薬剤起因性腸炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 10月23日

更新日:2025年 12月 9日

本日は薬剤起因性腸炎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 薬剤起因性腸炎とは
  • 薬剤起因性腸炎の症状
  • 薬剤起因性腸炎の改善方法
  • 薬剤起因性腸炎にかかる費用
  • 薬剤起因性腸炎のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

薬剤起因性腸炎は、薬によって引き起こされる腸炎のこと

薬剤起因性腸炎は、薬によって引き起こされる腸炎のことです。薬剤性腸炎と呼ばれることもあります。

 

原因となる薬は、抗生物質や非ステロイド性抗炎症剤など多くあります。消化管の粘膜に障害が起きるため、下痢や腹痛などの症状が現れます。

 

発症した場合は、原因となっている薬をやめることが大事です。

薬剤起因性腸炎の原因は、薬

薬剤起因性腸炎の原因は、薬です。原因となる薬は、抗生物質や非ステロイド性抗炎症剤、プロトンポンプ阻害薬や抗がん剤、漢方薬の一部などです。

 

原因となる抗生物質はいろいろありますが、中でも広域セフェム系抗生物質は腸炎を起こすことが多いと言われています。

 

NSAIDsは、痛み止めとして使われることが多い薬ですが、NSAIDsによって腸管の血流が変わるため粘膜障害が進むことがあると考えられています。

原因になる可能性がある薬

① 非ステロイド性抗炎症薬

アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、セレコキシブ

 

② 抗菌薬(抗生物質)

クリンダマイシン、セフェム系抗生物質、フルオロキノロン系、アモキシシリン/クラブラン酸、リファンピシン

 

③ 免疫抑制薬・生物学的製剤

メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、TNFα阻害薬、IL-17阻害薬、JAK阻害薬

 

④ 抗がん剤

5-FU、イリノテカン、メトトレキサート、シスプラチン、パクリタキセル

 

⑤ 降圧薬

オルメサルタン、アンジオテンシン受容体拮抗薬、ACE阻害薬

 

⑥ 抗不整脈薬

アミオダロン、ジゴキシン

薬剤起因性腸炎によって現れる症状は下痢や腹痛などの消化器症状

薬剤起因性腸炎によって現れる症状は、下痢や腹痛などの消化器症状です。このような症状は、消化管の粘膜障害によって起きます。

 

原因となっている薬によって下痢の回数や性状など症状の程度は違います。また、消化器症状以外にも発熱や食欲不振、倦怠感などが現れることもあります。

 

他にも、貧血が進み、顔色不良や動悸、疲れやすさなどの症状が現れることもあります。

 

腸の運動に大きく障害が起き、麻痺性イレウスや中毒性巨大結腸症などを合わせて発症することもあります。その場合、嘔吐や腹痛が強くなり最悪の場合、命に関わることもあります。

主な症状

① 消化器症状

下痢(慢性的または急性)

水様性の下痢が多いですが、時に粘液便や血便を伴うこともあります。抗生物質による偽膜性腸炎の場合は、悪臭のある水様性下痢が特徴的です。NSAIDsによる腸炎では、持続的な下痢と腹痛を伴うことが多く、オルメサルタンによる薬剤性腸炎は、セリアック病に似た慢性的な水様性下痢が特徴です。

 

腹痛

軽度から重度のけいれん性腹痛が見られます。腸の炎症が進むと、圧痛が顕著になります。NSAIDs性腸炎では、小腸や大腸の一部に潰瘍や狭窄ができることで痛みが増します。

 

腸閉塞

長期間の薬剤性腸炎によって、腸の粘膜が線維化し、狭窄を起こします。NSAIDsの長期使用が原因となることが多く、腹部膨満感、便秘、嘔吐を伴い、重症の場合は緊急手術が必要です。

 

血便、粘血便

偽膜性腸炎では、炎症が進行すると血性下痢が出現することがあります。NSAIDs、抗がん剤による腸炎でも、腸粘膜の損傷により血便が発生することがあります。

 

②全身症状

・発熱

抗生物質による偽膜性腸炎では、高熱が出ることがあります。免疫抑制による腸炎では、免疫反応による発熱が見られます。

 

脱水症状

下痢が長引くと水分と電解質の喪失が進み、脱水症状が発生します。口渇、めまい、低血圧、動悸が現れることがあります。

 

・体重減少

NSAIDs、降圧薬起因の腸炎では、長期間の栄養吸収不良が原因で体重が減少します。腸粘膜の炎症が強い場合、食事の吸収効率が悪くなるため、短期間で大幅に体重が減ることもあります。

 

③ 重症例でみられる症状

中毒性巨大結腸症

偽膜性腸炎が悪化し、大腸が異常に拡張する危険な状態のことで、腹部の膨満感、激しい腹痛、発熱、頻脈、ショック状態が見られます。放置すると腸が破裂し腹膜炎につながることもあります。

 

腸穿孔

NSAIDsの長期使用、抗がん剤の副作用で腸の壁が破れ、腹膜炎を起こすことがあります。急激な腹痛、発熱、嘔吐、意識混濁などがみられ、緊急手術が必要になる場合があります。

 

全身性炎症反応症候群

腸の炎症が広がり、全身に炎症が現れます。血圧低下、発熱、白血球増加、意識障害が進行します。

薬剤起因性腸炎の改善方法は、原因となっている薬を止めること

薬剤起因性腸炎の改善方法は、原因となっている薬を止めることです。

 

腸管の安静を保つために一時的に絶食をしたり、脱水を防ぐために補液が行われたり、症状を改善するために内服薬を使ったりすることもあります。

 

薬剤起因性腸炎は、原因になっている薬によって経過や注意点などが違います。そのため、早く病院に行くことが大事です。

主な改善方法

① 原因薬剤の中止・変更

薬剤が特定できた場合、可能であれば中止または別の薬に変更します。ただし、病気の治療に必須の薬の場合は、減量や他の方法と組み合わせることで対応します。

 

② 食事

腸の炎症を鎮めるため、消化に優しい食事を心がけることが重要です。推奨される食品は、おかゆ、白米、うどん、豆腐、卵、鶏ささみ、バナナ、りんごなどです。

 

③ 薬

腸の炎症や下痢、腸内環境の乱れを改善するために、症状に応じた薬を使います。腸内細菌を整えるためにはビオフェルミン、ラクトミンなどを使うことが多いです。

 

④ 点滴

高度な脱水症状がある場合は生理食塩水や電解質補充液を点滴します。重症の電解質異常がある場合は入院管理が必要です。

 

⑤ 手術

腸穿孔、中毒性巨大結腸症、NSAIDs性腸炎による重度の腸狭窄や閉塞の場合は手術が必要になります。

薬剤起因性腸炎の避けた方が良い食べ物

・腸を刺激する食品(唐辛子、アルコール、カフェイン)

・高脂肪食品(揚げ物、バター、チーズ、牛カルビ)

・高食物繊維食品(キャベツ、生野菜、玄米、さつまいも)

・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)

・人工甘味料(ゼロカロリー飲料、キシリトールガム)

偽膜性腸炎と出血性腸炎

偽膜性腸炎は、基礎的な病気のある高齢者に多くみられます。症状の特徴は、抗生剤を投与してから5~10日後に発生する水のような下痢です。他にも、腹鳴や下腹の鈍痛、腹部膨満感、中等度の発熱などの症状も現れます。

 

出血性腸炎は、比較的健康な若い人に多く見られます。風邪などを改善するためにペニシリン系抗生剤を投与してから3~4日後に、突然の激しい腹痛と新鮮な血性下痢がみれらます。

薬剤起因性腸炎に効果的なツボ

中脘

裏内庭

太白

中脘

中脘は、消化不良を改善したり、水分代謝を促進したりする働きがあります。

 

胃腸の不調に対して全般的に効果を発揮すると言われているツボのため、薬剤起因性腸炎によって現れる下痢や腹痛などの症状にも効果が期待できます。

裏内庭

裏内庭は、消化器官の働きを促して胃腸の働きを整える効果があるツボです。特に、食あたりや食べすぎに対して使われることが多いです。

 

他にも、腹痛や下痢、嘔吐、食中毒などにも効果的であると言われているため、薬剤起因性腸炎の症状にも役立つと考えられます。

太白

太白は、消化吸収の働きを促進する効果のあるツボです。胃もたれや食欲不振に使われることが多いです。

 

食べる前に刺激することも、胃腸の調子を整えることに役立つと言われており、胃もたれや腹痛などの予防にも効果を発揮します。

ツボの位置と押し方

中脘

中脘は、みぞおちとおへそを線で結んだ時の真ん中あたりにあります。

 

押すときは強く押しすぎないように注意して押します。押すことも良い刺激方法ですが、カイロや温タオル、市販のお灸などで温めることもおすすめの方法です。

裏内庭

裏内庭は、足の裏にあるツボです。足の人差し指を折り曲げたとき、指の腹が触れる場所にあります。

 

押すときは、気持ち良いと感じる程度の力加減で押します。押しすぎるとよくないこともあるため注意が必要です。

太白

白の場所は、親指の付け根にある出っ張った骨の下のあたりです。

 

押すときは気持ち良いと感じるくらいでの力で押します。強い力で思いっきり押したり長い時間同じ場所押したりすると、症状の悪化につながる可能性もあるため注意しましょう。痛い場合は、ツボの周りを軽く揉んだりさすったりたたいたりしてから押すことをお勧めします。

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