公開日:2022年 1月10日
更新日:2025年 7月 6日
本日はせん妄について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
せん妄の原因はいろいろあります。内科的な病気や脳の病気などによって、精神的に変化が起こるのです。
年齢が高くなるほど発症率が高くなっており、発症者の多くは高齢者です。しかし若い人でも、手術をしたり入院をしたりするようないつもの生活と違う状況になったとき発症することもあります。
特に脳卒中や認知症、パーキンソン病などの神経や脳に異常が起きる病気を発症したことのある高齢者は発症することが多いです。
そのような人は、風邪や便秘、脱水、睡眠不足などのいつもの生活と違う状況に対して刺激を感じて発症することがあるのです。
さらに、せん妄は体の状態だけでなく、環境が変わることで感じるストレスも発症する要因の一つになります。他にも、鎮静剤や抗うつ薬、ステロイドなどの薬の副作用によってせん妄が起こることもあります。
せん妄は、急性の注意力、意識、認知機能の障害が特徴です。背景には以下の生理的変化が関与しています。
・神経伝達物質の異常
・アセチルコリン低下
・ドーパミン過剰
・セロトニン、GABAのバランス異常
・炎症反応、酸素不足
・感染、低酸素血症、全身炎症で脳が機能低下
・脳の代謝異常
・低血糖、電解質異常、肝性、腎性脳症など
・身体的、代謝的原因
感染症:肺炎、尿路感染症、敗血症
低酸素血症:呼吸不全、心不全
代謝異常:低血糖、高血糖、低ナトリウム血症、カルシウム異常、肝不全・腎不全による代謝性脳症
脱水、栄養失調
体温異常:高熱や低体温
・薬剤、中毒関連
抗コリン作用薬(睡眠薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など)
ベンゾジアゼピン系の急な中止
ステロイド高用量
アルコール、薬物離脱
・神経、脳関連
脳血管障害
頭部外傷
脳腫瘍や水頭症
パーキンソン病、認知症既往
・周囲環境、心理的因子
入院による環境変化
長期の睡眠不足
強い身体的、精神的ストレス
感覚遮断または過剰刺激
せん妄の症状は、行動や睡眠リズムに異常が起きることです。過剰に興奮して錯乱状態になったり、活動をしなくなり眠った状態になったりするのです。
行動や睡眠リズムの異常は、時間や場所などを認識する力や思考力、注意力が下がり、妄想や幻覚に支配されるようになることで起こります。
せん妄の症状は、突然発症します。症状は一時的に強い症状が現れます。しかし、適切に改善や対処を行うことでほとんどの場合は数日以内に改善します。
症状は、多くの場合夕方から夜間にかけて悪くなります。
・注意力の障害
周囲の会話に集中できない、話しかけてもすぐに意識がそれる、時間や場所の見当識が混乱、意識レベルの変動、うとうとすることと急に覚醒することを繰り返す、日中は比較的落ち着いていても夜間に悪化する
・思考、認知機能の障害
話の内容が支離滅裂、記憶障害(短期記憶が特に障害されやすい)、見当識障害
・知覚の異常
幻視、幻聴、錯覚、感情や行動の変化、不安、恐怖、焦燥感、急に暴言をはいたり暴力的になることもある、無気力になったり反応鈍麻になったりする場合もある
せん妄の改善方法は、せん妄の根本的な原因を改善することです。そのために1番大切なことは、ストレスを感じず、落ち着いて過ごすことができる環境を整えることです。
環境が整うことで、昼と夜の区別がつく状態をつくることができ、せん妄の改善につながるのです。
病気が原因となってせん妄が起きている場合は、病気を改善することが大事です。
・身体的原因の改善
感染症や低酸素血症、低ナトリウム血症、低血糖や高血糖、肝不全や腎不全、脱水や栄養不良などがある場合原因となる病気を改善することが大事です。
・薬剤、中毒関連への対応
不要な薬は中止しましょう。アルコールや薬物離脱はベンゾジアゼピンで調整し、ステロイド高用量は可能なら減量します。
・環境調整
せん妄改善には、脳が安心できる環境づくりがとても重要です。明るさや昼夜のリズムを整える、時計やカレンダーを置き時間の見当識を保つ、眼鏡や補聴器を使用し、感覚情報を確保する、家族の声かけや付き添いで安心感を与える、不必要な身体拘束や点滴やカテーテルを最小限にする、睡眠を確保するなどを心がけましょう。
・薬
危険行動や強い幻覚がある場合に限定して使用します。代表薬はハロペリドール、クエチアピン、リスペリドンなどです。
せん妄の原因は様々です。そのため、せん妄を防ぐためにできることもいろいろあります。
高齢者の場合、せん妄を発症しやすいため、自分の体の不調や変化について自分で把握しておくことが大事です。日頃から生活リズムを整え、体調の変化などを起こさないように心がけて過ごしましょう。
環境が急に変わることもせん妄の原因の一つです。環境を大きく変えることを避けることも予防になります。
入院などで環境が大きく変わる時には昼と夜の区別ができる環境をつくるようにし、できる限りいつも通りの生活ができる状態にしておきましょう。