公開日:2022年 8月 1日
更新日:2024年 3月 3日
本日は脂肪萎縮症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
脂肪萎縮症は、皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が減ったり消えたりする病気です。
脂肪萎縮症には遺伝子の異常で発症する先天性、家族性、自己免疫異常などで発症する後天性があり、先天性でも家族性でも後天性でも、全身性の脂肪が減る脂肪萎縮症と、部分的に脂肪が減る部分性の脂肪萎縮症があります。
よって、一般的に脂肪萎縮症は先天性全身性脂肪萎縮症、家族性部分性脂肪萎縮症、後天性全身性脂肪萎縮症、後天性部分性脂肪萎縮症の4つのタイプに分けられます。
後天性全身性脂肪萎縮症は1:3の割合で男性より女性に多いと言われており、後天性部分性脂肪萎縮症は1:4の割合で男性より女性に多いと言われています。
脂肪萎縮症には、脂肪萎縮症は先天性全身性脂肪萎縮症、家族性部分性脂肪萎縮症、後天性全身性脂肪萎縮症、後天性部分性脂肪萎縮症の4つのタイプがあります。そのため、原因もタイプによって違います。
先天性全身性脂肪萎縮症の原因は、遺伝子の異常です。原因となる遺伝子にはBSCL2、GPAT2、CAV1、PTRFが挙げられています。特に日本では、BSCL2遺伝子の異常によって発症することが1番多いと言われています。
家族性部分性脂肪萎縮症の原因も、遺伝子の異常で、原因となる遺伝子にはLMNAやPPARGなどが挙げられてます。
後天性の場合は、自己免疫異常が原因であることが多いと言われています。後天性全身性脂肪萎縮症の原因の多くは、皮下脂肪織炎や若年性皮膚筋炎、若年性関節リウマチなどの膠原病です。
後天性部分性脂肪萎縮症は、C3補体価の低下や膜性増殖性糸球体腎炎が原因であることが多いと言われています。
脂肪萎縮症は、体の一部分の脂肪組織が減少または消失することで特徴づけられる状態です。この現象は、皮膚下の脂肪が失われることにより、皮膚がへこんで見えることがあります。脂肪萎縮症には、原因に応じてさまざまなタイプが存在しますが、その原因は多岐にわたります。
・注射による脂肪萎縮
原因: ステロイド注射や他の薬剤の局所注射が直接的な原因となり、注射部位の皮膚下脂肪組織が萎縮することがあります。
・圧迫による脂肪萎縮
原因: 狭い靴を履くことによる足の脂肪など萎縮長期間にわたる圧迫が原因で発生することがあります。
・炎症性の病気
原因: ループスや強直性脊椎炎などの炎症性の病気は、皮膚やその他の組織に炎症を引き起こし、脂肪組織の萎縮を促進することがあります。
・皮膚の病気
原因: 硬結性苔癬や全身性硬化症などの膠原病の特定の皮膚の病気は、脂肪萎縮を引き起こすことがあります。
・脂肪再分配症候群
原因: HIVの薬などの特定の薬剤が原因で、体内の脂肪分布が変化し、脂肪が一部の体部位から他の部位へ再分配されることがあります。
・遺伝的要因
原因: いくつかの遺伝的病気は、先天的な脂肪組織の減少や萎縮を引き起こします。
・自己免疫性の病気
原因: 体の免疫システムが誤って健康な脂肪組織を攻撃し、脂肪萎縮を引き起こす場合があります。
脂肪萎縮症の症状は、皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が減ったり消えたりすることです。
先天性全身性脂肪萎縮症で現れる症状は、全身の脂肪組織が消えたり筋肉質な見た目になったり、皮膚に色素沈着が見られたりすることです。このような症状は生まれた時から現れます。他にも末端巨大症様顔貌や臍ヘルニア、心筋肥大も見られます。
糖尿病や脂質異常も現れ、高血糖や高インスリン血症、高中性脂肪血症、脂肪肝なども見られます。女性の場合は、性器肥大や多毛症、多発性卵巣嚢胞症候群、無月経も見られます。
家族性部分性脂肪萎縮症で現れる症状は、異常が起こる遺伝子によって違い、四肢の皮下脂肪が減り頭頸部や上背部に脂肪組織が溜まる症状や四肢の脂肪が萎縮し頭頸部の脂肪組織の萎縮が現れる症状がみられます。
インスリン抵抗性糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝、多発性卵巣嚢胞症候群や無月経などは家族性部分性脂肪萎縮症でも多く見られる症状です。
後天性全身性脂肪萎縮症で現れる症状は、筋肉質な見た目や皮膚の色素沈着、末端巨大症様顔貌、心筋肥大などです。症状は小児期より後に発症します。
女性の場合は、性器肥大や多毛症、多発性卵巣嚢胞症候群、無月経も現れます。先天性全身性脂肪萎縮症と同じく後天性全身性脂肪萎縮症でも糖尿病や脂質異常、高中性脂肪血症、脂肪肝も現れます。
後天性部分性脂肪萎縮症の症状は、腹部から上半身の脂肪組織が減って下半身の脂肪組織が増えることです。糖脂質代謝異常が現れることもありますが症状の程度は軽いです。後天性部分性脂肪萎縮症は、小児期から思春期にかけて発症することが多いです。
脂肪萎縮症は、体の一部または広範囲にわたって脂肪組織が減少または消失することを特徴とする状態です。この状態は、さまざまな原因によって引き起こされ、外見上および機能上のさまざまな症状を引き起こすことがあります。主な症状には以下のようなものがあります。
・皮膚の変化
へこみやくぼみ: 皮膚下の脂肪組織が失われることで、皮膚表面にへこみやくぼみが現れます。これは手や足、顔など体の任意の部位に発生する可能性があります。
皮膚の薄さ: 脂肪組織の減少は皮膚のサポートを失わせ、皮膚が薄くなったように見えることがあります。
・身体的な不快感
圧痛: 脂肪組織の減少した部位は、触れられると不快感や痛みを感じることがあります。
冷感: 脂肪組織には保温の役割もあるため、その減少は特定の部位が冷えやすくなる原因となることがあります。
・運動機能への影響
筋力の低下: 脂肪組織は、筋肉の動きをサポートし、エネルギーを供給する役割も担っているため、その萎縮は筋力の低下や疲労感を引き起こす可能性があります。
・美容的な問題
外見の変化: 顔や体の特定の部位の脂肪組織が減少することで、外見上の問題を引き起こすことがあります。例えば、顔の脂肪萎縮は老化のサインと誤解されることがあります。
・精神的影響
自尊心の低下: 外見の変化は自信の喪失や自尊心の低下を引き起こすことがあります。
社会的孤立: 外見への過度の意識は、社会的な状況を避けるようになる原因となることがあります。
脂肪萎縮症の改善方法は今のところありません。そのため、脂肪萎縮症に対しては、美容上の問題を改善するために手術を行ったり、糖尿病や高中性脂肪血症などの代謝合併症に対して改善を行ったりします。
脂肪萎縮症によって現れる高血糖や高中性脂肪血症に対してはレプチン製剤であるメトレレプチンが使われます。
レプチンには食欲を抑える効果やインスリン抵抗性を改善する効果があるため、インスリン抵抗性や高インスリン血症が原因によって起こる皮膚の色素沈着や脂肪肝を改善するために効果を発揮します。
さらにレプチンは、脂肪萎縮症によって起こる無月経にも効果あることが報告されています。
脂肪萎縮症の改善は、その原因、範囲、および症状によって異なります。一般的な改善法には薬、物理的方法、外科的方法が含まれますが、すべてのケースにおいて改善法が存在するわけではなく、場合によっては症状の管理に焦点を当てることになります。以下に、脂肪萎縮症の改善法をいくつか紹介します。
・薬
抗炎症薬: 炎症性の病気による脂肪萎縮の場合、非ステロイド性抗炎症薬やコルチコステロイドが炎症を抑制し、症状を軽減するために使用されることがあります。
免疫調節薬: 自己免疫性疾患が原因の場合、免疫系の活動を抑えることで炎症を減少させ、脂肪組織のさらなる損傷を防ぐために免疫調節薬が用いられることがあります。
・物理的方法
マッサージ: 一部のケースでは、マッサージが血行を促進し、萎縮した脂肪組織の状態を改善するのに役立つことがあります。
圧力法: 圧力法は、特定の脂肪萎縮症の症例において、脂肪組織の回復を促すことが報告されています。
・外科的方法
脂肪移植: 自分の体の他の部位から採取した脂肪を、萎縮した部位に移植することで外見を改善する方法です。顔や手など、特に外見に影響する部位に用いられます。
充填剤の注入: ヒアルロン酸やポリ乳酸などの充填剤を注入することで、へこんだ部分を一時的に改善します。この方法は、特に美容的な目的で用いられます。
・レーザー
レーザー: 皮膚の質感や外見を改善するために、レーザーが用いられることがあります。
・生活習慣の変更
栄養管理: 健康的な食事をとることで、全体的な皮膚の健康を改善し、可能な限り脂肪組織の健康を維持します。
脂肪萎縮症の改善方法は、原因を特定し、可能な限りその原因を取り除くことが重要です。改善症状、健康状態、および改善の目的に応じて個別に調整される必要があります。
脂肪萎縮症の改善に使用される薬は、その原因や関連する症状に基づいて選択されます。以下に、脂肪萎縮症に関連して使用される可能性のある薬物の種類と、それらの一般的な効果および副作用を説明します。
【抗炎症薬】
・非ステロイド性抗炎症薬
効果: 炎症を抑制し、痛みを軽減します。
副作用: 消化性潰瘍、腎臓機能の障害、心臓病リスクの増加など。
・コルチコステロイド
効果: 強力な抗炎症作用があり、炎症を引き起こす自己免疫反応を抑えます。
副作用: 体重増加、骨粗しょう症、高血圧、糖尿病リスクの増加、皮膚の薄化など。
【免疫調節薬】
・免疫抑制剤
効果: 免疫系の活動を抑制し、自己免疫による脂肪組織の損傷を減少させます。
副作用: 感染症のリスク増加、肝臓機能障害、骨髄抑制など。
【トピカル法】
・局所ステロイド
効果: 局所的な炎症を抑制します。
副作用: 長期使用による皮膚の薄化、色素沈着、局所的な毛の増加など。
【充填剤】
・ヒアルロン酸やポリ乳酸などの充填剤
効果: 脂肪萎縮による皮膚の凹みを一時的に改善します。
副作用: 注入部位の赤み、腫れ、痛み、稀に感染やアレルギー反応。
特定の薬は、脂肪萎縮症の原因となる病気の性質に大きく依存します。例えば、自己免疫性の病気による場合は免疫調節薬が、炎症による場合は抗炎症薬が主に使用されます。
食事によって摂取したエネルギーの中で身体活動などで使われなかったエネルギーの多くは、通常脂肪組織に溜まります。
しかし、脂肪萎縮症の場合、脂肪組織が減っていたり消えていたりするため、使われなかったエネルギーは糖や中性脂肪として血液の中にあふれたり、肝臓や筋肉などに溜まったりします。
そのために糖尿病や脂質異常が悪くなるのです。そのため、脂肪萎縮症を発症した場合は、身体活動に合わせて適切なエネルギーの摂取を心がけることが大事です。
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