公開日:2021年 10月 1日
更新日:2023年 7月10日
本日はクラッシュ症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
クラッシュ症候群の原因は、長い時間重いものに圧迫されて下敷きの状態になることです。ほとんどの場合は下敷きの状態から助けられた直後は、特に症状がありません。そのため見落とされることも多いです。
筋肉が圧迫されると筋肉細胞が障害されて死んでしまいます。すると、ミオグロビンやカリウムが血液の中に混ざり高い毒性の物質が溜まります。
その後圧迫されていた部分が解放されると、血液の流れによって急激に毒素が体全体に広がって心臓の機能に悪い影響を及ぼすのです。
クラッシュ症候群は、身体の大部分が圧迫される重傷によって起こる重篤な症状です。この症候群の原因について詳しく見ていきましょう。
1. 外傷による圧迫
クラッシュ症候群の最も一般的な原因は、外傷による身体の部位の圧迫です。
a. 自然災害
地震や土砂崩れなどの自然災害が建物や構造物の倒壊を引き起こすと、その下敷きになった人々がクラッシュ症候群を発症するリスクがあります。
b. 交通事故
交通事故などの高エネルギー外傷で身体の一部が挟まれたり圧迫されたりすると、クラッシュ症候群のリスクが生じます。
2. 圧迫時間の長さ
外傷による圧迫が何時間にもわたって続くと、筋肉細胞が壊死を始め、クラッシュ症候群の発症につながります。
3. 筋肉の壊死
圧迫された部分の血流が遮断されると、その部位の筋肉は酸素と栄養を欠き始めます。これにより筋肉細胞が壊死し、筋肉組織からの毒素の放出が起こります。
4. 再灌流障害
圧迫が解除された際に、壊死した筋肉からの毒素が急激に全身に放出される現象を再灌流障害といいます。これは、クラッシュ症候群の重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
5. 個人の健康状態
年齢、基礎的な病気、栄養状態など、個人の健康状態もクラッシュ症候群の発症に影響を与える可能性があります。
クラッシュ症候群では、心臓の機能に悪影響を及ぼし死に至る危険性が高いです。その時は一命を取り留めてもその後腎不全に至る危険もあります。
2時間以上腰や腕や腿ががれきの下敷き状態になっていた場合や圧迫された後から軽い筋肉痛や手足のしびれや脱力感を感じる場合、圧迫された後尿に血が混ざったり尿の量が減ったりしている場合はクラッシュ症候群の可能性があります。
1. 局所的な症状
a. 疼痛と腫脹
圧迫された部位は非常に痛みを伴い、しばしば腫れます。これは血流の障害と組織の損傷が進行しているためです。
b. 皮膚の変化
圧迫部位の皮膚は冷たく、白く、感触を失うことがあります。これは、血液と酸素の供給が遮断された結果です。
2. 全身的な症状
a. 尿の異常
クラッシュ症候群の進行に伴い、尿が茶色に変わることがあります。これは筋肉の壊死によってリリースされるミオグロビンが尿に混ざる結果です。
b. 腎障害
上記のミオグロビンが腎臓に負荷をかけるため、腎機能が低下することがあります。最悪の場合、急性腎不全に進展することも。
c. 心臓の合併症
カリウムなどの電解質の異常によって、心臓リズムの異常が起こることがあります。これは非常に危険で、命に関わる場合もある。
d. 呼吸障害
圧迫された部位が胸部である場合、呼吸が困難になることがあります。また、全身の酸素供給が不足すると呼吸障害を引き起こすことも。
e. 血圧の変動
クラッシュ症候群は、低血圧または高血圧を引き起こすことがあります。血液の流れの変化によって血圧が不安定になるためです。
f. 精神状態の変化
混乱、意識レベルの低下などの精神状態の変化も見られることがあります。これは全身状態の悪化の兆候であることもある。
3. 遅発的な症状
a. 感染症
損傷部位が感染し、敗血症など全身感染を引き起こすことがあります。
b. 筋力の喪失
圧迫された部位の筋肉が壊死すると、後に筋力の喪失が生じる場合があります。
クラッシュ症候群の改善方法は、血液透析や血漿交換です。クラッシュ症候群の改善で大切なことは血液をきれいにすることなのです。クラッシュ症候群であるとわかった時点ですぐに人工透析をすることも大切です。
圧迫から解放された直後に応急処置としてできることは、点滴をして水分を補給することと血液の中の毒素を乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液を使って薄めることです。
クラッシュ症候群を予防するためには早く救助をすることが非常に大切ですが、むやみに助けて圧迫から解放することが良いとは限りません。
長い時間がれきなどの下敷きになっていたりすぐに助けることが難しい場合はクラッシュ症候群の可能性を考えて行動することが必要なのです。
クラッシュ症候群の疑いがある場合、速やかに救急のプロフェッショナルに連絡する必要があります。
まず、慎重に圧迫部位の負荷を解除する必要があります。急激な解除は体へのショックを引き起こすため、専門家の監督のもとで行うべきです。体を評価した後、心拍数、血圧、酸素飽和度などを継続的に監視する必要があります。
その後、腎臓への負荷を減らすために、適切な液体を迅速に投与する、カリウムなどの電解質の異常を早期に検出し適切に調整するなどが必要です。また、腎障害を予防または最小限に抑えるために、腎保護薬の使用が考慮される場合があります。
さらに、急性腎不全の進行を防ぐための透析、損傷部位の手術や、感染部位の清掃などが必要なこともあります。長期的な筋力回復や機能の改善を目指すリハビリテーション、状態に応じた栄養サポート、心理的サポートなども重要です。
クラッシュ症候群の可能性がある場合、専門的なケアが必要になるため速やかに救急サービスに通報することが最優先です。その後、一般人ができることについては以下の点が挙げられます。ただし専門家の指示を受けるのが最良です。
救急サービスへの連絡: 速やかに救急サービスに通報し、状況を詳細に伝えます。通報時には、現場の安全確保や患者の状態、事故の概要などを具体的に伝えるとよいでしょう。
安全確保: 自身とクラッシュ症候群の可能性がある人の安全を最優先に考えます。交通事故現場などでは、交通整理を依頼する、または安全な場所に移動するなどの対応が必要です。
圧迫解除の避ける: 圧迫している物体を素人が取り除くことは危険であり、できるだけ避けるべきです。救急隊員や医師が到着するまで待ちます。
快適な位置づけ: 苦しくないよう、適切な位置に安置することができれば行います。しかし、無理に動かすと症状を悪化させる可能性があるため、慎重に対応します。
話し掛けて安心させる: 救急サービスが到着するまでの時間、自身が側にいることなどを静かに話し掛けて安心させることが役立つ場合があります。
指示に従う: 通報時に救急オペレーターからの指示があれば、それに従います。
重要情報の整理: 救急サービスが到着するまでの間に、事故の状況や病歴、アレルギー情報など、スタッフに伝えるべき重要な情報を整理します。
CPRの準備: 心肺停止の兆候があれば、CPRの準備をします。CPRの訓練を受けている場合、指示があれば実施します。
現場の状況の確認: 救急隊員のスムーズな対応のため、現場の状況や他の関係者の状態なども確認しておくとよいでしょう。
最終的に、クラッシュ症候群の対応には専門的な技術と知識が求められるため、専門家の到着を待ち、その指示に従うことが最も重要です。無理に自己判断で介入すると、症状を悪化させるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
クラッシュ症候群は正しい理解が非常に大切です。もしクラッシュ症候群の可能性がある現場に遭遇したときにはむやみにがれきをどかして助けるのではなく、119番しましょう。
救助隊が到着したら救助隊に指示を仰ぎ、与えられた指示のもとで救出活動を手伝うことが大切です。自分たちの力で救出した場合は病院に搬送する時に圧迫されていた時間や部位や挟んでいたものを伝えることも大切です。