嗅覚障害の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2023年 11月20日

本日は嗅覚障害の鍼灸について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 嗅覚障害の定義
  • 嗅覚障害の種類
  • 嗅覚障害の症状
  • 嗅覚障害の現代医療によるアプローチ
  • 嗅覚細胞への鍼灸アプローチ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

嗅覚障害とは、匂いがわからない状態

嗅覚障害はにおいがよくわからない感覚を定義して「嗅覚障害」といいます。

程度の差はありますが、においが全く分からなくなってしまった状態を、無臭症といいます。

 

  • においが全く分からなくなった状態(嗅覚脱失)
  • 感じ方が弱くなった状態(嗅覚減退)
  • 本来のにおいとは異なって感じる状態(嗅覚錯誤)
  • においに対して過敏になる状態(嗅覚過敏)

発生原因として最も多いのは副鼻腔の病気です。

副鼻腔は、鼻の周囲にある空洞で、左右にそれぞれ4対、合計8個あります。その鼻腔の内側は粘膜で覆われており、「ニオイ」は、その左右の鼻腔の天井にあたる嗅粘膜と呼ばれる部位が感知しています。空気中のニオイ物質がこの嗅粘膜に付着すると、刺激信号が嗅神経を通じて脳に伝達されニオイを有するメカニズムです。

 

嗅覚障害とは、ニオイの伝達経路のどこが障害されるかによって症状も変わり、大きく3つに分けられます。

  1. 呼吸性
  2. 末梢性
  3. 中枢性  

嗅覚障害の約80%が副鼻腔炎、風邪、鼻アレルギーが原因

嗅覚障害を起こす病気は様々あります。副鼻腔炎の他に風邪や鼻アレルギー、頭部外傷、鼻内形態異常、中枢神経疾患があり、外部からの金属化合物、有機化合物を吸入して起こる場合や、 抗ガン剤などの薬物による影響もあります。

 

このうち約80%が副鼻腔炎、風邪、鼻アレルギーです。

 

においを感じる嗅粘膜には、通常の粘膜とは違う、嗅神経という神経の先が嗅繊毛という非常に細く短い毛になって直接、外(鼻の中の空気の通り道)に飛び出しています。

例えば、実際皮膚に触れていなくとも、体毛に何かが触れると分かるように、ニオイもその細く短い毛が感知しているのです。

 

嗅繊毛は粘液(鼻水)に覆われていて、 においの素である無機物や有機物の分子のうち、空気に乗って飛んでくるものが粘液に溶け込み、 嗅繊毛の先にある嗅覚受容体に結合し、刺激された受容体からの電気信号が嗅神経を通って大脳に伝わることで「におい」を感じます。

 

なんらかの障害が起こると嗅覚障害になります。

 

刺激される受容体からの信号のパターンや強度の組み合わせによって感知されます。受容体の数は、ヒトではなんと約400種類。 それにより様々なにおいを嗅ぎ分けることができるのです。

嗅覚障害は、嗅覚の減退または喪失を意味し、さまざまな原因によって引き起こされることがあります。主な原因は以下の通りです。

 

上気道感染症:風邪、インフルエンザ、副鼻腔炎などの上気道感染症が一般的な原因です。これらの感染症は、一時的な嗅覚障害を引き起こすことがあります。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症:COVID-19は嗅覚障害を引き起こすことが知られています。多くの人に感染初期に嗅覚減退が見られます。

 

鼻の問題:鼻のポリープ、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎など、鼻の病気が嗅覚障害を引き起こすことがあります。

 

脳の損傷または病気:脳震盪、脳腫瘍、アルツハイマー病、パーキンソン病など、脳の損傷や神経変性疾患が原因で嗅覚障害が生じることがあります。

 

化学物質への曝露:一部の化学物質への過度の曝露が、嗅覚細胞を損傷し、嗅覚障害を引き起こすことがあります。

 

薬剤の副作用:一部の薬剤(例えば、一部の抗生物質、高血圧治療薬)は嗅覚障害を副作用として引き起こすことがあります。

 

年齢の影響:加齢により嗅覚機能が自然に衰えることがあります。

 

嗅覚障害は、日常生活に影響を及ぼし、食事の楽しみや安全上のリスク(例えば、食品の腐敗や火災の警告を嗅ぎ分けられない)をもたらすことがあります。

嗅覚障害の症状で自覚できるものは嗅覚脱失

嗅覚障害の症状 

嗅覚障害の三大原因は多い順に慢性副鼻腔炎,感冒,頭部外傷で、前述した通り副鼻腔炎が全体の約80%を占めます。本人がすぐに自覚できるのは嗅覚脱失ですが、それ以外の症状は、周囲の反応と比べてみて初めて分かるとゆうパターンが多く、放置しがちになります。

 

外傷によって思いがけず嗅覚が永遠に失われてしまう場合もあるので、気をつけなければなりません。

 

嗅覚障害の有病率は米国で 人口の1~3%です。日本ではまだ調査報告がなく、不明なので今後の疫学調査が望まれています。 

 

嗅覚障害は、嗅覚の減退や喪失を特徴とし、以下のような症状が現れることがあります。

 

嗅覚の減退:通常感じることができる臭いが弱く感じられるか、まったく感じられなくなることがあります。

 

嗅覚の喪失:全く臭いを感じることができなくなります。これは一時的または永続的な症状になることがあります。

 

歪嗅症:実際の臭いとは異なる、歪んだ臭いを感じることがあります。

 

幻嗅症:実際には存在しない臭いを感じることがあります。

 

味覚の変化:嗅覚は味覚と密接に関連しているため、嗅覚障害は食べ物の味を感じる能力にも影響を及ぼすことがあります。

 

嗅覚障害は、日常生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に食事の楽しみや安全上の問題が懸念されます。

呼吸性嗅覚障害

【呼吸性嗅覚障害】

鼻に関する病気によってニオイ物質を含んだ空気が嗅粘膜に届かないためニオイが感じられないものです。 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が原因として挙げられます。 

末梢性嗅覚障害

 【末梢性嗅覚障害】  

この障害は大きく2つに分けられ、嗅粘膜が障害される嗅粘膜性と嗅神経が障害される末梢神経性があります。風邪をひいた後、風邪症状がおさまったにも関わらず 嗅覚が戻らない場合、嗅粘膜がインフルエンザなどのウイルスによって変性されてしまった嗅粘膜性の嗅覚障害が疑われます。 場合によって副鼻腔炎などの慢性炎症でも、嗅粘膜は変性します。

また、頭部外傷などで脳内に異常は見られなくても嗅覚が失われる場合があり、嗅神経の切断に由来する、末梢神経性の嗅覚障害が考えられます。

中枢性嗅覚障害

 【中枢性嗅覚障害】

この障害は嗅神経よりも中枢側、要するに脳で障害が起こります。ニオイ情報は常に脳内で記憶し整理されています。過去に入力されたニオイの記憶と照らし合わせ、ニオイを認識しています。 しかし、ニオイ情報を処理する脳が障害を受けてしまうと、ニオイを判別することができなくなります。

これは、頭部外傷や脳腫瘍、脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病などの病気で起こります。 

高齢者の嗅覚障害

【高齢者の嗅覚障害】

嗅覚機能で測定したところ、年齢とともに嗅覚が低下していることが明らかになっております。しかし他の感覚障害、聴覚や視覚と比べると、嗅覚は比較的老化による変化を受けにくいと言われています。 嗅覚障害全般でみると、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎といった鼻の病気の存在が原因となっている場合が多く、 年齢に伴う嗅覚障害は日常生活で自覚するほどにならない場合が多いようです。

嗅覚の低下が早期の判断に役立つ可能性が指摘されているアルツハイマー病やパーキンソン病との嗅覚障害との関連性については現在多くの研究が行われています。アルツハイマー病の初期では、 何かニオイはするが何のニオイであるか判別できないという、ニオイの判別能が著しく低下してくると言われています。

嗅覚障害の現代医学アプローチ

副鼻腔炎・鼻炎

嗅覚障害の改善方法

副鼻腔炎や鼻炎は鼻洗浄、内服薬(抗アレルギー薬・抗生剤・経口ステロイド薬)、ステロイド点鼻薬となどで改善することが多いです。 しかし、すでに長期間前述の薬などでの改善を受けていた場合や、鼻の中の粘膜の一部がふくらみ、鼻腔内に垂れ下がる鼻ポリープ(鼻茸)が出来てしまっている場合などは手術も選択肢になっていきます。

 

鼻の穴を隔てている鼻中隔の彎曲に伴う症状が疑われる場合は特に手術が推奨されます。 副鼻腔炎は手術によって多くのケースで症状が改善されますが、副鼻腔炎の種類や重症度によっては改善の程度が大きく異なります。 喘息や鎮痛薬アレルギーを合併されている方などは手術によって一時的ににおいを取り戻してもまた悪くなったりするので長期的なケアが必要となります。

副鼻腔炎や鼻炎が原因で起こる嗅覚障害の改善には、以下の薬が一般的に用いられます。これらの薬は、鼻の炎症を減らし、鼻詰まりを改善することによって嗅覚を回復させることを目的としています。

 

点鼻ステロイド薬:フルチカゾン(フリックスナーゼ)、モメタゾン(ネゾネックス)、ブデソニド(ライノコート)など。

鼻の粘膜の腫れを減少させ、炎症を和らげる効果があります。

 

経口抗ヒスタミン薬:セチリジン(ジルテック)、ロラタジン(クラリチン)、フェキソフェナジン(アレグラ)など。

アレルギー症状を軽減し、鼻水やくしゃみを抑える効果があります。

 

脱感作法:アレルギー性鼻炎が原因の場合、特定のアレルゲンに対する脱感作法が行われることがあります。

 

抗生物質:副鼻腔炎が細菌感染によるものである場合、アモキシシリンやドキシサイクリンなどの抗生物質が処方されることがあります。

 

点鼻脱感作薬:アレルギー性鼻炎に対して、特定のアレルゲンに対する点鼻脱感作薬が使用されることがあります。

 

これらの薬は、炎症を和らげ、鼻の通りを良くすることで嗅覚障害の改善を目指します。改善においては、医師の判断と指導に従い、健康状態や他の服用中の薬剤に配慮した適切な薬剤選択が重要です。

感冒後嗅覚障害

【感冒後嗅覚障害】

ゆっくりと1年間の経過観察で自然に改善するのを待つケースもありますが、内服薬や他の方法でより早期に改善を見込むことが可能です。 現在、日本では漢方薬、ビタミンB12、亜鉛製剤の内服での改善が中心に行われています。しかしこの効果ははっきりと証明されたものではなく、 薬が持つ効果については現在全国の大学や病院で様々な試験が行われています。

感冒後嗅覚障害の改善には、症状の原因と重症度に応じて異なる薬剤が用いられます。一般的に使用される薬とその効果は以下の通りです。

 

ステロイド鼻スプレー:フルチカゾン(フリックスナーゼ)、モメタゾン(ネゾネックス)、ブデソニド(ライノコート)など。鼻の炎症を減少させ、鼻詰まりや粘膜の腫れを和らげる効果があります。

 

経口ステロイド:重度の症例では、短期間の経口ステロイド改善が行われることがあります。プレドニゾンなどのステロイド薬は、全身的な炎症を抑える効果があります。

 

点鼻脱感作薬:アレルギー反応が関連している場合、点鼻脱感作薬が用いられることがあります。

 

ビタミンB群のサプリメント:神経の修復を助ける目的で、ビタミンB群のサプリメントが推奨されることがあります。

 

これらの薬剤は、感冒後嗅覚障害に関連する炎症を和らげ、鼻の通りを良くすることを目的としています。改善においては、医師の指導に従い、健康状態や他の服用中の薬剤に配慮した適切な薬剤選択が重要です。また、嗅覚障害の原因が感冒である場合、多くの症例では時間とともに自然に改善することが多いです。

外部要因による嗅覚障害

【その他の嗅覚障害】

脳挫傷などに伴う外傷性な嗅覚障害や、加齢や神経変性の病気に伴う嗅覚障害を改善させる有効な改善法は現段階では見つかっていません。 近年注目されている嗅覚を刺激する方法などの効果が加齢による嗅覚の低下などには効果を有すると考えられており、 改善方法の確立にむけて日々研究が進んでいる段階です。

脳挫傷や加齢、神経変性の病気に伴う嗅覚障害の改善法は、その原因と症状の重症度に基づいて異なります。ただし、これらの条件による嗅覚障害の完全な改善は困難な場合もあります。

 

嗅覚訓練:様々な香りを意識的に嗅ぐことで嗅覚機能を刺激し、回復を促す方法です。レモン、バラ、ユーカリ、クローブなどの異なる香りを日常的に嗅ぐことが推奨されることがあります。

 

医学的な改善方法:神経変性の病気や脳損傷に関連する嗅覚障害の場合、その基礎となる病気の改善が重要です。神経保護薬や症状を軽減する薬剤が用いられることがあります。

 

栄養補助と健康的な生活習慣:全体的な健康状態を改善することが、嗅覚障害の改善に役立つ場合があります。ビタミンB群やオメガ3脂肪酸などの栄養補助が有効とされることもあります。

 

リハビリテーション:脳損傷後の嗅覚障害には、リハビリテーションが役立つことがあります。

 

ストレス管理:ストレスは嗅覚障害を悪化させる可能性があるため、リラクゼーション技法やマインドフルネス瞑想などによるストレスの管理が推奨されます。

 

これらの方法は、嗅覚障害の改善を目指しますが、改善の効果は個人差が大きいです。嗅覚障害が気になる場合は、専門の医師に相談し、適切な判断と改善を受けることが重要です。特に脳挫傷や神経変性の病気に伴う嗅覚障害は、その基礎となる状態の管理と密接に関連しています。

嗅覚障害の費用

 費用は他の病気に比べると保険範囲内で収まる事が多いです。保険で改善を行うクリニックは、全国ほとんどどこも同じ料金となります。 調べる項目はそれぞれの症状や病院の先生によって多少違う場合がありますが、よくある耳鼻科の費用は同じとなっています。

嗅覚障害のまとめ

嗅覚障害は、「においがわからない」感覚を定義して「嗅覚障害」といいます。 この障害は約200個以上のウイルスが原因となり、さまざまな原因が考えられ、未だ未解明な部分も多いです。また、嗅覚障害は昨今出現した新型コロナウイルス感染者の特徴であることはご存知の通りで、感染者の30~73%が嗅覚障害を自覚したという論文等の報告がされています。

しかし様々なウイルスが大人の嗅覚障害の原因であり、嗅覚障害の原因の40%はウイルスが原因と言われています。 つまりウイルスは感染後に悪化することが知られており、そもそも新型コロナウイルス以外にもウイルスが上気道感染を引き起こすことがあります。 「嗅覚障害」を疑ったら、すぐに専門家に相談することを推奨します。

嗅覚障害の東洋医学アプローチ

東洋医学で嗅覚障害にはよく漢方を用いられます。

また、鼻や嗅覚の疾患は五臓六腑で肺と密接な関係にあると位置付けられており、肺の機能が低下し呼吸器に影響を及ぼすと、鼻にも障害が出てしまうと捉えられています。

そこで、鍼灸施術により鼻まわりの循環を良くし電気を流すことで神経に刺激を改善を図ります。

薬を飲んでも効かないときは、勇気を出して経験豊富な院長によるトリガーポイント鍼灸を受けてみませんか?

 

お力になれるよう対応致します。

嗅覚障害に効果的なツボ

天迎香

・鼻通

迎香

天迎香

天迎香は脳の酸素量を増やす効果があります。脳の酸素量が増えることは、脳の活性化に繋がります。嗅覚と脳機能は繋がっています。そのため、脳が活性化することで、嗅覚障害の改善に対しても効果が期待できるのです。

 

天迎香は、鼻水や鼻詰まりなどに対しても使われます。

鼻通

鼻通は、鼻の様々な症状に対してよく使われるツボです。鼻に現れるあらゆる症状に対して効果的なのです。

 

鼻の通りを良くするために非常に高い効果が期待できるため、嗅覚障害だけではなく、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどに有効です。

迎香

迎香の意味は、香りを迎えるという意味です。そのため、嗅覚障害には効果的なツボなのです。

 

迎香は、手の陽明大腸経に属しています。手の陽明大腸経は、大腸や排泄に関係があるツボです。大腸や排泄に関係があるため、出るものはきちんと外に出すという効果が強いのです。

 

出るものを外に出すということは、通り抜けをよくするということでもあります。そのため、鼻水や鼻詰まりによく使われているのです。

ツボの場所と押し方

天迎香

天迎香は迎香の上にあるツボで、小鼻のつけ根の両脇にあります。

 

押すときには、人差し指の先を使って、上に向かって優しく押しましょう。天迎香は繊細なツボのため、優しく圧を与えることが大事なのです。

鼻通

鼻通は、迎香の少し上にあるツボで、小鼻の付け根の両脇にあります。

 

押すときは、人差し指を使って、優しく圧を与えていきます。押す時間を少し長めにするとより効果的です。

迎香

迎香は、小鼻の脇にあるツボです。

 

押すときは、鼻を両脇から挟むようにして押すと押しやすいです。強く押しすぎないように注意して静かに優しく押しましょう。

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