公開日:2021年 9月10日
更新日:2021年 10月30日
本日は色素性乾皮症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
色素性乾皮症の原因は、遺伝です。遺伝の形式は、この病気は 常染色体劣性遺伝です。
世界中の全ての人種に発症する可能性がある病気ですが、日本は欧米と比べて発症の頻度が高いと言われています。
色素性乾皮症は、遺伝性の皮膚の病気で、極めて高い紫外線感受性を持ち、日光にさらされると皮膚や眼の損傷、そして皮膚がんの発症リスクが大幅に高まります。
1.遺伝因子とDNA修復の障害
色素性乾皮症は遺伝性の病気であり、主な原因は遺伝子変異です。この病気は、通常、両親から受け継いだ異常な遺伝子により引き起こされます。この遺伝子変異は、細胞がDNA損傷を修復する能力を阻害します。
私たちの体の細胞は、日々、さまざまな要因(紫外線、放射線、化学物質など)によってDNAが損傷を受けます。通常の場合、細胞には損傷したDNAを修復するメカニズムが備わっています。しかし、色素性乾皮症では、これらのDNA修復メカニズムが正常に機能しないため、DNAの損傷が蓄積し、それが皮膚と眼の異常、およびがんの発症につながります。
2.紫外線への感受性
色素性乾皮症では、紫外線に対する感受性が非常に高いです。これは、DNA修復メカニズムの障害により、紫外線によるDNA損傷が修復できず、細胞が異常を起こすからです。この結果、日光にさらされると皮膚が火傷のようになり、また慢性的な日光曝露は皮膚がんのリスクを高めます。
3.種類と影響
色素性乾皮症は、少なくとも8つの異なる遺伝子変異によって引き起こされることが知られています。これらの変異それぞれが、DNA修復プロセスの異なる部分を影響を与えます。その結果、この病気の症状と進行は、個々により大きく異なります。
遺伝子変異の種類によっては、皮膚や眼の問題に加えて、神経系の機能低下を伴う場合もあります。このような場合、色素性乾皮症はデ・サンジュ症候群やコクレー・シーガー症候群と判断されることがあります。
4.発生率
色素性乾皮症は、約100万人に1人の割合で発症すると言われていますが、近親結婚が多い地域や特定の集団では、その頻度は高くなります。例えば、日本では約22,000人に1人がこの疾患を持つと推定されています。これは、遺伝子の変異が親から子へと伝えられるリスクが高まるためです。
5.その他の要因
色素性乾皮症の原因は主に遺伝的なものですが、日光曝露の度合いや健康状態、その他の個々の要素も、病気進行や症状の重さに影響を与える可能性があります。
色素性乾皮症の症状は、8つあるタイプによってさまざまです。全てのタイプで共通する症状は、日光に当たっている部分の皮膚に皮膚がんが起きることです。
皮膚がんはすぐに起きるわけではありません。何度も繰り返し日光にあたっている間に、日光に当たっている部分の皮膚にしみが増えて皮膚が乾燥していきます。
強い光線過敏症状があるタイプでは、生まれて初めて日光に当たったあと、以上に激しい日焼けの反応が起きます。
日焼けに対して異常な反応がなく、日光の当たる部分にしみがたくさんでき20歳になる頃から日光に当たる部分の皮膚に皮膚がんが起きるタイプもあります。
神経症状が見られるタイプもあります。運動機能のピークを6歳ごろに迎え、その後、体のバランスを保つことが難しくなりだんだんと転びやすくなります。
意思の疎通は支障なく行うことができますが、学童期前半で聴力が下がり学童期後半では補聴器を使うことが必要になります。知的障害が進むことと聴力が下がることによって15歳くらいになると言語の機能を失うことも多いです。
色素性乾皮症は、皮膚や眼、そして時には神経系に影響を及ぼす遺伝性の病気です。特に日光に対する感受性が高いため、日光曝露によって多くの症状が引き起こされます。以下に、XPの主な症状について詳しく説明します。
皮膚の変化
XPの最も一般的な症状は、皮膚の変化です。紫外線に晒された皮膚が非常に敏感に反応し、赤み、腫れ、痛みなどの症状を引き起こすことがあります。これは、一般的には日焼けに似た反応ですが、XP患者ではより激しい形で現れ、晒された部位に皮膚がんが発生する可能性があります。
さらに、皮膚には日焼け、水泡形成、異常な色素沈着や皮膚の硬化、小さな粒子状の皮膚成長など、他の様々な変化が見られます。これらの変化は、主に日光にさらされる部位、特に顔や手、腕などに現れます。
眼の変化
XPでは、眼にも多くの問題を経験します。紫外線によって眼が損傷し、光に対する感受性が高まります。これは光敏感性と呼ばれ、眩しさや刺激に対する不快感を引き起こします。
さらに、眼瞼の炎症、結膜炎、角膜の損傷や潰瘍、色素沈着や瘢痕組織の形成など、様々な眼の問題を引き起こします。これらの問題が長期化すると視力に影響を及ぼす可能性があります。
神経系の症状
XPには複数の型があり、一部の型では神経系の機能が影響を受けることがあります。これらの神経症状には、知能の低下、成長遅延、運動協調能力の低下、難聴、言語発達の遅れなどが含まれます。これらの症状はXPの特定の型で見られることが多く、すべての人に現れるわけではありません。
内分泌異常
XPに関連した内分泌の問題も報告されています。例えば、糖尿病や女性の早発閉経などの内分泌疾患が関連していることが指摘されています。
皮膚がんの発症
XPでは皮膚がんのリスクが非常に高いとされています。多くの人早い年齢で皮膚がんを発症します。これには悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌などが含まれます。また、XPでは舌や口腔のがんを発症する可能性もあります。
色素性乾皮症の症状は非常に多様であり、遺伝子型、日光曝露の程度、個々の体質などにより異なります。それらの症状は、一部では生後すぐに、また一部では少し後で、そしてまた一部では青年期に初めて現れることがあります。
今のところ、色素性乾皮膚症の根本的な改善方法はありません。
皮膚の症状に対しては、日光をきちんと遮って生活をすることで皮膚がんの発症を防ぐことができます。
しかし、色素性乾皮症の判断が遅かった場合、皮膚がんがどんどん起きていきます。そのため、皮膚がんができた部分は早めに見つけ、大きくなる前に取り除くことが大事です。
神経症状に対して有効な改善方法は今のところありません。どのようにして神経症状が起こるのかについてもわかっていません。
リハビリテーションも行われていますが、どのように負荷をかけて行うことが効果的であるのかについては明確になっていません。症状に合わせて定期的に医師と相談の元、改善を行うことが大切です。
色素性乾皮症は、その根本的な原因であるDNA修復酵素の欠損を直接改善することは現在のところ不可能であるため、その改善方法は主に症状の管理と予防的対策に焦点を当てています。
日光避けの対策
XPは紫外線に対する感受性が非常に高いため、日光から皮膚を守ることが最も重要な方針の一つです。具体的には、日光の強い時間帯に外出を避け、日焼け止めクリームを塗ったり、長袖の衣服を着たり、広いつばの帽子をかぶったり、サングラスをかけたりして、皮膚や目を保護することが求められます。
家や車の窓には、紫外線を遮断するフィルムを貼ることも有効です。また、学校や職場などでは、日光への曝露を最小限に抑えるための配慮が必要となります。
皮膚のケア
皮膚の乾燥と炎症に悩まされることが多く、これらの問題を緩和するためには適切な皮膚ケアが必要です。皮膚を保湿するためのクリームやローションの使用、炎症を抑えるためのステロイドクリームの使用などが考えられます。
眼のケア
紫外線による眼への損傷を防ぐため、眼のケアも重要です。日常的にサングラスを着用したり、紫外線を遮断するコンタクトレンズを使用したりすることが有効です。眼科に定期的に行くことで、症状の進行を早期に捉え、適切な改善を開始することが可能になります。
皮膚がんの早期発見と改善
皮膚がんのリスクが高いため、定期的いに調べることと早期発見が重要です。定期的に調べることにより、異常な皮膚病変やがんの早期発見が可能となります。発見された皮膚がんは、適切な改善法にで改善を行う必要があります。
心理的なサポート
XPは生活の質に大きな影響を与える病気であり、その改善には心理的なサポートも重要です。本人や家族は、症状や日常生活への制限に対してストレスや心理的な負担を感じることがあります。心理カウンセリングやサポートグループへの参加によって、情緒的なサポートを受けることができます。
遺伝子カウンセリングと家族への教育
XPは遺伝性の病気であり、家族にも遺伝的なリスクが伴います。遺伝子カウンセリングを受けることで、家族へのリスクの説明や遺伝相談を受けることができます。また、家族や関係者へのXPに関する教育や啓発も重要です。適切な予防策や対策の理解は、本人と家族の生活の質を向上させることにつながります。
色素性乾皮症では、日常生活を送る上で徹底して遮光することが大切です。
SPF30以上の日焼け止めを使い、2時間おきに塗り直すことをおすすめします。保育園や学校で遮光対策は、学校ことに対応が違うため、関係者と相談し、対応をお願いすると良いでしょう。
色素性乾皮症では、きちんと遮光を行うことが1番有効であるといえます。
色素性乾皮症の改善では、主に症状の管理と予防に焦点を当てています。
ケーススタディ1:日光避けと皮膚ケアの重要性
10歳の男の子が、赤みや腫れ、炎症の症状を示し、日光にさらされると症状が悪化すると報告されました。結果はXPであり、日光に対する感受性が非常に高いことが判明しました。
計画は、まず日光避けの対策を重視しました。本人とその家族に、日焼け止めクリームの使用、長袖の衣服の着用、帽子とサングラスの使用、日光の強い時間帯の外出の制限など、適切な日光避けの方法を教育しました。
また、皮膚のケアも重要でした。保湿クリームの使用やステロイドクリームの処方を行い、皮膚の乾燥と炎症を緩和しました。本人と家族は、日常的に皮膚のケアを行い、症状の改善に努めました。
フォローアップでは、日光からの適切な保護と皮膚のケアが継続され、症状が改善しました。さらに、定期的に皮膚を調べて早期の皮膚がんの発見と改善が可能となりました。
ケーススタディ2:眼のケア
16歳の女性が、眩しさや目の痛みを報告しました。眼科でXPであると確定し、光敏感性が原因であることが判明しました。
計画は、眼のケアと定期的に病院に行くことに重点を置きました。日常的にサングラスの着用や紫外線を遮断するコンタクトレンズを使用し、眼科医の指導のもと、眼の炎症や損傷を最小限に抑えるためのケア方法を学びました。
定期的に眼科で眼の状態がモニタリングされました。眼科医は、症状の進行や眼の損傷の有無を評価しました。必要に応じて、抗炎症薬や目薬が処方され、眼の状態の改善が追跡されました。
ケーススタディ3:皮膚がんの改善とフォローアップ
25歳の男性が、肌の腫れや色素沈着、異常な皮膚成長を報告しました。調べた結果、複数の皮膚がんが確認され、XPであると確定しました。
計画では、まず皮膚がんの改善が行われました。手術によってがんを切除し、必要に応じて放射線や抗がん剤が行われました。これにより、皮膚がんの進行を抑え、再発を予防しました。
その後のフォローアップでは、定期的に皮膚を調べて評価が行われました。医師は皮膚をモニタリングし、再発や新たな皮膚がんの早期発見に取り組みました。
本人と家族には、日常生活での日光避けと皮膚ケアの重要性を再度強調しました。また、遺伝子カウンセリングや家族への教育も行われ、遺伝的なリスクの理解と予防策の実施がサポートされました。
これらの例は、重要な改善方法と対策の一部を示しています。適切な日光避け、皮膚ケア、眼のケア、皮膚がんの改善とフォローアップ、遺伝子カウンセリングと家族への教育が、総合的なアプローチの中で重要な役割を果たします。これらの治療の目的は、症状の緩和、合併症の予防、および生活の質の向上です。
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