顔面神経麻痺について【麻痺・症状・鍼灸の解説】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2024年  9月15日

本日は顔面神経麻痺について解説させていただきます。

 顔面神経麻痺とは顔面神経が障害され生じる症状

顔面神経は、脳から耳の下を通り、顔面のそれぞれの筋肉に張り巡らされた神経で、表情をつくったり、唾液を分泌したり顔面の筋肉を動かす機能を持つ働きをします。

顔面神経麻痺とは、その顔面神経の機能障害が原因でまぶたが開閉しにくい、口が閉じられないといった症状が起きる病気のことです。

顔面神経麻痺の症状は顔面の麻痺や味覚症状

顔面神経麻痺は通常顔面のどちらか半分に起こります。

症状は一般的に「顔が曲がっている」、「眼が閉じにくい」、「口角が上がらない」、「水や食事が口から漏れる」などです。

 

また、表情の麻痺のみに限りません。顔面神経には味の情報を伝えたり、涙の分泌をコントロールしたりする働きもあります。

麻痺のある側の舌半分の味覚がなくなることや、涙や唾液が出ずらい、音び響きが感じにくくなる聴覚の障害なども症状としてあげられます。

顔の表情筋は20個以上あり、障害を受けている範囲と麻痺の程度ととで、様々な症状があります。まず顔面神経麻痺には大きく中枢性顔面神経麻痺と末梢性顔面神経麻痺の2種類に分かれます。

 

主に頬や口の周辺に麻痺が見られるのは中枢性。目や額などを含め顔全体に症状が見られるのは末梢性の顔面神経麻痺と鑑別します。

 

末梢性の特徴となる症状は大きく3つあります。

 

・突然「朝起きたら顔が動かない」「気がついたら顔が曲がってきた」

→最も多いのは、ウイルスが顔面神経に感染して生じる麻痺。

「ベル麻痺」「ラムゼイハント症候群」とも呼ばれる。

 

・外科手術やケガの後の麻痺

→脳神経外科、耳鼻咽喉科の手術、顔面神経が通っている耳の横付近の骨折、顔面に負った深い傷によって顔面神経が損傷されたことなどが原因。

 

・ゆっくりと麻痺が生じる

→特殊な神経や血管の病気によって顔面神経にゆっくりと障害が生じ、顔面神経麻痺が起こるもの。

顔面神経麻痺の原因は中枢性と末梢性に分けられる

顔面神経麻痺は、同じ顔面に生じる麻痺でも、原因と考えられる疾患があるケースによって、判断や改善方法が異なります。

前述したように、顔面神経麻痺の原因は大きく脳の中枢の障害が原因で発生する中枢性と、外傷やウイルスなどにより発生する末梢性に分けられます。

 

中枢性:脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、糖尿病、脳外傷など顔面神経に情報を伝える脳そのものの障害を原因として発症。多くは呂律が回らなくなったり、頭痛、意識障害、手足の麻痺やしびれなどの症状が合併します。

 末梢性:なんらかの理由で脳からの情報伝達が途中で阻害されてしまうことで発症。症状の始まり方によって原因を鑑別します。

 

  • ベル麻痺

ウイルスが顔面神経に感染して生じるもの。神経に対する血行不全のため、顔面神経管内に浮腫を来たし、圧迫されて神経の伝達が滞り麻痺を起こします。顔面神経麻痺の中で最も多い麻痺です。

特徴:顔の片側の麻痺によって左右が不釣合いになります。またおでこのしわ寄せが出来なくなるという特徴があります。

 

  • ラムゼイハント症候群​

水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスが顔面神経感染し発症するもの。難聴・めまいや耳周囲の水ぶくれ、を起こし、麻痺の回復がベル麻痺より遅く、回復後も麻痺が残ることがあります。

顔面神経麻痺の改善法は麻痺の原因によって異なる

上手く笑えない、口から食べ物がこぼれる。といった症状に加え、まばたきをする、口角を外側へ伸ばすなど、顔のさまざまな部位を動かして麻痺の自覚が現れた場合、まず麻痺の原因やウイルス感染の可能性の有無を調べるため、病院にいきましょう。

 

血液、顔面神経を中心に撮影するMRI、程度を判定する顔面神経の筋電図などを調べて麻痺の原因を突き詰めます。

 

手術や骨折が原因となった顔面神経麻痺については、ほとんどの場合、自然回復は見込めません。

 

顔面の深い損傷によって顔面神経が傷ついてしまった場合、損傷された顔面神経の再建が必要です。早期に手術を受けることで、表情筋の動きを取り戻せる可能性が高くなります。

 

また、ベル麻痺、ラムゼハント症候群の場合、顔面神経のむくみを取るステロイドと、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤による改善が行われます。これらの改善方法により、半数以上がほぼ元の顔の状態に戻ります。

 

しかし、表情筋の動きが不十分な状態が残る可能性もあるので、薬と併用して表情筋のリハビリテーションを行います。

 

そして形成外科において顔の動きを取り戻す方法や、左右の顔のバランスを整える再建術を行ったり、発症前により近い状態に戻していく処置を行っていきます。

顔面神経麻痺の鍼灸施術は麻痺の原因から対応する

顔面神経麻痺の種類により、鍼灸の効果が期待できるケースと、そうでない場合があります。

まず、麻痺の症状が急性で、原因が中枢性の場合、要するに脳そのものがなんらかの障害を受けていて麻痺が生じている場合は一刻も早い改善が必要です。脳神経外科や救急科に行くことをお勧めいたします。

 

末梢性の場合、鍼灸施術は非常に効果が期待できます。

顔面神経の走行は、脳から耳を通過し顔面に張り巡らされています。鍼灸により、それら顔面神経管を含めた周辺組織の血流を改善することで、麻痺の回復を見込みます。

三叉神経の図

脳幹からでた顔面神経は内耳孔を通過し皮膚や粘膜につく。

顔面神経麻痺に使用するツボの紹介

目の閉開の改善を見込むツボ

  • 承泣
  • 四白
  • 攅竹
  • 糸竹空
  • 瞳子膠

 

口の閉開の改善を見込むツボ

  • 禾髎
  • 地倉
  • 水溝
  • 兌端
  • 承漿

顔面神経麻痺に効果的なツボ

承泣

四白

攅竹

承泣

承泣は、眼精疲労に効果を発揮するツボです。そのため、疲れ目や目のかすみ、涙目、ドライアイなどに非常にお勧めです。また、刺激することで目の周りの筋肉を緩め、目の開閉を楽にしてくれます。

 

目の下のクマやたるみを抑える効果もあります。

四白

四白は、目の疲れにオススメのツボです。目の充血や目のかゆみ、目の痛みなどによく使われます。

 

他にもめまいや頭痛などにも効果的です。

攅竹

攅竹は刺激することで目の周りが緩み、目がぱっちりと開く効果があります。目の周囲にある筋肉のこりほぐしに役立つといわれており、眼精疲労に非常にオススメです。

 

疲れ目やドライアイ、まぶたの炎症、眼圧上昇など、目の色々な症状の改善に使われるツボです。

ツボの位置と押し方

承泣

承泣は、瞳の中央の真下にある骨の縁にあります。黒目の真下を触ってくぼみを探しましょう。

 

押すときは指の腹で押します。気持ち良いと感じるくらいの力で押しましょう。左右のツボを同時に押すことをお勧めします。

四白

四白は、瞳の中心の真下で頬骨の下のくぼみにあります。

 

押すときは指の腹を使います。目の疲れや重さを感じたときは、デスクワーク中の休憩時間にこまめに押しましょう。

攅竹

攅竹は眉頭にあるツボです。眉頭の少し下にある小さなくぼみにあります。

 

押すときは親指の腹を使って押しましょう。下から上に押し上げるように押すことをお勧めします。3秒間ほどゆっくり押しましょう。

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