公開日:2022年 6月 5日
更新日:2022年 6月 8日
本日は反復性肩関節脱臼について解説させていただきます。
本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
反復性肩関節脱臼の原因は、若い年齢で肩関節脱臼が起きることです。肩関節脱臼が起きる年齢が若いほど反復性脱臼に移りやすいと言われているのです。
10歳代に初めて肩関節脱臼した場合8~9割の人が再発すると言われており、40歳代以降で初めて肩関節脱臼した場合は、ほとんど再発は見られないと言われています。
肩関節が脱臼すると、軟部組織がはがれたり切れたりすることが多いです。そのため、安静にしていたとしても完全に改善せず、反復性脱臼につながるのです。
肩関節脱臼は、上腕骨が肩甲骨との接続から離れるときに起こる。反復性肩関節脱臼は、この現象が頻繁に繰り返される状態を指します。原因は多種多様であり、生活習慣、スポーツ、物理的な損傷、あるいは先天的な異常に起因することもあります。
まず、生活習慣やスポーツによる影響を考えてみましょう。特定の動きを頻繁に繰り返すことによって、肩関節の周囲の筋肉や靱帯が過度に疲労し、結果的に肩関節が脱臼しやすくなることがあります。野球やテニス、水泳といったスポーツでは、反復的なスローイングや腕振り動作が肩関節に大きなストレスを与えます。これが反復性肩関節脱臼の一つの原因となり得ます。
次に、物理的な損傷が関与するケースを見てみましょう。大きな衝撃や外傷が直接肩に加わると、一度肩関節が脱臼する可能性があります。この際に肩関節を安定させる役割を果たす靱帯や肩の滑膜が損傷すると、それが改善した後でも肩関節の安定性が損なわれ、再度脱臼しやすくなる可能性があります。
最後に、先天的な異常も反復性肩関節脱臼の原因となります。一部の人々は、生まれつき肩関節の形状が異なり、肩関節が脱臼しやすい状態になることがあります。また、先天的な筋肉の弱さや、靱帯の異常なども、肩関節の安定性を損ない、脱臼を引き起こす可能性があります。
以上のような要因が絡み合い、個々の生活習慣、遺伝、年齢、性別等と相まって、反復性肩関節脱臼が引き起こされます。
反復性肩関節脱臼の症状は、痛みです。
脱臼した方向が前下方の場合は、外転する動作や外旋する動作に不安感を感じたり、肩関節前方が不安定な感覚を感じたりします。
反復性肩関節脱臼は、一度だけでなく何度も肩が脱臼する状態を指します。これは痛みや不快感を引き起こし、日常生活に影響を及ぼすことがあります。このブログでは、反復性肩関節脱臼の主な症状について詳しく解説します。
痛み:最も一般的な症状の一つが痛みです。肩関節脱臼時には、激しい痛みを伴います。しかし、脱臼が戻った後でも、運動により肩に痛みが再発することがあります。これは、肩周囲の筋肉、靭帯、神経、血管などの損傷が関与しています。
可動域の制限:反復性肩関節脱臼では、しばしば肩の動きの制限を経験します。これは肩をある特定の方向に動かすとき、特に上に挙げる動作や後ろに回す動作など、痛みや不安感から避ける傾向があります。
肩の不安定感:肩関節脱臼を経験した人は、しばしば肩の「不安定感」を報告します。これは、肩が「外れる」かもしれないという不安や恐怖を感じる状態です。
肩の形状の変化:肩関節が脱臼すると、肩の形状が変わることがあります。これは外観上の変化だけでなく、触れた時に異常を感じることもあります。
異常な音:一部では、肩関節の動きに伴う「クリック」や「ポップ」のような音を報告します。これは、肩関節の不安定さを示している可能性があります。
これらの症状は、個々の患者により異なる強度と頻度で現れます。
また、反復性肩関節脱臼の患者は、自分自身で肩関節を調整しようとする傾向があることも指摘しておきたいと思います。これは危険な行為であり、可能な限り避けるべきです。不適切な手法での調整は、関節をさらに損傷する可能性があります。また、肩の安定性をさらに損ない、将来的に反復性肩関節脱臼の発生率を高めることにもつながります。
反復性肩関節脱臼は、痛みや不快感だけでなく、自信の喪失や不安、日常生活への恐怖といった精神的な影響も引き起こします。肩の不安定性は、スポーツや趣味、仕事などの活動を制限する可能性があり、患者の生活の質に大きな影響を及ぼします。
反復性肩関節脱臼の改善方法は、徒手で整復することです。ただし、整復しただけでは、その後も脱臼を繰り返し起こすことになります。
日常生活を送る上で制限が起こったり、スポーツなどの競技において活動の制限が起こったりすることも多いです。その場合は手術を行います。
反復性肩関節脱臼を改善するために行う手術はいくつかあります。軟部組織を元の位置に縫う方法や、骨や腱で補強する方法などです。
反復性肩関節脱臼は、慎重な改善が必要な状態です。改善の目標は、痛みの軽減、関節の安定性の回復、そして再脱臼の予防に重点を置いています。それぞれに適した改善法は、その年齢、活動レベル、具体的な症状、以前の脱臼の回数やその損傷状況により異なります。
非手術的方法:これらは通常、初回の肩関節脱臼または軽度の反復性肩関節脱臼の場合に対して使用されます。痛みの管理やリハビリテーションなどが含まれます。
リハビリテーションでは、肩の筋肉を強化し、関節の安定性を改善することを目指します。これには、専門家による指導のもとでの運動やストレッチングが含まれます。また、冷却パッドや炎症を抑える薬物が痛みの管理に使用されることもあります。
手術的方法:非手術的方法が効果を発揮しない場合や、重度の肩関節脱臼の場合には、手術が必要となることがあります。手術は主に肩関節の安定化を目指し、関節の損傷を修復し、再脱臼を防ぐことが目標です。
手術の方法はいくつかあります。アルトラージ手術は関節鏡下で行われ、損傷した肩関節唇を修復し、関節の安定性を回復します。オープン手術はより大きな侵襲がありますが、重度の損傷や肩関節の形状の修正が必要な場合にはこの手法が選ばれることもあります。
手術後は、リハビリテーションが非常に重要となります。これにより関節の可動域を回復し、筋力を再構築し、再脱臼のリスクを最小限に抑えることが可能になります。
生活習慣の改善:これは非手術的な方法と手術的方法の両方を補完する方法で、日常生活の中で肩への負荷を軽減することを目指します。これには、適切なエクササイズの習慣化、姿勢の改善、肩に負担をかける動作の避け方などが含まれます。
肩関節脱臼を未然に防ぐためには、定期的なエクササイズによる筋力維持や関節の安定化が重要です。また、特定のスポーツや活動に参加する際は、適切な技術と機器を使用することが重要です。
心理的サポート:反復性肩関節脱臼は、肉体的な苦痛だけでなく、精神的なストレスも引き起こします。そのため、カウンセリングや心理的サポートも重要な治療の一部となります。
以上が一般的な反復性肩関節脱臼の改善法になりますが、個人の状況により、最適な方法は異なります。重要なのは、早期に専門家に相談し、適切な判断と改善を受けることです。症状を無視することは、長期的な悪影響を招きます。
手術を行なった後、3ヶ月間までは肩甲骨の線よりも後ろで手を使わないことが大事です。
物を取るときは体ごと回して体の前で取るように心がけたり、後ろに手をついて起きあがることのないように注意をしたりすることが必要になるのです。さらに、女性の場合はブラジャーのホックを後ろでかける動作も避けましょう。
手術を行なった後は、リハビリテーションを行います。しかし、リハビリテーションでも日常生活でも、再び脱臼が起こる可能性のある動作をしないように注意をすることが非常に大事なのです。
A:40歳男性。アマチュアサッカープレーヤーで、試合中に肩を複数回脱臼しました。手術を希望しないため、非手術的方法を選択しました。これでは、肩の筋肉の強化と関節の安定性の改善を目指しました。特に、ローテーターカフの強化に重点を置いたプログラムを進行しました。
改善の結果、Aは肩の安定性を大幅に改善し、サッカーに復帰できました。ただし、肩の保護と筋力強化のための運動を定期的に続けることが指導されました。
B:25歳女性。スキー事故により肩を脱臼し、その後何度も脱臼を繰り返しました。彼女の場合、非手術的方法が効果を発揮せず、手術的方法を選択しました。彼女はアルトラージ手術を受け、損傷した肩関節唇を修復しました。
手術後、彼女はリハビリテーションプログラムに従い、肩の可動域を徐々に回復し、筋力を再構築しました。6ヶ月で、彼女は日常生活へ完全に戻り、1年後にはスキーにも復帰しました。
以上の例からもわかるように、改善法は状況により大きく異なります。年齢、活動レベル、具体的な症状、脱臼の回数や損傷の程度により、改善方法は個々に合わせてカスタマイズされます。全ての人に共通するのは、適切な診断と治療を受けることが、良好な結果を得るための鍵であるということです。
C:55歳男性。日常生活中に突然肩が脱臼し、その後反復して脱臼を経験しました。この場合、年齢と活動レベル、以前の脱臼の回数から考えて、手術が適切な選択とされました。彼はオープン手術を受け、肩関節の損傷を修復し、肩関節の形状を修正しました。
手術後、彼もまたリハビリテーションプログラムに参加し、肩の可動域を改善し、筋力を強化しました。また、彼の場合、肩に繰り返し負荷をかける動作を避けるための日常生活のアドバイスも行いました。改善後1年、彼は再度肩を脱臼することなく、日常生活を送ることができました。
これらの事例は、具体的な状況とニーズに合わせてプランを適応させる重要性を示しています。
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