高チロシン血症III型の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 12月 1日

更新日:2025年  8月 3日

本日は高チロシン血症III型について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 高チロシン血症III型とは
  • 高チロシン血症III型の原因
  • 高チロシン血症III型の症状
  • 高チロシン血症III型の改善方法
  • 高チロシン血症III型のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

高チロシン血症III型は、血中チロシン値が高くなる病気

高チロシン血症III型は、血中チロシン値が高くなる病気です。高チロシン血症I型のような肝障害や腎障害が現れることはありません。

 

高チロシン血症III型では、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素という酵素に異常が起きます。そのため、チロシンを代謝する過程に障害が起き、血中チロシンが増えるのです。

 

日本では、数年に1人発症しているという報告がある非常に珍しい病気です。

高チロシン血症III型の原因は、酵素の異常

高チロシン血症III型の原因は、酵素の異常です。4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素に異常が起きることによって、チロシンというアミノ酸の1つを代謝する過程で障害が起き、血中のチロシンが増えることで発症するのです。

 

どのような人に高チロシン血症III型が起きやすいということはありませんが、遺伝する病気です。遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

主な原因

遺伝形式は常染色体劣性遺伝で、原因遺伝子は HPD遺伝子です。

 

HPD酵素は、チロシン代謝経路で重要な役割を持ち、チロシンを分解してアセト酢酸やフマル酸に変換する過程の中間段階に関与します。この酵素が欠損すると、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸が代謝されずに蓄積し、さらにその前駆体であるチロシンが血中に増加します。

 

他型(Ⅰ型・Ⅱ型)との違い〉

Ⅰ型:FAH酵素欠損 → 重篤な肝障害

Ⅱ型:TAT酵素欠損 → 皮膚症状・眼症状が主体

Ⅲ型:HPD酵素欠損 → 神経症状が主体で、肝障害は軽度

知的障害が現れることも無症状のこともある

高チロシン血症III型では、知的障害が現れることがあります。しかし、特に症状はないこともあります。

 

知的障害は血中チロシン値が下がることによって現れる症状です。

主な症状

・神経症状

けいれん発作(痙攣)

協調運動障害(バランスや歩行の不安定さ)

筋緊張異常(筋肉が硬くなる・または緩みすぎる)

発達障害

知的発達遅滞(言語や運動の発達が遅れる)

学習障害

 

・行動異常

多動や注意欠陥

不安定な情緒

 

・その他

一部で軽度の肝機能異常

嘔吐や食欲不振(乳幼児期に多い)

高チロシン血症III型の改善法は、血液中のチロシン値を下げること

高チロシン血症III型の改善方法は、食事です。高チロシン血症III型を改善するためには、血液の中のチロシンの値を下げることが必要なのです。

 

そのために、低フェニルアラニン、低チロシン食を行い、改善に取り組みます。

主な改善方法

・ 食事

高チロシン血症III型は4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPD)欠損により、チロシンの代謝が途中で止まり、有害な中間代謝産物が蓄積するため発症します。チロシンとフェニルアラニンの摂取を制限すると、血中チロシン濃度を低下させ、神経症状の進行を防ぎます。

 

ビタミン、補酵素補充

場合によってはビタミンCやビタミンEなど抗酸化作用のある補助療法を行い、神経細胞への酸化ストレスを軽減します。ただし効果は症例によるため必須ではありません。

 

症状に応じた対処

けいれん発作の場合抗てんかん薬(例:バルプロ酸、レベチラセタム)を使います。運動障害の場合、リハビリを行います。発達遅滞の場合、特別支援教育などを行います。

新旧で見込める効果

・神経症状の緩和

高チロシン血症III型では、神経系の症状が出ることがあります。鍼灸は自律神経や脳血流を調整し、末梢神経機能や脳の代謝をサポートする可能性があります。

 

・消化器症状の軽減

食欲不振や消化機能低下がある場合、鍼灸で胃腸の運動や消化液分泌を促進できることがあります。

 

・疲労感、全身倦怠の改善

慢性的な代謝負担や栄養制限による倦怠感を、全身調整の鍼灸で緩和できる可能性があります。

 

・生活の質の向上

食事での改善と並行して行うことで、体調管理を助け、日常生活の快適さを保つサポートとなります。

知的障害が現れない場合は、日常生活で困ることはあまりない

高チロシン血症III型では、血中のチロシン値が下がり、知的障害が現れない場合は、日常生活を送る上で特に困ることはあまりありません。

 

臓器障害などを起こすこともほとんどないと言われています。

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