。しかし、血の道症もPMSもホルモンバランスが変わることによって不快な症状が出てくるということには変わりありません。
女性のホルモンバランスが変わることによって起こる症状に対してPMSは西洋の呼び方で血の道症は漢方の呼び方という違いだと考えて良いです。
漢方古典に「金匱要略」というものがあります。ここには、婦人病の原因について「婦人之病、因虚、積冷結気」と書かれています。
「虚」は、体力不足や機能の低下のことで、「積冷」は、冷え症で新陳代謝が下がっていること、「結気」は、ストレスがたまった状態、ストレス過多のことです。
このようなことが血の道症の主な原因なのです。
血の道症の原因は、女性のホルモンのバランスが変わることです。月経や妊娠、出産や出産した後、更年期などによって、女性ホルモンのバランスは変わります。
血の道症は、出産の前や後に起きる体の変化や、子宮や卵巣の摘出手術などの影響によって更年期障害の症状が現れないはずの若い女性にもいろいろな症状が現れるのです。
血の道症によって現れる症状は基本的に個人差があります。人によっていろいろな症状が現れるのです。
具体的な主な症状は、イライラしたり不安になったり、肩こりや腰痛があったり、にきびやふきでものができたり、のぼせや疲れ、だるさを感じたり、頭が重い感覚やふわふわした感覚があったり、頭痛やめまい、冷え、更年期障害が起きたりすることです。
血の道症に当たるものは、低体重性無月経や月経前症候群、マタニティーブルーや更年期障害、摂食障害や月経前不快気分障害、産後うつ、更年期うつ病などです。
原因は女性ホルモンの変動ですが、気質や社会的ストレスの影響が大きく、精神症状と身体症状の両方が現れます。
血の道症には、消化吸収能力の低下した状態、栄養状態の良くない状態、体の中が水分不足になっている状態などが関係しています。
血の道症を改善するためには、このような不足したものや不足している量を補う生薬が使われます。
主に使われるものは、胃や腸の機能を整えて疲れや冷えを軽くする人参、不足した栄養を補って顔色の悪さや腹痛、月経痛を軽くする芍薬、体の中の不足した水分を補って乾燥した皮膚を潤す地黄などです。
血の道症には、いろいろなものが滞っている状態も関係しています。心理社会的ストレスがたまっている状態、血液が末梢まで届いておらず循環の悪い状態、体の中の水分が滞っている状態などです。
血の道症を改善するためには、このような停滞しているものの流れを良くして巡りを改善する生薬が使われます。
主に使われるものは、気うつ感やイライラ、のぼせや膨満感を改善する柴胡、血の流れを良くして生理痛や冷え、のぼせを改善する牡丹皮、体の中の水分の流れを良くしてむくみや頭痛を改善する白朮などです。
血の道症は予防することができます。大事なことは生活習慣の見直しです。
痩せすぎは生理不順の原因になるため過度なダイエット、血行不全の原因になる身体を締めすぎる衣服の着用、冷えと胃腸障害の原因となる冷たい飲み物を好むことは避けるようにしてください。
筋肉の屈伸でや湯船に浸かることで血の巡りを改善できるため、適度な運動や湯船に浸かることを心がけると良いでしょう。
血の道症の症状である典型的な更年期の症状や頭痛、めまい、冷え性、便秘、不眠症、腰痛などは30代後半の女性に現れやすい女性特有のものです。
改善には、漢方薬が効果的です。早めに改善をすることで、年齢を重ねた際の更年期障害を避けることができる可能性もあります。
・血海
・三陰交
・太衝
・太渓
血海は、血の道に関係する病気を改善するために効果的なツボであるとされています。
そのため、血の道症の改善にも効果が期待でます。刺激をすることで血流をよくするため、冷え性などにも効果的です。血の巡りが悪くなると、女性は問題が起きやすいため、特に女性におすすめできるツボです。
三陰交は、血虚に対して非常に効果的なツボです。血虚は、血が足りず血液が十分に体にまわっていない状態です。
更年期症状や精神的な症状、冷え症、むくみなどに対して効果を発揮します。そのため、血の道症で現れる冷えやイライラなどの症状に対して効果が期待できます。
太衝は、肝と大きくつながっているツボです。そのため、気が上がっていたり気の流れが悪かったりする状態に対して効果的です。
気は体全体に血や水分を巡らせるために非常に重要なものです。太衝を刺激することで、元気がでなかったり疲れやすかったりする場合に改善が期待できます。
血海は、膝のお皿の上にあるツボで、内側の角から指3本分上に上がった場所にあります。
押すときは、椅子に座って押すと押しやすいためおすすめです。約30回、両方の足の血海を同時に押しましょう。
三陰交は、内くるぶしの上にあるツボで、内くるぶしの上から指4本分上に上がった場所にあります。押した時に痛みがあることが多いため、探すときはそのあたりを押してみると探しやすいです。
押すときはゆっくり息を吐きながら押します。約3回連続して押すと良いでしょう。
太衝は、足の親指と人差し指の骨の合わさった場所の少し手前にあります。脈が触れる部分がツボのため探すときは、脈が触れる場所を探しましょう。
押すときは、深呼吸をしながら押すだけでも気分がリラックスする効果が期待できます。