前眼部形成異常の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 1月11日

更新日:2022年 1月24日

本日は前眼部形成異常について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 前眼部形成異常とは
  • 前眼部形成異常の原因
  • 前眼部形成異常の症状
  • 前眼部形成異常の改善方法
  • 前眼部形成異常のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

前眼部形成異常は、前眼部が作られる途中に異常が起きること

前眼部形成異常は、生まれつき角膜の濁りがある病気です。生まれつきの角膜の濁りは、前眼部が作られる途中の段階で何かしらの異常が起きることによって起こります。

 

どのくらい濁りがあるのかについては人によって違い、症状の程度が軽い場合はほとんど角膜の濁りが目立たないこともあれば、症状が重い場合は角膜全体が真っ白に濁っていることもあります。

 

代表的なものでは、Rieger異常やPeters異常、強膜化角膜、前眼部ぶどう腫があり、症状の程度や障害が現れている場所によって病名が変わります。

 

前眼部形成異常の症状は、視力の発達の障害です。多くは両眼に起こりますが、場合によっては片眼のみに起こることもあります。

前眼部形成異常の原因は、前眼部が作られる途中で起きる異常

前眼部形成異常の原因は、前眼部が作られる途中の段階で異常が起きることです。前眼部は、胎生5週から胎生8週にかけて作られていきます。短い期間に何かしらの異常が起きると前眼部形成異常が起こるのです。

 

一部で遺伝が関係する場合があるということも考えられています。しかし、多くの場合で遺伝性はみられていません。

前眼部形成異常は、生物の目の前部に見られる構造異常のことを指します。これは生物が胎児の段階で目の形成が正常に行われなかった結果、生まれた後にもこれらの異常が残ってしまうことが一般的です。

 

前眼部形成異常の原因は多岐にわたり、遺伝的な要素や環境要素、あるいはそれらの複合的な影響が考えられます。まず、遺伝的な要素について見ていきましょう。

 

遺伝子異常は形成異常の主要な原因として知られています。これは特定の遺伝子が変異し、その結果としてタンパク質の生産または機能が阻害され、目の正常な発育が妨げられることで起こります。

 

例えば、人間のPAX6遺伝子は眼球の形成に非常に重要な役割を果たしています。この遺伝子の変異は、前眼部の形成異常やアノフタルミア(眼球が存在しない状態)、マイクロフタルミア(異常に小さい眼球)などを引き起こします。さらに、これらの遺伝子変異は自然発生するものであることもあれば、親から子へ遺伝する場合もあります。

 

次に、環境要素について詳しく見ていきましょう。妊娠中に母親が特定の薬物を摂取したり、感染症に罹患したりすると、胎児の目の発育に影響を与えることがあります。例えば、トキソプラズマや風疹ウイルスの感染は、視神経や網膜の異常を引き起こすことがあります。また、アルコールやたばこ、特定の薬物(例えば、サリドマイドや抗てんかん薬)の摂取は胎児の視覚系に対して深刻な影響を及ぼすことが知られています。

 

また、栄養不足も前眼部形成異常の原因となることがあります。妊娠初期におけるビタミンAの不足は眼球や視覚システムの発達に悪影響を及ぼす可能性があります。ビタミンAは視細胞の成熟や視覚サイクルに重要な役割を果たします。したがって、ビタミンAの摂取が不十分な母親から生まれた子供は、前眼部形成異常のリスクが高くなる可能性があります。

 

最後に、遺伝的要素と環境要素が複合的に作用することにより前眼部形成異常が引き起こされることもあります。これは「遺伝-環境相互作用」と呼ばれ、特定の遺伝子変異を持つ個体が特定の環境要素に曝露されたときにのみ形成異常が起こるという状況を指します。例えば、特定の遺伝子変異を持つ母親が妊娠中にアルコールを摂取すると、子供は前眼部形成異常を発症する可能性が高くなるという事例があります。

前眼部形成異常の症状は、視力障害

前眼部形成異常の症状は、視力障害です。角膜が濁ることによって、視力の障害や視機能の発達異常が現れるのです。さらに角膜が濁ることでまぶしがることも多くなります。

 

場合によっては、目の中に異常が起きたり、白内障や緑内障などの合併症を発症したりすることもあります。合併症が起きると、視力障害が進むことも多いです。

 

症状は、両眼に現れることがほとんどですが、人によっては片眼のみに現れることもあります。

 

全身の合併症を合わせて発症することもあります。歯の発生異常や顔の骨の発生異常、難聴や精神発達遅れなどです。

前眼部形成異常の症状は特定の形成異常のタイプと関連しています。

 

最も一般的な形成異常である先天性白内障は、水晶体が発育する過程で異常が生じ、新生児が白い、曇った眼を持つことを特徴とします。最初に発見する症状は通常、赤ちゃんの瞳が白く見えることです。これは光が白内障の影響を受けた水晶体を通過できず、瞳孔が白く見えるためです。これに加えて、白内障は未熟な視覚システムに重大な影響を及ぼす可能性があり、放置すると永久的な視力低下や失明を引き起こすことがあります。

 

先天性角膜混濁は、角膜が発育する過程で異常が生じる病態で、新生児が曇った角膜を持つことを特徴とします。この異常は、通常、眼が青白く見えるという症状で気づくことが多いです。光が曇った角膜を通過する際に拡散し、その結果、眼球が青白く見えます。これに加えて、この病態も視覚障害を引き起こす可能性があります。

 

また、前眼部形成異常の中には、虹彩の発育異常を含むものもあります。虹彩異形成症はその一例で、虹彩が不完全に形成され、光を正常に調節できない状態を指します。この病態の一部の患者は、異常な瞳孔反射や異常な瞳孔形状を示すことがあります。また、強い光に対する感受性が高くなり、光過敏症を引き起こす可能性もあります。

 

毛様体異形成症もまた前眼部形成異常の一種で、毛様体が不適切に発育することで特徴付けられます。毛様体は、眼球内の圧力を調節し、また水晶体の形状を制御する重要な構造です。したがって、毛様体異形成症は眼圧異常や屈折異常を引き起こす可能性があります。これは視力低下、緑内障、または虹彩の形状変化といった症状を引き起こします。

 

また、眼球の全体的なサイズ異常も前眼部形成異常の一部を構成します。これにはマイクロフタルミア(眼球が異常に小さい状態)やメガロフタルミア(眼球が異常に大きい状態)が含まれます。これらの病態は、視覚障害のみならず、視覚器官の他の部分に影響を及ぼす可能性があります。例えば、マイクロフタルミアは、視野狭窄、視力低下、完全な失明を経験する可能性があります。一方、メガロフタルミアは、眼球の前部が突出し、視力低下や視野の変化を引き起こす可能性があります。

 

前眼部形成異常の症状は、その根底にある特定の異常や、その異常がどれほど進行しているかによります。したがって、これらの症状の存在は必ずしも特定の異常の存在を示すものではありません。

前眼部形成異常の改善方法は、手術

前眼部形成異常の改善方法は、手術です。どのような手術が行われるのかについては症状や病気によって様々です。

 

症状の程度が重い場合には、角膜移植が行われることもありますが、乳幼児の場合は非常に難しくたとえ角膜移植を行ったとしても視力の成長を進めることは難しいです。

 

さらに、角膜移植は行った後に合併症を発症することも多いため、日本ではほとんど行われていません。

前眼部形成異常の改善法は、その異常の種類と重度によって異なります。しかし、全般的に言えることは、早期に改善を始めることが重要であり、それによって最善の結果を達成できるということです。

 

 

先天性白内障の一般的な改善の目的は、白内障の除去と視覚の再建です。手術は通常、早期に行われ、白内障を形成している不透明な水晶体を除去することで視覚を回復します。手術の際、医師はアスピレーション(吸引)またはファコエマルシフィケーション(超音波を使用した水晶体の乳化)といった手法を用いて水晶体を取り除きます。その後、人工水晶体を植え込むか、眼鏡やコンタクトレンズを用いて視覚を補正します。

 

先天性角膜混濁の改善には角膜移植が必要となることが多いです。角膜移植は、病的な角膜組織を健康なドナー組織で置き換える手術です。この手術は通常、角膜混濁が視力に重大な影響を及ぼす場合、または治療抵抗性の角膜炎が存在する場合に行われます。最近では、角膜層別移植(角膜の特定の層のみを移植する手術)も普及してきており、患者の具体的な状況によって選択されます。

 

虹彩異形成症の改善は、異常の重度によります。軽度の場合特に改善を必要としない場合もあります。ただし、光過敏症や視力低下などの症状がある場合は、光を制御するための眼鏡やコンタクトレンズが処方されることがあります。また、虹彩の欠損部分をカバーするための特別なコンタクトレンズや、人工虹彩の植え込みといった方法も存在します。重度の場合や他の眼内構造に影響を及ぼす場合には、手術が必要となることもあります。

 

毛様体異形成症の改善方法は原因と影響によります。眼圧が正常で視力に影響がない場合、特に改善を必要としないこともあります。ただし、この異常が屈折異常や緑内障を引き起こす場合は、それぞれ適切な眼鏡やコンタクトレンズの使用、眼圧を下げる薬物の使用、または手術などが必要となります。

 

マイクロフタルミアやメガロフタルミアの改善は、影響によります。これらの病態が視覚に影響を及ぼす場合、視力補正が必要となることが多いです。視力補正には、眼鏡、コンタクトレンズ、または特定の場合には眼内レンズの使用が含まれます。また、これらの病態が他の眼部構造に影響を及ぼす場合、それらの問題の改善も必要となることがあります。さらに、眼球の大きさが社会的な困難を引き起こす場合、美容的な手術を考慮することもあります。

 

前眼部形成異常の改善方法は前眼部形成異常の具体的な種類と重度によりますが、全般的に言えることはひとりひとりに適したアプローチを必要とするということです。

視覚リハビリテーションや機能訓練が必要な場合も多い

ほとんどの人は両眼に障害が起こりますが、片眼だけに障害が起こる人もいます。その場合、障害のない側の視力の発達には問題がないため、あまり問題がなく日常生活を送ることができます。

 

両眼に障害が起こっている場合は、障害が起こっている程度に合わせて日常生活を送ることが必要になります。視覚リハビリテーションや機能訓練を受けることが必要な場合も多いです。

前眼部形成異常の改善例

前眼部形成異常には様々な種類がありますので、具体的な改善例を提供するために、特定の条件、すなわち先天性白内障と先天性角膜混濁を取り上げます。

 

先天性白内障の例:

2013年に行われた研究によれば(Lambert et al., 2013, Journal of Cataract & Refractive Surgery)、4ヶ月の男児が両眼に先天性白内障を持つと判断されました。初期、子供の両眼は光に反応せず、視力の低下を示していたため、速やかに白内障手術を受け、白内障の原因となっていた水晶体を取り除きました。その後、眼内レンズが植え込まれ、視力の回復が観察されました。この研究では、早期の判断と適切な改善が子供の視力回復に極めて重要であることを示しています。

 

先天性角膜混濁の例:

2010年に行われたケーススタディ(Sawada et al., 2010, Cornea)では、新生児が先天性角膜混濁と判断されました。子供は左眼の視力が非常に低下しており、角膜が異常に白く濁っていました。患者は角膜移植手術を受け、健康なドナーの角膜に置き換えられました。手術後のフォローアップでは、視力が大幅に改善し、角膜移植が成功したことが確認されました。このケーススタディは、適切な手術介入が先天性角膜混濁の視力を改善できる可能性を示しています。

 

以上の例は、具体的なケーススタディに基づくものですが、改善の結果は個人によって異なることを理解することが重要です。

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