潜在性鉄欠乏症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 11月23日

更新日:2024年  9月 2日

本日は潜在性鉄欠乏症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 潜在性鉄欠乏症とは
  • 潜在性鉄欠乏症の原因
  • 潜在性鉄欠乏症の症状
  • 潜在性鉄欠乏症の改善方法
  • 潜在性鉄欠乏症のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

潜在性鉄欠乏症は、貧血はなくても体に蓄えている鉄が不足した状態

潜在性鉄欠乏症は、貧血はなくても体に蓄えている鉄が不足した状態のことです。

 

体の中で主に6〜7割の鉄はヘモグロビンの成分として蓄えられており、2~3割の鉄は肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられています。

 

食べものなどから体に入ってくる鉄が十分でなく血液の中の鉄が足りなくなると、体の中に蓄えている鉄で足りない分を補っています。しかし、蓄えられている鉄が使われ続けると蓄えている鉄もなくなっていきます。

 

この状態が潜在性鉄欠乏症なのです。

潜在性鉄欠乏症の特に多い原因は月経

潜在性鉄欠乏症の原因は、食べ物から十分な鉄をとれていないことや月経などによる出血、成長期や妊娠、授乳期などによって通常よりも多くの鉄が必要になることなどです。

 

特に多い原因は月経で、女性の多くが月経による潜在性鉄欠乏症を起こしていると考えられています。

潜在性鉄欠乏症は、身体の中の鉄の不足がある状態を指し、一般的には貧血の原因として知られています。この状態は、鉄の摂取不足や吸収障害、鉄の損失の増加など、複数の要因によって引き起こされます。

 

まず、鉄の不足摂取は潜在性鉄欠乏症の主な原因です。鉄は食品から摂取することができますが、食事が不十分で鉄を含む食品を摂取しない場合、鉄の不足が生じます。特に、肉や魚、レバーなどの動物性食品は、ヘム鉄として吸収されやすく、鉄欠乏を予防する上で重要です。一方、植物性食品からの鉄は非ヘム鉄として吸収されにくく、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が向上します。

 

また、鉄の吸収障害も潜在性鉄欠乏症の原因として考えられます。鉄は主に小腸で吸収されますが、吸収が妨げられる状況が存在します。例えば、慢性的な炎症や腸の疾患、胃腸手術などが鉄の吸収を妨げる可能性があります。また、食事中のカルシウムやタンニン、フィチン酸なども鉄の吸収を妨げることが知られています。

 

さらに、鉄の損失の増加も潜在性鉄欠乏症の要因です。例えば、月経による血液の損失や妊娠中の鉄需要の増加などが挙げられます。女性は通常、男性よりも鉄を失う可能性が高く、月経による鉄の損失が続く場合は、十分な鉄の摂取が重要です。また、妊娠中は胎児の成長に必要な鉄が増加し、母体の鉄需要も増えます。

 

以上が潜在性鉄欠乏症の主な原因です。鉄は身体内で重要な役割を果たしており、ヘモグロビンの一部であるヘム鉄は酸素を運ぶための赤血球内に存在し、非ヘム鉄は鉄含有酵素の構成要素として働きます。鉄の不足は酸素供給能力の低下や代謝機能の低下など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

 

 

総括すると、潜在性鉄欠乏症は鉄の不足によって引き起こされる状態であり、鉄の摂取不足、吸収障害、鉄の損失の増加が主な原因とされます。

潜在性鉄欠乏症から貧血を起こすことが多い

潜在性鉄欠乏症の症状は特にありません。ただし、貧血につながることが非常に多く、潜在性鉄欠乏症から貧血を起こすことが多いです。

 

貧血が起きると、倦怠感や動悸、息切れ、イライラが起こったり、骨や肌、爪や毛髪、舌などに異常が起こったりします。さらに、不眠になったり集中力が下がったり、うつ状態になったりすることもあります。

 

他にも、免疫力の低下や食欲不振、下痢、便秘、頭痛、耳鳴り、肩こりなどの症状が現れることも多いです。

潜在性鉄欠乏症は、身体の中の鉄の不足がある状態であり、一般的には貧血の原因として知られています。鉄はヘモグロビンの一部であり、酸素を運ぶために重要な役割を果たしています。鉄の不足によって酸素供給が減少し、様々な症状が現れることがあります。

 

潜在性鉄欠乏症の症状は個人によって異なる場合がありますが、以下に一般的な症状をいくつか紹介します。

 

疲労感と倦怠感: 鉄はエネルギー産生に関与しており、鉄不足によってエネルギー供給が減少するため、患者は疲れやすくなり、日常生活において倦怠感を感じることがあります。

 

弱さと筋力低下: 鉄は筋肉の正常な機能に必要な栄養素です。鉄不足が続くと筋肉の酸素供給が減少し、筋力低下や筋肉の弱さを引き起こすことがあります。

 

集中力の低下と注意力散漫: 鉄は神経系の正常な機能にも関与しており、鉄不足によって神経伝達物質のバランスが崩れることがあります。その結果、集中力の低下や注意力散漫が現れることがあります。

 

頭痛とめまい: 鉄不足によって酸素供給が不足するため、脳の酸素不足が引き起こされることがあります。これにより、頭痛やめまいが発生することがあります。

 

呼吸困難と心拍数の上昇: 鉄不足によって酸素供給が減少すると、心臓が酸素を効率的に送り出すために働かなければならなくなります。この結果、呼吸困難や心拍数の上昇が現れることがあります。

 

頻尿と貧血の症状: 鉄不足によって赤血球の生成が減少し、貧血の症状が現れることがあります。貧血による症状としては、皮膚の蒼白、倦怠感、息切れ、頭痛、めまい、動悸、冷感、手足のしびれ、集中力の低下などが挙げられます。

 

食欲不振と異食行動: 鉄不足による身体の不調は食欲不振を引き起こすことがあります。また、異食行動として、氷や土壌、チョークなどの非食品を摂取する行動が見られることもあります。これは、身体が鉄を欲しているサインとされています。

 

免疫機能の低下: 鉄は免疫機能にも関与しており、鉄不足によって免疫機能が低下することがあります。その結果、感染症への抵抗力が低下し、頻繁な風邪や他の感染症にかかりやすくなる可能性があります。

 

髪や爪の健康の悪化: 鉄は髪や爪の成長にも関与しており、鉄不足によって髪の毛が脆くなったり、爪が割れやすくなったりすることがあります。

 

これらは一般的な潜在性鉄欠乏症の症状の一部です。

潜在性鉄欠乏症の改善方法は、鉄をとること

潜在性鉄欠乏症の改善方法は、鉄をとることです。食事を見直し、食生活をあらためることが大事なのです。できるだけ鉄分を多く含む食品を摂取するように心がけましょう。

 

他にも、鉄を摂取するためにサプリや漢方などを使って改善を行うことも多いです。

潜在性鉄欠乏症の改善法は、鉄の補給と原因の特定と解決を目指す総合的なアプローチが重要です。

 

鉄の補給: 潜在性鉄欠乏症の最も効果的な改善法は、鉄の補給です。鉄の補給には、鉄サプリメントや鉄含有食品の摂取が一般的に使用されます。鉄サプリメントは、医師の指示に従って正確な用量とタイミングで摂取する必要があります。また、鉄含有食品としては、赤身の肉、魚、レバー、豆類、ひじき、ほうれん草などをバランス良く摂取することが重要です。

 

鉄の吸収を促進する食事の改善: 鉄の吸収を促進するためには、食事の改善も重要です。非ヘム鉄の吸収を助けるために、ビタミンCを含む食品と一緒に摂取することが有効です。ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を増加させる働きがありますので、柑橘類、トマト、ピーマンなどの鮮やかな色の野菜や果物を摂取することがおすすめです。

 

原因の特定と解決: 潜在性鉄欠乏症の改善には、鉄不足の原因を特定し、それを解決することも重要です。原因としては、鉄の吸収障害や慢性的な出血が考えられます。また、出血が原因となっている場合には、出血源の特定と適切な改善が必要です。

 

血液を調べることと追跡: 潜在性鉄欠乏症の改善中には、定期的に血液を調べることが必要です。調べることで鉄のレベルや貧血の程度を評価し、改善の効果をモニタリングすることができます。血液を調べることで、血清鉄、トランスフェリン、フェリチンなどの指標が測定されます。これにより、鉄の代謝状態を把握し、改善の適切性を判断することができます。

 

栄養バランスの改善: 潜在性鉄欠乏症の改善では、鉄だけでなく、他の栄養素の摂取も重要です。バランスの良い食事を摂ることで、全体的な栄養バランスを改善し、鉄の吸収や代謝をサポートすることができます。特に、ビタミンC、ビタミンB12、葉酸、タンパク質などが鉄の吸収や利用に重要な役割を果たしています。

 

基礎的な病気の管理: 潜在性鉄欠乏症は、基礎的な病気や他の健康問題と関連している場合があります。したがって、他の病気を有している場合には、それらの病気の適切な管理も重要です。例えば、炎症性の腸の病気や消化器の病気の場合には、その病気の改善と管理を行うことが必要です。

 

医師の指導とフォローアップ: 潜在性鉄欠乏症の改善は、医師の指導のもとで行われるべきです。医師は、適切な鉄補給方法や適切に調べること、改善のモニタリングを行います。

鉄が足りないことで精神的に不安定になることもある

40代くらいの月経のある女性が特に理由なくイライラする時、更年期のはじまりを疑うことも多いですが、潜在性鉄欠乏症から貧血が起こっている可能性もあります。

 

鉄はやる気を出すことや興奮と抑制のバランスの調整、精神を安定させることなどのためにも必要になります。そのため、鉄が足りないことで精神的に不安定になることもあるのです。

鉄欠乏性貧血に効果的なツボ

血海

太白

神門

血海

血海は、女性特有の症状や貧血に対して効果的なツボです。更年期障害や変形性膝関節症などの症状の改善にも効果を発揮します。

 

脂肪や老廃物を外に出す働きもあります。

太白

太白は、消化吸収の働きを良くする働きがあります。消化吸収の働きが衰えていると、鉄分の多く含まれている食品を食べてもなかなか吸収されません。

 

太白を刺激して消化吸収の働きを良くすることで鉄分を多く含む食品を摂取したとき、体にきちんと鉄分が吸収されるようになります。

 

潜在性鉄欠乏性貧血の場合、鉄分を多く含む食品を摂取するとともに太白を刺激すると良いでしょう。

神門

神門は、東洋医学の心に関係する問題に効果的なツボです。東洋医学の心に含まれることは心臓だけではありません。血や精神も心に含みます。

 

そのため、神門を刺激することは、貧血や過労、病気などで血が不足している時にも効果が期待できるのです。

 

神門は、不安を感じた時や落ち込んだ時に刺激することでリラックスする効果もあります。不安などから起こる不眠や動悸や息切れにも有効です。

ツボの位置と押し方

血海

血海は、血海は膝の内側の上にあるツボです。膝の頭の内上角から指3本分上がった場所の大腿四頭筋の内縁にあります。

 

押すときは、親指を使って大腿骨に向かって押し揉みます。椅子に座って行うことで、両足同時にツボ押しを行うことができます。両足同時に行うことはより刺激が伝わるためおすすめです。

太白

太白は、足の親指の付け根にある太い骨の内側にあるツボで、膨らみの後ろのへこんでいる部分にあります。 

 

押すときは、息を吐きながら心地よいと感じる力加減で押します。

神門

神門は、手首の横じわの小指側にある少しのくぼみにあります。

 

押すときは、親指をツボに当てて、残りの指は手首をつかんだ状態で押します。大体30回ほど刺激をすることをお勧めします。

潜在性鉄欠乏症の改善例

30代の女性で、月経による鉄損失が主な病因でした。疲労感と集中力の低下を訴え、血液を調べた結果、彼女のセラムフェリチン値は正常範囲の下限に近いものでした。ヘモグロビンレベルは正常範囲内でしたが、彼女の症状とフェリチン値を考慮に入れると、潜在性鉄欠乏症の判断が下されました。

 

彼女の改善には、以下の三つのアプローチを採用しました。

 

鉄補給: 毎日摂取するための鉄サプリメントを処方しました。この改善の目的は、体内の鉄貯蔵量を増やし、正常な範囲に保つことです[1]。

 

食事: 鉄分を多く含む食事の摂取を勧めました。これには、赤肉、魚、豆類、全粒穀物、またビタミンCを多く含む果物や野菜(鉄の吸収を助ける)が含まれます[2]。

 

月経血量の管理: 彼女の月経による鉄損失を減らすため、ホルモンの補充(経口避妊薬)の使用を検討しました[3]。

 

改善開始後3ヶ月、彼女の疲労感と集中力の低下が改善し、フェリチンレベルも正常範囲内に上昇しました。この例から、潜在性鉄欠乏症に対する早期の認識と適切な改善方法が、生活の質の改善と完全な健康への回復を助けることが分かります。

 

さらに、月経による鉄損失に対処する方法として、ホルモンの補充の使用に同意したことは、彼女の鉄欠乏を防ぐ長期的な戦略として有用でした[3]。このように、原因に対する対策と、体内の鉄レベルを直接補充する方法の両方を組み合わせることで、最も効果的な結果を達成することができます。

 

しかし、すべての人が同じ改善法で反応するわけではなく、個々に対するアプローチはその個々の状況とニーズに応じて調整する必要があります。たとえば、ある人は食事の改善だけで十分な結果を得られるかもしれませんし、別の人は鉄補給により迅速な改善を実感するかもしれません[4]。

 

また、長期的な観察、調べも重要です。鉄補給は通常、数週間から数ヶ月で効果を示しますが、改善の進行状況を評価し、必要に応じて計画を調整するためには定期的に血液を調べることが必要です[5]。

 

以上の例から、潜在性鉄欠乏症に対するアプローチは多面的であるべきであり、個々の状況とニーズに合わせて計画を作成し、適応させることが重要であることが理解できます。

 

参考文献

[1] Stoltzfus RJ. Iron interventions for women and children in low-income countries. J Nutr. 2011;141(4):756S-762S.

 

[2] Lynch SR. The impact of iron fortification on nutritional anaemia. Best Pract Res Clin Haematol. 2005;18(2):333-346.

 

[3] Fraser IS, Mansour D, Breymann C, Hoffman C, Mezzacasa A, Petraglia F. Prevalence of heavy menstrual bleeding and experiences of affected women in a European patient survey. Int J Gynaecol Obstet. 2015;128(3):196-200.

 

[4] Camaschella C. Iron-deficiency anemia. N Engl J Med. 2015;372(19):1832-1843.

 

[5] Gaskell H, Derry S, Andrew Moore R,

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