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公開日:2021年 12月 1日
更新日:2025年 10月 6日
本日は褐色細胞腫について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
褐色細胞腫は、副腎髄質やその周りの神経節にできる腫瘍のことです。褐色細胞腫ができると、カテコールアミンというホルモンを過剰に産生し、高血圧が起こったり急な血圧の変化が起きたりして、いろいろな症状が現れます。
カテコールアミンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質やホルモンとして働く化学物質の総称です。
本来カテコールアミンは、心臓の収縮力を増やしたり全身の血管を収縮させたりして、全身に血流を届ける働きをしています。
褐色細胞腫は、9割が良性腫瘍です。しかし、稀に悪性腫瘍のこともあります。その場合、骨や肝臓や肺に転移し、心不全や腸閉塞などが起きることもあります。
褐色細胞腫の原因は、副腎髄質や副腎髄質の周りの神経節に発生する腫瘍です。腫瘍がなぜ発生するのかについては今のところわかっていません。
遺伝的に褐色細胞腫を発症しやすい家系もあるということもわかっています。
1. 遺伝的原因
褐色細胞腫は、遺伝性腫瘍症候群の一部として発生するケースが多いことがわかっています。主な関連遺伝子、病気は、多発性内分泌腫瘍症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、神経線維腫症、SDHx群です。
2. 後天的原因
遺伝性の関与がない場合、偶発的褐色細胞腫と呼ばれます。明確な環境要因は不明ですが、細胞の酸化ストレス・DNA損傷・低酸素環境などが発症の一因と考えられています。慢性ストレスや副腎髄質の過剰刺激が、腫瘍形成の素地になるという報告もあります。
褐色細胞腫の症状は、様々です。多くの場合、高血圧や不整脈、糖尿病、脂質異常症が現れます。
他にも現れる症状には、激しい動悸や大量の発汗、立ちくらみや速い呼吸、顔面蒼白、頭痛や胸や胃の痛み、吐き気や嘔吐、視覚障害などがあります。このような症状は、カテコールアミンが異常に分泌されることによって現れます。
運動や食事などの刺激がきっかけとなり、高血圧クリーゼが起こることもあります。
ほとんどの場合は良性腫瘍ですが、悪性腫瘍の場合、骨や肝臓、肺に転移して、心不全や腸閉塞などの大きな合併症につながることもあります。
・発作性高血圧
突然の血圧上昇が起こります。持続的高血圧のこともあります。
・動悸(頻脈)
カテコールアミンのβ受容体刺激により心拍数が上昇します。
・発汗(多汗)
交感神経刺激による発汗増加。夜間やストレス時に強くなることがあります。
発作の特徴は、数分〜数時間続くことが多く、ストレス・姿勢変化・排尿・麻酔・出産 などをきっかけに誘発されることです。発作時は、血圧上昇とともに 頭痛・顔面蒼白・震え・不安感を伴うことが多いです。発作後には極度の疲労感や倦怠感が残ることがあります。
褐色細胞腫の改善方法は、薬と手術です。
一般的には、腫瘍が発生するのは左右どちらかの副腎のため手術で全摘出を行いますが、左右両方に腫瘍がある場合や反対側にも腫瘍ができる可能性がある場合は部分摘出を行うこともあります。
手術をしているときに血圧が変化することを避けるために薬を使います。薬でカテコールアミンの作用を抑え、分泌をコントロールできるような状態になった後に手術が行われるのです。
他の臓器に転移している場合は、抗がん剤を使って改善を行うこともあります。
根本の改善方法は腫瘍の外科的切除です。手術によって腫瘍を除去すると、ほとんどの患者で高血圧や動悸などの症状が改善します。腫瘍が片側の副腎に限局していれば、腹腔鏡下副腎摘出術が一般的です。
ごく一部の症例では転移や悪性化を伴います。この場合は、放射線、分子標的薬や免疫療法の臨床試験、遺伝子変異を基にした個別の改善方法を行います。
褐色細胞腫はあくまで腫瘍性の病気であるため、鍼灸のみで腫瘍を消すことはできません。しかし、手術後や内科管理中の自律神経やホルモンバランスの安定化を目的として、鍼灸は有効です。
・自律神経の調整
カテコールアミン過剰により交感神経が過緊張状態となるため、鍼灸では副交感神経を優位に導きます。動悸・頭痛・睡眠障害・イライラなどの二次的なストレス症状の軽減の効果があります。
・術後の気血バランス回復
手術後はエネルギー低下、貧血、冷えの状態に陥りやすいため、鍼灸によって回復を促します。
・精神的ストレスの軽減
褐色細胞腫はストレス反応と深く関係し、交感神経を刺激するホルモンを産生します。心拍や血圧が乱れやすい方に対して、鍼灸で気の巡りを整える鍼灸ことで、再発予防にも寄与します。
腫瘍が良性の場合、改善を行うことで症状もなくなり、予後も良好です。しかし、悪性の場合は有効な改善方法がありません。
良性であるか悪性であるかを判断することは難しく、年数が経った後に再発する可能性もあります。改善を行わなければ、脳出血や腎不全、心不全などにつながることもあり、非常に危険です。
きちんと改善を行い、手術をした後も、定期的に体を調べて再発を確認することが必要です。