公開日:2021年 9月10日
更新日:2021年 11月26日
本日は家族性良性慢性天疱瘡について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
家族性良性慢性天疱瘡の原因は、ATP2C1遺伝子の変異です。しかし、遺伝子に変異が起きることでどのようにして皮膚に水疱が出来てなかなか改善しないのかということについてはいまだにわかっていません。
家族性良性慢性天疱瘡は、遺伝性です。遺伝形式は、常染色体優性遺伝です。しかし、約3割の人には血縁関係のある人に同じ病気を発症している人がいないと言われています。
家族性良性慢性天疱瘡の原因についてはまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因が関与していることが示唆されています。FADは常染色体優性遺伝する病気で、多くの場合、両親の少なくとも1人が病気を発症していることが報告されています。
FADの原因として考えられる遺伝子変異には、様々な種類があります。2002年に発見された、K5とK14という2つの角化細胞中間径フィラメントタンパク質遺伝子の変異が、FADの原因遺伝子の中でも最も一般的に報告されています。これらの遺伝子の変異は、角化細胞の細胞質骨格を形成するフィラメントの構造や機能に異常を引き起こし、表皮下の免疫細胞がこれらの細胞に攻撃することで、慢性的な皮膚炎症が引き起こされると考えられています。
また、FADの発症には、免疫系の異常も関与している可能性があります。免疫系の過剰な反応が、皮膚の自己抗原に対して自己免疫反応を引き起こすことが報告されており、このような免疫異常がFADの発症に関与すると考えられています。ただし、この点についてはまだ詳細な研究が必要です。
家族性良性慢性水疱症水疱症の症状は、腋の下や股、肛門の周りなどに水疱ができることです。水疱は皮膚の柔らかく摩擦の起こりやすい部位に起こることが多く、女性の場合は乳房の下などにできることもあります。
水疱は、湿潤し、一度よくなったと思っても何度も繰り返し起こります。特に、摩擦や高温多湿、多汗、紫外線や感染などは繰り返し水疱が起こる要因になります。
何度も水疱が繰り返しできると、皮膚が水分を含んで肥厚した状態になり、かゆみを感じるようになります。さらに亀裂が入ってびらんになり、洋服など何かが少し触れただけで痛みが起きるようになります。
症状が悪くなると、二次感染が起き、水疱やびらんが膿をのあるかさぶたに変わり強いかゆみや灼熱感などの症状が現れます。色素沈着をしたり、下着や洋服が膿や滲出液で汚れたり、悪臭がしたりする場合も多いです。
家族性良性慢性天疱瘡は、慢性的な皮膚病であり、主に若年性に発症します。この病気は、症状が慢性化することが一般的であり、特定の年齢層や性別に限定されるものではありません。家族性良性慢性天疱瘡の主な症状は、皮膚に発生する水疱や膿疱、そして脱屑です。
水疱は、皮膚表面に小さな透明で膨らんだ袋ができる状態で、充血した状態で現れます。これらの水疱は、しばしば接触や摩擦などの外部刺激によって破裂し、かさぶたになります。水疱が出現する部位によって、症状の程度は異なります。
また、膿疱は、充血した状態で皮膚表面に現れ、水疱と同様に外部刺激によって破裂し、かさぶたになります。膿疱は、痒みや痛みを引き起こすことがあります。
家族性良性慢性天疱瘡では、皮膚の痒みや発疹、特に手足や顔に水疱や膿疱が現れることがあります。病気が進行するにつれ、疱疹が広がり、脱屑が進行することがあります。発疹や膿疱が消えた後も、しばしば色素沈着や瘢痕形成が残ります。さらに、家族性良性慢性天疱瘡の患者は、脱毛、爪の異常、口内炎、目の痒みや充血、角膜炎などの眼症状など、他の症状も経験することがあります。
家族性良性慢性天疱瘡の根本的な改善方法はありません。できるだけ早く症状を軽くすることと、長い時間日常生活に支障が出ない皮膚の状態を保てるようにすることを目的に改善を行います。
改善方法は主に薬です。皮膚の症状に合わせて副腎皮質ステロイド外用薬を使うのです。症状の程度が重い場合はステロイド薬を飲み薬として使うこともあります。
家族性良性慢性天疱瘡の改善法は、一般的な天疱瘡の改善法に準じますが、症状が慢性的であるため、長期的な改善が必要となります。方法は、外用薬、内服薬、免疫抑制、血漿交換などがあります。
まず、軽度の場合には、外用薬のステロイド剤や免疫抑制薬が使用されます。重症化すると、シスプラチン、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンなどの免疫抑制薬が内服されることがあります。
血漿交換は、血漿中の自己抗体を取り除くために使用されます。血漿交換には、静脈内注射による単回収集、連続収集、二重フィルタリングなどがあります。行う頻度は、症状や病気の進行度合いによって異なりますが、一般的には週に1回から2回の頻度で行われます。
さらに、最近では、家族性良性慢性天疱瘡に対する抗体薬物が有望視されています。抗体薬物には、リテュクシマブ、イヴォワラクマブ、オマリズマブなどがあります。これらの改善方法により、自己抗体の生成を抑制することができるため、症状の改善が期待できます。
改善方法の選択は、症状や病気の進行度合いによって異なります。
家族性良性慢性水疱症では、高温多湿な環境を避けることと症状のある部位を清潔に保つことが大事です。さらに、摩擦が起きないように保護をし、できるだけ乾燥させた状態にすることも大事です。
刺激を与えずに清潔に保つには、低刺激性の石けんを十分に泡立てこすらずに使うことがおすすめです。下着や洋服は肌に優しく刺激が少なく、通気性も良いものを選ぶと良いでしょう。
エアコンなどで部屋の湿度や温度を調整し、できるだけ汗をかかないようにしたり、トイレに行った時は温水洗浄便座で肛門の周りを清潔に保ったりすることもおすすめです。
実際の改善例)35歳女性
数週間前から皮膚の水疱やびらんが徐々に増え、特に脇の下や鼠径部に発疹が広がっている状態で来院されました。家族歴を確認したところ、母親と兄弟にも同じ症状があり、家族性良性慢性天疱瘡のであると判断されました。
改善での計画は炎症の緩和、感染予防、症状改善、皮膚の保護と再生促進、炎症の緩和です。
最初に炎症のある部位に塗布するステロイド外用剤を処方しました。ステロイドは、炎症を抑える作用があり、水疱やびらんの症状を緩和します。また、クールパッドを用いて冷やすことで、さらに炎症を抑える効果が期待できます。
炎症のある部位を清潔を保ち、感染を予防するため、抗菌薬入りの皮膚洗浄剤を使い、清潔に保つよう指導しました。また、皮膚の傷やびらんが感染した場合には、抗生物質を内服することも検討しました。
皮膚の保湿が重要であるため、無香料で刺激の少ない保湿剤を使って皮膚を保湿するよう指導しました。また、症状が悪化するストレスや摩擦を避けるため、ゆったりとした衣類を着用することや、温度や湿度の調整を行うようにアドバイスしました。
皮膚のバリア機能をサポートし、改善を促進するために、シリコンベースのゲルやバリアクリームの使用を勧めました。これらの製品は皮膚の表面に保護膜を作り、外部からの刺激を防ぐとともに、水分の蒸発を抑えて皮膚を保護します。
改善の経過は、改善を開始して1ヵ月で水疱やびらんが減少し、皮膚の状態が改善されるという報告でした。3ヵ月後の定期的なフォローアップでは、皮膚状態が安定し、日常生活に支障をきたさない程度まで改善されていました。
家族性良性慢性天疱瘡は、現時点で根本的な改善法は存在しませんが、症状を緩和し、合併症を予防することで、生活の質を向上させることが可能です。