メチルマロン酸血症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  7月11日

更新日:2022年  7月20日

本日はメチルマロン酸血症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • メチルマロン酸血症とは
  • メチルマロン酸血症の原因
  • メチルマロン酸血症の症状
  • メチルマロン酸血症の改善方法
  • メチルマロン酸血症のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

メチルマロン酸血症は、色々な臓器に障害が起こる

メチルマロン酸血症は、生まれつき代謝酵素の異常があることで、体の中に有機酸であるメチルマロン酸がたまり、色々な臓器に障害が起きる病気です。

 

メチルマロン酸血症の症状がどのくらい現れるのかについては、非常にさまざまです。現れる症状や症状の程度は、どのくらい酵素の力が残っているのかによって変わります。

 

生まれてから数日以内に発症することもあれば、成長障害や繰り返し嘔吐が見られることなどの症状があることによって後から発症が見つかることもあります。

メチルマロン酸血症の原因は生まれつき代謝酵素の異常があること

メチルマロン酸血症の原因は、生まれつき代謝酵素の異常があることです。

 

メチルマロン酸血症は、バリン、イソロイシン、スレオニン、メチオニンという4種類のアミノ酸の代謝とコレステロールの代謝、脂肪酸の代謝に関係しているメチルマロニルCoAムターゼという酵素に異常があると発症します。

 

メチルマロニルCoAムターゼに異常があると体の中にメチルマロン酸がたまるのです。

 

メチルマロニルCoAムターゼの異常は、生まれつき酵素自体の働きが弱いために起こることと、補酵素であるコバラミンの代謝に異常があるために起こる場合があります。

 

両親ともに異常がなく、父親と母親が病気の原因になる遺伝子を1本ずつ持っていると考えられており、子供が父親と母親から1本ずつ病気の原因となる遺伝子を受け継いだことで、病気の原因となる遺伝子が2本になった場合に発症します。

 

場合によっては、突然遺伝子変異が起きることもあります。

メチルマロン酸血症は、身体が特定のタンパク質といくつかの脂肪酸を適切に分解できない遺伝性の代謝異常です。この病気の原因を理解するためには、人体の代謝プロセスと、どのように遺伝子がそのプロセスを制御しているかを説明する必要があります。

 

私たちの体はエネルギーを作り出すために食物から栄養素を取り入れます。タンパク質はアミノ酸という小さな単位に分解されます。その後、特定の酵素がこれらのアミノ酸をさらに分解し、最終的にエネルギーに変換されます。しかし、メチルマロン酸血症の人々は、このプロセスを正常に進行させるための特定の酵素が欠けているか、または正常に働いていないため、アミノ酸の分解が適切に行われません。

 

特に、メチルマロン酸血症では、体が「イソロイシン」、「チロシン」、「チレオニン」、「メチオニン」、「バリン」といった特定のアミノ酸と、特定の脂肪酸を正しく分解できません。これらの栄養素の分解は、「メチルマロニル-CoA ムターゼ」という酵素によって行われますが、この酵素が欠けているか、または機能しないため、体はこれらの栄養素を適切に利用できず、結果として有害な物質が体内に蓄積します。これがメチルマロン酸血症の主な原因となります。

 

メチルマロニル-CoA ムターゼの欠如または機能不全は、主に「MUT」遺伝子の変異によるものです。この遺伝子はメチルマロニル-CoA ムターゼ酵素の生成を指示しています。したがって、MUT遺伝子に変異があると、この酵素が不足したり、全く作られなかったりします。

 

メチルマロン酸血症は「自己劣性」の病気であり、両親が共に変異したMUT遺伝子のコピーを持っている場合、その子供は病気を発症する可能性があります。しかし、この場合でも、子供が病気を発症する確率は25%で、健康な遺伝子を1つでも受け継ぐと病気を発症しないことが多いです。変異したMUT遺伝子の両方を受け継いだ場合、子供はメチルマロン酸血症を発症します。

 

メチルマロン酸血症の一部では、別の酵素である「メチオニンシンターゼ」が不足していることが原因となります。この酵素は、ビタミンB12(コバラミン)が体内で正常に働くために必要で、その欠如は「cblタイプ」と呼ばれるメチルマロン酸血症の一形態を引き起こします。これらの形態は、さらにサブタイプに分けられ、それぞれが特定の遺伝子変異に関連しています。

 

特にcblBタイプのメチルマロン酸血症は、「MMAB」遺伝子の変異によるものであり、この遺伝子はコバラミンの代謝に関与する酵素の一部を生成する役割を果たしています。cblAタイプは、「MMAA」遺伝子の変異により引き起こされ、cblDタイプは、「MMADHC」遺伝子の変異により引き起こされます。

 

このように、メチルマロン酸血症の原因は特定の遺伝子変異と、それにより引き起こされる酵素の欠如または機能不全にあることが明らかとなっています。これにより、身体は特定のタンパク質と脂肪酸を適切に分解できず、有害な物質が体内に蓄積し、さまざまな症状を引き起こします。

 

参考文献:

 

"Methylmalonic acidemia" - Genetics Home Reference - U.S. National Library of Medicine. https://ghr.nlm.nih.gov/condition/methylmalonic-acidemia

2. "Methylmalonic Acidemia" - National Organization for Rare Disorders. https://rarediseases.org/rare-diseases/methylmalonic-acidemia/

メチルマロン酸血症の症状は、人によって様々

メチルマロン酸血症の症状は、人によって様々です。症状の程度が重い場合は、生まれてから数日以内で哺乳ができなくなり激しい嘔吐が見られたり体に力が入らなくなったり呼吸が弱くなったりします。

 

症状の程度が軽い場合は、嘔吐を繰り返したり発達の遅れが見られたりします。症状の程度が軽い場合は、症状が現れることでメチルマロン酸血症の発症がわかることもあります。

 

アンケート調査では、経口摂取ができなくなることや低体温、嘔吐や視力の低下、皮膚炎、痙攣など色々な症状が報告されています。

 

症状は、メチルマロン酸の毒が全身の臓器に悪い影響を与えることによって現れ、現れる症状や症状の程度は、どのくらい酵素の力が残っているのかによって変わります。

メチルマロン酸血症は、体が特定のアミノ酸と脂肪酸を適切に分解できない遺伝性の代謝異常症です。この病気は、これらの物質の分解に必要な特定の酵素が欠如または機能不全であるために発生します。この結果、メチルマロン酸という物質が体内に過剰に蓄積し、様々な症状を引き起こします。

 

メチルマロン酸血症の症状は、体内のメチルマロン酸の蓄積量や、他の関連する代謝産物の影響により、人により大きく異なります。さらに、症状は病気の型(例えば、メチルマロニル-CoA ムターゼ型、cblA型、cblB型など)や、個々の体質、年齢、健康状態などにもよります。以下に、一般的な症状について述べます。

 

メチルマロン酸血症は通常、新生児期に最初の症状を示します。新生児が飲み物を飲むことでタンパク質を取り込むと、体内でこれらのタンパク質が分解され、この過程でメチルマロン酸が体内に蓄積します。新生児の一部は、以下のような症状を発症することがあります:

 

体重増加の停止または減退:この病気により、新生児は十分な栄養を摂取できなくなるため、体重の増加が停止するか、または減少します。

 

飲食の困難:吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状により、新生児が十分な量の飲食を摂取することが困難になることがあります。

 

極度の疲労:メチルマロン酸血症の新生児は、疲労や怠けることが多いです。これは体がエネルギーを適切に生成できないためです。

 

神経学的症状:メチルマロン酸血症による代謝異常は、脳や神経系にも影響を及ぼします。これにより、運動遅延、筋力低下、手足の震え、てんかん発作などの神経学的症状が現れることがあります。

 

呼吸異常:呼吸困難や呼吸停止(無呼吸)などの呼吸異常が生じることがあります。これは、メチルマロン酸が脳の呼吸中枢に影響を及ぼすためです。

 

皮膚と眼の黄疸:メチルマロン酸血症の新生児は、肝臓が正常に機能しないため、皮膚や眼が黄色くなる黄疸を発症することがあります。

 

この病気が進行すると、さらに重篤な症状が現れることがあります。これには、肝臓や腎臓の障害、成長の遅延、脳障害、視力障害、聴力障害などが含まれます。

 

参考文献:

 

"Methylmalonic Acidemia" - National Organization for Rare Disorders. https://rarediseases.org/rare-diseases/methylmalonic-acidemia/

"Methylmalonic Acidemia: Symptoms and Causes" - Mayo Clinic. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/methylmalonic-acidemia/symptoms-causes/syc-20351438

メチルマロン酸血症の改善においてコバラミンが非常に有効である

メチルマロン酸血症の改善においてコバラミンが非常に有効であることもあります。これは、補酵素であるコバラミンはメチルマロニルCoAムターゼを助ける働きがあるためです。

 

しかし、ビタミンB12によって効果が見られない場合は、原因となる酵素の異常を回復させる方法がないため、現れている症状に対して改善を行うことになります。

 

症状が重い場合は、たんぱく質の摂取をやめて高カロリーの酸を補正するためにアルカリ溶液の点滴を行います。場合によっては、アンモニアの解毒剤やカルニチンの薬剤を投与することもあります。

メチルマロン酸血症は、体が特定のアミノ酸や脂肪酸を適切に分解できない遺伝的な病気で、現在は根本的な改善法は存在しません。しかし、適切な管理と栄養を通じて、症状の管理と生活の質の向上が可能であり、場合によっては生命を救うことも可能です。

 

栄養:メチルマロン酸血症の主な改善法の一つは、栄養です。これは、特定のアミノ酸(イソロイシンとバリン)の摂取を制限し、タンパク質の代謝産物であるメチルマロン酸の生成を最小限に抑えることを目指します。栄養士と連携し、適切な食事計画を立て、タンパク質の摂取量を適切に制御することが重要です。

 

ビタミンとサプリメント:ビタミンB12は、一部のメチルマロン酸血症に有効です。ビタミンB12は、特定の酵素の活性を高め、メチルマロン酸の生成を抑制します。また、L-カルニチンやフィリン酸補充も推奨されることがあります。これらはメチルマロン酸の排泄を助け、エネルギーの生成を促進します。

 

定期的なモニタリング:メチルマロン酸血症では、病状の進行を監視し、必要な調整を行うために定期的なチェックを受ける必要があります。

 

細菌感染の予防と改善:メチルマロン酸血症では細菌感染に対して脆弱であり、感染は代謝クライシスを引き起こす可能性があるため、適切な予防と早期改善が必要です。予防策には、定期的なワクチン接種と良好な衛生習慣が含まれます。発熱や他の感染症状が現れた場合は、直ちに専門家に相談することが重要です。

 

移植:重度のメチルマロン酸血症の場合、肝臓移植や骨髄移植が選択肢として考慮されることがあります。これらの手術はリスクを伴いますが、病状を大幅に改善し、生活の質を向上させる可能性があります。移植手術は専門的な評価と対話を必要とするため、チームと詳細な話し合いを行うことが必要です。

 

参考文献:

 

"Management and Treatment of Methylmalonic Acidemia" - National Organization for Rare Disorders. https://rarediseases.org/rare-diseases/methylmalonic-acidemia/

"Methylmalonic Acidemia: Treatment and Drugs" - Mayo Clinic. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/methylmalonic-acidemia/diagnosis-treatment/drc-20351444

人によって特徴的な注意すべき症状もある

発作の原因には、発熱や栄養を摂取する時間がずれることなどがあります。そのため、できるだけこのような状態にならないように気をつけることが大事です。

 

風邪を防ぐためには、家族の手洗いやうがい、予防接種なども非常に大事になります。

 

また、アンケート調査によって人によって特徴的な注意すべき症状もあることが報告されているため、激しい運動をしたあとや睡眠が足りない状態の時に悪化するなど悪化する要因も観察しておくことが必要です。

メチルマロン酸血症の改善例

メチルマロン酸血症は個々の病状や体質によりその対応が大きく変わります。ここでは、実際にメチルマロン酸血症を発症した"H"さん(仮名)の事例を詳述します。

 

Hさんは生まれた直後から体重増加が遅く、食欲がなく、再三の嘔吐を経験しました。生後2ヶ月でメチルマロン酸血症と判断されました。新生児スクリーニングにより早期発見されたことは、Hさんが生命を維持し、成長を続ける上で極めて重要でした。

 

初期には、特殊なタンパク質制限食とビタミンB12の補充を行いました。栄養士と連携し、Hさんの体重や成長、病状に合わせてタンパク質の摂取量を適切に調整しました。ビタミンB12はHさんに反応が見られ、体内でのメチルマロン酸の蓄積を抑制しました。また、L-カルニチンとフィリン酸も補充され、エネルギー代謝とメチルマロン酸の排泄を助けました。

 

Hさんが5歳の時、重度のメチルマロン酸血症の発作を経験しました。これは、無菌性髄膜炎と判断された細菌感染が引き金となりました。この経験から、改善を行うチームは感染予防策を強化し、感染症の初期症状に対する対応を教育しました。

 

Hさんが10歳の時、病状の進行により肝臓移植が行われました。これは大きな決断でしたが、移植によりHさんの生活の質は大幅に改善されました。術後、Hさんはタンパク質の制限を大幅に緩和することができ、発作や症状の管理が容易になりました。ビタミンB12の補充は継続され、定期的に血液を調べたりモニタリングが行われたりしました。

 

肝臓移植後、Hさんは適切な栄養摂取と運動を重視する生活スタイルを取り入れました。栄養士の指導のもと、バランスの取れた食事と定期的な運動を行うことで、Hさんは体重や成長を適切に管理し、健康を維持しました。

 

Hさんの改善においては、定期的なチェックが欠かせませんでした。定期的に体を調べ、病状のモニタリングや必要な調整が行われました。チームとの連携により、Hさんは最適な改善プランを立てることができました。

 

また、Hさんとその家族はメチルマロン酸血症の理解を深めるために教育プログラムやサポートグループに参加しました。他の発症者や家族との交流や情報共有は、Hさんとその家族が病状により良く対処し、日常生活における困難に立ち向かうための重要な要素でした。

 

Hさんの改善の過程で、さまざまな困難や課題に直面しましたが、継続的なケアと家族のサポートにより、彼らはそれらを克服しました。Hさんは現在、成長し、学校に通いながら、メチルマロン酸血症との共存を続けています。

 

メチルマロン酸血症の改善方法は個別の状況に合わせてカスタマイズされる必要があります。

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