公開日:2021年 9月 2日
更新日:2024年 1月 2日
本日はアルポート症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
アルポート症候群の原因は、遺伝子の異常です。原因となる遺伝子はいくつかあり、そのいずれかに異常がある場合アルポート症候群を発症します。
アルポート症候群は遺伝性のため、家族の中に腎炎を発症している人がいることがほとんどです。しかし、約2割の人は遺伝子の突然変異によって発症することがあるということもわかっています。
アルポート症候群は、主に腎臓に影響を与える遺伝性の病気です。この症候群の原因は、腎臓の基底膜を形成するための重要なタンパク質をコードする遺伝子の変異にあります。アルポート症候群の特徴と原因を以下に詳述します。
遺伝的変異:アルポート症候群は、Ⅳ型コラーゲンを構成する遺伝子(COL4A3, COL4A4, COL4A5)の変異によって引き起こされます。Ⅳ型コラーゲンは腎臓の基底膜の主要な構成成分で、腎臓のフィルタリング機能に重要な役割を果たしています。
遺伝形式:最も一般的な形式はX連鎖遺伝で、特に男性に影響を及ぼします(X連鎖アルポート症候群)。この場合、変異はX染色体上のCOL4A5遺伝子に生じます。他には、常染色体優性遺伝(COL4A3またはCOL4A4遺伝子の変異)や常染色体劣性遺伝(同じくCOL4A3またはCOL4A4遺伝子の変異)の形式もあります。
アルポート症候群の判断は、家族歴、臨床症状、尿を調べた結果(血尿や蛋白尿の存在)、遺伝子の調べなどによって行われます。
遺伝子の突然変異によって発症することがあるということもわかっています。
アルポート症候群の症状は、慢性腎炎と難聴、眼合併症です。
多くの場合、見た目で尿に血液が混ざっているということはわかりません。しかし、風邪を引いた時、赤色やコーラ色の尿が出ることがあります。年齢を重ねると蛋白尿が現れ始め、末期腎不全へと進むこともあります。
難聴は多くの場合幼少期や生まれた時には現れません。しかし、男性のほとんどは10歳以降に発症します。最終的には男性は約8割、女性は約2割の人に難聴が起こります。
眼合併症では、白内障や円錐水晶体などを発症します。男性では約3分の1の人に起こりますが、女性の場合眼合併症が起こることは珍しいと言われています。
場合によっては、びまん性平滑筋腫が起こることもあります。
アルポート症候群は、腎臓、耳、目に影響を及ぼす遺伝性の疾患です。この症候群に伴う主な症状は以下の通りです。
・腎臓の症状
血尿:最も一般的な初期症状。しばしば幼少期に始まりますが、初めは微量で見逃されることがあります。
蛋白尿:病気が進行するにつれて蛋白尿が現れ、腎機能障害の兆候となります。
高血圧:腎機能の低下に伴い高血圧が発生することがあります。
腎機能低下:進行すると、腎機能の低下が見られます。
・耳の症状
聴力喪失:高音域の聴力喪失が特徴的で、通常は10代後半から20代にかけて徐々に進行します。男性で顕著な傾向があります。
・目の症状
前眼部異常:角膜の異常や白内障が起こることがあります。
水晶体の変位:まれですが、水晶体の変位が発生することがあります。
網膜異常:網膜の異常や出血が起こることもあります。
・その他の症状
皮膚の変化:一部では皮膚に関連する変化が見られることがあります。
関節痛:これは比較的まれですが、一部で報告されています。
アルポート症候群の症状は、症候群の形式(X連鎖、常染色体優性、または劣性)、年齢、性別などによって異なります。例えば、X連鎖形式のアルポート症候群では男性がより重篤な症状を経験する傾向があります。
アルポート症候群の根本的な改善方法は今のところありません。改善を行う目的は末期腎不全へ進まないようにすることです。
そのために、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬を使って改善を行います。
改善はほとんど血尿や蛋白尿が現れ始めた時期から始められます。しかし、海外では、男性の場合アルポート症候群であると判断されるとすぐに改善が行われることもあります。
アルポート症候群の改善方法は、現在のところ根本的な方法は存在せず、主に症状の管理と腎機能の損失を遅らせることに焦点を当てています。以下は、アルポート症候群の改善に関する一般的なアプローチです。
血圧管理:高血圧は腎機能の低下を加速させるため、血圧のコントロールが重要です。ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)は、高血圧の改善に使用されるだけでなく、蛋白尿を減少させる効果もあり、腎機能の保護にも役立ちます。
蛋白尿の管理:蛋白尿は腎臓の病気の進行を加速させるため、その管理も重要です。こちらもACE阻害薬やARBが有効です。
腎機能のモニタリング:定期的な血液の調べと尿の調べにより、腎機能の変化を監視します。これにより、改善方法の調整や腎臓の病気の進行を遅らせるための介入が可能になります。
耳の症状の管理:聴力喪失がある場合は、聴力の調べを定期的に行い、必要に応じて補聴器の使用や他の補助技術を検討します。
目の症状の管理:眼科的評価を定期的に行い、発生する可能性のある眼の問題に対処します。
遺伝カウンセリング:遺伝性の病気であるため、本人や家族に対する遺伝カウンセリングが推奨されます。
生活習慣の改善:健康的な食生活、定期的な運動、喫煙の中止など、腎機能の保護に役立つ生活習慣の改善が奨励されます。
腎移植:終末期に進行した場合、腎移植が考慮されます。
アルポート症候群では、一般的に腎移植の結果が良好です。これらの方法は、症状、腎機能の程度、個々のニーズに応じて個別に調整されます。定期的なフォローアップと、腎臓専門医や他の関連専門家との協力が重要です。
アルポート症候群の改善において、使用される薬剤は主に腎機能の保護と症状の管理を目的としています。以下は、アルポート症候群の改善に一般的に用いられる薬剤の種類とその特徴です。
・ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬
例:リシノプリル、エナラプリル、ラミプリル。
効果:血圧を下げ、蛋白尿を減少させることで腎機能の低下を遅らせます。
注意点:咳の副作用が発生することがあり、妊娠中の使用は避けるべきです。
・ARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
例:ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン。
効果:ACE阻害薬と同様に血圧を下げ、蛋白尿を減少させます。
注意点:妊娠中の使用は禁忌です。
・スタチン類(腎機能低下が進行している場合)
例:アトルバスタチン、シンバスタチン。
効果:高コレステロールを管理し、心血管疾患のリスクを低減します。
注意点:肝機能のモニタリングが必要です。
・利尿薬(高血圧や浮腫がある場合)
例:フロセミド、ヒドロクロロチアジド。
効果:余分な水分と塩分を体外に排出し、血圧を下げる効果があります。
注意点:電解質のバランスに注意し、定期的な血液検査が必要です。
・カルシウムチャネル遮断薬(血圧管理に)
例:アムロジピン、ニフェジピン。
効果:血管を拡張し、血圧を下げます。
注意点:浮腫の副作用が起こることがあります。
・栄養補助薬(骨密度の低下を防ぐため)
例:カルシウムサプリメント、ビタミンD。
効果:骨の健康を維持します。
注意点:過剰摂取は避けるべきです。
これらの薬剤は、個々の状態や症状に応じて医師によって処方されます。アルポート症候群の改善においては、症状の進行を遅らせ、生活の質を改善することが主な目的です。
アルポート症候群は、発症しても腎機能障害が起きていない場合、日常生活を送る上での制限は特になく、今まで同じように日常生活を送ることができます。
しかし、特に男性では末期腎不全に進むことがほとんどです。末期腎不全に症状が進む年齢の平均は約25歳で、末期腎不全になると血液透析や腎移植などが必要になります。
血尿などの腎機能の症状が現れたらすぐに改善を始めるようにしましょう。アルポート症候群は経過を医師と相談しきちんと改善を行うことが大切です。
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