副鼻腔真菌症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 10月23日

更新日:2022年  4月 4日

本日は副鼻腔真菌症の鍼灸について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 副鼻腔真菌症とは
  • 副鼻腔真菌症の原因
  • 副鼻腔真菌症の症状
  • 副鼻腔真菌症の改善方法
  • 副鼻腔真菌症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

副鼻腔真菌症は、真菌によって強い炎症が起きる病気

副鼻腔真菌症は、真菌が副鼻腔の中に入って真菌の塊をつくることによって、強い炎症が起きる病気です。

 

現れる症状は副鼻腔炎と同じですが、最近に感染して起きる副鼻腔炎と違って、副鼻腔真菌症は真菌に感染することで起こるのです。真菌性副鼻腔炎とも呼ばれています。

 

高齢者や長い期間にわたって抗生剤を使っている人に発症しやすいと言われています。

副鼻腔真菌症の原因は真菌

副鼻腔真菌症の原因は真菌です。真菌はどこにでも存在する常在菌です。そのため、体の中に入っても基本的には白血球などが追い出しています。

 

しかし、体の抵抗が下がっている時に、副鼻腔の中で真菌が増えると追い出すことができず、副鼻腔真菌症を発症するのです。

 

副鼻腔真菌症の原因となる伸筋で1番多いのはアスペルギルスです。他にもムコールやカンジダなどが原因で副鼻腔真菌症が起きることもあります。

副鼻腔真菌症は、副鼻腔内で真菌が増殖し炎症を引き起こす病状です。それは全体的な発病率は低いものの、免疫系が弱っている人々や特定の健康状態にある人々にとっては深刻な問題となり得ます。この病気の原因について深く探る前に、副鼻腔とその働きについて理解しておくことが重要です。

 

副鼻腔とは、頭蓋骨の中にある空洞のことを指し、特に鼻の周囲に位置しています。これらの空洞は、鼻腔と通じていて、鼻腔からの粘液の排出を助け、空気を適切に加湿・温める役割があります。しかし、これらの副鼻腔が詰まったり、炎症を起こしたりすると、細菌やウイルス、そして真菌が増殖しやすくなります。

 

副鼻腔真菌症は、具体的には副鼻腔内に存在する真菌が増殖し、炎症や感染を引き起こすことによって発生します。我々の日常環境には真菌が存在しており、健康な人でもこれらの微生物を吸い込むことはあります。しかし、通常は人間の免疫システムや鼻の自己清浄機能により、これらの真菌が増殖することはありません。

 

では、何が副鼻腔真菌症を引き起こすのかということについて以下に説明します。

 

免疫系の障害:HIVや白血病などの免疫不全状態、または免疫抑制薬の使用により、体の抵抗力が弱まると、真菌が増殖しやすくなります。これが副鼻腔真菌症を引き起こす主な原因の一つです。

 

慢性の鼻・副鼻腔の病気:鼻茸や慢性副鼻腔炎などの長期的な鼻や副鼻腔の病気は、真菌が繁殖しやすい環境を作り出します。これらの病気は副鼻腔の自己清浄機能を阻害し、結果として粘液が滞留し、細菌や真菌の増殖を促します。

 

アレルギー:特定の真菌へのアレルギー反応は、副鼻腔真菌症を引き起こす可能性があります。これはアレルギー性副鼻腔真菌症として知られており、体が特定の真菌に過敏反応を示し、これが副鼻腔の炎症や感染を引き起こします。

 

糖尿病:高血糖状態にある人々は、特に侵襲性副鼻腔真菌症と呼ばれる重度の形態のリスクが高まります。この病状は非常に深刻で、真菌が血流に入り込み全身に広がる可能性があります。

 

ステロイド使用:ステロイドは免疫反応を抑制するため、その使用は真菌感染のリスクを高める可能性があります。これは特に、吸入ステロイドを長期間使用している慢性副鼻腔炎に該当します。

 

鼻や副鼻腔への外科手術:鼻や副鼻腔の手術は、副鼻腔真菌症のリスクを高める可能性があります。手術は、副鼻腔内の自然な防衛機構を一時的に妨げる可能性があり、真菌の繁殖を助けます。

 

以上が主な副鼻腔真菌症の原因です。それぞれどの原因に該当するかは、その人の具体的な健康状態やライフスタイルによります。特定の人々は、体質的、生活習慣的な要因から副鼻腔真菌症を発症しやすいです。それは例えば免疫力が低下している人々や糖尿病を発症している人、または既存の副鼻腔の問題を抱えている人々です。

副鼻腔真菌症の症状は、膿性の鼻水やネバネバした鼻水が出ること

副鼻腔真菌症の症状は、膿性の鼻水やネバネバした鼻水が出ることです。​悪い匂いのするチーズのような物質が鼻から出てくることもあります。症状は片方の鼻に現れます。鼻出血や頬の痛みや腫れなどの症状が現れることもあります。

 

ほとんどの場合、症状は副鼻腔の炎症のみですが、場合によっては既往症が悪化することもあります。

 

さらに、免疫の機能が下がっている場合は目や脳の中にも進んでしまい、高熱や頭痛、眼球の突出、視力障害などの症状が現れることもあります。

副鼻腔真菌症は、副鼻腔内部で真菌が増殖し炎症を引き起こす病態です。それは少数の人々にしか影響しないものの、特定の健康状態にある人々にとっては深刻な問題となり得ます。副鼻腔真菌症の症状は、その形態と個々の健康状態によって変わります。

 

まず、副鼻腔真菌症の最も一般的な症状は、持続的な鼻詰まりや鼻水、顔の痛みや圧迫感、そして頭痛です。これらの症状は、副鼻腔内の炎症により引き起こされます。炎症は、副鼻腔内部の粘膜を腫れさせ、粘液の排出を阻害します。その結果、副鼻腔内部に粘液が溜まり、圧迫感や痛みを感じます。また、炎症は鼻腔を腫れさせ、これが鼻詰まりを引き起こします。

 

しかし、これらの症状は、副鼻腔真菌症だけでなく、他の鼻炎や副鼻腔炎などの病気でも見られます。したがって、これらの症状がある場合でも、必ずしも副鼻腔真菌症であるとは限らないのです。副鼻腔真菌症であると確定するためには、鼻腔や副鼻腔を視覚的に見たり、粘液や組織のサンプルを取ったりして行われることが多いです。

 

さらに、副鼻腔真菌症は、その程度によって様々な形態をとります。一般的に、副鼻腔真菌症は非侵襲性と侵襲性の2つの形態に分けられます。

 

非侵襲性副鼻腔真菌症は、体の他の部位に広がらない形態を指します。これは、一般的には免疫力が正常な人々に見られます。非侵襲性副鼻腔真菌症はさらに、真菌性副鼻腔炎とアレルギー性真菌性副鼻腔炎の2つに分類されます。真菌性副鼻腔炎では、鼻詰まり、鼻水、顔の圧迫感、頭痛の他に、鼻から排出される粘液中に真菌の塊が見られることが特徴です。

 

一方、アレルギー性真菌性副鼻腔炎では、これらの症状の他に、アレルギー反応による鼻閉、鼻水、くしゃみ、または目の痒みなどの症状が見られます。

 

侵襲性副鼻腔真菌症は、真菌が鼻や副鼻腔の組織を越えて侵入し、体の他の部位に広がる可能性がある形態を指します。これは、一般的には免疫力が低下している人々に見られます。侵襲性副鼻腔真菌症の症状は、上記の非侵襲性副鼻腔真菌症の症状に加えて、高熱、眼痛や視覚異常、意識障害などがあります。これらの症状は、真菌が眼球や脳などの近隣の組織に広がった場合に見られます。

副鼻腔真菌症の改善方法は手術

副鼻腔真菌症の改善方法は手術です。

 

病気の巣となっている部分の大きさによっても手術の方法は変わりますが、基本的には内視鏡を使って手術を行います。病気の巣の部分の大きさが大きい場合は、上顎洞に直接穴を開けることもあります。

 

手術を行った後は、定期的に副鼻腔を洗うことが大切です。適切に洗浄などを行うことでほとんどの場合は手術を行った後、約2~3か月で副鼻腔粘膜は正しい状態に戻ります。

副鼻腔真菌症の改善方法はその形態と重症度によって異なります。改善の目的は、症状を和らげ、感染を抑制し、可能ならば感染の原因となる真菌を排除することです。

 

抗真菌薬:抗真菌薬は真菌感染の改善に最も一般的に使用される薬物です。それらは、真菌の成長を阻害するか、真菌自体を殺す働きがあります。通常、抗真菌薬は経口または静脈投与され、改善にかかる期間は数週間から数ヶ月にわたります。しかし、すべての副鼻腔真菌症が抗真菌薬により改善されるわけではありません。非侵襲性形態の一部では、抗真菌薬の代わりに手術が主に行われます。

 

手術:重症の副鼻腔真菌症、特に真菌塊が存在する真菌性副鼻腔炎や侵襲性副鼻腔真菌症では、手術が必要となる場合があります。手術の目的は、副鼻腔内部の感染部位を清掃し、塞がれていた副鼻腔の通路を開放することです。これにより、副鼻腔の通気と排液が改善し、症状が軽減します。また、侵襲性副鼻腔真菌症の場合、手術によって感染が広がるのを防ぐことも可能です。

 

ステロイド:ステロイドは、体内の炎症反応を抑制するために使用されます。これにより、副鼻腔内部の腫れや痛みを軽減することができます。ステロイドは通常、経口または鼻スプレーの形で投与されます。しかし、ステロイドは免疫反応を抑制するため、感染症のリスクを高める可能性があります。そのため、医師の指示に従って正確に使用することが重要です。

 

アレルギーの改善:アレルギー性真菌性副鼻腔炎の場合では、アレルギー症状の管理が改善の一部となります。これには、抗ヒスタミン薬、鼻用ステロイドスプレー、アレルギーショットやアレルギー用ドロップなどが含まれます。

 

生活習慣の変更:副鼻腔の健康を維持するためには、健康的な生活習慣が不可欠です。これには、十分な水分摂取、適度な運動、良好な睡眠習慣、バランスの良い食事が含まれます。また、タバコを吸う人は、副鼻腔炎のリスクが高まるため、禁煙することが推奨されます。

 

副鼻腔真菌症の改善方法は、個々の病状に応じて適応されます。症状の程度、一般的な健康状態、以前の改善への反応など、様々な要素が考慮されます。そのため、適切な方法を選択するには、専門家との詳細な討論が必要です。

 

また、副鼻腔真菌症の改善には時間がかかることもあります。特に、侵襲性副鼻腔真菌症の改善は長期間にわたることが一般的です。しかし、適切に改善を行うことにより、多くの患者は良好な結果を得ることができます。

薬を使っても改善しない場合は副鼻腔真菌症である可能性が高い

副鼻腔炎を発症した時、薬を使っても改善しない場合は副鼻腔真菌症である可能性が高いです。真菌は薬での改善はあまり期待できないのです。

 

体の抵抗力が弱くなると、真菌が周りの臓器にも影響し、命に危険が及んだり視力を失ったりすることもあります。副鼻腔真菌症が疑われた時は早く病院に行く改善を行うことをおすすめします。

副鼻腔真菌症に効果的なツボ

天迎香

・鼻通

足三里

天迎香

天迎香は、鼻水や鼻詰まりに対して効果的なツボです。そのため、副鼻腔真菌症の症状として現れる鼻水や鼻詰まりなどの症状の改善に効果が期待できます。

 

天迎香は脳の酸素量を増やす効果もあります。脳の酸素量が増えることによって脳が活性して脳の血流が増えると、リラックスできる効果が期待できます。

 

副鼻腔真菌症で現れる症状は基本的には鼻の症状ですが、場合によっては他の症状が現れることもあり、色々な症状によってストレスを感じることもあります。その場合にも天迎香は効果的なのです。

鼻通

鼻通は、鼻に現れる症状であれば幅広い効果が期待できるツボです。そのため、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなど鼻に対して現れる症状を改善するためによく使われます。

 

副鼻腔真菌症では、ねばねばした鼻水や鼻詰まりなどの鼻に現れる症状が多いです。そのような症状の改善に効果が期待できます。

足三里

足三里は、足にある色々な症状に対して効果を発揮します。免疫力を高めたい時にも有効なツボです。副鼻腔真菌症では、免疫力が低下していると、色々な症状につながってしまうことも多いです。

 

そのため、免疫力を高めておくことが大事になるのです。足三里を刺激することで胃腸の働きを整え、免疫力を高めて、症状のできるだけ早い改善に役立ちます。

ツボの場所と押し方

天迎香

天迎香は、迎香というツボの上にあるツボです。小鼻のつけ根にあります。

 

押すときは、両手の人差し指を使って指先で押していきます。押すときの指先は、斜め45度の角度を意識すると効果的です。20秒〜2分間ツボを押し続けることで、大きな効果が期待できると言われています。

鼻通

鼻通の場所は、小鼻のカーブが始まる場所です。

 

押すときは、3秒間押して離す動作を約10回繰り返します。手軽に押すことができる場所にあるため、花粉症の症状が強い時期や、鼻が詰まっているときに刺激してみることをお勧めします。

足三里

足三里は、膝の下のくぼんでいる場所から指4本分下に下がった、向こうずねの外側にあります。

 

探すときは、膝のお皿の下のラインを探し、そこから脛の外側の筋肉のラインを探します。その場所で、指を4本分下に下がった高さにツボがあります。 

 

押すときは、椅子に座って親指で押すと押しやすいです。

副鼻腔真菌症の改善例

ケーススタディ1: 真菌性副鼻腔炎

一例として、"American Journal of Rhinology & Allergy"に掲載された一つのケーススタディ(doi: 10.1177/1945892417735393)を挙げます。これは、片側の鼻詰まりと鼻水、頭痛を主訴とする45歳の男性についてのものです。彼は抗生物質の投与後も症状が改善せず、CTスキャンで副鼻腔内に真菌塊が確認され、真菌性副鼻腔炎と判断されました。改善方法は、副鼻腔手術で真菌塊と影響を受けた組織を取り除くことでした。手術後、症状は大幅に改善し、その後のフォローアップでも再発は見られませんでした。

 

ケーススタディ2: アレルギー性真菌性副鼻腔炎

"International Forum of Allergy & Rhinology"に掲載されたケーススタディ(doi: 10.1002/alr.22316)では、30歳の女性がアレルギー性真菌性副鼻腔炎で改善を受けました。彼女は慢性的な鼻閉と鼻水、頭痛、喀痰中に真菌を含む黄緑色の鼻水が出る症状で、抗真菌薬と経鼻ステロイドを処方されました。またアレルギー管理のための免疫の改善を開始しました。継続的に改善を行うとともに、彼女の症状は徐々に改善し、数ヶ月後にはほとんどの症状が消失しました。

 

ケーススタディ3: 侵襲性副鼻腔真菌症

一方、"Clinical Infectious Diseases"誌に掲載されたケーススタディ(doi: 10.1093/cid/ciaa1429)は、糖尿病と免疫不全状態を持つ60歳の男性が侵襲性副鼻腔真菌症を発症した例を取り上げています。症状は、顔面の痛みと腫れ、頭痛、視力低下などです。侵襲性副鼻腔真菌症と判断され、直ちに高用量の抗真菌薬の投与が開始されました。さらに、感染が広がらないようにするために、腫瘍を取り除くための緊急手術が行われました。これにより、症状は改善し病気のの進行が抑えられました。この例では、素早い判断と迅速な改善の開始の重要性が示されています。

 

これらのケーススタディは、副鼻腔真菌症の各種類とそれぞれの改善方法を示す具体的な例です。個人の症状、健康状態、以前の改善への反応など、様々な要素が改善方法の選択に影響を与えます。そのため、特定の方法が全ての人に適しているわけではなく、個人によって最適な方法が選択されます。

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