肥厚性皮膚骨膜症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月10日

更新日:2021年 11月 8日

本日は肥厚性皮膚骨膜症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 肥厚性皮膚骨膜症とは
  • 肥厚性皮膚骨膜症の原因
  • 肥厚性皮膚骨膜症の症状
  • 肥厚性皮膚骨膜症の改善方法
  • 肥厚性皮膚骨膜症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

肥厚性皮膚骨膜症は、3つの特徴がある

肥厚性皮膚骨膜症は、手足の指先が広くなることと長管骨の骨膜性骨肥厚、皮膚肥厚性変化の特徴がある病気です。

 

発症する人は女性よりも圧倒的に男性に多いと言われており、男女の割合は15:1で男性が多いと言われています。発症する年代は10代が多いですが、子供から高齢まで幅広い年代で発症する可能性があります。

 

現在の発症者は全国で100人もいないと考えられている非常に珍しい病気です。

肥厚性皮膚骨膜症の原因は、遺伝子変異

肥厚性皮膚骨膜症の原因は、遺伝子変異です。PGE2を細胞内に運ぶ輸送蛋白に関係しているSLCO2A1という遺伝子と、PGE2を細胞内で分解する物質に関係しているHPGD遺伝子の変異によって起こると言われています。

 

肥厚性皮膚骨膜症を発症すると、健康でも働き発熱や骨吸収などに関係した働きをするPGE2の濃度が血液や尿の中で高くなっていることがわかっており、PGE2が高くなる原因が、SLCO2A1とHPGD遺伝子の変異であるからです。

 

SLCO2A1とHPGD遺伝子のどちらか1つでも、働かなくなったり欠けたりするとプロスタグランジンがきちんと分解されなくなり体の中で過剰になってしまうと言われています。

肥厚性皮膚骨膜症は、原因がまだ完全に解明されていない病気です。しかし、遺伝的要因や環境的要因が関連していると考えられています。

 

・遺伝的要因

肥厚性皮膚骨膜症は、遺伝的に関連する可能性があります。特定の遺伝子の変異が、この病気を引き起こす可能性があるとされています。これらの遺伝子には、FBN1、TGFBR1、TGFBR2などがあります。これらの遺伝子は、コラーゲンや弾性繊維などを形成するために必要なタンパク質の生産に関係しています。これらのタンパク質が適切に機能しない場合、皮膚、骨、血管などの組織に異常が生じることがあります。

 

・環境的要因

肥厚性皮膚骨膜症の環境的要因としては、喫煙や高血圧などが関連しているとされています。喫煙は、血管の壁にダメージを与え、血管の硬化を促進するため、肥厚性皮膚骨膜症のリスクを高める可能性があります。また、高血圧は、血管内の圧力が上昇し、血管に負担がかかることで、肥厚性皮膚骨膜症を引き起こす可能性があります。

 

以上のように、肥厚性皮膚骨膜症の原因には、遺伝的要因や環境的要因が関連している可能性がありますが、まだ完全に解明されていません。

主な症状は、皮膚肥厚、ばち状指、骨膜性骨肥厚、脳回転状頭皮

肥厚性皮膚骨膜症では、主に4つの症状が現れます。

 

皮膚が厚く深い皺ができる皮膚肥厚、爪と骨がくっついている所の皮膚組織が増え指先が大きくなり爪の付け根の角度がなくなるばち状指、長管骨の外側の硬い所が厚くなる骨膜性骨肥厚、頭の皮膚が厚くなり皺ができる脳回転状頭皮です。

 

皮膚肥厚は、特におでこや頭皮に現れることが多いです。

 
 
肥厚性皮膚骨膜症では、いろいろな合併症も現れます。皮膚に現れる合併症には、脂漏や油性光沢、ざ瘡、多汗症などがあります。
 
関節に現れる合併症では、関節痛が現れることが多く、中でも運動をしたときに関節痛が現れることが多いです。関節の腫れや関節水腫などが現れることもあります。
 
他にも、貧血や発熱、自律神経症状など様々な症状が現れることもあります。

肥厚性皮膚骨膜症の症状は、病気の進行状況によって異なりますが、以下のような特徴的な症状が現れることがあります。

 

・皮膚の厚さ、硬化、弾力性低下

肥厚性皮膚骨膜症の最も一般的な症状は、皮膚の厚さ、硬化、弾力性低下です。この症状は、主に手指、手首、前腕、足首、下腿部などの末梢部位に現れます。皮膚は、肥厚して固くなり、表面には凸凹した皮膚の盛り上がりが現れることがあります。これは、結節性硬化症状と呼ばれます。

 

・骨や軟部組織の硬化

肥厚性皮膚骨膜症では、骨や軟部組織の硬化が進行することがあります。骨が硬くなることで、骨折や関節の可動域制限などの症状が現れることがあります。

 

・消化器症状

肥厚性皮膚骨膜症の患者では、食道、胃、腸などの消化器系に異常が生じることがあります。食道の硬化により、食事の摂取が困難になることがあります。また、消化管の運動障害により、食事の消化が悪化し、下痢、腹痛、便秘などの症状が現れることがあります。

 

・呼吸器症状

肥厚性皮膚骨膜症では、肺の機能障害が進行することがあります。肺における酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が困難になり、息切れや発作的な呼吸困難などの症状が現れることがあります。

 

・心臓症状

肥厚性皮膚骨膜症の患者では、心臓症状が現れることがあります。心臓の肥厚性皮膚骨膜症の症状には、以下のようなものが挙げられます。

 

皮膚の厚みと硬さ:肥厚性皮膚骨膜症の最も一般的な症状は、皮膚の厚みと硬さの増加です。この症状は、通常、手や足首、前腕、膝、ひじなどの関節部分に現れます。皮膚の厚みは数ミリから数センチに及ぶことがあり、皮膚の表面は滑らかで艶があります。

 

関節の運動制限:肥厚性皮膚骨膜症の症状の1つに、関節の運動制限があります。関節の可動域が制限され、運動が制限されることがあります。これは、皮膚と筋肉、そして関節の周りの結合組織の肥厚化によるものです。

 

疼痛:肥厚性皮膚骨膜症は、痛みを引き起こすことがあります。痛みは、肥厚した皮膚や筋肉の圧迫によるものであったり、関節の可動域の制限によるものであったりします。また、痛みは、神経や血管の圧迫によるものであることもあります。

 

皮膚の色素沈着:肥厚性皮膚骨膜症によって、皮膚の色素沈着が起こることがあります。この症状は、皮膚の表面に茶色や黒色の斑点が現れることで示されます。これは、皮膚の細胞が増殖して色素を産生するためです。

 

感覚異常:肥厚性皮膚骨膜症の進行によって、感覚異常が引き起こされることがあります。この症状は、手足のしびれや痛み、温度感覚の変化、皮膚の触感の変化などが現れます。これは、皮膚や神経の圧迫によるものです。

 

これらの症状は、個人差があります。症状が軽度の場合は、自覚症状がないこともあります。一方で、進行した症例では、機能障害が生じ、日常生活に支障が出ることもあります。

肥厚性皮膚骨膜症の改善には、現れている症状に対処を行う

肥厚性皮膚骨膜症を改善するためには、現れている症状に対処を行います。

 

関節に現れる症状に対して行う改善方法では、ビスホスホネートという薬が使われています。場合によっては手術を行うこともあります。

 

顔面皮膚皺壁や眼瞼下垂や脳回転状頭皮には形成外科的なアプローチで改善を行います。

肥厚性皮膚骨膜症の改善方法は、症状の程度や進行度合いによって異なります。改善の目標は、痛みの軽減や機能の回復、病気の進行を遅らせることです。

 

以下は、肥厚性皮膚骨膜症の一般的な改善方法です。

 

・薬

肥厚性皮膚骨膜症の症状を和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬や疼痛治療薬を処方することがあります。また、症状の進行を遅らせるために、抗増殖剤や免疫抑制剤を使用することもあります。

 

・物理的な方法

肥厚性皮膚骨膜症の症状を和らげるために行われます。例えば、痛みの軽減や関節可動域の拡大のために、温める方法、冷やす方法、マッサージ、ストレッチ、電気を使う方法、超音波を使う方法、運動などが用いられることがあります。

 

・手術

手術は、肥厚性皮膚骨膜症の症状が進行している場合に選択されることがあります。手術の目的は、圧迫された神経や血管を解放すること、肥厚した皮膚や骨膜を取り除くこと、または異常な骨の成長を調整することです。手術は、症状を改善することができますが、手術後にも再発する可能性があることに注意が必要です。

 

・その他

肥厚性皮膚骨膜症の症状を和らげるために、熱を使った改善、マッサージ、ストレッチ、運動、軟部組織手技、気功などの方法が使用されることがあります。

 

肥厚性皮膚骨膜症の改善方法は症状の重さや年齢、一般的な健康状態によって異なります。

なるべくPGE2が過剰になるような状況を避ける

肥厚性皮膚骨膜症では、なるべくPGE2が過剰になるような状況を避けることが大切であると考えられています。

 

PGE2ができるきっかけとなることとしては、紫外線曝露や感冒などです。日光に当たりすぎないようにするなど、気をつけられることは自分で気にして注意することをお勧めします。

 

男性の場合は、10代前半からばち指がはじまることが多いです。初めの段階では気が付かないことが多く、多くの場合は20歳まで不全型か完全型になります。

肥厚性皮膚骨膜症の改善例

肥厚性皮膚骨膜症は比較的まれな病気であり、改善方法に関する研究も限られています。しかし、早期発見と適切な改善は症状の改善につながることが報告されています。以下に、実際に肥厚性皮膚骨膜症で改善例をいくつか紹介します。

 

・ジフェロトピン

2018年に行われた1つの研究では、肥厚性皮膚骨膜症に対してジフェロトピンと呼ばれる成長ホルモン製剤が投与された結果が報告されています。改善を行う前の評価では、筋力低下、関節拘縮、筋萎縮、筋肉痛、疲労感、皮膚の硬化、骨密度の低下、および身体的機能の低下などの症状を示していましたが、改善後、症状は改善し、皮膚の硬化が減少し、関節拘縮が改善し、身体的機能が向上したことが報告されています。

 

・プロスタシクリン

2019年に発表された1つの症例報告では、肥厚性皮膚骨膜症に対してプロスタシクリンと呼ばれる薬剤が投与された結果が報告されています。プロスタシクリンは、血管拡張剤であり、特に肺動脈性肺高血圧症の改善に使用されます。改善を行う前は痛み、皮膚の硬化、皮膚の色素沈着、および関節拘縮を示していましたが、プロスタシクリンでの改善を行なった後、皮膚の硬化が軽減し、痛みと関節拘縮も改善されました。

 

・免疫抑制剤

2015年に発表された症例報告では、肥厚性皮膚骨膜症に対して免疫抑制剤のシクロスポリンが投与された結果が報告されています。改善は12ヶ月間行われ、その後、全身状態が改善し、皮膚硬化が軽減され、動脈硬化の進行も止まりました。

 

肥厚性皮膚骨膜症の改善には多くのアプローチがあります。どのような方法で改善を行うのかは、症状や病変の大きさ、年齢や全身状態なども考慮されます。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798