公開日:2021年 2月 1日
更新日:2021年 5月 15日
本日は下肢静脈瘤について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
下肢静脈瘤は、下肢静脈瘤は足の血管の病気です。下肢静脈瘤では、足の静脈がコブのようにふくらみます。地域によっては、すばこと呼ぶところもあります。
下肢静脈瘤とは足の血管がふくれてコブの様になる良性の病気です。そのため、改善するための処置をしなくても急に悪くなったり命に関わったりすることはありません。
しかし、自然に改善することもありません。見た目の面で足にコブの様な血管が目立ったりするという問題があります。さらに、慢性的にだるさやむくみなどの症状が起こるという問題も起きます。
日常的に足のだるさやむくみなどの症状が起こるため、生活の質が低下してしまうことが考えられます。
症状が重い場合は、湿疹ができたり、皮膚が破れたり、血が出たりすることがあります。そのような場合、できるだけ早く専門の病院にいくことをお勧めします。
足の静脈は、心臓から足に送られて使い終わって汚れた血液を心臓に戻すという働きをしています。
重力と反対に足から心臓に血液を送るため、静脈の中にはハの字型の弁があります。この弁は立っている時、血液が足に戻って逆流してしまわないためのものです。
下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れることが原因で起こります。弁が壊れてきちんと閉まらない状態になることによって下流の静脈に血液がたまるため、静脈がコブのように膨らむということが起きるのです。そして汚れた血液が足にたまることによって足のむくみやだるさが起きます。
下肢静脈瘤は女性に多い病気で、年代は歳を重ねるにつれて増えています。
弁が壊れる原因には、遺伝性があります。両親とも下肢静脈瘤の場合、将来的には子供も90%の確率で発症するという報告もあります。
さらに、妊娠も弁が壊れる原因の1つです。妊娠している時はホルモンの影響によって静脈が柔らかくなるため弁が壊れやすくなるのです。立ち仕事の人も発症しやすいです。特に、1日10時間以上立つような販売員や美容師などの仕事をしている人は要注意です。
肥満や便秘なども下肢静脈瘤を悪化させるための要因となるため、注意が必要です。
下肢静脈瘤の主な原因は、静脈弁の機能不全です。私たちの血液は心臓から全身へ酸素と栄養素を運び、使用済みの血液を心臓に戻すことで循環しています。下肢から心臓へ血液を送り返す役割を果たしているのが、下肢の静脈です。これらの静脈内には弁が存在し、一方通行の血液の流れを保つ役割を果たしています。
しかし、弁の機能が不全になると、血液が逆流し、静脈内に血液がたまる「静脈うっ滞」が生じます。この静脈うっ滞が長期間続くと、静脈壁が拡張し、静脈瘤を形成します。
遺伝的要因
次に、下肢静脈瘤は遺伝的要因により発生することもあります。親や兄弟姉妹に下肢静脈瘤の既往がある場合、そのリスクは高まると言われています。
加齢
加齢もまた、下肢静脈瘤の一因となります。年齢と共に体の組織は弾力を失い、静脈壁もまた例外ではありません。静脈壁が弱くなると、血液の重力に耐え切れず、血液がたまりやすくなります。
肥満
また、肥満が下肢静脈瘤の原因になることもあります。体重が増加すると、下肢の静脈にかかる圧力が増加し、それが静脈弁の負担を増大させます。これが静脈弁の機能不全を引き起こし、結果として静脈瘤が形成される可能性があります。
長時間の立位や座位
さらに、立ち仕事や長時間座っている生活習慣も下肢静脈瘤のリスクを増加させます。長時間立っていると、重力により下肢の静脈に血液が溜まりやすくなり、その結果、静脈弁に大きな負荷がかかります。また、長時間座っていると、膝や股関節が曲がった状態になるため、血液の流れが妨げられ、静脈内の血液が滞りやすくなります。
妊娠
妊娠も下肢静脈瘤の一因となります。妊娠中、女性の体は胎児の成長を支えるために血液量を増やしますが、これにより静脈にかかる負担が増大します。さらに、成長する子宮が骨盤内の静脈を圧迫し、血流を妨げる可能性があります。これらの変化が静脈弁の負担を増大させ、結果として静脈瘤が形成される可能性があります。
ホルモン
ホルモンの影響も見逃せません。特に女性ホルモンは静脈壁を弛緩させる効果があり、これが静脈瘤の形成を助ける可能性があります。そのため、女性ホルモンを含む避妊薬やホルモンの補充を行っている方は注意が必要です。
以上のように、下肢静脈瘤の原因は多岐に渡ります。しかし、これらの原因に当てはまるからといって必ず静脈瘤が発生するわけではありませんし、逆にこれらのリスク要因が一つも当てはまらないからといって、静脈瘤が発生しないわけでもありません。各人の体質や生活習慣、病歴等が総合的に影響して下肢静脈瘤が発生するのです。
健康な血流を保つためには、日々の生活習慣が大切です。以下に、下肢静脈瘤の予防や進行抑制に役立つライフスタイルの提案をいくつか述べます。
適度な運動
適度な運動は血液循環を良くするだけでなく、体重の管理にも役立ちます。特に、ウォーキングや水泳、ヨガなどの低インパクトな運動は下肢の筋肉を活用し、静脈血の心臓への還流を助けるため、静脈瘤の予防に有効です。
健康的な食事
塩分の摂取を控えることで血圧の上昇を防ぎ、静脈にかかる負荷を軽減します。また、飽和脂肪や砂糖の摂取を控え、フルーツ、野菜、全粒穀物、魚などの健康的な食事を心掛けることで、体重管理にも寄与します。
適切な体重の維持
肥満は下肢静脈瘤のリスクを増大させますので、適切な体重の維持が重要です。健康的な食事と適度な運動により、体重を管理することが可能です。
定期的な休憩
立ち仕事や長時間の座位は下肢静脈瘤のリスクを増大させます。そのため、定期的に休憩を取り、足を動かすことで血流を改善します。
下肢静脈瘤の主な症状はふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみなどです。このような症状は、1日中ずっと起こる症状ではありません。長い時間立っていた後や、昼から夕方にかけての時間に起こることが特徴で、右と左で程度が違うことも多いです。
夜、寝ているときこむら返りが起こることも下肢静脈瘤の症状の1つです。
湿疹ができたり色素沈着が起こったりすることもあります。これは、皮膚の循環が悪くなることが原因です。さらに悪くなると皮膚が破れたり、血が出たりすることもあります。
ほとんどの下肢静脈瘤の症状はふくらはぎに起こります。
しかし、全ての足に起こる症状が静脈瘤が原因ではありません。足の症状は、変形性膝関節症や脊柱管狭窄症などの他の病気で起こることもあります。何が原因かわからず心配に思う人は病院に行き相談することをお勧めします。
脚の見た目の変化
下肢静脈瘤の最も一般的な症状は、足の表面が突き出て静脈が見えるようになることです。静脈瘤は静脈が拡張し、血液が滞ることにより生じます。これにより、皮膚の表面から青紫色の静脈が蛇行するように見えることがあります。
脚の痛みと不快感
多くの人は、足の重だるさ、疲労感、脚のつっぱり、痛み、痒みなどの不快感を経験します。これらの症状は通常、長時間立っているか座っている後、特に夕方や夜に悪化することがあります。
足のむくみ
静脈瘤が進行すると、足や足首にむくみが生じることがあります。これは、血液が下肢の静脈内で滞ることにより生じるもので、特に日中の活動後に現れることが多いです。
足の皮膚の変化
下肢静脈瘤が進行すると、足の皮膚にも影響を及ぼすことがあります。皮膚は乾燥し、かゆみを伴うことがあります。また、皮膚は硬くなり、色素沈着を引き起こし、茶色に変色することがあります。これは、静脈内の圧力が増大し、小さな血管が破裂することにより血液成分が周囲の組織に漏れ出し、反応を起こすためです。
血栓形成
下肢静脈瘤が進行すると、症状が悪化し、血栓が静脈内部で形成される可能性があります。これを深部静脈血栓症と呼び、その症状としては、急激な腫れ、赤み、温感、痛みが足に現れます。深部静脈血栓症は重篤な病気であり、血栓が肺に移動し、肺血栓塞栓症を引き起こす可能性があります。
静脈潰瘍
最も重篤な症状の1つに静脈潰瘍があります。これは、長期間にわたる静脈内の高血圧が皮膚に深刻なダメージを与え、開放性の潰瘍を形成する状態を指します。静脈潰瘍は治療が難しく、慢性的な痛みや感染を引き起こす可能性があります。
以上のような症状がある場合は、下肢静脈瘤の可能性があります。特に、脚の痛みやむくみがあり、静脈が皮膚表面から見えている場合、医師に相談することを強くお勧めします。
しかし、下肢静脈瘤の症状は人によって大きく異なるため、これらの症状がないからと言って下肢静脈瘤がないとは限りません。一部の人々は明らかな症状を経験せず、静脈瘤が皮膚の表面に現れるまで気づかないこともあります。
下肢静脈瘤の改善法は3つあります。1つ目は弾性ストッキングを使って圧迫する方法、2つ目は注射で静脈を固める方法、3つ目は手術です。
手術には、静脈を引き抜く手術と、レーザーで静脈を焼く手術の2種類があります。この2つの手術にはそれぞれメリットもデメリットもあります。改善後の痛みやかかる費用にも差があるため、相談して決めることが大切です。
改善する上で大切なことは静脈瘤のタイプと程度を正しく判断し、適切な改善方法で改善に取り組むことです。
下肢静脈瘤で改善が必要な場合は、うっ滞性皮膚炎がおこっている場合と静脈瘤による症状がつらい場合、見た目が気になる場合です。
症状がなく、見た目も気にならない場合は特に改善する必要はありません。症状があったり気になることがある場合には専門の医療機関に行くことがお勧めです。
ただし、40歳未満で、立ち仕事の場合は今の時点では症状がなくても、将来的に悪くなるため改善が必要なことが多いです。
下肢静脈瘤は一般的な症状として、足の見た目の変化、痛みや不快感、むくみや皮膚の変化などがあります。こうした症状があらわれたとき、または早期発見のために、下肢静脈瘤の改善法を知ることは重要です。
自己管理とライフスタイルの変化
下肢静脈瘤の初期段階では、症状を管理するための自己ケアとライフスタイルの変化が有効な手段となることがあります。これには、以下のような方法が含まれます。
適度な運動:特に脚の筋肉を使う運動は、血流を改善し、静脈瘤の進行を遅らせます。
健康的な食事と体重管理:体重を適切に管理し、特に塩分の摂取を減らすことで、静脈にかかる圧力を軽減します。
足を高くする:日常生活での足の休息時に、足を心より高くすることで血液の流れを改善します。
圧迫:圧迫ストッキングを着用することで、下肢にかかる圧力を調節し、血液の流れを良くします。
症状が進行した場合や、ライフスタイルの変化だけでは改善しない場合には、他の改善方法を検討する必要があります。以下に、その主なものをいくつか挙げてみましょう。
スクレロセラピー
スクレロセラピーは、静脈瘤に直接薬剤を注射し、血管の壁を硬化させて閉塞させる手法です。これにより、血液の流れが改善され、症状が軽減します。
レーザー
内視鏡的レーザーは、静脈瘤を焼き切るためにレーザーを用いる手法で、大きな手術を必要とせずに改善を行うことができます。これにより、静脈が閉塞し、周囲の健康な静脈が血液の流れを引き継ぎます。
静脈結紮および切除術
より大きな静脈瘤や、他の方法で改善しない場合には、静脈結紮および切除術が行われることがあります。これは、静脈瘤部分を物理的に結紮し、または切除する手術です。近年では、より小さな切開から手術を行うミニマリーインバシブ手術が普及しています。
静脈弁形成手術
静脈弁形成手術は、静脈内の血液の逆流を防ぐために、静脈内に新たな弁を形成する手術です。これは主に、静脈弁の不全が静脈瘤の主な原因である深部静脈瘤に対して行われます。
予防とフォローアップ
下肢静脈瘤は完全に改善することは難しく、その後も定期的なフォローアップが必要となります。再発を予防するためには、健康的なライフスタイルを続けることが重要です。
また、改善後も足の不快感やむくみが続く場合は、医師に相談し、適切な改善方法を受けることが重要です。
まとめると、下肢静脈瘤の改善方法は、自己管理とライフスタイルの変化、スクレロセラピー、レーザー、静脈結紮および切除術、静脈弁形成手術など多岐にわたります。それぞれの方法は、症状や健康状態、静脈瘤の大きさや位置などによって選択されます。
1番心配する人が多いことは、静脈瘤がある場合血のかたまりが飛び脳梗塞や心筋梗塞を起こさないのかということです。下肢静脈瘤では、血栓の心配は必要ありません。
静脈瘤の血栓は一般的に深部静脈血栓症のことです。この血栓が移動して肺の血管に詰まることを“エコノミークラス症候群と言います。静脈瘤がエコノミークラス症候群を引き起こすという報道もあるため、心配する人もいるかもしれません。
海外の論文では、静脈瘤の人はエコノミークラス症候群をおこす危険性が高いという報告がありますが、日本人に必ずしも当てはまるとは言えません。
実際に日本人の下肢静脈瘤の人でエコノミークラス症候群はほとんど見られません。
事例1: 自己管理とライフスタイルの改善
まず、ライフスタイルの改善が有効だった事例を見てみましょう。以下の例は、米国のMayo Clinicからの事例です。
50歳の女性(以下、Aさんとします)が足の軽い痛みと膨れた静脈に気付き、医師に相談しました。彼女の静脈瘤はまだ小さく、特に深刻な症状はありませんでした。Aさんは医師から、適度な運動と食事の改善、脚を高くして休むこと、圧迫ストッキングの使用を勧められました。
Aさんは医師のアドバイスに従い、健康的な食事に切り替え、ウォーキングを始めました。また、家でリラックスするときや寝るときには足を高くするようにし、圧迫ストッキングを使用し始めました。
これらの改善により、Aさんの足の痛みは減少し、静脈瘤も目立たなくなりました。これは、早期の静脈瘤に対してライフスタイルの改善が有効であることを示しています。
事例2: スクレロセラピー
次に、スクレロセラピーを用いた改善例を見てみましょう。以下の例は、英国のNHSからの事例です。
60歳の男性(以下、Bさんとします)が足の痛みと静脈瘤で苦しんでいました。彼の静脈瘤は、ライフスタイルの改善だけでは改善しない程度に進行していました。そのため、医師はスクレロセラピーを推奨しました。
スクレロセラピーは、静脈瘤に直接薬剤を注射し、血管の壁を硬化させて閉塞させる手法です。Bさんはこの方法を受け、その結果、彼の静脈瘤は小さくなり、足の痛みも軽減されました。
事例3: 内視鏡的レーザー
さらに、内視鏡的レーザーを用いた事例を見てみましょう。以下の例は、アメリカのCleveland Clinicからの事例です。
40歳の女性(以下、Cさんとします)が、足の重だるさと大きな静脈瘤に悩まされていました。Cさんの静脈瘤はかなり大きく、見た目にも明らかで、痛みも伴っていました。
Cさんは内視鏡的レーザーを受け、その結果、彼女の静脈瘤は消失し、足の痛みもなくなりました。この方法は、大きな手術を必要とせず、レーザーで静脈瘤を焼き切るものです。
以上、それぞれ異なる状況における改善例を紹介しましたが、ひとりひとりの症状や健康状態によって、適切な改善方法は大きく異なります。したがって、下肢静脈瘤の症状があらわれた場合、または早期発見のためには、専門的な意見を求めることが大切です。
Footnotes
Cleveland Clinic. (n.d.). Varicose Veins: Management and Treatment.
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