イソ吉草酸血症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  11月11日

更新日:2021年  12月 8日

本日はイソ吉草酸血症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • イソ吉草酸血症とは
  • イソ吉草酸血症の原因
  • イソ吉草酸血症の症状
  • イソ吉草酸血症の改善方法
  • イソ吉草酸血症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

イソ吉草酸血症は、イソ吉草酸が体にたまり代謝機能不全がおこる

イソ吉草酸血症は、生まれつきイソ吉草酸を有益な有機酸に変える酵素の働きが十分でないことで、イソ吉草酸が体にたまり代謝機能不全がおこる病気です。

 

エネルギーを作ることに対して障害になる有害な有機酸のことをイソ吉草酸と言い、細かい言い方をすると、イソバレリル・コエンザイムAとして体の中にあります。

 

日本ではイソ吉草酸血症は新生児マススクリーニングで発見されることがほとんどで、大体50万人に1人の割合で発症すると言われています。

イソ吉草酸血症の原因は、遺伝

イソ吉草酸血症の原因は、遺伝です。

 

イソ吉草酸を代謝する働きをする酵素の遺伝子に変異が起こると、イソ吉草酸を代謝するという働きを正しく持った酵素が作られません。そのため、有害な有機酸であるイソ吉草酸がたまり症状が現れます。

 

2つある遺伝子のうち両方の遺伝子に酵素機能不全を起こす遺伝子の変異がある場合に発症します。

 

父親も母親も保因者の場合、子供は4分の1の確率でイソ吉草酸血症を発症します。

イソ吉草酸血症はレアな代謝異常の病気で、イソ吉草酸の体内での代謝がうまくいかないことが特徴です。これは体内の特定の酵素の欠乏または機能不全によるもので、通常は遺伝的に引き起こされます。

 

遺伝的要因

イソ吉草酸血症は、通常、体内の特定の酵素が機能しないか、または全く存在しないために引き起こされます。これは遺伝的な病気であり、親から子供へと伝わります。この病気は、特定の酵素の生産に関与する遺伝子に突然変異が起こることにより引き起こされます。突然変異があると、酵素はうまく機能しないか、または全く生産されません。

 

酵素の役割と欠乏

イソ吉草酸は体内で生成される化合物の一つであり、特定の酵素の働きにより、さらに他の物質へと代謝されます。この酵素が不足すると、イソ吉草酸が体内に蓄積し、さまざまな症状を引き起こします。

 

酵素の欠乏は遺伝的要因によるもので、通常は両親から受け継ぐ遺伝子の一部として体内に存在します。具体的には、この病気は自己劣性遺伝することが多く、つまり、両親から受け継いだ2つの遺伝子の両方に突然変異がある場合にのみ発症します。

 

突然変異と代謝異常

遺伝子突然変異が起こると、遺伝子がコードするための指示が変わります。これは、酵素の構造や働きに影響を及ぼします。遺伝子突然変異により生成される酵素は、通常は体内の特定の化合物、特にイソ吉草酸の代謝を助けます。しかし、この酵素が存在しないか、またはうまく機能しないと、イソ吉草酸が体内に蓄積します。これは結果として、体内のさまざまな器官やシステム、特に脳や肝臓に影響を及ぼします。これがイソ吉草酸血症の主な原因であり、その結果として起こる代謝異常です。

 

遺伝子変異と体内影響

体内でイソ吉草酸が蓄積すると、各種の問題が引き起こされます。これらには、神経学的な問題、肝機能の問題、そして重度の場合には死に至ることもあります。蓄積したイソ吉草酸は、体内の各細胞や組織に損傷を引き起こす可能性があり、特に神経細胞はこの影響を強く受けます。

 

遺伝と環境の相互作用

イソ吉草酸血症の原因は主に遺伝的なものですが、病気の発症や重症度には環境的要素も影響する可能性があります。例えば、特定の食事やストレス、感染症などが症状を悪化させる可能性があります。そのため、管理には遺伝子だけでなく、ライフスタイルの調整や症状の管理も重要な要素となります。

イソ吉草酸血症の症状は、嘔吐や意識障害、運動機能障害など

イソ吉草酸血症の症状は、代謝機能不全によって起こります。主に現れる症状は、嘔吐や意識障害、運動機能障害などです。

 

特にアンモニアなどの毒素が体に増えると脳に悪い影響が出ます。そのため、大きな後遺症が残ることもあります。

 

イソ吉草酸血症には、症状の程度が重い重症型と、比較的程度が軽い慢性間歇型があります。

 

重症型の場合は生まれてすぐからたくさんのイソ吉草酸が体にたまるため、嘔吐や意識障害が現れます。場合によっては、出血しやすくなったり感染しやすくなったりします。

 

慢性間歇型では、風邪などによって十分な食事が取れなくなった時、突然イソ吉草酸が増え、嘔吐などの症状が現れます。

 

これは、食事の量が減ると、タンパク質からエネルギーを作る働きをしているイソ吉草酸を処理する代謝経路に負担がかかり、酵素が役割を果たせなくなるために起こります。

 

しかし、慢性間歇型では重症型のような症状が出ることはあまりありません。

イソ吉草酸血症は希少な遺伝子の病気で、代謝障害により体内にイソ吉草酸が蓄積します。この病態により、幅広い症状が引き起こされます。これらの症状は、出生直後から数年後までの間に様々な形で現れることがあります。以下に、その主な症状について詳しく説明します。

 

新生児期の症状

新生児におけるイソ吉草酸血症の典型的な症状は、吐き気、嘔吐、発熱、そして食欲不振です。これらの症状はしばしば誤解されがちですが、その他の一般的な新生児の問題と区別するために、より具体的な症状が見られることがあります。これには、非常に特異的な体臭(「汗が甘栗のような匂いを放つ」)や、ヘパトメガリー(肝臓の腫大)が含まれます。

 

神経学的症状

イソ吉草酸血症の子供たちは、しばしば神経学的な問題を示します。これには、異常な筋肉の緊張(低筋力または高筋力)、手足の振戦、発作、知的障害、そして運動の問題(歩行困難など)が含まれます。

 

生理的な症状

身体的な成長の遅れ、頻繁な感染症、肝臓の問題(肝臓の腫大や肝機能障害)、視覚問題、そして耳の問題(難聴など)もイソ吉草酸血症の一部の患者で見られます。また、特にストレスのある期間(例えば病気や手術後など)には症状が急速に悪化することがあります。

 

行動的な症状

イソ吉草酸血症の子供たちは、しばしば行動上の問題を示すことがあります。これには、自閉症スペクトラム障害の特徴である社会的相互作用の困難、非定型的な遊びパターン、ステレオタイプな行動、そして言語発達の遅れなどが含まれます。

 

代謝症状

イソ吉草酸血症は代謝障害の一部であるため、特定の生理学的マーカーが変動します。これらは通常、血液テストや尿で確認できます。具体的には、体内のイソ吉草酸レベルが異常に高くなります。また、特定のアミノ酸やオルガン酸のレベルも異常になることがあります。

 

長期的な症状

長期的に見て、イソ吉草酸血症は身体の成長と発達に影響を与え、結果として身長や体重の増加が遅れることがあります。また、免疫系の機能低下により、慢性的な感染症に見舞われることがあります。

 

以上のように、イソ吉草酸血症の症状は多岐にわたり、症状の重度も人により大きく異なります。

重症型の場合、血液の浄化やブドウ糖の静脈内投与を行う

イソ吉草酸血症の改善方法は症状の程度によって違います。中でも生まれてすぐから重い症状が現れている場合は、血液の浄化やブドウ糖やカルニチンの静脈内投与などの特別な改善を行うことが必要になります。

 

症状が軽い場合は悪化して症状が現れることを防ぐために、特殊ミルクやカルニチン、グリシンなどを使うことが多いです。高タンパクの食品をとりすぎないようにすることも大事です。

 

症状が悪くなった場合、ブドウ糖の点滴を行うこともあります。

イソ吉草酸血症は遺伝的な代謝異常症であり、特定のアミノ酸であるロイシンの代謝異常によりイソ吉草酸が体内に蓄積します。根本的な改善方法はなく、症状の管理と体内のイソ吉草酸のレベルを制御することに重点が置かれます。

 

栄養管理

食事は、ロイシン(イソ吉草酸の前駆体となるアミノ酸)の摂取を制限することが一般的です。専門の栄養士が個々の栄養ニーズに応じてカスタマイズされた食事計画を提供します。食事は、必要なビタミン、ミネラル、そしてその他のアミノ酸を提供しながら、ロイシンの摂取を制限します。

 

ギ酸カルニチン(L-carnitine)は、イソ吉草酸の体外排出を促進し、その蓄積を減らすために使用されます。また、グリシンはイソ吉草酸と結合して、体外排出を促進する化合物を形成するため、この病気の改善にも使用されます。

 

緊急ケア

緊急時には、血中のイソ吉草酸レベルが急上昇する可能性があります。これは、特に感染症や手術といった体にストレスを与える事象の後に発生します。これらの状況では、体外から高カロリーの栄養素を供給し、アミノ酸の分解とイソ吉草酸の生成を最小限に抑えます。

 

長期的なフォローアップと監視

イソ吉草酸血症では定期的なチェックと血液テストを受ける必要があります。これにより、症状の進行と改善の効果を監視することができます。状態や症状により、適応した改善方法や栄養管理が必要となることがあります。

遺伝カウンセリング

イソ吉草酸血症は遺伝性の病気であり、親から子供に伝わる可能性があります。したがって、その家族は遺伝カウンセリングを受けることを強く推奨されます。カウンセラーは、遺伝性のリスク、将来の子供へのリスク、そして遺伝テストの選択肢について説明します。

 

新たな改善方法の開発

現在、遺伝子や酵素の補充など、新たな改善方法の開発が進行中です。これらの方法は、根本的な原因である遺伝子異常を対象とし、イソ吉草酸血症の根本的な改善方法を目指しています。ただし、これらの改善方法はまだ初期の研究段階にあり、一般的に使用されるまでには長い時間が必要となるでしょう。

 

イソ吉草酸血症は希少な病気であり、本人やその家族にとっては困難な状況を生じさせます。しかし、専門的なチームと協力すれば、生活の質を改善し、症状を管理することが可能です。

イソ吉草酸血症を改善するために

イソ吉草酸血症を改善するためには、毎日の生活で食事の内容に注意してきちんと改善を続けることが大事です。

 

風邪などで食事がとれない時はすぐに病院に行き、ブドウ糖点滴を受けましょう。定期的に病院で血液を調べたり、他の病気などで手術を受ける時はイソ吉草酸血症であることを伝えたりすることも大事です。

イソ吉草酸血症の改善例

イソ吉草酸血症とその家族は、この遺伝性の病気と向き合うために、さまざまな改善方法と生活スタイルの調整を行っています。ここでは、ある子供のイソ吉草酸血症に対する実際の例を紹介します。

4歳の男の子、小林くんは、生後数週間でイソ吉草酸血症と判断されました。彼は退院後すぐに、一般的な新生児スクリーニングの結果としてこの病気を知りました。

 

栄養管理

最初に取り組んだ改善方法は、小林くんの食事の調整でした。専門の栄養士は彼の成長と発育に必要な栄養素を提供しながら、ロイシンの摂取を制限する食事計画を提案しました。この食事プランは、彼の体重と活動レベルに合わせて定期的に調整されます。

 

小林くんは、イソ吉草酸の体外排出を促進するために、ギ酸カルニチンを毎日服用しています。また、彼はグリシンも服用しており、これはイソ吉草酸と結合して体外排出を促進します。

 

緊急ケア

小林くんが風邪をひいたとき、彼の体内のイソ吉草酸のレベルが上昇しました。このような状況では、高カロリーの栄養素を体外から供給し、イソ吉草酸の生成を抑制しました。これは通常、静脈栄養によって行われます。

 

長期的なフォローアップと監視

小林くんは定期的にチェックと血液テストを受けています。これにより、彼の症状の進行と改善の効果を監視しています。

 

遺伝カウンセリング

小林くんの家族は遺伝カウンセリングを受けています。カウンセラーは、彼の兄弟や将来の子供へのリスクについて説明しました。これにより、家族は遺伝的なリスクを理解し、将来的な選択肢を考慮することができました。

 

社会的サポート

小林くんの家族は、同じを抱える他の家族やサポートグループと接触しました。これにより、彼らは情報交換や経験の共有、そして感情的な支援を受けることができました。

 

学校でのサポート

小林くんが学校に通うようになったとき、彼の学校は特別な食事計画や緊急時の対応計画を理解しました。学校のスタッフは、彼が必要とする特別な配慮を理解し、彼が安全で健康的な学校生活を送ることができるようにサポートしました。

 

新たな改善方法の追求

小林くんの家族は、新たな改善方法の開発についても積極的に学んでいます。彼らは遺伝子や酵素の補充についての最新の研究を追っており、可能ならそれらの改善方法を試すことを検討しています。

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