公開日:2022年 1月 3日
更新日:2025年 6月10日
本日は前置胎盤について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
前置胎盤は、正常よりも低い位置に胎盤があることによって、子宮の出口を覆ってしまっている状態のことです。子宮の出口は一部が覆われていることもあれば、全てが覆われていることもあります。
前置胎盤には、全前置胎盤、部分前置胎盤、辺縁前置胎盤の3種類あり、子宮のどの位置に胎盤があるかによって種類が分かれています。
全前置胎盤は内子宮口を胎盤が全て覆っている状態、部分前置胎盤は内子宮口に胎盤が一部分だけ重なっている状態、辺縁前置胎盤は内子宮口の出口に胎盤の端が達している状態のことです。
前置胎盤の場合は、分娩の時、胎盤が胎児よりも先に出ることになるため、帝王切開で出産を行うことがほとんどです。
今のところ、前置胎盤の原因はわかっていません。しかし、前置胎盤のリスクが高くなるとされる要因は明らかになってきています。
前置胎盤のリスクが高くなると言われていることは、高齢妊娠、多産、多胎などです。
さらに、過去に帝王切開をしたことがあったり、妊娠中絶手術を受けたことがあったり、子宮筋腫の手術を受けたことがあったりする場合もリスクが高まる要因になるとされています。
特に帝王切開は行う回数が増えるとリスクが高くなると言われています。
・子宮内膜の損傷
正常な着床は子宮上部ですが、内膜が損傷していたり血流が悪いと、胎盤が下方へズレて着床することがあります。原因となる内膜のダメージは、帝王切開の既往や子宮筋腫手術や中絶手術などの子宮手術歴、多胎妊娠や短い妊娠間隔による内膜の回復不全などです。
・高齢妊娠
加齢により子宮内膜の血流や組織の再生力が低下し、胎盤が安定して上部に着床しづらくなります。
・多産歴
経産婦では子宮内膜が薄くなっていたり、変性している部位があるため、正常な着床部が限られてきます。
・喫煙
喫煙は胎盤の形成異常や血流障害を起こしやすく、その結果、着床位置に異常を来す可能性があります。
・体外受精や胚移植
自然妊娠に比べ、着床の位置がランダムになりやすいとされ、前置胎盤の発生率が上がるという報告があります。
・双胎妊娠
胎盤が大きくなるため、限られた子宮内のスペースの関係で、下部にまたがるように形成されやすくなります。
・過去の前置胎盤の既往歴
一度前置胎盤になったことのある女性は、次回以降の妊娠でも再発する確率が高くなります。
前置胎盤の自覚症状は特にありません。しかし、妊娠後期に腹痛はない状態にも関わらず性器から出血が見られます。この出血は、子宮が大きくなり胎盤が剥がれることで起こります。
多くの場合は数回にわたって少ない量の出血が見られますが、場合によっては最初から大量の出血が見られることもあります。
前置胎盤である可能性が医師に指摘され、性器から出血がある場合は腹痛がなくてもできるだけ早く医師に相談に行くことが大事です。
完全前置胎盤・・・胎盤が内子宮口を完全に覆う
部分前置胎盤・・・一部だけ子宮口にかかっている
辺縁前置胎盤・・・胎盤の縁が子宮口に接している
低置胎盤・・・胎盤が子宮口にはかかっていないが、非常に近接している
・無痛性の性器出血
赤く鮮やかな出血があり痛みを伴わないことが多いです。突然、予兆なく出血することもあり、2回、3回と繰り返す出血が特徴的です。
・妊娠中の繰り返す出血
2~3回に分けて、間隔をおいて出血を繰り返すケースが多いです。一度止まっても、再度破れるとまた出血します。母体の活動量や張りなどによって誘発されやすい症状です。
・下腹部の違和感
一部の方では、お腹の張りや圧迫感を感じることもあります。ただし、「お腹が強く痛む」という症状は通常ありません。
・胎動の減少、胎児の状態悪化
大量出血が起きると、胎児に酸素が届かなくなり、胎動が減ったり胎児心拍数の異常があらわれたりして、胎児仮死に進展するリスクもあります。
・母体の貧血、ショック
繰り返す出血や一度に大量出血があると、母体が鉄欠乏性貧血やショック状態になることがあります。特に完全前置胎盤や癒着胎盤を伴う場合は注意が必要です。
前置胎盤では、癒着胎盤を起こす可能性が高くなります。癒着胎盤は、胎盤が子宮にくっつき剥がれなくなることです。
前置胎盤で癒着胎盤を起こした場合、前置癒着胎盤と呼ばれます。前置癒着胎盤が起きると、胎児が生まれた後に自然に胎盤が剥がれて膣から外へ出てくることがありません。
胎盤が剥がれて膣から外へ出てくることがないということは、大量の出血を起こす可能性があり非常に危険です。そのため、出産した時に子宮を取り除くこともあります。