公開日:2021年 8月23日
更新日:2023年 11月17日
本日は嚥下障害について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
嚥下障害の原因は、器質的な原因と機能的な原因と心理的な原因の3つに分けられます。
器質的な原因は、飲み込む時の動作に必要である器官に炎症や腫瘍があることが原因である場合です。例えば、口の中に口内炎や咽頭炎や舌炎などがあることや、食道に潰瘍があることなどが器質的な原因にあたります。
機能的な原因は、器官を動かす筋肉や神経に異常があることが原因である場合です。脳卒中やパーキンソン病などの病気が原因としてあげられます。
また、薬によって器官の働きが悪くなることや加齢によって筋力が低下することが原因となることもあります。
心理的な原因は、精神的な疾患が原因の場合です。うつ病や心身症、ストレス性の胃潰瘍などが原因になりやすいです。
嚥下障害は、様々な原因によって引き起こされることがあります。その原因は大きく分けて、神経学的原因、構造的問題、筋力の問題に分類されます。以下に説明します。
・神経学的原因
脳卒中: 脳卒中は嚥下障害の最も一般的な原因の一つで、脳の特定の部位が損傷すると、嚥下機能に影響を与えることがあります。
パーキンソン病: 神経変性疾患であり、嚥下障害を引き起こすことがあります。
多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症(ALS): 神経系の慢性疾患で、嚥下障害を含む多くの神経学的症状を引き起こすことがあります。
脳損傷や脳腫瘍: 脳の特定の領域が損傷を受けると、嚥下反射に影響を及ぼすことがあります。
神経変性の病気: アルツハイマー病などの病気も嚥下障害の原因になり得ます。
・構造的問題
頭頸部のがん: 咽頭がん、食道がんなど、頭頸部のがんは嚥下障害を引き起こす可能性があります。
口腔や喉頭の手術後: 手術により嚥下に関わる筋肉や神経が影響を受けることがあります。
食道の構造的異常: 食道狭窄や食道裂孔ヘルニアなど、食道の構造的問題が嚥下障害の原因になることがあります。
反流性食道炎: 胃酸の逆流が食道の損傷を引き起こし、嚥下時の痛みや不快感を生じさせることがあります。
・筋力の問題
加齢: 加齢による筋力の低下は嚥下機能の減退を招くことがあります。
筋力低下: 筋ジストロフィーなどの筋力を低下させる疾患が原因で嚥下障害が生じることがあります。
慢性的な筋肉の病気: 一部の慢性的な筋肉の病気は嚥下筋の機能低下を引き起こすことがあります。
・その他の原因
薬剤: 特定の薬剤(特に神経系に作用するもの)の副作用として嚥下障害が生じることがあります。
心理的な要因: ストレスや不安が嚥下障害を引き起こすことがあります。
嚥下障害の症状は、食事中にむせることや食べ物をこぼすこと、中々飲み込めないこと、食べることに疲れること、食後に声が枯れることなどです。嚥下障害によって飲み込みにくくなることでいろいろな症状が起こるのです。
嚥下障害が起こると、食べ物を飲み込むまでの時間が長くなります。そのため、食事に時間がかかり食べることに疲れるため、進んで食べる気持ちになれず、最後まで食べきらなくなることもあります。
よく噛んで飲み込むことが必要な食べ物を避けるようになるため、柔らかいあまり噛む必要のないものを選ぶようになることも多いです。
食べ物を口の中で溜めてしまったり中々飲み込まなかったりすることで、口の中に食べかすや汚れが溜まって口臭がきつくなることもあります。
嚥下障害、つまり食べ物や液体を飲み込むことに困難を伴う状態は、さまざまな症状を引き起こすことがあります。主な症状には以下のものが含まれます。
飲み込みにくさ: 食べ物や飲み物を飲み込む際に抵抗を感じること。
咳き込みや窒息: 食べ物や飲み物が誤って気道に入ることによる咳や窒息。
食べ物の口からの逆流: 食べ物が食道から口に戻ってくる感覚。
嚥下時の痛み: 食べ物を飲み込む際に痛みを伴うこと。
声の変化: 食べ物や飲み物が気管に入り、声帯に影響を与えることによる声のかすれや変化。
体重減少と栄養不良: 食べることが困難であるために起こる体重減少や栄養不良。
唾液の過剰な流出: 嚥下が困難であるため、唾液を飲み込むことができず、口から流れ出ること。
耳への痛み: 特に飲み込む際に耳に痛みを感じることがあります。
これらの症状は、嚥下障害の原因や重症度によって異なります。嚥下障害は様々な病気や状態に関連しています。特に高齢者や神経学的障害を持つ人々では、嚥下障害が一般的であり、早期の介入が重要になります。
嚥下障害の改善方法は、リハビリと手術です。
ほとんどの場合、リハビリによる改善を行います。食べ物を使わず間接的に行う舌や口のトレーニングを行う間接訓練を行い、状況を見て実際に食べ物を使う直接訓練をしていきます。
直接訓練では、柔らかいゼリーなどから訓練をしていき、通常の食事ができるようにしていきます。
症状の程度が重い場合は、手術を行います。手術には、誤嚥を減らし口から食事ができるようにするための嚥下機能改善手術と食道と気道を分離するための誤嚥防止術があります。
手術を行ったとしてもすぐに食事ができるようになるわけではありません。食事をとるためには手術だけでなく術後のリハビリも必要です。
嚥下障害の改善方法は、その原因となる病気や症状の種類によって異なります。一般的な改善法は以下のようなものがあります。
1. リハビリテーション
嚥下リハビリテーション: 専門家による特別な訓練で、嚥下の技術を改善します。これには、食べ物の飲み込み方を改善するための特定の運動や技術が含まれます。
食事: 食物の種類や食事の形状を調整して、嚥下しやすくします。例えば、液体や柔らかい食事への切り替えが含まれます。
2. 薬
嚥下障害の原因となる病気(例:GERD、パーキンソン病)を改善するための薬が使われることがあります。
3. 手術
構造的な問題や特定の疾患が原因の場合、手術による改善が必要になることがあります。
4. エスコート・フィード
重度の嚥下障害の場合、経鼻経管栄養や経皮内視鏡下胃管栄養(PEG)など、代替的な栄養摂取方法が用いられることがあります。
5. 環境調整
食事の際の姿勢を改善したり、落ち着いた環境で食事をとることで、嚥下が容易になることがあります。
6. 心理的サポート
特に嚥下障害が長期化する場合、患者や家族への心理的サポートが重要です。嚥下障害は多岐にわたる原因で発生するため、個々に応じた計画が重要です。特に、嚥下障害は食べ物の誤嚥による肺炎のリスクを高めるため、適切な介入が必要です。
嚥下障害の改善において薬を使用する場合、その選択は嚥下障害の原因や伴う症状に基づいています。以下に、一般的に使用される薬とそれぞれの使われるケースについて詳しく説明します。
1. 神経学的な病気に対する薬物
パーキンソン病: レボドパ(シネメット)やドパミン作動薬などのパーキンソン病の薬が、症状の改善に寄与することがあります。
多発性硬化症: インターフェロン製剤やグラチラメル(コパキソン)などの症状を管理する薬が使われることがあります。
2. 胃食道逆流症(GERD)に対する薬物
プロトンポンプ阻害薬(PPI): オメプラゾール(プライロセック)、エソメプラゾール(ネキシウム)などが胃酸の分泌を抑え、食道の炎症を減少させます。
H2ブロッカー: ラニチジン(ザンタック)やファモチジン(ペプシド)が胃酸の分泌を抑制します。
3. 筋弛緩薬
筋弛緩剤: バクロフェンなどの筋弛緩薬が筋肉の緊張を和らげ、嚥下を容易にすることがあります。
4. 抗精神病薬
抗精神病薬の見直し: 嚥下障害の原因として抗精神病薬が疑われる場合、薬剤の調整や代替薬の検討が行われることがあります。
嚥下障害に対する薬での改善は、主に原因となる病気の管理に焦点を当てています。したがって、嚥下障害自体を直接改善する薬は限られています。また、薬での改善は副作用を伴う可能性があるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。
嚥下障害の原因となる病気が明確でない場合、または複数の要因が絡んでいる場合、改善はより複雑になる可能性があります。嚥下障害の改善では、薬による改善を行うときしばしば他の方法と併用して行われます。また、原因となる病気に対する改善が嚥下障害の改善に大きく寄与することが多いです。
嚥下障害が起きると、口の中に食べ物が溜まったり細菌が増えたりしてしまいやすくなります。
毎食後、きちんと歯磨きをすることが大切です。入れ歯である場合は入れ歯を外して洗うことで口の中を生活に保つように心がけましょう。
口の中に細菌が増えると、歯周病や誤嚥性肺炎になる危険が高くなります。口の中を常に綺麗にすることが大切です。
・翳風
・太渓
・上廉泉
翳風は、全身の気の流れや血流を改善する効果があります。翳風は耳下腺リンパ節の近くにあるため、顔のリンパの流れも促されます。そのため、顔のむくみに効果的です。
耳下腺リンパ節の近くにあることから、唾液の分泌を高める効果も期待できます。嚥下には唾液が必要です。唾液がきちんと分泌されることによって嚥下もスムーズにできるのです。
太渓は、腎の機能を高める効果のあるツボです。太渓を刺激することで、内臓の機能が高まるため、飲み込むときに咽頭を通過する時間を短くすることが期待できます。
咽頭を通過する時間が短くなることでスムーズに食べ物を飲み込むことができるため、嚥下障害にも効果が期待できるのです。
他にも、足腰の冷えや痛み、月経痛にも効果的です。
上廉泉は、唾液の分泌を促進する効果があります。そのため、喉が乾燥したときや咳が長く続くときに効果的なツボです。
嚥下を行うとき、唾液は重要な働きをしています。そのため、唾液の分泌が促進されることによって、嚥下障害に対しても効果が期待できるのです。
翳風は、耳たぶの裏側にあるツボです。
両手の中指で翳風を押した状態で、顔を左右に揺らすことで刺激できます。痛みを感じやすい部分でもあるため、強い力で押しすぎないように注意し、優しく刺激を行いましょう。
太渓は、内くるぶしの最も出っ張った場所の高さで、内くるぶしとアキレス腱と間のへこんでいる場所にあります。
押すときは、人さし指を使って押します。押すときのイメージとして、アキレス腱に引っかけるようなイメージで押すと良いでしょう。
上廉泉は、あごの先と喉仏を結んだ線の上のくぼんでいる場所にあります。
押すときは、親指を使って、下から上に押し上げるように押します。上に押し上げるようなイメージで押すことでより唾液の分泌が高まります。
11時から21時
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年末年始