メンタルヘルス不調の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 12月 3日

更新日:2025年  4月10

本日はメンタルヘルス不調について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • メンタルヘルス不調とは
  • メンタルヘルス不調の原因
  • メンタルヘルス不調の症状
  • メンタルヘルス不調の改善方法
  • メンタルヘルス不調のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

メンタルヘルス不調は、ストレスによって体に不調が現れること

メンタルヘルス不調は、ストレスによって体に不調が現れることです。不眠や食欲不振、欠勤や遅刻の増加、飲酒量の増加、落ち込みやすくなるなど様々な不調が体に現れます。

 

症状が五月病と似ているため、五月病と間違われることも多いです。

 

五月病は新しい環境に慣れないことによって起こります。五月病の場合は時間の経過によって症状は改善されてますが、メンタルヘルス不調の場合は時間が経過しても症状が改善されることはありません。

メンタルヘルス不調の原因は、ストレス

メンタルヘルス不調の原因は、ストレスです。

 

仕事では、役割や地位の変化、上司や部下との対立、人間関係のトラブル、長い時間の労働や仕事の質や量の変化などがストレスとなりやすいことです。

 

仕事以外でも、家庭や人間関係などのトラブル、金銭問題、住んでいる環境や生活の変化などがストレスとなりやすいです。

 

しかし、環境や出来事などストレスとなりやすい様々な要因があっても、全ての人がストレスを引き起こすわけではありません。ストレスを引き起こしやすい人もいればそうでない人もいるのです。

 

日常生活を送る上で起きる出来事や環境がストレスにつながり、心にも体にもいろいろな影響が出て、メンタルヘルス不調につながるのです。

主な原因

・生物学的、身体的な原因

遺伝的素因:家族にうつ病、不安障害などメンタルの病気があるとリスクが高くなります。 

脳、神経、ホルモンの働きの異常:神経伝達物質のバランスの乱れが関係します。 

病気の影響:糖尿病、がん、甲状腺の病気などがあるとメンタル不調のリスクが上がります。 

出生前、発達期の影響:妊娠中のストレスや栄養不足、毒素露出などが、その後のメンタルに影響する可能性があります。 

 

心理的な原因

幼少期のトラウマ、虐待、ネグレクト:感情の調整やストレス耐性が育ちにくくなります。 

強いストレス、喪失体験:愛する人を亡くす、離婚、失職などが発端となることがあります。 

認知、思考パターンの偏り:完璧主義、自己批判、ネガティブ思考が続くと心を追い詰めます。 

習慣や生活リズムの乱れ:睡眠不足、過度の疲労、回復できない生活が積み重なるとメンタル負荷になる。 

 

社会的、環境的な原因

人間関係の問題、孤立:孤立感、信頼できる人がいない環境は心の負担になります。 

経済的、社会的ストレス:貧困、失業、教育格差、住居不安などがメンタル負荷を高めます。 

文化、社会的な期待、差別:ジェンダーや人種、性的マイノリティなどの立場で感じるストレスも無視できません。 

長期的な慢性的なストレス状況:例えば、災害、パンデミック、社会的変動なども影響します。 

疲れているのに眠れなかったり好きなことが楽しめなかったりする

メンタルヘルスの不調によって現れる症状には、本人が気が付く変化と周りが気が付く変化があります。

 

本人が気が付く変化は、不眠や疲れやすさ、食欲のなさ、やる気のなさ、判断力の低下、自信のなさ、緊張などです。

 

周りが気が付く変化は、遅刻や早退の増加、不平や不満の増加、怪我の増加、付き合いの悪さ、口数の減少、借金などです。

 

メンタルヘルス不調は自分で気がついたり周りが気がついたりする前に進んでいることも非常に多いです。疲れているのに眠れなかったり、好きなことが楽しめなかったりする場合、病院に相談することが必要です。

 

疲れているのに眠れなかったり好きなことが楽しめなかったりする症状が毎日続いたり1週間以上続いたりする場合は、特に注意が必要です。

 

また、周りがいつもと違うと感じる場合も病院に相談に行くことをお勧めします。

主な症状のカテゴリー

精神面・・・気分の落ち込み、イライラ、不安、焦燥感

思考面・・・自己否定、集中力低下、思考の停滞、決断力の低下

身体面・・・不眠、食欲変化、疲労感、頭痛、動悸、胃腸不調 

行動面・・・無気力、引きこもり、過食・拒食、遅刻、欠勤 

主な症状

① 気分の落ち込み

何をしても楽しく感じない、将来への希望が持てない、自分を責める、無価値感、涙もろくなる、イライラが続くなどの症状が現れます。

 

② 不安・恐怖

理由のない不安、焦燥感、動悸、息苦しさ、胸の圧迫感、将来のことばかり考えてしまう、パニック症状などの症状が続きます。

 

③ 感情のコントロール困難

些細なことで怒る、泣く、感情の波が激しい、他人との関係に疲れる、過敏になるなどの症状が現れます。

 

④思考・認知面の症状

集中力や記憶力が落ちる、仕事や勉強でミスが増える、思考が遅く感じる、「どうせ自分なんて」「失敗するに決まっている」と考える、同じ悩みが頭の中をぐるぐる回るなどの症状が現れます。

 

・身体面の症状

睡眠障害、食欲異常、消化器症状、疲労感、動悸、息切れ、頭痛や肩こり、女性特有の症状などが現れます。

 

‍・行動面・社会生活上の変化

仕事や学校への遅刻、欠席が増える、人との関わりを避ける、趣味や好きなことに興味を失う、日常動作が億劫になる、アルコールや過食、ネット依存に走る、死にたい、消えたいという思考が浮かぶなどが見られます。

改善方法は、原因となっているストレスを改善すること

メンタルヘルス不調の改善方法は、原因となっているストレスを改善することです。そのためには、相談することが大事です。周りは話を聴くことを意識することが大切になります。

 

信頼し、安心して話をすることで一緒に解決方法を探すことができ、メンタルヘルス不調の改善につながるのです。セルフケアだけでは改善を行うことが難しい場合は、きちんと病院に行くことも大事です。

 

職場では、改善に専念できるように考慮することが必要です。連絡を最低限にしたり、休んでいる場合はゆっくり復帰できるような環境を整えたりすることが大事です。

 

メンタルヘルス不調が起こった時は、焦らずゆっくりと改善を行うことが非常に重要なのです。

改善に使用する薬

抗うつ薬・・・セロトニン、ノルアドレナリンのバランスを整えて気分の安定や不安軽減に役立ちます。

抗不安薬・・・神経の過剰興奮を抑えて睡眠を促進したり緊張の緩和をしたりします。

睡眠導入剤、メラトニン受容体作動薬・・・体内時計を整えて不眠を改善します。

漢方薬(加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯など)・・・気血のバランスを整えて自律神経の安定化を行います。

主な改善方法

① CBT

ストレスを生み出す考え方の癖を修正する方法です。脳の前頭前野を活性化し、扁桃体の過剰反応を抑えます。

 

② マインドフルネス

今ここに意識を戻す訓練です。呼吸や体の感覚に集中し、過去や未来への思考ループを一時停止します。継続すると、ストレスホルモンや不安系神経の興奮を下げ、脳波的にもリラックス状態が増えます。

 

③ 支援的カウンセリング

自分の状態を言葉にして他者に理解されることが、脳のストレス処理に直結します。孤独感が軽減し、前頭前野の血流が回復して思考の整理が進みます。

ストレスを対処するためには周りの支えも大事

ストレスは適切に対処することで和らげることができます。ストレスを和らげることを心がけて生活を行うことは、メンタルヘルス不調の予防にもつながります。

 

ストレスを対処する時に大切なことは、ストレスを引き起こしているものが何かということを把握することです。

 

ストレスを引き起こす要因となるものは非常にいろいろあります。環境などの外的な要因もありますが、個人的な要因もあります。自分のストレスの原因となっているものが何かを調べることをお勧めします。

 

ストレスは引き起こしている原因によっては、周りからのサポートや生活や仕事、趣味などによって和らげることができます。ストレスを対処するためには周りの支えも大事なのです。

メンタルヘルス不調に効果的なツボ

公孫

丘墟

神門

公孫

公孫は、弱った消化器機能を高める働きがあります。もともと胃腸が弱い人や食事の不摂生によって消化不良を起こしている人などに効果的なツボです。

 

胃の痛みや嘔吐、腹部の張りや下痢などにも効果を発揮します。他にも、足裏底の疲れや痛みや違和感にも効果が期待できます。

 

メンタルヘルス不調の症状としてやる気が出ないなどの症状がある場合に効果的です。

丘墟

丘墟は、足の関節の不快感に効果的なツボです。足の血行やリンパの巡りを促進する働きもあるため、浮腫の改善にも効果を発揮します。

 

強い不安や恐怖心などで気を消耗している場合、少しのことでも動悸や息切れが現れたり、少しの音が気になって不眠症になりやすかったりします。このような場合、丘墟を刺激することで効果が期待できます。

神門

神門は、不安を感じた時や落ち込んだ時にリラックスさせて精神状態を安定させる作用があります。そのため、不安や落ち込みなどによって眠れないときにも効果的です。

 

メンタルヘルス不調の中でも落ち込みやすい人に効果が期待できるツボです。少しの問題に長い期間とらわれてしまい、ネガティブに考えがちな人は神門を刺激することをお勧めします。

ツボの位置と押し方

公孫

公孫は、左右の足の親指の骨の付け根に手の親指を当てた時、手の親指の腹に当たる部分にあります。

 

押すときは、足の甲側からつかむようにして足を持ち親指で揉み込むように押します。

 

食欲不振の症状がある場合、どちらかの公孫のツボにしこりがあるため、公孫に親指でしこりのある側を3〜5秒押しましょう。

丘墟

丘墟は、両くるぶしの外側の少し斜め下にあるへこみにあります。

 

押すときは、手の親指で押します。響くような感覚があり、痛気持ちいいと感じる部分を押すと効果的です。

神門

神門は、左右の手首の小指側のしわの下にあります。

 

押すときは、親指を使って押します。軽く圧迫するようなイメージで押すと良いでしょう。

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