軽度認知障害の鍼灸について

公開日:2019年 12月23日

更新日:2021年 5月 15日

本日は軽度認知障害の鍼灸について解説させていただきます。

認知症の前駆症状であるとされている軽度認知障害。認知症の代表的な症状である記憶障害をはじめとし、注意力散漫や集中力の低下、段階を立ててものごとを順にこなす能力に支障をきたすことが多くみられるようになります。

認知症と異なるのは、軽度認知障害の場合、日常生活に困難をきたす程度でもありません。

しかし、何が起こっているのか、本人も周囲も気が付かず、非常に戸惑います。

それによって、うつ病のような無気力な症状が出ることもあります。

軽度認知障害の原因はアミロイドβ

軽度認知障害に疑わしい症状に気が付くのは、家族や知人など周囲であることも多いです。

軽度認知障害はそのまま何も対応しないと認知症を発症する確率が高いです。

そのため周囲が注意し、異常にいち早く気づくことが求められます。

下記の項目が見られる場合、症状の頻度や内容、時間、それが現れる要因など、客観的に状態を把握し、疑いがある場合は早めに医療機関に行ってください。

 

軽度認知障害の症状

周囲が気づくことが多い症状

  • 会話をしている中で、同じ話をすることが多い
  • 好きだった趣味活動をしなくなった
  • 料理の味付け、仕事や車の運転などの様子が変わった

自身で気づくことが多い症状

  • 先ほど食べたものや知人の名前、銀行口座の暗証番号など、これまでは忘れる可能性が低かったものを忘れている
  • 頭がぼんやりしてすっきりしない
  • お金の計算やスケジュール管理ができなくなった
  • 疲れやすく元気がなくやる気が湧かない

 

軽度認知障害の原因

原因物質と考えられているのは、「アミロイドβ」と言う物質が脳内に蓄積して引き起こされると考えられております。アミロイドβとは、認知症に見られる老人斑の大部分を構成しているたんぱく質です。

この物質は健康な人の脳にも存在しますが、通常は脳内のゴミとして短期間で分解され排出されます。

しかしながら、正常なアミロイドβよりも異常に大きなたんぱく質ができてしまうと、排出されずに蓄積されます。蓄積は発症する20年も前から脳に溜まり始め発症に至ります。

蓄積したアミロイドβは、記憶の主体である脳細胞を死滅させます。こうして物忘れが起こると考えられています。

軽度認知障害は完全回復しない

軽度認知障害を発症してしまった場合、現在はまだ完全に回復することはできません。

そのため、認知症と判断されたご本人や周囲の家族は大きなショックを受けることでしょう。

完全な予防法も確率されていませんが、下記の項目に意識を向けながら生活の質を高めていくことで予防効果が期待できます。

  • 食生活

高血糖になると脳内の活性酸素が増えるため、脳の神経細胞が酸化されやすくなる。つまり、脳細胞がさびやすくなります。糖質の摂り過ぎを防ぎ、たんぱく質やビタミンなど必要な栄養素をしっかりとることで、脳の健康を改善することが期待できます。

  • 適度な運動習慣

身体を動かすことは、生活習慣病の予防や脳血流の改善に非常に有効です。運動をつかさどる脳の機能を刺激し、心地よい疲労やリフレッシュ効果、認知機能を改善する多くの効果が期待されます。自身の身体や生活習慣に応じた運動を若いうちに身に着けておきましょう。

炭水化物や甘いものを摂取すると、高血糖になります。特に空腹状態から急に炭水化物や糖質を体内に取り込むと、同時ににインスリンが大量に分泌され、これを分解するのに多くの「インスリン分解酵素」が消費されます。

この「インスリン分解酵素」は前述した、記憶障害を引き起こすと言われている物質であるアミロイドβ(変性タンパク質)を破壊する働きも持っていることが最近わかってきました。運動不足、過食、肥満でインスリンが効きにくい状態がある人では、食後に高インスリン血症、高血糖となるので、インスリン分解酵素は多量に分泌されたインスリンを処理するために消費されてしまい、アミロイドβを破壊する方にまわらなくなってしまうというわけです。

鍼灸での改善と予防が期待できる

認知障害のような中枢神経疾患に対する鍼灸治療の効果については、現在のところ明確なエビデンスはないものの、有効である可能性を示唆する報告が幾つかあります。

ラットによる基礎的研究で、鍼刺激で記憶を司る脳のエリアにおいて脳血流量が増加することや血液が足りずに起こる、「虚血性神経細胞壊死」を抑制することが報告されています。

また、セロトニン等の脳内生理活性物質に何らかの影響を及ぼすことは明らかです。

認知症を発症した場合、脳の「海馬」の神経細胞が委縮していくことが確認できますが、鍼灸施術で認知機能の改善、あるいは認知症への予防的効果が期待できる可能性を示唆する結果でもあります。

 

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