大腸【五臓六腑・東洋医学の捉え方】

公開日:2022年 1月18日

更新日:2022年 3月14日

本日は「大腸」ついて解説させていただきます。

従来の西洋医学においての病気の診断というのは、身体診察や検査などのデータなどにより特別な原因物質のみを取り上げて、身局所的、理論的に分析していきますが、東洋医学ではそれらの原因物質のみにとらわれず、身体の不調に対する根本的な原因を探るため、患部だけではなく全身を診てから治療法を判断します。  

からだの不調を診断する際は、衰弱していると見られる臓腑の相克・相生関係にある臓腑も同時に診ていきます。両方の機能を高めることで、また衰弱しそうになった際にもカバーできる体にしようと試みます。 

☆本記事の内容

  • 東洋医学の「大腸」とは
  • 西洋医学の「大腸」とは
  • 「大腸」と「肺」の関係
  • 「大腸湿熱」という状態とは
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

 

動画でもご説明しておりますのでこちらもご参考くださいませ。

 

本記事は、現代医学でいう"大腸"の機能ではなく、東洋医学の観点からの「大腸」の役割について掲載しております。内容をより理解しやすくするためには、「東洋医学」の記事を先にお読み頂くことをお勧めします。

東洋医学でいう「大腸」とは

大腸は小腸の下につながり、下は肛門になっています。

飲食物は脾、胃、小腸で消化され栄養分を吸収した後、粉々にされたカスを大腸が受け取ります。そこで余った水分を更に吸収して便に変え排泄させています。これを「伝導作用」と言います。

大腸の働きは肺の働きと連動して行われており、両者は表裏の関係にあります。肺の下へ、内へ動かす「粛降」の作用が吸収した栄養分を大腸に届けています。ゆえに肺の不調は大腸にも連動し影響を及ぼします。

また、東洋医学では五行の役割を国政に例えていますが、大腸は体内の不要なものをあちこちに留まらせないことで、衛生面や治安維持に貢献する役人に例えられています。

“便”は大腸の調子を図る一番のバロメーター

大腸のすぐ下は肛門になっていることから、肛門から出る便は大腸の調子を図る一番のバロメーターとなることが伺えます。便の匂いや形から、今の腸内環境がどのようになっているかを想定することができます。

正常な便の水分量は約70~80%程度が良いとされています。形はバナナぐらいの太さでまっすぐ長く表面が滑らか、ニオイはほぼ無臭で、色は黄色から黄土色。このような便は、腸内環境が最も良い状態である弱酸性に保たれていることを指しています。

 

  • 黒茶褐色便

  悪玉菌がふえて腐敗が進んでいる状態を指しています。本来酸性側でなけれ

  ばならない腸内がアルカリ性に傾いている証拠です。色に加え細い、短い、

  曲がっている、コロコロ小さな塊になっているなどといった状態は、出てい

  ても便秘であることを示唆し、腸内が汚れている状態と言えます。逆に水分

  が85%以上では水様便となります。いずれも腸内細菌や腸管の働きの悪さが

  考えられます。食事から摂取したたん白質が多すぎるなどが原因です

 

  • 黒色便

  茶色がほぼ見られず色が黒に近い場合は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などによる出  

  血が疑われます。薬の服用により黒くなることもありますが、そうではない

  場合、医療機関の受診をおすすめします。

 

  • 赤色便

  肛門に近い場所で出血すると鮮血便となります。ほとんどの場合は痔です

  が、まれに大腸ポリーブや大腸ガンということもあるので注意が必要です。

  また、腸閉塞、あるいは腸重積、腸捻転のときには、血と粘膜が混ざり合っ

  た粘血便となります。またこれらの病気は激しい腹痛と嘔吐を伴います。

 

  • 白色便

  検査でバリウムを飲んだとき以外で、白い便が出たときは、胆汁が腸内に分

  泌されていないおそれがあるため肝臓や胆のうの異常が考えられます。

西洋医学においての「大腸」

 

 

食べたものが消化・吸収を経て体外に排出されるまでにかかる時間はおおよそ24〜72時間。 

大腸は全長約1.6メートルの管になっており、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸と6つの管に振り分けられています。また盲腸からS状結腸までをまとめて「結腸」といいます。

この長い道のりの中で、大腸では、食道・胃・小腸に続いて、消化過程の最終の働きを担当しています。吸収されずに残ったものは、粥状の状態から大腸内をゆっくりと進みながら排出されやすい固さにしていきます。

便を固くするために、腸管の壁にある血管へ水分と塩類を吸収させ、なめらかにするために粘液を分泌しています。

大腸は筋肉の蠕動運動により、内容物を直腸に向かって押し移動させますが、この運動は自律神経によって調節されています。

胃と同様、大腸もストレスによって影響を及ぼしやすい臓器なのです。

―直腸で最終段階―

S状結腸から肛門につながる直腸が大腸の終わりになっています。便は1日に数回蠕動運動を繰り返し直腸に送られますが、直腸は他の結腸に比べてやや太く、排便まで便を溜めておけるようになっています。直腸に便が溜まると脳に伝わり排出の指令が出され「便意」をもよおす仕組みになっています。

 

また排便により多量の腸内の細菌を排泄し、細菌に対する防御機構も働いています。

腸内細菌

 

常在細菌は私たちの皮膚や口・鼻の中、そして消化管や泌尿器など、外部と接するところに住みついています。腸内の代表的な細菌は作用によって3種類に分類されます。

 

1.善玉菌

  消化吸収の補助や免疫刺激など、健康維持や老化防止などへ影響がある菌で、代表 

  的な菌にはビフィズス菌や乳酸菌があります。腸内において善玉菌の比率が高いと 

  健康的な黄褐色で滑らかなバナナ状の便が見られます。

 

2.悪玉菌

  からだに悪い影響を及ぼすとされ、代表的な菌にはウェルシュ菌・ブドウ球菌・大 

       腸菌の有毒株があります。悪玉菌の比率が高くなると、便秘や下痢を繰り返した 

  り、黒っぽい形が不安定な、ニオイのきつい便が見られるようになります。

 

3.日和見菌

  悪玉菌と善玉菌の働きがどちらか優位な方の味方につく菌です。善玉菌が体内に多

  いい時は共に身体にとっていい働きをしてくれますが、悪玉菌が優位になり、から

  だが弱ってくると腸内で悪い働きをします。代表的なものにバクテロイデス・大腸

  菌(無毒株)・連鎖球菌があります。

 

大きく分けて3つですが、他にも腸内には約400500種類、約100兆個もの細菌がすみついていて、腸内の内容物を分解したり、ビタミンを産生したり、免疫にも関与しています。

「大腸」と「肺」

紙を表から切れば、裏も同時に切れてしまうように表裏関係である臓腑は切り離せない関係です。西洋医学において、肺は呼吸器系、大腸は消化器系となっており、まったく別ものですが、東洋医学においては表裏関係であり肺の内へ動かす「粛降」の作用が、吸収した栄養分を大腸に届ける働きをしています。

風邪をひくと一般的にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、など呼吸器系の症状が現れますが、ヨーグルトなどの腸内細菌を整える食べ物が風邪予防になると有名なのは「肺」と「大腸」の関連性が密接な事が示唆できるかと思います。

 

適度に辛いものは発汗作用を促進し「肺」を活性化してくれますが、過剰に辛いものを摂取すると、咳が出たりしますね。また、その後大便に血が混じっていたり、肛門の熱感を感じたりすることがありますが、こういった現象も「肺」と「大腸」の関係性を説明できるかと思います。

「大腸湿熱」という状態

「水」は体を冷やして潤し、「熱」は体を温めて活動させる物質ですが、両者とも体内に増えすぎるとくっつきあってドロドロとタチの悪いものに変化します。

湿熱とは、食べすぎ・飲みすぎにより体内に必要以上に溜まってしまった水と熱が、気や血の循環を阻害している状態を指します。湿熱状態がどこに生じているかで症状は異なりますが、大腸の場合は、急に現れる便意、痛みをともなう下痢、肛門の熱感や腫れ、出血、便に血液や膿が混じる、発熱、口の苦みなどが挙げられます。

それらの症状が現れた時は、熱を帯びた水湿が大腸に侵入している状態を示しており「大腸湿熱」を疑いましょう。

こうなると過剰な熱を冷まし余分な水分を取り除く必要があるので、食生活を見直す必要があります。

 

また、積み重なるストレスが暴飲暴食に繋がっている可能性もあります。

腸内は非常にストレスに敏感です。見直す必要のある根本の原因がどこにあるかを見極めるのが重要です。

まとめ

本ページをまとめます。

  • 大腸の水分を吸収して便に変え排泄させる働きを「伝導作用」という
  • 大腸と肺は表裏関係にある
  • 食べすぎ・飲みすぎにより大腸に必要以上に水と熱が増えると「大腸湿熱」状態といえる

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