公開日:2021年 2月23日
更新日:2021年 6月 6日
本日はクッシング症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
クッシング症候群の一般的な原因は、副腎でのホルモン分泌が過剰になることです。副腎でコルチコステロイドがつくられすぎる原因は、副腎に問題がある場合か、下垂体からの刺激が過剰である場合のどちらかです。
下垂体からの刺激が過剰である場合とは、下垂体に腫瘍がある場合です。下垂体に腫瘍などがあると、下垂体から非常に多くの副腎皮質刺激ホルモンが分泌されるようになるため、クッシング症候群を引き起こすことがあります。
下垂体の腫瘍ではなくても、小細胞肺がんや、肺などの部位のカルチノイド腫瘍なども、副腎皮質刺激ホルモンを分泌することがあります。
副腎に問題がある場合とは、良性腫瘍が副腎の中にある場合です。この場合もコルチコステロイドがつくられすぎるため、クッシング症候群を引き起こすことがあるのです。
副腎腺腫はよく見られる腫瘍ですが、ホルモンを過剰に分泌するケースは、その中でも非常に少ないです。
非常に多くのコルチコステロイドを使用していることもクッシング症候群の原因となります。喘息でコルチコステロイドを吸入した場合や、局所的に皮膚に使った場合などにクッシング症候群が起こることがあるのです。
大量にコルチコステロイドを使用している人は、ホルモンが過剰に作られているのと同じ状況です。そのため、クッシング症候群を引き起こす可能性があります。
内因性の原因
内因性のクッシング症候群は、体内で自然にコルチゾールが過剰に産生されることによって引き起こされます。以下はその主な内因性の原因です。
クッシング病
下垂体腺腫:下垂体にできる良性腫瘍が、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を過剰に分泌することによって副腎が刺激され、コルチゾールが過剰に産生されます。
副腎腺腫または癌
・副腎皮質腺腫:副腎にできる良性腫瘍が直接コルチゾールを過剰に分泌します。
・副腎癌:副腎にできる悪性腫瘍も同様にコルチゾールを過剰に分泌します。
異所性ACTH産生腫瘍
小細胞肺癌などの体内の他の場所に発生した腫瘍がACTHを産生し、それが副腎を刺激してコルチゾールの過剰分泌を引き起こします。
外因性の原因
外因性のクッシング症候群は、体外から取り入れたコルチゾールやそれに類似したステロイド薬が原因で発症します。
・ステロイド薬の長期使用
プレドニゾロンやデキサメタゾンなどのグルココルチコイド薬の長期使用が原因です。これらの薬は抗炎症作用や免疫抑制作用を持つため、慢性疾患の改善に広く使われていますが、長期間使用するとクッシング症候群を引き起こすことがあります。
その他の原因
・遺伝的要因
一部の遺伝的疾患、例えば多発性内分泌腺腫症(MEN)などもクッシング症候群の原因となることがあります。
クッシング症候群では、特徴的な身体的所見が見られます。これには、コルチコレステロイドが関係しています。
コルチコステロイドは体脂肪の量と分布を変えます。そのため、クッシング症候群では、体幹の周りに過剰に脂肪がつくようになります。特に背中の上部に脂肪が目立つようになります。
顔は丸く膨らみます。腕と脚は体幹と比べて細く、筋肉が衰えて力が弱くなります。皮膚は薄くなって、あざができやすくなります。さらに、クッシング症候群では、疲れやすくなるなどの症状もあります。
長い期間、コルチコステロイド値が高い状態が続くと、血圧が高くなり、骨が弱くなります。感染症に対しての抵抗力も弱くなります。
腎結石や糖尿病の危険が高まったり、幻覚が見えたり、うつ病などの精神障害が起こったりすることもあります。女性の場合は、月経周期が不規則になります。
クッシング症候群の小児は成長が遅くなります。そのため、身長があまり伸びずに低いままになります。
体型と外見の変化
・中心性肥満
腹部に脂肪が集中し、腕や脚は比較的細いままになることが多いです。
・満月様顔貌
顔が丸くなり、赤ら顔(顔面紅潮)が特徴的です。
・水牛様肩
首の後ろや肩に脂肪が集まり、こぶのようになることがあります。
・皮膚の変化
皮膚が薄くなり、容易にあざができやすくなります。
腹部、大腿部、臀部、乳房などに紫色のストレッチマーク(線状痕)が見られることがあります。
筋肉と骨の症状
・筋力低下
特に大腿部や上腕部の筋力が低下し、歩行や物を持つのが困難になることがあります。
・骨粗鬆症
骨密度の低下により骨折しやすくなります。特に背骨や肋骨、手首などが影響を受けやすいです。
・代謝と内分泌の症状
・高血圧
コルチゾールの影響で血圧が上昇します。
・高血糖
糖尿病に似た症状が現れ、血糖値が高くなることがあります。
・高脂血症
血中の脂質レベルが上昇し、心血管リスクが高まります。
精神的および神経系の症状
・気分の変動
抑うつ、不安、易怒性、パニック発作などが見られることがあります。
・記憶力低下
注意力や記憶力の低下が起こることがあります。
生殖系の症状
・女性の場合
生理不順や無月経、多毛症(顔や体の異常な毛の増加)などが見られます。
・男性の場合
勃起不全や性欲低下が見られることがあります。
その他の症状
・免疫抑制
感染症に対する抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。
・傷の改善の遅さ
外傷や手術後の傷の改善が遅くなることがあります。
クッシング症候群の改善方法は、食事の見直しと薬、手術や放射線です。食事は、タンパク質とカリウムを多く含む食事をすることが大切です。薬は、コルチゾールの値を下げたりコルチゾールの効果を阻害したりする薬を使って改善を行います。
クッシング症候群の改善方法は、原因がどこにあるかによって異なります。原因がある部位が副腎か、下垂体か、それ以外のどこにあるのかに合わせて改善を行うのです。
まず初めに行う改善方法は食事の見直しです。全身の状態を保つために、タンパク質とカリウムを多く含む食事をするのです。場合によっては、カリウムや血糖値を下げるための薬が必要になることもあります。
下垂体に腫瘍がある場合は、手術や放射線で改善を行います。副腎に腫瘍がある場合も手術で取り除きます。手術をしても効果が見られない場合や腫瘍がない場合は、両方の副腎を取り出すことが必要な場合もあります。
下垂体や副腎以外の腫瘍によってホルモンが過剰に分泌されている場合も手術で改善を行います。手術をするまでの間には、コルチゾールの値を下げるメチラポンやケトコナゾールなどの薬が使われます。
場合によってはカベルゴリンも効果的なこともあります。副腎皮質刺激ホルモンの機能を下げるために、パシレオチドとカベルゴリンを使って改善を行うこともあります。
内因性のクッシング症候群
・手術
下垂体腺腫の摘出: クッシング病(下垂体腺腫によるもの)では、経鼻的下垂体腺腫摘出術(経鼻経蝶形骨手術)が一般的です。
副腎腺腫または癌の摘出: 副腎に腫瘍がある場合、副腎摘出術が行われます。片側の副腎に腫瘍がある場合はその側のみ摘出されます。
・放射線
下垂体腺腫が完全に摘出できない場合や再発した場合に放射線が用いられることがあります。
・薬
手術や放射線が適さない場合などに用いられます。コルチゾールの産生を抑制する薬物が使用されます。具体的には、ケトコナゾール、ミトタン、メトピロンなどが含まれます。
・副腎切除後のホルモン補充
副腎が摘出された場合、コルチゾールや他のホルモンの補充が必要となります。
外因性のクッシング症候群
・ステロイド薬の減量または中止
ステロイド薬の使用を徐々に減量し、可能であれば中止します。ただし、急に中止すると副腎不全を引き起こす可能性があるため、医師の指導の下で慎重に行う必要があります。
・ライフスタイルの改善
クッシング症候群の症状を和らげるための補助的な方法として、ライフスタイルの改善も重要です。
・食事
バランスの取れた食事を心がけ、高血糖や高血圧、骨粗鬆症のリスクを減らすために適切な栄養素を摂取します。
・運動
筋力を維持し、肥満を防ぐために、適度な運動を行います。運動は精神的な健康にも良い影響を与えます。
・ストレス管理
ストレスを軽減するための方法を見つけ、リラクゼーションやストレス管理のテクニックを取り入れます。
・禁煙・節酒
喫煙や過度の飲酒は健康に悪影響を与えるため、禁煙し、アルコールの摂取を制限します。
プレドニゾロンなどのコルチコステロイドをたくさん使っている人は、副腎の機能が抑制されることがあります。これはたくさんのコルチコステロイドの作用で、視床下部と下垂体のホルモン分泌を妨げられるからです。
視床下部と下垂体のホルモン分泌が妨げられた状態のまま、急にコルチコステロイドの使用を止めると、副腎機能を急に回復することができず一時的に副腎機能不全になります。
ストレスを受けた時にも必要なコルチコステロイドをつくるための刺激ができなくなるのです。
そのため、コルチコステロイドを2~3週間以上使っている時は、急に止めてはいけません。少しずつ量を減らしていくことが大切です。
コルチコステロイドを使っている時も、病気や大きなストレスなど、場合によっては量を増やすことが必要になることもあります。
コルチコステロイドは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、体内の多くの生理機能に関与しています。これには、炎症反応の調節、免疫機能の抑制、糖代謝の調節などが含まれます。天然のコルチゾールに加え、医学的に合成されたコルチコステロイド(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)も多くの疾患の改善に使用されます。