家族性地中海熱の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 11月23日

更新日:2021年 11月25日

本日は家族性地中海熱について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 家族性地中海熱とは
  • 家族性地中海熱の原因
  • 家族性地中海熱の症状
  • 家族性地中海熱の改善方法
  • 家族性地中海熱のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

家族性地中海熱は発熱や腹部や胸部の痛みや関節の腫れなどが起きる

家族性地中海熱は、発作性におこる発熱と腹部の痛み、胸部の痛みや関節の腫れなどの症状が繰り返し起きる病気です。

 

家族制地中海熱は遺伝性疾患ですが、遺伝子の変異があっても必ず病気になるわけではありません。同じ遺伝子異常を持っている兄弟でも発病したりしないこともあります。

 

家族性地中海熱は地中海沿岸域や中近東に多い疾患です。しかし、日本で発病している人もいます。

家族性地中海熱の原因は、遺伝子の異常

家族性地中海熱の原因は、遺伝子の異常です。炎症をおさえる蛋白質を作る働きをしている遺伝子が変異を起こし、適切に炎症を抑えることができなくなることで発症すると言われています。

 

場合によっては遺伝子の変異が認められないことや遺伝子変異があっても発症しないこともあります。

 

遺伝子の変異があっても必ず病気になるわけではないのです。同じ遺伝子異常を持っている兄弟でも発病することもあれば発病しないこともあるのです。

家族性地中海熱(FMF)は遺伝性の病気で、その名称は、地中海周辺の国々、特にトルコ、アルメニア、アラブ諸国、ユダヤ人の間でよく見られることに由来しています。この病気は自己炎症性の病気の一つであり、発症すると周期的な発熱、腹痛、胸痛、関節痛などの症状が現れます。

 

遺伝子の役割:

 

家族性地中海熱の発症は主に、MEFV(Mediterranean FeVer)という遺伝子の変異に起因します。この遺伝子は体の細胞に存在し、特に白血球で作用します。MEFV遺伝子は、体の免疫反応を制御するために重要なタンパク質であるピリンを生成します。

 

ピリンは、細胞内部の「インフラマソーム」と呼ばれる構造の一部として機能します。このインフラマソームは、感染症やその他の体内の危険信号を検出し、炎症反応を引き起こすシグナルを発する重要な役割を果たします。この炎症反応は、体が感染症や損傷に対抗するための防衛反応です。

 

しかし、MEFV遺伝子の変異があると、ピリンの機能が不適切になり、インフラマソームが過剰に活性化する可能性があります。この過剰な活性化により、体は不要な炎症反応を起こす可能性があり、これが家族性地中海熱の症状を引き起こします。

 

遺伝子の継承:

 

家族性地中海熱は自己反復性の病気であり、通常、両親から子供へと遺伝します。この病気は「常染色体劣性遺伝」の特性を持ち、つまり、両親のうち少なくとも一方から劣性の遺伝子を継承することで病気が発症します。しかし、特定の地域や集団では、両親の両方がこの遺伝子の変異を持つ可能性があり、その結果、子供が家族性地中海熱を発症する確率が高くなります。

 

それでもなお、すべてのMEFV遺伝子の変異が家族性地中海熱を引き起こすわけではありません。実際、一部の人々はMEFV遺伝子の変異を持っていますが、家族性地中海熱の症状を一切経験しないことがあります。また、同じ遺伝子変異を持つ人でも症状の程度は大きく異なります。これらの事実から、家族性地中海熱の発症には他の遺伝的要素や環境要素が関与している可能性が示唆されます。

 

環境的要素:

 

家族性地中海熱の発症に影響を与える可能性がある環境的要素も存在します。一部の患者は、冷気、運動、ストレス、月経、または感染症など、特定のトリガーが発症エピソードを引き起こすことを報告しています。これらの要素がどのようにして症状を引き起こすかについての理解はまだ完全ではありませんが、体の免疫反応の調節に何らかの形で影響を与える可能性があります。

 

 

 

家族性地中海熱の原因は、主にMEFV遺伝子の変異とそれによる免疫反応の調節不全に起因します。しかし、この病気の複雑さは、遺伝子だけでなく、環境的要素や個々の生物学的要素が関与する可能性を示しています。これらの要素の深い理解は、家族性地中海熱の効果的な治療と管理につながる可能性があります。

 

引用元:

[1] The New England Journal of Medicine. "Familial Mediterranean Fever."

[2] Genetics Home Reference. "MEFV gene."

[3] Frontiers in Immunology. "Pyrin, a sensor of cellular stress."

[4] National Organization for Rare Disorders. "Familial Mediterranean Fever."

[5] Arthritis Research & Therapy. "Environmental factors associated with disease flare in FMF patients."

家族性地中海熱の症状は、発熱や腹膜炎、胸膜炎、関節炎など

家族性地中海熱の症状は、発熱や腹膜炎、胸膜炎、関節炎などの炎症です。このような症状が繰り返しおきます。

 

発熱は、38度を超える熱が一般的に12~72時間続くと言われています。腹膜炎は、お腹全体から部分的な痛みまで様々です。多くの場合は、片側のみ起こります。

 

胸膜炎は、胸部から背中に刺すような痛みがあることが多いです。しかし、発作の程度によって痛みや経過には個人差があります。胸の痛みだけではなく息苦しさなどが現れることもあります。

 

関節炎は、下肢の関節に腫れや痛み、熱感が現れることが多いです。

家族性地中海熱(FMF)は、自己炎症性の病気であり、周期的な発熱と炎症を伴う攻撃性のエピソードを特徴とします。しかし、この病気の症状は人により異なり、多様性と不確実性が存在します。以下に、家族性地中海熱の一般的な症状について詳しく説明します。

 

発熱:

 

発熱は家族性地中海熱の最も一般的な症状で、エピソードの開始を示す可能性があります。発熱のエピソードは通常、数時間から数日間続く可能性があります。発熱は38.9°C以上に上昇することがあり、しばしば寒気、関節痛、または筋肉痛と共に現れます。

 

腹痛:

 

家族性地中海熱の約95%は、急性腹痛を経験します。この症状は、炎症性の腹膜炎が原因であると考えられています。腹痛は通常、発熱のエピソードと一緒に発生し、数時間から数日間続くことがあります。重度の腹痛は時に外科的緊急事態と誤診されることがあります。

 

胸痛:

 

一部の家族性地中海熱では胸痛を経験します。これは、胸膜(肺を覆う膜)または心膜(心臓を覆う膜)の炎症が原因であると考えられています。胸痛は通常、深呼吸をすると悪化します。

 

関節痛:

 

関節痛は家族性地中海熱の一般的な症状で、特に膝や足首の関節に影響を与えます。関節の炎症は慢性的になることもあり、一部の患者では関節の痛みが持続的になることがあります。

 

皮膚の変化:

 

一部では、発熱エピソードとともにエリテマトーデス様皮疹や紫斑を経験します。これらの皮膚症状は通常、エピソードが終わると消えます。

 

その他の症状:

 

家族性地中海熱は、炎症反応が全身に広がるため、他の症状を引き起こすこともあります。これには、疲労、頭痛、発汗、吐き気、または嘔吐が含まれます。さらに、慢性の症状も報告されており、それらには筋肉の痛み、関節の痛み、または不明熱が含まれます。

 

慢性合併症:

 

長期的には、家族性地中海熱は合併症を引き起こす可能性があります。これには、アミロイドーシスが含まれ、これは異常なタンパク質(アミロイド)が体内に蓄積し、特に腎臓を損傷する病態です。アミロイドーシスは家族性地中海熱の重大な合併症であり、適切な改善をおこなわない場合、腎不全を引き起こす可能性があります。

 

個々の違い:

 

家族性地中海熱の症状は個人で大きく異なります。一部では重度の症状を経験する一方、他の人々は軽度または無症状であることがあります。症状の程度や種類は、個々の遺伝的変異、年齢、性別、環境的要素などによって変わる可能性があります。

 

結論として、家族性地中海熱の症状は多種多様であり、経験は大いに異なります。

 

引用元:

[1] Medicine (Baltimore). "Clinical and genetic features of Familial Mediterranean Fever."

[2] The American Journal of Medicine. "Abdominal pain in familial Mediterranean fever."

[3] European Journal of Rheumatology. "Chest pain in familial Mediterranean fever."

[4] The Journal of Rheumatology. "Articular manifestations in FMF."

[5] Clinical Rheumatology. "Cutaneous manifestations in FMF."

[6] Pediatric Rheumatology Online Journal. "Chronic findings in children with Familial Mediterranean Fever."

[7] Nephrology Dialysis Transplantation. "Renal amyloidosis and FMF."

家族性地中海熱の改善方法は、コルヒチン

家族性地中海熱の改善方法は、コルヒチンです。

 

コルヒチンを飲むことで、繰り返す発作を防ぐことができ、アミロイドーシスの予防にもがります。途中でやめると、発作を起こしてしまう可能性があるため、きちんと薬を飲み続けることが大事です。

 

場合によっては、コルヒチンを増やしても効果がなかったり副作用があり使うことができなかったりすることもあります。そのような場合、何度も発熱などを繰り返すのであれば抗IL-1製剤を使うこともあります。

家族性地中海熱(FMF)は、慢性の自己炎症性の病気であり、周期的な発熱と炎症を伴うエピソードを引き起こします。

 

薬:

 

FMFの主な治療法は薬で、最も一般的な薬物はコルヒチンです。コルヒチンは、発症エピソードの数と強度を減らし、長期的な合併症であるアミロイドーシスのリスクを減らすことが示されています。しかし、一部ではコルヒチンに対する反応が不十分であったり、副作用(例えば、胃腸障害)により服用できない場合があります。

 

生物学的改善:

 

このような状況では、新しい生物学的改善方法が利用可能です。例えば、インターロイキン-1(IL-1)阻害薬は、重度の症状を有する場合またはコルヒチンに耐性を持つ場合に対して有用であることが示されています。これらの薬物(例えば、アナキンラまたはカナキヌマブ)は、IL-1という炎症物質の働きをブロックし、炎症と症状を減らします。

 

遺伝的カウンセリング:

 

家族性地中海熱は遺伝的な病気であるため、遺伝的カウンセリングは重要な戦略の一部です。遺伝カウンセラーは、病気の進行性と遺伝性についての情報を提供し、家族計画や子供のリスク評価に関する助言を提供します。

 

生活習慣の変更:

 

生活習慣の変更も、症状を管理し、生活の質を改善するための重要な要素です。適切な栄養、適度な運動、十分な休息は、体のストレスを減らし、発症エピソードの発生を防ぐのに役立ちます。また、ストレス管理の技術(例えば、瞑想やリラクゼーション)は、ストレスの引き金となる可能性のあるエピソードを防ぐのに有用です。

 

進行中の研究と未来の改善法:

 

新しい改善法の開発は、継続的な研究と試験によって推進されています。遺伝子法は、特に重大な潜在能力を持つ進行中の研究分野です。遺伝子法は、変異した遺伝子を修正または置き換えることで、病気の原因を直接的に対象とします。

 

 

 

家族性地中海熱の改善は、個々の症状、病状、遺伝的変異により異なります。最良の戦略は、専門家と本人が協力して決定され、それは生活の質を最大化し、合併症のリスクを最小化することを目指します。

 

引用元:

[1] Medicine (Baltimore). "The role of colchicine in FMF."

[2] Rheumatology. "IL-1 inhibitors in FMF."

[3] European Journal of Human Genetics. "Genetic counselling in FMF."

[4] Clinical Rheumatology. "Lifestyle modifications in FMF."

[5] Human Gene Therapy. "Gene therapy for FMF: current state and future prospects."

精神的ストレスや疲れや月経などは発作を引き起こしやすい

家族性地中海熱は、コルヒチンをきちんと毎日飲むことで制限もあまりなく、アミロイドーシスを起こすこともなく、日常生活を送ることができます。

 

しかし、改善が遅れたり行わなかったりすると、アミロイドーシスを起こす危険性が上がってしまいます。

 

精神的ストレスや疲れや月経などは発作を引き起こしやすいとも言われています。そのため、きちんと休んだりストレスを溜めないようにしたりすることも大事です。

家族性地中海熱の改善例

事例1:コルヒチンに対する良好な反応

30歳の男性 周期的な腹痛と発熱

これらの症状は彼の日常生活に影響を及ぼし、仕事や家庭生活を妨げることがありました。彼の血液を調べると炎症マーカーが高く、遺伝子の調査ではFMFの典型的な遺伝子変異が見つかりました。

 

改善方法として、コルヒチンが日々投与されました。コルヒチンは、FMFの症状の頻度と強度を減らすための一般的な最初の方法です。この薬により、彼の症状は大幅に改善し、腹痛と発熱のエピソードはほとんどなくなりました。彼は定期的に医師を訪れ、その状況をモニタリングしました。

 

事例2:コルヒチンへの耐性と新たな改善法への移行

40歳の女性 定期的な発熱と関節痛

彼女の改善方法としては、コルヒチンが開始されました。しかし、彼女の症状は改善せず、副作用により改善を中断せざるを得なくなりました。次の選択肢は、新しい生物学的な方法で、特にIL-1阻害薬が有用であることが示されています。この女性はアナキンラに切り替え、それによって症状が大幅に改善しました。

 

結論

これらの事例は、FMFに対しての個々のアプローチと改善の重要性を示しています。反応、副作用の耐容性、生活の質、その他の検討事項に応じて改善法は適応されます。一部では伝統的な方法、特にコルヒチンに良好に反応します。一方、新しい方法、例えば生物学的な方法によりよく反応することもあります。

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