公開日:2019年 12月23日
更新日:2021年 5月 15日
本日はものもらいについて解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
ものもらいは、細菌がまぶたにある脂や汗を出す腺に感染して起こる急性の化膿性炎症です。
ものもらいになると、まぶたの一部が赤く腫れます。さらに症状として、まばたきや指で押すことによって痛みが出ます。
ものもらいは、他人に感染しない炎症で、ブドウ球菌の感染が原因で起こります。時々、まぶたの縁の炎症である眼瞼炎併発を合わせて起こることもあります。
ものもらいは全然ならない人もいれば、何度も繰り返す人もいます。
ものもらいは地域によって呼び方が様々あります。ものもらいの他にめばちこ、めいぼ、めこじき、めぼいと、おひめさんなどと呼ばれます。学問としての呼び方は麦粒腫です。
まつげの毛根や汗を出す腺が細菌に感染してしまった場合を外麦粒腫といい、まぶたの裏にある涙が枯れないために脂質を分泌する器官であるマイボーム腺が感染してしまった場合を内麦粒腫といいます。
ものもらいの原因は、細菌に感染することです。多くの場合の原因となる細菌は黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌で、これらの菌は、常に健康な人の喉や鼻の穴、皮膚、髪の毛に存在しています。
また、黄色ブドウ球菌は膿んでしまった傷に存在することも多いです。生活の中のどこにでもいる細菌が、目に怪我をすることや病気などで抵抗力が落ちることなど、何かの理由により感染して炎症を起こします。
そのため、他の人に感染する可能性は低いです。さらに、ものもらいは糖尿病などの病気が原因となって起こることもあります。
ものもらいの原因の1つにまぶたの周りが不衛生になることがあります。特に若い女性でまつげの内側までアイラインを引いたりアイシャドーを塗ったりする人は要注意です。
そのようなまつ毛の内側までメイクをしていると、分泌腺の出口がメイクで塞がれてしまいます。出口が塞がれてしまうことで最近が住み着きやすくなってしまうのです。
コンタクトレンズをつけている人やにきびができやすい人も、ものもらいになりやすい傾向があります。
ものもらいは、比較的、夏場や季節の変わり目に多いです。その原因は、夏は多くの汗をかくからです。汗によって不衛生になりやすくなってしまうのです。
1. 細菌感染
ものもらいの最も一般的な原因は、細菌感染です。主に「Staphylococcus aureus」という細菌が原因として特定されています。この細菌は、皮膚の表面に常在し、時折まぶたの付け根やまつげの付け根に侵入して感染を引き起こすことがあります。細菌がまぶたの腺に侵入することで、腺が炎症を起こし、ものもらいが形成されることがあります。
2. 汚れた手で目を触ること
手は日常生活でさまざまな物質に触れるため、汚染された手で目を触ることは、ものもらいの原因となります。細菌やウイルスが手からまぶたに侵入し、感染を引き起こす可能性があります。特に、まぶたのまわりを濡らしたり、摩擦を加えたりすることで、細菌の侵入が促進される場合があります。
3. アイメイクの不衛生な使用
アイメイク製品の不衛生な使用は、ものもらいの原因となることがあります。古くなったマスカラやアイライナー、アイシャドウなどのアイメイク製品は、細菌の増殖を促進し、感染のリスクを高める可能性があります。また、眼の周りの皮膚を傷つけることで、細菌が侵入する可能性もあります。
4. 免疫力の低下
免疫力の低下は、ものもらいの原因となることがあります。免疫力が低下していると、体が細菌やウイルスに対して十分な防御を行えず、感染が拡大する可能性が高まります。免疫力の低下は、ストレス、栄養不良、他の疾患の合併症などによって引き起こされることがあります。
5. まつげの摩擦
まつげの付け根を強くこすったり、引っ張ったりすることで、まつげの根元に微小な傷が生じることがあります。これにより、細菌が侵入して感染を引き起こす可能性があります。
6. 汗や皮脂の蓄積
暑い季節や運動後など、汗や皮脂がまぶたの周りに蓄積することがあります。これにより、細菌の増殖が促進され、感染のリスクが高まることがあります。
7. 疲労やストレス
疲労やストレスは、免疫力の低下を引き起こすことがあります。免疫力が低下すると、細菌感染に対する防御力が低くなり、ものもらいのリスクが高まります。
以上がものもらいの主な原因ですが、一人一人の生活環境や体質によって異なる場合があります。ものもらいが頻繁に発生したり、重度のものもらいが続く場合は、眼科に行くことが重要です。
ものもらいの初期段階は、まぶたが炎症を起こして赤く腫れ、軽い痛みやかゆみが起きます。目が充血したり、目にゴロゴロする違和感を感じたり、まぶた全体が腫れたり、目やにが出たりするという症状が現れることも多いです。
症状が進行するとものもらいの部分が膿んでしまい、赤みや腫れ、痛みやかゆみが悪化します。自然に皮膚が破れ、膿が外に出ることもあります。膿が外に出ると、その後は改善することが多いです。
「ものもらいはうつる」と言われることも多いです。しかし、ものもらいの原因は細菌によって炎症が起こることや、脂がたまることです。
そのため、基本的にはうつることはありません。うつるとされているのはものもらいではなくウイルス性の結膜炎です。このウイルス性の結膜炎をはやり目といいます。
はやり目は非常に高い感染力があります。はやり目の目を触った手で他の人の目を触ることは非常にうつりやすい行為です。タオルなどの顔や手に触れるものによってもうつる可能性があります。
感染した人はすぐに眼科にいき、周りの人は念入りに手洗いをし、タオルなど触れるものは別のものを使うなどの対策をしましょう。
1. 腫れと赤み
ものもらいの最初の症状は、まぶたの付け根やまつげの付け根に腫れと赤みが現れることです。腫れはしこりの周囲に生じ、周囲の皮膚が赤くなります。腫れが大きくなると、まぶたの動きが制限される場合があります。
2. 痛みと不快感
ものもらいは炎症が生じるため、しこりの部分に痛みや熱感が生じることがあります。しこりがまぶたの動きを妨げる場合、まぶたの開閉やまばたきの際にも痛みを感じることがあります。この痛みと不快感は、活動を制限することがあるため、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
3. 膿の排出
ものもらいが進行すると、しこりの中に膿が溜まり、膿が外に排出されることがあります。この際、まぶたの付け根から膿が滲出したり、まつげの付け根から膿が排出されることがあります。膿が排出されると症状が緩和されることがありますが、しこりの腫れや痛みはしばらく残ることがあります。
4. 眼のかゆみと充血
ものもらいの症状により、まぶたが腫れることで眼のかゆみが生じることがあります。また、炎症により眼が充血することもあります。眼のかゆみや充血がある場合は、まぶたをこすったり、こすらないように注意することが重要です。
5. まぶたの異常な感覚
ものもらいが進行すると、まぶたの付け根やまつげの付け根に違和感や異常な感覚が生じることがあります。しこりの圧迫により、まぶたの動きが妨げられることでこのような感覚が現れる場合があります。
6. 涙の増加
ものもらいによる眼の炎症により、涙の分泌が増加することがあります。涙が増えることで、目が涙で潤い、症状の軽減につながることがあります。
ものもらいの症状は一般的に自然に改善しますが、症状が長期間持続する場合や、重度の痛みや腫れが見られる場合は、病院に行くことが重要です。
ものもらいの改善には、抗生物質の点眼薬や眼軟膏を使います。点眼薬や眼軟膏を使っても、改善が期待できない時は、抗菌作用がある内服薬を使用することもあります。
化膿が進み、腫れがひどい時は、ものもらいの部分を切開したり、注射針で突いたりして膿を出すこともあります。膿がなくなってしまえば、症状は自然と回復します。
痛みや腫れが改善してもしこりが残ることがあります。残ったしこりが大きい場合は手術で切って回復を試みることが多いです。
手術するほど大きくない場合には、ケロイドなどの改善に効果がある点眼薬や内服薬を使用して回復を試みます。
さらに、漢方薬にも効果を発揮する可能性がある薬があるため、合わせて使用することも多いです。
1. 温湿布の使用
ものもらいの初期症状を和らげるために、温湿布の使用が有効です。温湿布をしこりの部分に数分間当てることで、血流が促進され、炎症が軽減されることがあります。また、膿の排出を助ける効果もあります。温湿布は1日に数回行い、清潔なタオルやコットンを使用することが重要です。
2. 薬
ものもらいの症状を軽減するために、抗生物質や抗炎症薬の点眼薬や点眼液が使用されることがあります。これらの薬物は、細菌感染による炎症を抑える効果があります。ただし、抗生物質の使用は医師の指導のもとで行うことが重要です。
3. 膿の排出
ものもらいが進行して膿がたまる場合、医師によって膿を排出する場合があります。これは局所麻酔を用いて行われることがあります。膿を排出することで痛みや腫れが軽減され、改善が促進されることがあります。
4. 抗生物質の経口投与
ものもらいが細菌感染によるものであり、重度の症状が見られる場合は、抗生物質の経口投与が行われることがあります。これにより、細菌感染を駆除し、症状を早期に改善することが期待されます。抗生物質の使用は医師の指導に従って行うことが重要です。
5. 自己処理の避け
ものもらいは痛みを伴うことがありますが、絶対に自己処理を行わないようにしましょう。指や針を使って膿を押し出す行為は感染を拡大するリスクを高めます。また、目をこすったりこすることも感染を広げる原因となります。
6. 衛生対策
ものもらいを予防するためには、日常生活での衛生対策が重要です。特に手の洗い方やアイメイク製品の清潔な管理に注意しましょう。また、眼の周りの皮膚を傷つけないように注意することも大切です。
7. 免疫力の向上
免疫力が高まると、細菌感染に対する防御力が向上します。バランスの取れた食事や十分な睡眠を確保することで、免疫力を向上させることができます。
ものもらいは一般的に自然に改善することが多いですが、症状が重度である場合や再発が頻繁に起こる場合は、眼科に行くことが重要です。医師による適切な改善と対策により、早期に回復することが期待されます。
ものもらいができている時には、寝不足をさけること、アルコールを控えること、辛いものや甘いものなどの刺激物をさけること、コンタクトレンズを控えることなどに注意して生活することが重要です。
規則正しい生活習慣を心がけ、早く改善するように気をつけて生活を送ってください。
ものもらいを予防するためには、目の周りを常に清潔にしておくことが重要です。目の周りを清潔にしておくことはものもらいだけでなくその他の様々な目の病気の予防にもつながります。
洗顔する際に顔を拭くタオルは清潔なものを使い、生活の中で手洗いを習慣化し、汚れた手で目をこすらないよう注意しましょう。
女性の場合、メイクの方法によってもものもらいが起こりやすいです。まつげの根元は細菌が住み着きやすい場所です。その場所に濃いアイラインをひくと、細菌が住み着きやすい場所になってしまいます。
メイクを落とすときには、蒸しタオルなどを使い、アイラインやマスカラが付いた部分は優しくしっかり落とすことが重要です。
コンタクトレンズを使用している人は、常にレンズを清潔にしておき、雑菌が付かないよう気をつけることが重要です。
ケース1:軽度のものもらい
Aさん、25歳、女性
Aさんは1週間ほど前から左目のまぶたの付け根にしこりができ、腫れと赤みを感じていました。痛みやかゆみもあり、アイメイクの使用を控えるようにしていましたが、症状が改善せずに病院に行きました。
眼科に行った結果、ものもらいと判断されました。症状は比較的軽度で、抗生物質の点眼薬のみの改善が適切と判断されました。
抗生物質の点眼薬:Aさんには抗生物質の点眼薬を処方されました。点眼薬は1日2回、1回1滴ずつ、2週間使用するように指示されました。抗生物質は細菌感染を抑える効果があり、炎症の軽減と早期回復に役立ちます。
温湿布の使用:症状の軽減を促すために、Aさんには温湿布の使用を推奨されました。1日に2〜3回、温湿布をまぶたの付け根に数分間当てることで、血流が促進され、炎症が緩和されることが期待されます。
Aさんは改善を忠実に実施し、数日後に症状が改善しました。腫れと赤みが軽減され、痛みやかゆみも和らいできました。2週間の改善後に再度眼科に行き、症状の改善が確認されたため、改善は終了しました。また、再発予防のためにアイメイク製品の清潔な管理と、手洗いの徹底をアドバイスされました。
ケース2:重度のものもらい
Bさん、32歳、男性
Bさんは数日前から左目のまぶたの付け根に激しい腫れ、赤み、痛みを感じていました。また、膿の排出が見られ、眼のかゆみもありました。以前にもものもらいを経験したことがあり、症状が重度であるため病院に行きました。
眼科に行った結果、Bさんはものもらい(内モノもらい)と判断されました。炎症が進行しているため、抗生物質の点眼薬と経口抗生物質の投与が必要と判断されました。
抗生物質の点眼薬と経口投与:Bさんには抗生物質の点眼薬と経口抗生物質が処方されました。点眼薬は1日3回、1回1滴ずつ、経口抗生物質は1日2回、1回500mgを1週間使用するように指示されました。抗生物質は細菌感染を駆除し、炎症を抑える効果があります。経口抗生物質は炎症が内部に広がっている場合に有効であり、内モノもらいの改善には欠かせない改善法となります。
膿の排出:改善の初期には、炎症が重度であるため、医師によって膿を排出する処置が行われることがあります。局所麻酔を使用して、膿がたまっている部分を切開し、膿を排出します。これにより、痛みと圧迫感が軽減し、改善が促進されます。
温湿布と目薬:改善中、Bさんには温湿布の使用を推奨されました。温湿布は2〜3回にわたって、まぶたの付け根に数分間当てることで、炎症を緩和する効果が期待されます。また、目薬も使用し、眼のかゆみや充血を軽減することが目指されました。
経過観察:改善後もBさんは経過観察が行われました。症状の改善が確認されるまで定期的に眼科医のもとに通院しました。改善後の経過観察では、症状が軽減していることが確認されました。
Bさんは改善を継続し、症状が徐々に改善していきました。炎症が軽減し、膿の排出が進んだことで、腫れや赤み、痛みが徐々に和らいでいきました。経口抗生物質の投与が終了した後も、点眼薬の使用と温湿布の継続が指示され、再発を予防するための対策がとられました。
改善後、Bさんは2週間後に再度眼科に行きました。症状の改善が確認され、ものもらいは完全に改善したと判断されました。また、再発を予防するために日常生活での衛生対策や手洗いの徹底を促されました。
以上が、実際のものもらいの改善の例です。ものもらいは一般的に自然に改善することが多いですが、症状が重度である場合や再発が頻繁に起こる場合は、早めに眼科に行くことが重要です。