鍼灸の鎮痛作用の機序【鍼灸の鎮痛効果のメカニズム

 

ついて解説】

○本ページの内容
  1. 「痛み」の種類ついて理解できる。
  2. 鍼灸の鎮痛作用のメカニズムについて理解できる。
  3. 痛みと自律神経の関係についてわかる。

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

「痛み」とは?

痛みというのは、身体がダメージを受けていることを知らせるための防衛反応であり、病気やケガで損傷した組織を修復する間、体を動かさないよう警告するためにも発生します。痛みは自身の身体を守る上で非常に大事な反応であり、その感じ方や程度は軽いものから、我慢できるが不快なもの、耐えがたいものまで様々です。 また、短期間で急性の痛みもあれば、長く続く慢性的な痛みもあります。このように、痛みには様々な種類がありますが、ここでは分かりやすく3つに分けて解説していきます。

侵害受容性疼痛

指先や足先に何か尖ったものが触れた際に感じるチクッとした痛み。

これを“侵害受容性疼痛”といいます。

体内には血管や神経が張り巡らされておりますが、外から何らかの刺激が加わると、身体の末梢部分に存在するセンサーである、“侵害受容器”がそれを感知し、その電気信号が脊髄を通って脳に伝わり「痛い」と感じる仕組みになっています。

神経性疼痛

長時間の同じ姿勢や使い過ぎにより、神経が圧迫されたりなど障害され、神経周囲に炎症が生じたりして感じる痛みです。これを“神経障害性疼痛“といいます。坐骨神経痛などがこれにあたります。

心因性疼痛

家庭や職場環境などで積み重なったストレスにより、脳の信号に何らかのトラブルが生じて発生します。首、肩、腰に痛みを感じることが多く、頭痛や顔面痛を訴える方もいます。このタイプの痛みが非常に厄介な理由として、器質的な変化が見られず、病院の検査で発見が不可能です。そのため原因が分からず長引くことが多いのが特徴です。

鍼灸の鎮痛効果は、上記で解説した痛みすべてに対応しています。

鍼灸の鎮痛効果のメカニズム

生理的状況あるいは何かに危機が迫ったとき、ヒトの体の中で「内因性オピオイド」という物質が作られ、放出されます。内因性オピオイドという物質はモルヒネが摂取されたときと同じ受容体と結びつくことで、放出されると高い鎮静効果を期待することができます。

鍼が体内に入ると、身体は何か異物が入ってきたと認識するため、この内因性オピオイド物質が放出されます。すると、上記で記載したような鎮痛効果を発揮できるのです。

内因性オピオイド物質

内因性オピオイドにはいくつか種類がありますが、鍼で身体の一部を刺激すると「β-エンドロフィン」といった内因性オピオイドのひとつである神経伝達物質ホルモンが放出されます。この物質は、痛みを脳に伝える神経経路をブロックする作用があるため、鍼刺激によりエンドロフィンの産生率が高くなると、脊髄レベルで痛みを伝える神経の興奮をブロックでき、痛みが緩和されます。実際にその鎮痛作用はモルヒネの6.5倍の効果があるとされています。

血流改善による鎮痛効果

常、激しい痛みは、交感神経を過剰に興奮させます、すると末梢血管が強く収縮すると同時に、運動神経も興奮させるため、筋肉が硬くなり、硬くなった筋肉が血管を圧迫し、血行が悪くなります。そうなると、痛みを誘発させる発痛物質が一層放出されるため、さらに痛みを増強させることになり、痛みの悪循環が起きてしまいます。

鍼は、施術箇所周囲の毛細血管の拡張を促し、筋緊張をゆるめ、新陳代謝を高める効果があります。すると、たまっていた痛みの原因となる疲労物質や、老廃物が流されて、筋肉の疲労が回復し、痛みの悪循環をストップさせることができるのです。

痛みに対する効果だけではなく、自律神経が支配する胃や腸、膀胱など内臓や血圧などに対しても、反射性に機能調整する作用があります。これを体性内臓反射といい、その効果は近年ヒトや動物実験で明らかにされつつあり、免疫や内分泌系(ホルモン)への効果、例えば生体防御を司るNK細胞は、体内に侵入または発生した異物を処理し、敵から体を守る働きがありますが、この働きは鍼や灸で活発になるといわれています。

このように鍼灸治療で得られる効果は、マッサージやカイロプラクティック、整体などの体表からしかアプローチ出来ない治療とは違い、直接原因の筋肉を緩めることが出来るので、大きな効果が期待できるのです。

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798