脾【五臓六腑・東洋医学の捉え方】

公開日:2023年 3月11日

更新日:2023年  3月16日

本日は「脾」ついて解説させていただきます。

本ページは一般に西洋医学でいう臓器の性質とは異なり、東洋医学の概念に基づいて解説しております。

 

正確に理解するため、「東洋医学」のページを先にお読みいただくことをお勧めします。

☆本記事の内容

  • 東洋医学の「脾」とは
  • 「脾」の特性
  • 「脾」が弱っている際のサイン
  • 「脾」を強くするためには
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

 

動画でもご説明しておりますのでこちらもご参考くださいませ。

 

「脾」の働き

五臓六腑は、食べ物や空気中から吸収した栄養分を吸収し、気・血・津液を生成し、運び、貯蔵します

食べ物や飲み物の栄養が気や血に変わる過程をたどると、

まずは六腑がその消化吸収を行い、 その栄養を五臓が受け取って、気・血・津液を作ります。

 

「脾」は、「胃」と共に、 消化吸収に関する働きを担っているとされており、西洋医学の脾臓と似ている場面もありつつ、異なる捉え方をしています。

「東洋医学」のページで解説しているとおり、「脾」は、五行の「土」に属します。土壌が豊かであれば草木はすくすく育つことができるように、「脾」「胃」が健康であればエネルギー源となる、気や血を十分に生み出し、体内に送り込むことができるようになります。つまり、何らかの原因により「脾」の作用が失調してしまうと、身体全体にエネルギーを充満させることができなくなり、倦怠感や心の乱れを有することになります。

「脾」の性質

「脾」には大きく3つの生理特性があり、それぞれの作用は身体全体のバランスを担うのに重要な役割を果たしています。

1.運化作用

「脾」は、口から入った飲食物を運搬する作用。そして、その飲食物から栄養を吸収し気・血・津液に作り変える“生化”という作用を持っています。この2つを合わせて「運化作用」といいます。

また、運化作用には、運化水穀と運化水液の2つの作用があります。

 

・運化水穀

上記のとおり、口から取り入れた飲食物は体内に運搬された後、栄養を吸収し、気・血・津液に作り変わります。飲食物の消化吸収は胃と小腸の共同作業により行われていますが、そもそも消化吸収を行う作業は、「脾」の運化する性質に依存しています。「脾」の運化作用により変化された飲食物を「水穀の精微」といい、この水穀の精微は、肺からの清気(酸素のようなもの)と結合し“気”となります。そして、心の推動作用、肺が発散・散布といった外に向かわせるパワーを担う「宣散」という作用、下に向かわせるエネルギーである「粛降」の作用、さらには肝の気を巡らせる作用である疎泄作用によって全身に配られます。

さらに「脾」が、よくこの機能を果たすためには、腎陽の温める力、「温煦作用」の手助けが必要になります。 つまり「脾」の作用によって飲食物から吸収された栄養素は、それ以外の心、肺、肝、腎の臓器の共同作業によって、全身にエネルギーを行き渡らせることができるのです。

 

・運化水液

飲食物から作った津液の吸収と運搬を行う作用のことで、水液の代謝を促すポンプのような機能です。飲食物は吸収されたあと「水穀の精微」となりますが、その中の余った水分は、運化水液の作用により肺と腎へと送られます。そして肺と腎の気化作用(物質を変化させる作用)により汗や尿となり体外へ排出されるという仕組みになっています。

この流れが乱れてしまうと水液が体内に停滞し、湿・痰などの病理産物が生じ、その結果、浮腫や水腫を引き起こします。

 

 

2.昇清作用

清とは水穀の精微などの栄養物質のことをいい、脾気に上昇する性質をもつことを合わせて、脾の昇清といいます。つまり、昇清とは栄養物質を吸収し、水穀の精微に変化されたのち、心・肺・頭・顔面部へそのエネルギーを上らせ、心肺で気血を化生し、栄養を全身に送らせることをいいます。

昇と降は、相対立する運動です。脾の昇清は胃の降濁(エネルギーを下に巡らる作用)と対をなしています。この関係は、臓腑が安定したバランス状態にあるための大切な要件です。

 

脾の昇清機能が正常であれば、水穀の精微は正常に吸収そして全身へ輸送されますが、この機能が失調すると、水穀は正常に運ばれず、気血生化の源となるエネルギーが不足するので、倦怠感・眩暈などの症状がおこりやすくなり、脾気が昇発せずに下陥すると、下痢などの症状を引き起こし、ひどくなると内臓下垂がおこります。

3.統血作用

血液が外に漏れだすことを防ぐことを「統血作用」といいます。「脾」の統血作用が低下すると、出血しやすくなるので、血便・血尿、皮下出血や月経過多などといった症状が現れます。これらの症状は「脾不統血」と称しています。

「脾」が弱っていると

「脾」は湿気や熱を嫌う性質があるため、梅雨の時期や季節の変わり目になると、不調が出やすくなります。もちろん、食事の不摂生、過労、慢性疾患などで季節を問わずダメージを受けることもあり、個人の体質的に壊しやすいなどという人もいます。

・浮腫みやすくなる

上記で記載したとおり、「脾」には昇清作用といってエネルギーを上に上に上昇させる作用があります。その働きが弱くなると、当然エネルギーは下に停滞するため、下肢が浮腫む、お腹周りが垂れてハリがなくなる。などの諸症状が出てきます。また、たるみやほうれい線の原因にもなるため。「脾」の失調は女性の大敵とも言えます。

 

・思い悩みやすくなる

「脾」は五行の“感情”において、「思」つまり“思考”に関する感情に相当します。「脾」を壊すとくよくよと過剰に思い悩むことが多くなります。反対に、普段からいらないことを過剰に考え過ぎると、壊しやすくなります。

「脾」の機能を強くするためには

五臓の中でも脾・胃は食べ物からの影響を最も受けやすい場所になります。「脾」は五行の中で“甘”に相当するため、甘いものの食べ過ぎには注意です。甘いものを異常に欲する場合、「脾」が弱っているサインだと思いましょう。また、湿気や熱いものを嫌う性質があるため、水分の取りすぎや脂っこい食べ物の取りすぎも負担になります。

 

思い悩むことが増えたり、甘いものが食べたくなったり、下肢に浮腫みを感じ始めたら「脾」の機能が落ちているサインだと思いましょう。

 

そんな時は気分転換にリフレッシュになるものを探し、甘いものの代わりにしっかり栄養の付く食べ物を取り入れましょう。同じ甘味でも砂糖ではなく、果物やとうもろこし、南瓜などといった食物に含まれる自然な甘みのあるものを積極的に摂取することが大切です。脾・胃は消化吸収の役割をしているため、消化吸収によい、大根や白菜、かぶ、などといったお野菜を取り入れるのもおすすめです。

まとめ

本ページをまとめます。

  • 東洋医学の「脾」の捉え方
  • 「脾」は「胃」と共に消化吸収に関わる
  • 「脾」には大きく三つの特性がある
  • 季節の変わり目は脾・胃を損傷しやすいので注意

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