子宮内膜増殖症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  5月23日

更新日:2025年 10月 3日

本日は子宮内膜増殖症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 子宮内膜増殖症とは
  • 子宮内膜増殖症の原因
  • 子宮内膜増殖症の症状
  • 子宮内膜増殖症の改善方法
  • 子宮内膜増殖症のまとめ

投稿者の吉田です。

 

このページを書いている私は、施術スタッフや鍼灸師として9年間臨床に携わり、多くの女性利用者様のお体を対応してきました。

 

その経験を記事にまとめておりますので、ぜひ最後まで御覧ください。

子宮内膜が異常に分厚く増殖して色々な症状を引き起こしている状態

子宮内膜増殖症は、子宮内膜が異常に分厚く増殖して色々な症状を引き起こしている状態のことです。本来、子宮内膜は生理が来ると剥がれ落ちて代謝されますが、子宮内膜増殖症では、分厚くなってた内膜がずっと留まり続けるのです。

 

子宮の中に分厚くなった古い内膜が止まり続けると、だんだんと悪性化し、子宮体がんにつながる可能性もあります。そのため、子宮内膜増症状は注意が必要な病気であると言われています。

 

子宮内膜増殖症には、内膜を構成する子宮内膜腺の細胞の核に異型がみられるかどうかによって2つのタイプに分けられます。内膜を構成する子宮内膜腺の細胞の核に異型がみられる場合、子宮内膜異型増殖症と呼ばれています。

 

子宮内膜増殖症の原因は、エストロゲンの働きが過剰であること

子宮内膜増殖症の原因は、エストロゲンの働きが過剰であることです。エストロゲンの働きが過剰になる要因として考えられることは、月経不順や肥満、閉経前後の卵巣機能低下などです。

 

さらに、閉経した後、ホルモンの補充をエストロゲン単独で行った場合に、子宮内膜が過剰に増殖するというケースもあります。

 

非常に珍しいケースではありますが、場合によってはホルモンに異常がなくても子宮内膜増殖症が起こることもあります。

主な原因

① 排卵が起こらない(無排卵周期)

最も一般的な原因です。排卵がないと黄体が形成されず、プロゲステロンが分泌されないため、エストロゲンだけが持続的に作用します。多嚢胞性卵巣症候群や更年期前後、ストレス、急激な体重変動、睡眠不足や過労による視床下部の機能低下が関係しています。

 

② エストロゲン過剰状態

エストロゲンが過剰になる原因は複数あります。肥満は脂肪組織にある「アロマターゼ」という酵素が、男性ホルモンをエストロゲンに変換し過剰になります。エストロゲン製剤の長期使用や卵巣腫瘍、肝機能低下もエストロゲン過剰の原因です。

 

③ プロゲステロン不足

排卵後の黄体機能不全などにより、内膜を抑制、安定化させる力が足りなくなり結果として、増殖した内膜が過形成状態のまま残り、不正出血を起こしやすくなります。

症状は、月経過多、月経痛、不正出血、月経不順など

子宮内膜増殖症の症状は、月経過多、月経痛、不正出血、月経不順などです。月経過多が続くと、貧血や体のだるさや疲れやすくさ、動悸などのも現れます。

 

子宮内膜増殖症の症状の中でも特徴的な症状は、月経の量が増えることです。これは、生理の時に剥離する内膜が増えるために起こる症状で、血の塊のようなものが混ざることもあります。

 

異型のない子宮内膜増殖症の場合は、がんに進行することは非常に少ないと言われていますが、異型のある子宮増殖症の場合は子宮体がんの前がん状態であると言われています。

主な症状

① 不正出血

最も多い症状です。生理以外の時期の出血がだらだら続く、止まらない、量が多いなどが見られます。月経の間隔が短くなったり長くなったりします。この不正出血は、過剰に増えた内膜が部分的に壊れて剥がれ落ちることが原因です。また、プロゲステロンが不足しているため、内膜が一気に脱落できず、少量出血が長く続く、生理がいつまでも終わらないと感じる方も多いです。

 

② 月経過多

経血の量が増える、血塊が出る、生理期間が7日以上続くなどが見られます。これは、内膜が厚くなりすぎて剥がれる面積が増えるためです。慢性的に続くと貧血を起こすことがあります。

 

③ 無月経または希発月経

排卵がない周期が続き、生理が2〜3か月来ないこともあります。無排卵だとプロゲステロンが分泌されないため、内膜が剥がれるきっかけがなく、生理が来ないまま、子宮の中で内膜だけがどんどん厚くなる状態になります。

 

④ 下腹部の痛み・張り感

子宮内膜が厚くなると、子宮が軽い炎症や緊張を起こします。子宮が拡張し、鈍い下腹部痛や腰痛を感じます。さらに経血がスムーズに出ないと、生理時の痛みが強くなることもあります。

 

⑤ 貧血症状

長期間の過多月経や不正出血が続くと、倦怠感やめまい、立ちくらみ、動悸や息切れ、顔色の悪さといった鉄欠乏性貧血の症状が現れます。

 

⑥ 妊娠しにくい

排卵障害と内膜の異常増殖により、受精卵が着床しづらくなります。特に、無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群を併発している方では、ホルモンの乱れが持続し、不妊につながりやすいです。

 

⑦ 更年期特有の変化

更年期前後の女性では、排卵が不安定になり、月経周期の乱れ、量の増減が極端になる、閉経が近づいても少量出血が続くといった症状が出やすくなります。この時期の不正出血は、子宮体がんの前段階であることもあるため、要注意です。

子宮内膜増殖症の改善方法は、ホルモン剤の内服

子宮内膜増殖症の改善方法は、ホルモン剤の内服です。ホルモン剤を使うことによって月経を出させ、子宮内膜をはがすのです。

 

主に使われるホルモン剤には、プラノバールやルテジオン、デュファストンなどがあります。乳がんなどの病気や糖尿病、高血圧などがある場合や、改善に長い期間がかかる場合には、プロゲストンやデュファストンを使います。

子宮内膜増殖症の改善方法は内膜の過剰な増殖を抑えることでエストロゲン優位を是正することが目的です。

 

第一選択はホルモン投与です。プロゲステロンを投与し、過剰なエストロゲン作用を中和するため、プロゲステロンを補います。無排卵が原因の場合は、排卵を回復させるためにクロミフェンやインスリン抵抗性改善薬を使用します。

 

内膜異型を伴う場合は早期の子宮摘出が推奨されます。妊娠希望がある場合は、高用量プロゲステロンと厳重経過観察で温存することもも可能です。

鍼灸は原因となるホルモンバランスや自律神経の乱れを整える点で、非常に有効な補助的改善方法です。子宮内膜を厚くする根本原因を改善することで、再発防止や症状の安定化、月経周期の正常化に役立つのです。

 

 

 

ホルモンの分泌は、視床下部、下垂体、卵巣軸によってコントロールされています。この軸は、自律神経と密接に連動しており、ストレス、睡眠不足、冷えなどで乱れやすいのが特徴です。鍼灸は、特に迷走神経を介して視床下部に働きかける効果、ストレスホルモンの分泌を抑える効果、交感神経の緊張を緩め、血流とホルモン分泌のリズムを回復させる効果があります。

 

 

結果として、無排卵や黄体機能不全を改善、エストロゲン過剰状態のリセット、月経周期が安定してくるといった変化が現れます。

 

 

 

さらに、エストロゲンやプロゲステロンは、卵巣への血流量に比例して分泌が活性化されます。しかし、冷えやストレスで骨盤内の循環が悪いと、ホルモン反応が鈍くなります。鍼灸刺激によって骨盤内血流を増やし、卵巣や子宮の代謝を高める効果や子宮内膜の過剰増殖を防ぎ内膜のターンオーバーを正常化する効果が期待されます。

異型がある場合とない場合の改善方法の違い

異型のない子宮内膜増殖症の場合は、経過観察を行い、約3〜6ヶ月に一度病院で調べてもらいましょう。改善が見られず、内膜増殖症の状態が続く場合、低容量ピルなどを使って改善を行います。

 

異型のある子宮内膜増殖症の場合は、改善に取り組みます。閉経する前で妊娠を希望する場合、ホルモン剤の内服や内膜の全面掻爬などを行います。出産を希望しない場合や閉経した後の場合は、子宮全摘出手術を行うこともあります。

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