猫背の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2025年  4月 7日

本日は猫背について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 猫背とは
  • 猫背の原因
  • 猫背の改善方法
  • 猫背の及ぼす悪影響
  • 猫背になりやすい人

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

人間の頭の重さは約5kg

多くの人は、普段、自分がどんな姿勢なのか気にしていると思います。歩いている時や食事をしている時、仕事の時や家で勉強をしている時、スマートフォンを操作している時などに気付くと猫背になっていることも多いです。

 

どうしても丸くなった姿勢のほうが楽に感じる人も多いのです。しかし、長い期間猫背の状態でいると、体が歪んだり、痛みが起きたり、病気に繋がったりすることもあります。

猫背は、猫のように背骨が丸くなってしまっている姿勢のことを言います。背骨は、上から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎の4つに分けられています。

 

通常、背骨は頸椎、腰椎は反っており、胸椎、仙椎は丸まっています。そのため、背骨は生理的なS字カーブの弯曲ができています。このS字カーブの形が、胸椎で大きく丸まってくると猫背になります。

 

猫背は、背骨のS字カーブが崩れている姿勢のため、衝撃の吸収が上手にできなくなり、体に対しての負担が非常に大きいです。肩や腰、首が凝ることにもつながります。

 

正しい姿勢は、耳、首、肩、骨盤・膝、外くるぶしをつないでいる線がまっすぐになっている姿勢です。鏡などで確認してみましょう。

猫背の原因は脳が間違って正しい姿勢を覚えること

猫背の原因は、脳が間違って正しい姿勢を覚えていることです。猫背のほうが楽だと日常生活でいつも猫背の状態でいると、脳は猫背が正しい姿勢だと勘違いして覚えてしまいます。

 

しかし、実際には猫背は筋肉に大きな負担がかかっています。体を圧迫し続け、筋肉への負担が増えると、人間はもっと楽な姿勢をとるようになります。そのようにして猫背がひどくなっていきます。

猫背の原因として1番多い日常の中の原因は、スマートフォンの使いすぎ、長い時間のデスクワークです。他にも、自分の背の高さに合わないキッチンでの料理やストレスで体を丸める、なども原因です。猫背の原因は非常に色々なものがあるのです。

 

お腹や肩周りの筋肉の不足や低下、ストレートネック、骨盤や背骨の歪みも大きな原因です。特に女性の場合筋肉が少ないため、猫背になりやすいのです。

主な原因

・長時間の前傾姿勢

デスクワーク・スマホ操作などで、首や肩が前に出る姿勢が定着し、背中が丸まったまま固まり、胸椎の後弯が強調されます。特に頭が肩より前に出ている状態は、“スマホ首”とも言われ、猫背を悪化させます。

 

筋肉のアンバランス

筋肉のアンバランスによって、胸が縮まり背中が引っ張られるように丸くなる姿勢が生まれます。

 

・骨盤の後傾

骨盤が後ろに倒れると、それに合わせて背骨もC字型に丸くなります。そのまま顔を前に突き出す二重あご姿勢になりやすいです。

 

・呼吸の浅さ

姿勢が悪いと横隔膜がうまく使えず、呼吸が浅くなります。呼吸が浅いと胸まわりの筋肉が硬くなりさらに背中が丸まる、という悪循環が起きます。

 

・運動不足と体幹筋力の低下

脊柱起立筋群や肩甲骨まわりの筋肉が弱ると、姿勢を支えられなくなります。結果として、楽な姿勢=丸まった姿勢が定着してしまいます。

 

・精神的要因、感情の姿勢

自信のなさ・不安・抑うつ状態などで、無意識に胸を閉じるような姿勢になることもあります。気分が沈むと、自然と目線が下がり、猫背に近い姿勢を取る傾向があります。

 

・加齢、加齢性円背

加齢による椎間板の変性・筋力低下・骨密度低下によって、背中が丸まります。特に高齢者では円背と呼ばれ、姿勢が前屈みで固まっていきます。

普段から正しい姿勢を心がけて生活をすることが大事

猫背の改善までの期間には個人差があります。

 

猫背の状態にもよっても変わります。自分の力で改善を試みるか整体などの専門家に頼るかなど改善の方法でも変わります。猫背の程度も改善方法も人によって様々なため、改善にかかる期間も様々なのです。

 

猫背の代表的な改善方法にストレッチがあります。しかし、ストレッチをしてもすぐに改善するわけではありません。猫背の改善には、日常生活を過ごす上での姿勢を改善する必要があります。

 

普段から正しい姿勢を心がけて生活をすることが大事です。そして、ストレッチや運動をして筋力を上げ、根気よく猫背の改善に取り組みましょう。

肩こりや腰痛などの症状が長い期間にわたって続いているのであれば、整体や鍼灸などで姿勢矯正や症状の改善をすることがおすすめです。

 

自分の力だけよりも専門家の施術の方が効果の実感は早いです。自分に合ったアドバイスもしてもらえるでしょう。自分の状態に合わせた施術が受けられるということも、整体や鍼灸などの専門家に頼るメリットの1つです。

 

背術を受ければすぐに改善するというものではありませんが、定期的に通うことで段々と改善に向かうでしょう。

改善に役立つストレッチ

【STEP1】縮んだ筋肉を伸ばすストレッチ

・小胸筋ストレッチ

壁に肘を曲げて手をつき、胸を開くように身体を反らしましょう。胸の前側が伸びていればOKです。片側30秒 × 左右1〜2セット行いましょう。

・腸腰筋ストレッチ

片膝をついてランジ姿勢になり、骨盤を前にスライドします。股関節の前が伸びているのを感じましょう。片側30秒 × 左右1〜2セット行いましょう。

 

【STEP2】弱った筋肉を鍛えるエクササイズ

・肩甲骨寄せトレーニング

背筋を伸ばして座り、両肘を後ろに引くように肩甲骨を寄せます。3秒キープ × 10回 × 1〜2セット行いましょう。

・背中伸ばし

うつ伏せになり、手を体の横に置いて、ゆっくり上体を起こします。腰ではなく背中の力で反らすのがポイントです。10回 × 1〜2セット行いましょう。

・ドローイン

仰向けで膝を立て、息を吐きながらお腹をぺたんこにするよう意識しましょう。腰と床の間を押しつぶすようなイメージで10秒キープし5セット行います。

 

 

【STEP3】日常生活での意識と工夫

・座る姿勢の見直し

骨盤を立てて座り椅子に深く腰かけ、腰にクッションやタオルを入れるのも有効です。

・スマホ、PCの位置調整

画面は目の高さに近づけ首を下に垂らす姿勢をできるだけ避けましょう。

・呼吸を整える

背筋を伸ばして、鼻から吸って、口から長く吐きます。呼吸で胸郭を動かす意識が、自然な姿勢づくりに役立ちます。

猫背によって起こる悪影響はたくさんある

猫背でも、特に自覚症状がないため気にしない人も多くいますが、猫背によって起こる悪影響はたくさんあります。

 

腹筋や背筋を意識して使わない場合、楽な姿勢として猫背になることがほとんどですが、猫背の方が筋肉や骨に負担がかかっている状態になります。そのため、首や肩、胸まわりの筋肉が緊張し固まり、首凝りや肩凝りにつながります。

 

猫背は見た目も老けて見えます。それだけでなく、腰から下にも悪影響があり、猫背が腰痛やぽっこりお腹、垂れ尻などの原因にもなります。

猫背がひどくなると、胸郭という肺を覆っている肋骨のスペースが圧迫され、肋骨自体の動きが悪くなります。人間は息を吸う時、肋骨が動くことで胸郭に空間を作り肺が膨らみやすい状態をつくります。

 

しかし、猫背で肋骨自体の動きが悪くなった場合は呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなると、血中の酸素が足りなくなり、美容や健康にも悪影響を及ぼします。血流も悪くなり疲れやすくなったり集中力が低下したりすることもあります。

 

さらに、猫背の前かがみの姿勢は内臓も圧迫します。内臓が圧迫されると胃腸にも負担がかかるため、逆流性食道炎や便秘につながることがあります。

主な症状

【首・肩・背中の症状】

・慢性的な肩こり・首こり

首が前に出た姿勢により、僧帽筋・肩甲挙筋が常に緊張します。

・首の痛みやストレートネック

猫背とスマホ首の併発で、首のカーブが消失します。

・肩甲骨が開いて背中が張る

背中全体が重だるい、鉄板のような感覚になります。

 

【頭・顔まわりの症状】

・緊張性頭痛

首・肩の筋緊張が頭皮の血流を悪化します。

・めまい、耳鳴り、眼精疲労

頚椎のゆがみや首の筋肉が自律神経や内耳の循環を妨げます。

・顔のむくみやたるみ

猫背でリンパの流れが滞りやすくなります。

 

【呼吸・内臓への影響】

・呼吸が浅くなる、息苦しい

胸郭が縮み、横隔膜が十分に動かせなくなります。

・胃腸の不調

猫背により腹部が圧迫され胃腸の働きが低下します。

・自律神経の乱れ

呼吸の浅さと姿勢の緊張で交感神経優位になりやすいです。

 

【腕・手・手首の症状】

・手のしびれ、腕のだるさ

肩が巻き込み、腕神経叢や血管が圧迫されます。

・四十肩、五十肩の予備軍

肩甲骨と上腕骨の動きが悪化し肩関節に負担が集中します。

 

【腰、骨盤まわりの症状】

・腰痛

腰が反らず、支えられず常に緊張している状態になります。

・骨盤のゆがみ・O脚化

骨盤後傾によって足のラインが崩れやすくなります。

 

【メンタル、全身症状】

・集中力の低下、疲れやすい

呼吸の浅さにより、脳の酸素供給が低下します。

・うつっぽさ、イライラ

姿勢がメンタルに影響を与え、自己肯定感の低下も起こります。

・睡眠の質の低下

呼吸や自律神経の乱れが起き眠りが浅くなりやすくなります。

猫背になりやすい人

意外かもしれませんが、猫背は性格と関係しています。ストレスを溜めやすい、自分に自信がない、コミュニケーションが苦手、などの性格の人は猫背になりやすいと言われています。

 

内向的な性格の人は自然に背中が丸くなることが多く、猫背になりやすいのです。猫背で俯いていることが多いと、脳は勝手に落ち込んでいると判断してしまいます。そのため、猫背がネガティブな気持ちを起こしてしまうこともあります。

筋力が不足している人や低下している人も猫背になりやすいです。背筋が伸びた状態を保つためには筋肉が必要なのです。

 

筋力の低下が進むと立ったり歩いたりすることができなくなる可能性があります。猫背は、改善を試みなければ悪化してしまいます。早めの改善をお勧めします。

猫背のセルフチェック

☑ 壁に背中をつけて立つと、後頭部が壁につかない/つきにくい

☑ 気がつくといつも肩が前に出ている

☑ 頭が前に突き出た姿勢になっている

☑ あごが前に出ている/二重あごが目立つ

☑ 背中が丸く、肩甲骨の内側にハリ・痛みを感じやすい

☑ デスクワークやスマホをしていると、無意識に背中が丸まる

☑ 仰向けに寝ると、腰が浮いて落ち着かない/首に違和感がある

☑ 呼吸が浅くなっていると感じることがある

☑ 最近疲れやすい/集中力が続かない

☑ 写真に写ったときの姿勢が猫背っぽいと感じたことがある

 

3つ以上該当 → 猫背の傾向があります

 

5つ以上該当 → 猫背による不調や姿勢の崩れが進行している可能性あり

 

7つ以上該当 → 姿勢改善や専門的なケアを始めることを強くおすすめします

猫背に効果的なツボ

帯脈

肩中兪

肩外兪

中府

帯脈

帯脈の帯は腰の周りを回る帯を意味しており、脈は体の中での気の循環を意味しています。

 

帯脈を刺激すると、腹筋の一部が刺激され、腰から腹部の血流を促すことにつながります。帯脈は背中や腰、股関節の周りの痛みに効果的であるため、帯脈へ刺激することは背筋を伸ばしやすくすることにもつながるのです。

 

他にも婦人科系の問題や耳の問題にも効果的です。

肩中兪

肩中兪の肩は肩を意味し、中は中間を意味し、兪はツボを意味しています。

 

肩中兪への刺激を行うと、肩甲骨から首にかけての筋肉がほぐされます。そのため、腕の痛みやしびれなどに効果的です。

 

肩中兪は、寝違えた時や首こりや肩こりを改善したい時にも有効なツボです。

肩外兪

肩外兪は、肩中兪と比べて肩甲骨の外にあるツボです。

 

不良姿勢によって肩こりが起こっている時には、肩甲挙筋に過剰な負担がかかっている状態になっています。そのとき、肩外兪を押すと改善が期待できるのです。

ツボの位置と押し方

帯脈

帯脈は、へその高さでウエストの一番くびれている部分の側腹の部分にあります。

 

押すときは、 腰骨をつかむようにして親指をツボに当て、左右一緒に押します。20回ほど押すと良いでしょう。

肩中兪

肩中兪は、うつむいた時に一番大きく出っ張る背骨の部分から指3本分外側にあります。

 

押すときは、指と中指の腹でゆっくり押しこむように押します。力加減は、少し強めがおすすめで、痛気持ちいいと感じる程度が良いでしょう。孫の手などのグッズを使ってツボを刺激することも簡単なため、おすすめです。

肩外兪

肩外兪は、肩甲骨の内側の上端からやや上にあるくぼみにあります。

 

押すときは痛気持ち良いと感じるほどの強さで5〜10秒ほど押します。手が届きにくいときは孫の手などを使って刺激をすることもおすすめです。

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