エーラス・ダンロス症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月10日

更新日:2021年 12月 5日

本日はエーラス・ダンロス症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • エーラス・ダンロス症候群とは
  • エーラス・ダンロス症候群の原因
  • エーラス・ダンロス症候群の症状
  • エーラス・ダンロス症候群の改善方法
  • エーラス・ダンロス症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

エーラス・ダンロス症候群は、いろいろなタイプがある

エーラス・ダンロス症候群は、皮膚や関節の過伸展性やいろいろな組織のもろさが特徴の病気です。遺伝性で、発症に生活習慣や住んでいる地域は関係がありません。

 

症状の程度や症状の進み方は、合併症や改善の状況によって非常に幅広く、個人差が大きいです。

 

エーラス・ダンロス症候群にはいろいろなタイプがあり、古典型や関節型、血管型、後側彎型、多発関節弛緩型、皮膚弛緩型やDDEDSなどに分けれています。

エーラス・ダンロス症候群の原因は遺伝子の変異

エーラス・ダンロス症候群の原因は遺伝子の変異です。特定のコラーゲン分子をコードする遺伝子やコラーゲン分子の成熟に必要な酵素の遺伝子に変異が起きることで発症することがわかっています。

 

タイプによって原因となる遺伝子は違います。

 

古典型、関節型、血管型、多発関節弛緩型のエーラス・ダンロス症候群の場合、遺伝形式は常染色体優性遺伝で、後側彎型、皮膚弛緩型、DDEDSのエーラス・ダンロス症候群の場合の遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。

エーラス・ダンロス症候群は、結合組織障害の一群であり、皮膚、関節、血管などの結合組織に影響を及ぼします。結合組織は体全体に広がり、皮膚、骨、血管などを支える役割を果たしているため、この症候群は多岐にわたる影響を持つことがあります。

 

1. 遺伝的要因

エーラス・ダンロス症候群の最も一般的な原因は、遺伝的な変異です。これらの変異は主に、コラーゲンの生産と構造に関与する遺伝子に関連しています。コラーゲンは結合組織の主要な成分であり、その強度と柔軟性を提供します。遺伝子変異によってコラーゲンが正しく形成されないと、結合組織が弱くなり、EDSの症状が発生します。

 

エーラス・ダンロス症候群は、複数のタイプが存在し、それぞれ異なる遺伝子変異に関連しています。一部のタイプは、自己受容遺伝的変異(両親のどちらからも変異遺伝子を受け取らないと発症しない)によって引き起こされることがあります。他のタイプでは、優性遺伝が関与する場合があります。

 

2. 環境的要因

遺伝的変異が主な原因であるとはいえ、個々のライフスタイルや環境もエーラス・ダンロス症候群の発症や症状の重篤さに影響を及ぼすことがあると考えられています。たとえば、肥満や喫煙は、結合組織に対する追加のストレスをもたらし、症状を悪化させる可能性があります。

 

3. 未知の要因

エーラス・ダンロス症候群には多岐にわたるタイプがあるため、すべての原因が完全に理解されているわけではありません。新しいタイプや変異が発見されることもあり、研究が進展するにつれて、症候群の完全な絵が明らかになるでしょう。

エーラス・ダンロス症候群の症状はタイプによって違う

エーラス・ダンロス症候群の症状は皮膚や関節の過伸展性やいろいろな組織のもろさです。しかし、タイプによって症状はそれぞれ違います。

 

古典型の場合、皮膚や関節の過伸展性といろいろな組織の脆さが主な症状のため、脱臼がよく見られます。

 

関節型の場合、主な症状は関節の過伸展性です。他にも、慢性のなかなか改善しない疼痛や機能性腸疾患、自律神経の異常などの症状も現れます。

 

血管型の場合、動脈の病変や臓器の破裂、気胸などの大きな合併症につながることが多いです。内出血しやすいことや皮膚が薄く皮下静脈が透けて見えることなども血管型の特徴です。

 

DDEDSの場合、皮膚や関節の過伸展性といろいろな組織の脆さに加えて、生まれてすぐから関節の拘縮が起こったり特徴的な顔をしたりしています。

エーラス・ダンロス症候群は、結合組織障害の一群であり、その症状は非常に多岐にわたります。結合組織は体の全体をつなぎ止める役割を果たしており、EDSの症状は、皮膚、関節、血管、内臓など、体の多くの部位に影響を及ぼすことがあります。

 

1. 皮膚の症状

皮膚の脆弱性: EDS患者の皮膚はしばしば薄く、弱く、容易に傷つくことがあります。

過伸展性: 皮膚が通常よりも極端に伸びることが一般的で、それによって皮膚が容易に傷つくことがあります。

傷跡の形成: 傷跡はしばしば薄くて、あざやすく、肉芽腫状になることがあります。

2. 関節の症状

関節の過可動性: 関節が通常よりも極端に動くことが一般的で、関節の脱臼や亜脱臼を引き起こす可能性があります。

関節痛: 慢性的な関節痛や肌の擦り傷なども報告されており、日常生活に悩みをもたらすことがあります。

3. 血管の症状

特定のタイプのEDS(特に血管型EDS)では、以下の症状が見られることがある。

血管の脆弱性: 血管が壊れやすく、しばしば重大な合併症を引き起こす可能性があります。

内臓の問題: 内臓の破裂や腸の問題など、他の重篤な合併症も報告されています。

4. その他の症状

筋力の低下: 一部では筋肉の疲労感や弱さを経験することがあります。

慢性疲労: 体全体の疲労感やエネルギーの低下が報告されることがあります。

歯科の問題: 一部のEDSのタイプでは、歯の脆弱性や他の歯科の問題が発生することがあります。

心の健康: 慢性の痛みや他の身体的な問題は、うつ病や不安障害などの心理的問題を引き起こす可能性があります。

エーラス・ダンロス症候群の改善では、症状に合わせて改善を行う

エーラス・ダンロス症候群の改善では、症状に合わせて改善を行います。

 

皮膚や関節に対しては激しい運動を控えたりサポーターなどを使って予防を行います。関節を守るためのリハビリテーションを行なったり、疼痛がある場合は頭痛を和らげるために鎮痛薬を使ったりすることもあります。

 

血管型の場合、動脈病変のスクリーニングやβ遮断薬を使って改善を行います。

 

エーラス・ダンロス症候群ではいろいろな症状が現れるため、定期的に病院で調べ、改善やリハビリテーションを行うことが大事です。

エーラス・ダンロス症候群は、結合組織障害の一群で、全身にさまざまな症状を引き起こします。改善は個人の症状、EDSのタイプ、生活スタイルなどに基づき個別化されます。現時点でEDSを改善する方法はありませんが、症状の管理と生活の質の向上が改善の主な焦点となります。

 

1. 予防ケア

EDSにとって、怪我や合併症の予防が非常に重要です。

 

健康的なライフスタイルの促進: 喫煙の中止、適切な栄養、健康的な体重管理などが、全体的な健康の維持に役立ちます。

適切な皮膚と口腔ケア: 皮膚と歯の特別なケアが、これらの部位の問題を減らすのに役立つことがあります。

2. 物理的な方法と作業的な方法

物理的な方法: 関節の過可動性や痛みを管理するために、個別に調整されたエクササイズプログラムが開発されることが多いです。

作業的な方法: 日常生活の活動をサポートし、患者が自立し、快適に生活できるように支援します。

3. 薬

痛み管理: 非麻酔性抗炎症薬(NSAIDs)や他の痛みを和らげる薬が処方されることがあります。

心血管薬: 血管型EDSの場合、血圧を管理する薬が重要な改善法となることがあります。

4. 外科的介入

関節の固定: 関節の重度の脱臼や亜脱臼がある場合、外科手術が必要になることがあります。

血管の手術: 血管型EDSの場合、血管の問題に対して外科手術が必要になることがあることもあります。

5. 心理的支援

カウンセリングと心理的な方法: EDSの病気管理は感情的にも負担となることがあるため、心理的サポートが有効であることがあります。

6. 多職種チームのケア

EDSの改善は多岐にわたるため、多職種のチームが必要とされることがよくあります。専門家が協力して、ニーズに対応します。

非麻酔性抗炎症薬(NSAIDs: Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)は、主に痛み、発熱、炎症の症状を軽減するために使用される薬剤です。このクラスの薬物は、体内で痛みと炎症を引き起こす一部の化学物質(プロスタグランジン)の生成を阻害することによって作用します。この化学物質の生成は、酵素の一種であるコクシブ(COX)によって制御されていますが、NSAIDsはこの酵素を阻害することでプロスタグランジンの生成を抑えます。

 

非麻酔性抗炎症薬は、多くの種類の病気に対して用いられますが、以下にその一部を挙げます:

 

関節炎: 関節炎は関節の炎症で、その中でもリウマチや骨関節症などの慢性疾患で痛みと腫れが特徴です。非麻酔性抗炎症薬は、痛みと炎症を抑制することで患者の快適性を向上させます。

 

筋肉痛や関節痛: 運動による損傷、けが、ストレッチなどから生じる一時的な筋肉痛や関節痛に対しても、非麻酔性抗炎症薬が使われます。

 

月経痛: 一部の女性は月経の際に強い痛みを経験します。この痛みは、子宮が収縮する際に放出されるプロスタグランジンによって引き起こされます。非麻酔性抗炎症薬はこのプロスタグランジンの生成を抑え、痛みを軽減します。

 

発熱: 体温が通常より高くなるとき、非麻酔性抗炎症薬は体温を下げる効果があります。これは風邪、インフルエンザ、その他の感染症などで役立ちます。

 

ただし、非麻酔性抗炎症薬は一部の人々には副作用を引き起こす可能性があります。胃腸の問題(胃炎や潰瘍)、肝臓や腎臓への影響、心臓病のリスク増加などが報告されています。そのため、このクラスの薬剤を使用する際には医師の指示に従うことが重要です。

病気についてよく理解することが大事

エーラス・ダンロス症候群では、本人も家族も病気についてよく理解することが大事です。さらに医者や学校の先生など周りの人とも症状などをきちんと共有することも大事です。

 

転んで怪我をしてしまう可能性もあるため、注意しましょう。何かあったときにはすぐに病院に連絡できるような状態にしておくことも必要です。

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