公開日:2021年 3月23日
更新日:2025年 2月13日
本日は動脈硬化について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
動脈硬化の原因について、今はまだはっきりとわかっていません。
しかし、血中コレステロールや中性脂肪が増え脂質異常症の状態であることや、高血圧や糖尿病などの生活習慣病があること、肥満や喫煙の習慣があることなどが、動脈硬化を引き起こしやすくする要因であるということはわかっています。
最近の研究では、コレステロールの中でも特に超悪玉といわれる小型LDLコレステロールが多い場合動脈硬化を引き起こしやすいということがわかっています。反対に善玉コレステロールが多い場合、動脈硬化のリスクは低くなるということもわかっています。
コレステロールの値があまり高くなければ動脈硬化は起きないのか、というとそうではありません。コレステロールの値が高くなくても動脈硬化を起こすケースもあるのです。
動脈硬化には、肥満や高血圧、高血糖、脂質代謝異常など、色々なことが関係しています。多くの人はこのような要因が複合的に重なって動脈硬化を起こしてしまうのです。動脈硬化は、多くの要因によって促進されてしまうのです。
① LDLコレステロールの蓄積
悪玉コレステロールが血管壁に沈着し、酸化されることで動脈硬化の原因となります。特に酸化LDLは免疫系に認識され、マクロファージに取り込まれて泡沫細胞を形成し、アテロームの発生を引き起こします。
② 高血圧
血圧が高い状態が続くと、動脈の内膜が損傷しやすくなります。損傷した内膜にコレステロールが沈着しやすくなり、動脈硬化が進行します。
③ 高血糖
糖尿病では血糖値が高い状態が続き、血管内皮がダメージを受けやすくなります。さらに、糖化反応により血管がもろくなり、動脈硬化を進行させます。
④ 慢性炎症
慢性炎症は血管内皮の障害を引き起こし、動脈硬化の進行を促進します。特に、内臓脂肪の過剰蓄積はサイトカインを分泌し、慢性的な炎症状態を生み出します。
⑤ 喫煙
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ、血管内皮細胞を損傷します。喫煙はLDLの酸化を促進し、動脈硬化の進行を加速させます。
⑥ 肥満
肥満、特に内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性を引き起こし、高血糖や脂質異常を悪化させます。また、脂肪細胞から分泌されるアディポカインが血管の炎症を促進します。
⑦ 運動不足
運動不足は血流を悪化させ、HDLコレステロールが低下します。また、インスリン抵抗性が進行し、糖尿病や脂質異常症のリスクが高まります。
⑧ ストレス
慢性的なストレスは交感神経を活性化し、血圧を上昇させるため、血管に負担をかけます。また、ストレスによって分泌されるコルチゾールが血糖値や脂質代謝に悪影響を及ぼし、動脈硬化を進行させます。
⑨ 加齢
年齢とともに血管の柔軟性が低下し、動脈硬化が進行します。エラスチンやコラーゲンの変性により血管が硬くなり、血流が悪化します。
⑩ 遺伝的要因
家族性高コレステロール血症のような遺伝的な病気があると、若年から動脈硬化が進行しやすくなります。
動脈硬化は初期症状がほとんどありません。症状のないまま、体の中で静かに進んで行きます。動脈硬化が進むと、脳と心臓と足に症状が現れます。
脳では、めまいや頭痛、耳鳴りなどの症状が起こります。しゃべりにくくなったり、手足のしびれが現れたり、力が入らないと感じるようになります。
心臓で現れる症状では、階段を登り降りするとき動悸がするようになります。急いだり、重い荷物を持って歩いたりすると息が苦しくなることもあり、疲れやすいと感じるようになります。
足では、冷えや痛みなどの症状が現れます。歩いているとき太ももの裏側やふくらはぎに痛みを感じたり、足をひきずったりするようになります。
このような症状がある場合、気が付かないうちに動脈硬化がかなり進んでいることがほとんどです。すぐに病院に行くことをお勧めします。
症状がない場合は、人間ドックなどで脂質の数値から改めて振り返ると良いです。
動脈硬化は、初期段階ではほとんど症状がなく進んでいき、おかしいということに気がついたときには臓器が大きなダメージを受けた後であることが多いです。定期的に調べるなど十分に注意しましょう。
〈動脈硬化の初期症状〉
・疲れやすい
・冷えを感じやすい
・動悸や息切れが起こりやすい
・頭がボーっとする
・手足のしびれ
・目のかすみ
〈動脈硬化が進行した場合の症状〉
・めまい・ふらつき
・物忘れが多くなる
・集中力が続かない
・手足のしびれや麻痺
・ろれつが回らない
・片側の手足が動かしにくくなる
・一時的に視野が狭くなる
・突然片側の手足や顔が麻痺する
・片目が一時的に見えなくなる
・一時的に言葉が出なくなる
・胸の締めつけ感・圧迫感(狭心症)
・胸の痛み(特に運動時やストレス時)
・左肩や腕に広がる痛み
・息切れや動悸
・安静時でも痛みが出る
・歩くとふくらはぎが痛む(間欠性跛行)
・足が冷たい、しびれる
・足の皮膚が青白くなる
・高血圧が悪化する
・むくみ(特に足や顔)
・尿の量が減る、または増える
・尿に泡が立つ(タンパク尿)
・疲れやすい、倦怠感
動脈硬化そのものを改善する方法は、いまだに確立されていません。
薬を使って血液の通りを改善したり、手術で動脈そのものを人工の物に換えたりなどという改善方法はありますが、このような改善方法は動脈硬化が大きな合併症を引き起こしたときに使われる方法です。
このような方法には、自分の体や生活の質に対してたくさんの制限や大きな苦痛を感じることが多いです。動脈硬化に確立された改善方法はありませんが、動脈硬化は急に起こるものではありません。
糖尿病や高脂血症、高血圧などの動脈硬化を引き起こす可能性のある病気を予防することで動脈硬化を予防することができます。
そのために、食生活を改善すること、適度な運動をすること、禁煙をすること、ストレスの対策をすることが非常に大切です。
一般的に、年齢を重ねることによって動脈硬化は進みます。できるだけ早い段階で、生活習慣などを意識して改善しておくことで、動脈硬化の予防につながります。
動脈硬化を予防するためには、適度な運動が大切です。1回30分程のウォーキングや水泳、エアロビクスなどの有酸素運動を習慣にすると良いでしょう。
適度な運動をすることで、太りにくい体質をつくることができます。中高年の場合は、激しい運動は危険なため無理のない範囲で運動を行うことが大切です。
・食生活の改善
① 悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やす
トランス脂肪酸、飽和脂肪酸、精製糖質、加工食品を避けましょう。オメガ3脂肪酸、食物繊維、ポリフェノール、大豆製品、ナッツ類を積極的に摂りましょう。
② 抗酸化食品を取り入れる
ビタミンC・Eが豊富な食品、リコピン、カロテノイドを摂取しましょう。
③ 塩分を控え、血圧を下げる
1日の塩分摂取目標は6g以下です。塩の代わりに 酢・レモン・香辛料を使ったり加工食品を控えることで減塩しましょう。
・運動習慣の改善
① 有酸素運動
おすすめの運動はウォーキング、ジョギング、水泳や自転車、ストレッチです。
② 筋トレ
おすすめの筋トレはスクワット、プランク、ダンベル運動です。
・禁煙・節酒
① 禁煙(血管の老化を防ぐ)
② お酒は適量にする
適量の赤ワイン、適量の日本酒、焼酎はOKです。
4. ストレス管理
① リラックスする習慣を持つ
瞑想や深呼吸、趣味の時間を作る、アロマテラピーなどがお勧めです。
② 睡眠の質を向上させる
1日7時間以上の睡眠が理想です。寝る1時間前にスマホ・PCを控えましょう。
動脈硬化を予防するためにおすすすめの食べ物は、精製されていない穀類である雑穀です。米やパン、麺などを食べる際、玄米や白米に雑穀を混ぜて雑穀ご飯にしたり、ライ麦パンにしたりうどんよりそばを選んだりすると良いでしょう。
精製されていない雑穀は、水溶性繊維が多く含まれています。小腸で糖がゆっくりと吸収されるため、食後の血糖値の上昇が緩やかです。そのため、インスリンの必要量を抑えることができるのです。
たんぱく質の摂取には、魚や大豆、豆腐や納豆などの大豆製品がおすすめです。魚や大豆食品には、多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。特にサバやイワシなどの青背魚はEPAやDHAが多く含まれています。
多価不飽和脂肪酸やEPAやDHAなどの脂肪酸は悪玉コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあり、血圧の低下や血栓予防などに効果的です。
控えたほうが良い食べ物は、牛脂やラード、バターなどの動物性脂肪です。動物性脂肪は、冷えると固まる脂で、飽和脂肪酸を多く含んでおり悪玉コレステロールを増やしてしまいます。
肉でタンパク質を摂る際は、霜降り肉ではなく赤身肉にしたり、鶏肉は皮を取ったり、工夫して食べるようにしましょう。
・避けるべき食品
トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、ファストフード)
飽和脂肪酸(脂身の多い肉、バター、ラード)
精製糖質(白米、パン、砂糖を多く含むお菓子)
加工食品(スナック菓子、インスタント食品、ハム、ソーセージ)
・積極的に摂るべき食品
オメガ3脂肪酸(抗炎症作用):青魚(サバ、イワシ、サンマ)、亜麻仁油、えごま油
食物繊維(コレステロール排出):玄米、大麦、豆類、野菜
ポリフェノール(抗酸化作用):緑茶、カカオ70%以上のチョコ、赤ワイン(適量)
大豆製品(悪玉コレステロールを下げる):納豆、豆腐、味噌
ナッツ類(不飽和脂肪酸が豊富):アーモンド、くるみ(無塩のもの)
・抗酸化食品を取り入れる
ビタミンC・Eが豊富な食品:ブロッコリー、アボカド、ナッツ類
リコピン(血管を柔らかくする):トマト
カロテノイド(血管の老化防止):ニンジン、カボチャ