捻挫の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  8月 5日

更新日:2025年  5月 1日

本日は捻挫について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 捻挫とは
  • 捻挫の原因
  • 捻挫の症状
  • 捻挫の改善方法
  • 捻挫のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

捻挫は、ひねって組織を傷つけてしまうこと

捻挫は、ひねって筋肉や腱、靭帯、関節包などの組織を傷つけてしまうことです。捻挫は、スポーツや日常生活の中で起こります。

 

捻挫が起こる部位で最も多い部位は足首です。しかし、体のあらゆる部分に起こることがあります。

捻挫はスポーツをしているときや日常生活の中で起こる

捻挫の原因は、非常に様々です。捻挫はスポーツをしているときや日常生活の中で非常に起こりやすいです。

 

捻挫する部位で多い足の捻挫の原因は、階段などで段差を踏み外した時や石を踏んでしまった時、慣れないヒールを履いている時などに起こることが多いです。

 

段差を踏み外したりヒールと履いている時に足首が内側にひねられると外側の靭帯が切れたり伸びすぎたりします。組織に傷がつくことになるため、捻挫が起こるのです。

主な原因

● 急な方向転換や着地の失敗

スポーツ中の急な方向転換やジャンプ後の着地失敗などで、足首に想定外の力が加わると、外くるぶし周辺の靭帯に過度な伸びや損傷が起こります。特に多いのが「足関節外側靱帯損傷」と呼ばれるタイプです。

 

● 筋力や柔軟性の低下

ふくらはぎや足裏の筋力が低下していたり、足首周りの柔軟性が不足していると、ちょっとした段差や傾きでもバランスを崩しやすくなり、捻挫を引き起こします。

 

● バランス感覚の低下

加齢や運動不足、あるいは過去の捻挫による神経機能の低下によって、身体の位置を感じるセンサーが鈍くなると、足を正しく着地できず、再発しやすくなります。

 

● 履き慣れない靴やヒールの影響

足に合っていない靴や、ヒールの高い靴は、足元が不安定になりやすく、ふいな動きに対して足首を守ることができなくなります。

なぜ捻挫で痛みが起こるのか

◆靭帯や関節包が傷つくと、神経が刺激される

捻挫とは、関節を支える靭帯や関節包といった組織が無理に引き伸ばされ、損傷してしまった状態です。このとき、靭帯の中を通る痛みを感じる神経が直接傷つき、脳に痛み信号が送られます。組織が壊れたという警報が、痛みとして表れているのです。

 

炎症によって痛み物質が放出される

損傷部分では、修復のための炎症反応が始まります。この過程で、ブラジキニンという神経を直接刺激して痛みを引き起こす物質、プロスタグランジンという炎症を促進し、痛みを長引かせる物質、ヒスタミンやセロトニンという血管を拡げ、腫れや熱感を引き起こす物質が放出されます。これらの物質が神経に作用すると、さらに痛みが強く感じられるようになります。

 

腫れや内出血も神経を圧迫する

損傷部位に血液やリンパ液が溜まることで、腫れや内出血が起こります。これによって神経が圧迫され、動かしたときの痛みやジンジンするような鈍痛が続く原因になります。

 

◆身体の防御反応でもある

痛みは動かすと悪化するために休んでほしいという身体からのブレーキ信号でもあります。そのため、痛みを無視して動き続けると、損傷が広がり、改善が遅くなるというリスクがあります。

鍼灸では痛み物質と神経の興奮を落ち着かせるることで捻挫の改善に取り組みます。

 

捻挫が起こった部位の血流を促進し、発痛物質を早く流すように促します。また、脳内の痛み抑制ホルモンを引き出し、神経の興奮を抑えることで、痛みそのものをやわらげていきます。

捻挫の主な症状は、腫れ、熱感、痛み

捻挫の主な症状は、腫れ、熱感、痛みです。靭帯に傷がつくため、関節の周りの血管が切れてしまいます。そのため、内出血が起きて腫れが現れるのです。腫れによって炎症が起き、痛みを感じます。

 

捻挫の症状の程度は3つに分けることができます。

 

靭帯の断裂が一部分に起き、痛みと軽い腫れが現れる第1度、靭帯が部分的に断裂し、痛みと腫れとともに関節の運動の制限が起きる第2度、靭帯が完全に断裂し、関節が不安定になり、晴れ、痛み、熱感が強く現れる第3度です。

 

第1度と第2度の場合、改善するまでの期間は大体3週間程度と言われています。第3度の場合は、3週間よりさらに長い期間が改善までにかかります。また、場合によっては手術を行うこともあります。

 
主な症状

◆ 軽度:靭帯が軽く伸びた状態

軽い痛みがあるが、歩くことは可能

腫れや内出血は少ない、もしくはない

関節の動きもある程度保たれている

▶︎一見大丈夫と思いやすいのがこの段階です。無理に動かすと悪化することがあるため注意が必要です。

 

◆ 中度:靭帯が部分的に断裂した状態

はっきりとした痛みと腫れ

押すと痛む圧痛点がある

関節が不安定になり、歩くのがつらい

内出血で皮膚が紫色になることもある

▶︎この段階になると、日常生活にも支障が出やすく、早めの処置が回復に大きく影響します。

 

◆ 重度:靭帯が完全に断裂した状態

激しい痛み

明らかな腫れや内出血

関節がぐらつく、体重をかけられない

痛みで動かすこともできない

▶︎完全断裂の状態では、場合によっては手術が検討されることもあります。なるべく早く病院に行くことをおすすめします。

捻挫が起こった時、1番大切なことは冷やすこと

捻挫が起こった時、1番大切なことは冷やすことです。アイシングをすることで炎症を抑えることができ、症状が和らぎます。

 

腫れがある場合は、腫れを軽減させるために圧迫をして一時的に血流の量を減らします。動かすと悪化する可能性が高いため、安静にして悪化することを防ぎます。

 

場合によってはテーピングをしたり松葉杖を使ったり電気を使ったりして改善を行うことも多いです。

 

捻挫が起こった時に痛みがなくても後で痛みが出て腫れることもあります。そのため、捻挫が起こった時は必ず冷やして処置することが大切です。

主な改善方法

◆受傷直後〜2日:炎症を抑える

Rest(安静):無理に動かさない

Ice(冷却):1回15〜20分を目安に冷やす

Compression(圧迫):テーピングや包帯で軽く圧をかける

Elevation(挙上):心臓より高く足を上げ、腫れを抑える

 

◆3日〜1週間:循環を促進し、修復を助ける

炎症が落ち着いてきたら、冷やすよりも温めることと流すことが重要になります。この段階では血流を良くすることで、傷ついた組織に酸素と栄養を届け、回復を促進します。

 

1週間以降:リハビリと再発予防

ある程度動けるようになったら、筋肉のこわばりや関節の固まりを解きほぐす段階に入ります。足首周りの可動域改善やバランス感覚を取り戻す神経トレーニング、再発予防の正しい歩き方や姿勢指導に取り組みましょう。

捻挫を繰り返す原因はきちんと処置ができていないこと

捻挫が癖になるとよく言われますがそうではありません。捻挫を繰り返してしまう原因は、一度起こしてしまった捻挫の処置がきちんとできないことです。

 

一度捻挫をすると関節には緩みが起きます。緩みをきちんと処置していない場合、再び捻挫をしやすい状態のままになってしまいます。

 

症状が軽いと思われる場合も病院に行ききちんと改善することで、捻挫を繰り返すことを予防することができます。

1ヶ月以上痛みが続く、腫れが引かないなどの場合は、捻挫後遺症と呼ばれる状態になっている可能性もあります。鍼灸では、損傷後の瘀血のような循環障害を改善し、自然回復が止まってしまった状態を動かすようアプローチして改善を行います。

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