強皮症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  2月23日

更新日:2021年  5月 15日

本日は強皮症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 強皮症とは
  • 強皮症の原因
  • 強皮症の症状
  • 強皮症の改善方法
  • 強皮症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる病気

強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる病気です。強皮症という名前ではなく、全身性硬化症という名前で呼ばれることもあります。強皮症は、免疫異常などの様々な要因が複雑に合わさって発症します。

 

推定では全国で約3万人の人が強皮症であると言われています。中でも女性に多く、男女の比率は1:12であると言われています。起こりやすい年代は、30~50歳代です。

要因として考えられているものは線維化、血管障害、自己免疫

強皮症の根本的な原因は、いまだに明らかになっていません。しかし、強皮症の原因は1つではなく、色々な要因が複雑に合わさっていると考えられています。

 

要因として考えられているものは、線維化、血管障害、自己免疫という3つの特徴です。この3つがが複雑に合わさって発症すると考えられているのです。

繊維化とは、皮膚の生成と分解のバランスが崩れてしまい、コラーゲンがたまっていく状態のことで、強皮症で皮膚が硬くなる原因は、線維化によって起こる症状だと考えられています。

 

強皮症では、血管障害が原因で手の指が白や紫、赤色に変色するレイノー現象という症状が現れます。そのため、血管障害も要因の1つとして考えられています。

 

ほとんどの強皮症の人には自己抗体があります。これは、自分自身が間違えて自分自身の体の成分を攻撃して破壊しようとする自己免疫の状態が起こることによって起きます。そのため、自己免疫も強皮症の要因の1つと考えられるのです。

強皮症は非常に複雑な自己免疫性の病気で、体の免疫システムが誤って健康な体組織を攻撃し、皮膚や内臓に硬化を引き起こすという特徴があります。特に皮膚が硬くなり、手や顔などの皮膚が引き締まる症状が典型的です。しかし、これは皮膚だけに限らず、食道、肺、心臓、腎臓などの内臓にも影響を及ぼすことがあります。

 

この病態の発症には、遺伝的要因、環境要因、免疫応答の異常など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられています。それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

 

遺伝的要因:

 

強皮症は特定の家系で多発するという形の遺伝性の病気ではありませんが、中には家族に同様の自己免疫性の病気の既往がある場合もあります。これは、特定の遺伝子が強皮症の発症リスクを高める可能性があることを示しています。

 

環境要因:

 

強皮症の発症には、特定の環境要因も関与していると考えられています。たとえば、シリコンや有機溶剤に曝露された人々は強皮症のリスクが高まるとの研究結果があります。また、一部のウイルス感染が強皮症の発症を促進する可能性も指摘されています。

 

免疫応答の異常:

 

強皮症は自己免疫性の病気であり、免疫システムの誤作動が病態を引き起こす主な要因です。特に、体内の線維芽細胞が過剰に活性化し、正常には必要のないコラーゲンというタンパク質を大量に産生するという現象が起こります。この結果、皮膚や内臓組織が硬くなり、正常な機能を果たせなくなるという問題が生じます。さらに、免疫系の異常活性化により、慢性的な炎症反応が引き起こされ、この炎症が組織の硬化をさらに進行させると考えられています。

 

なぜ免疫系が誤って自身の体を攻撃するようになるのかについては、まだ完全には解明されていません。しかし、ある種の感染症が引き金となり、免疫系の誤作動を引き起こす可能性が提唱されています。具体的には、体内でウイルスが増殖する過程で産生される分子が、自身の体の分子に似た形状をしているため、免疫系が誤って自身を攻撃するようになるという仮説です。これは分子相同性と呼ばれる現象で、自己免疫の病気の一部についての説明の一つとされています。

 

ホルモンとの関連:

 

強皮症は女性に多く見られ、特に閉経後の女性に頻繁に発症する傾向があります。これは、性ホルモンが強皮症の発症に何らかの影響を与えている可能性を示しています。現在のところ、エストロゲン(女性ホルモン)が免疫反応を調節する役割を持つことが知られていますが、具体的なメカニズムはまだ十分に解明されていません。

 

強皮症の原因については、上記の要素が複雑に絡み合っていると考えられています。それぞれの要因がどの程度影響を及ぼすのか、またそれらがどのように相互作用して病態を引き起こすのかについては、今後の研究によって明らかになることでしょう。

強皮症の症状の特徴は、皮膚や内臓が硬くなること

強皮症の症状の特徴は、皮膚や内臓が硬くなることです。多くの場合、強皮症はレイノー現象から突然はじまります。時間が経つと、手の指から少しずつ全身の臓器まで硬くなっていくという症状が出てきます。

 

レイノー現象とは、血管障害が原因で手の指が白や紫、赤色に変色する症状です。洗い物や洗濯など冷たいものを触ったときや、気温が低く寒い場所に行った時などに、突然手の指が真っ白になったり、白や紫、赤に変色したりする現象がレイノー現象です。

皮膚が硬くなる症状が手の指や足だけに起こる場合は限局皮膚硬化型の強皮症と言います。皮膚が硬くなる部位が手や指だけでなく胸や腹部の皮膚まで硬くなる場合はびまん皮膚硬化型の強皮症と言います。

 

強皮症は、人によって病気の進むスピードや症状が起きる臓器が違宇野です。そのため、定期的に調べることが必要です。

皮膚症状:

 

強皮症の最も顕著な症状は皮膚の硬化です。最初に手や顔の皮膚が硬くなり、次第に体の他の部分へと広がります。特に手指の皮膚が硬く引き締まるため、指の関節の動きが制限される「クロー手」が典型的な症状です。

 

皮膚の変化は、硬化だけでなく色素沈着や白斑、小さな血管の拡張(テレンジェクタジア)なども見られます。また、体温変化やストレスにより手足が白くなったり青くなったりする「レイノー現象」も多く見られます。

 

内臓症状:

 

強皮症では皮膚だけでなく、食道、肺、心臓、腎臓などの内臓にも硬化が生じることがあります。その結果、様々な内臓症状が出現します。

 

食道の硬化は飲食に関連する問題を引き起こします。具体的には、食物の進行が困難になる「飲食困難」、胃酸が逆流して喉や口に達する「逆流性食道炎」などの症状が現れます。

 

肺の硬化は「間質性肺炎」を引き起こし、呼吸困難や息切れ、咳などの症状を引き起こします。重症化すると肺高血圧症を引き起こす可能性もあります。

 

心臓への影響は「心筋線維症」や「心膜炎」を引き起こし、胸痛や呼吸困難、心不全などを引き起こすことがあります。

 

腎臓に影響が及ぶと「強皮症腎症」が起こり、血圧上昇や尿素やクレアチニンといった腎臓の働きを反映する値の上昇、さらには腎不全を引き起こす可能性があります。

 

関節と筋肉の症状:

 

強皮症による組織の硬化は、関節の動きを制限するとともに、筋力の低下や筋肉痛を引き起こします。これにより日常生活の動作、例えば開け閉め、掴む、持ち上げるなどが困難になることがあります。

 

その他の症状:

 

また、一部では、口の開きが小さくなり、歯を磨くのが難しくなる「マウスピース症候群」が見られます。これは、皮膚が硬く引き締まることによるもので、食事の摂取や発声にも影響を及ぼす可能性があります。

 

更に、乾燥した目や口、「ショーグレン症候群」の症状が現れることもあります。これは涙腺や唾液腺の働きが低下するためで、これにより目や口の乾燥、口内炎、歯周病などの問題が生じます。

 

これらの症状は個人によってそれぞれ異なり、一部では皮膚の症状が主である一方で、他のでは内臓の症状が主となることがあります。また、症状の進行速度も個人により大きく異なり、一部では数年で症状が安定する一方で、他では徐々に悪化していくこともあります。

その人に合った改善方法を見つけて改善に取り組むことが大事

強皮症を完全に改善するための薬は、現在はまだありません。

 

しかし近年、ある程度は効果を期待することができる改善方法がわかってきました。特に、効果が最も期待できるのは、強皮症を発症して5~6年以内のびまん型全身性強皮症です。

 

代表的な改善方法は、ステロイドの内服、シクロホスファミド、プロトンポンプ阻害剤、プロスタサイクリン、ACE阻害剤、エンドセリン受容体拮抗剤などです。

限局皮膚硬化型全身性強皮症の場合は皮膚が硬くなる範囲が比較的小さいため、症状を抑えることも目的に改善を行います。

 

強皮症の症状は個人差が大きいです。そのため、その人に合った改善方法を見つけて改善に取り組むことが大事です。医師と相談して、症状に合った薬などを使い、改善を行いましょう

 

強皮症は自己免疫に関する病気であり、現在では完全に改善することは難しいとされています。しかし、適切な改善を行い生活習慣を改善することにより、症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることは可能です。

 

薬:

 

強皮症の改善は、まず免疫系の活動を抑制し、組織の硬化や炎症を減らすことが目指されます。これにはステロイドや免疫抑制剤(メトトレキサート、シクロスポリン、アザチオプリン等)が使用されます。また、皮膚の硬化を改善するためにミノサイクリンという抗生物質が使用されることもあります。

 

肺や心臓、腎臓などの内臓症状に対しては、各種の薬が用いられます。例えば、肺の問題に対してはACE阻害剤や血管拡張剤、肺線維症を抑制する薬が使われ、腎臓の問題に対しては血圧を下げる薬が使われます。

 

物理的な方法:

 

物理的な方法は強皮症の改善において重要な役割を果たします。皮膚の硬化と筋力低下により引き起こされる運動制限や機能的障害を改善することを目指します。これには、筋力トレーニングやストレッチング、関節の可動域を保つエクササイズなどが含まれます。

 

生活習慣の改善:

 

強皮症の改善には、適切な生活習慣の改善も重要です。健康的な食事、定期的な運動、十分な休息は身体全体の健康を維持するだけでなく、病状の安定にも寄与します。特に、食道の問題がある場合は、食事の摂取方法の改善や飲食内容の調整が必要となります。

 

心理的支援:

 

強皮症は身体的な症状だけでなく、患者の精神的な健康にも影響を及ぼします。そのため、心理的な支援も非常に重要です。カウンセリングや心理的支援が不安やうつ病を緩和し、生活の質を向上させるのに役立ちます。

 

補助具の使用:

 

強皮症による運動制限や機能的障害に対処するために、様々な補助具が利用できます。例えば、大きな取っ手や滑り止めの付いた工具を使うことで、日常生活の動作が容易になります。また、歩行器や杖は移動の安全性と自立性を向上させます。

 

未来の改善法:

 

現在、新たな改善法が研究されています。免疫抑制剤や生物学的製剤が更に進化し、強皮症の改善方法の選択肢が増えてきています。また、幹細胞を利用する方法も期待されており、これにより身体の免疫系を「リセット」することができるかもしれません。

 

強皮症の改善方法は、複数のアプローチを組み合わせた包括的なものでなければなりません。そしてそれは、一人一人の症状や生活状況に合わせてカスタマイズされるべきです。

強皮症は、国が指定する難病に指定されている

ほとんどの場合、強皮症の改善には長い期間がかかります。入院が必要であったり、継続的に調べたり薬を使用したり必要があったりします。

 

強皮症は、国が指定する難病に指定されています。そのため、強皮症を改善するためにかかる費用の一部では、支払いが軽減されるものもあります。改善のためには費用もかかりますが、根気よく改善に取り組むことが大事です。

 

強皮症は難しい病気です。周りの人が温かく見守り手助けをすることが必要です。1番近くで支えることができる家族などの親しい人が支えることがとても重要になります。

強皮症の改善例

強皮症は個人に対して症状や進行度が大きく異なる病気であるため、改善のアプローチもそれぞれに異なります。

 

ケース1:40代女性

皮膚の硬化と関節の痛みを主訴とし、強皮症と判断されました。彼女の主な症状は皮膚の硬化と関節の痛みで、内臓に大きな影響は見られませんでした。

 

まず、皮膚の硬化と炎症を抑えるために免疫抑制剤とステロイドを処方しました。関節の痛みを緩和するために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も追加しました。また、専門家と運動プログラムを作成し、関節の可動域を維持し筋力を保つことを目指しました。彼女の症状は徐々に改善され、生活の質が向上しました(参考:日本リウマチ学会)。

 

ケース2:50代男性

長期間の進行性で肺の問題を伴う強皮症を経験していました。彼の主な改善の目標は、肺線維症の進行を遅らせ、呼吸困難を緩和することでした。

 

改善方法としては、免疫抑制剤とステロイドの他に、肺線維症の進行を遅らせる新たな薬(例:ニンテダニブ、ピルフェニドン)も使用しました。また、酸素の補給も導入し、彼の酸素摂取量を増やし呼吸困難を軽減しました。さらに、彼は呼吸リハビリテーションプログラムに参加し、適切な呼吸法と運動を学びました。

 

他には、肺線維症の進行を遅らせるための定期的なモニタリングと調整が必要でした。定期的な肺機能テストやCTスキャンを行い、効果を評価しました。また、他の内臓の影響を抑えるために、関連する内科医や腎臓専門医との協力も行いました。

 

彼は継続的なフォローアップとサポートを受けながら、病状の進行を抑えることに成功しました。

 

強皮症の改善方法は個人に合わせてカスタマイズされる必要があります。また、強皮症の改善は長期にわたるものであり、病気の経過やニーズに合わせて継続的に見直される必要があります。

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