公開日:2019年 12月23日
更新日:2024年 5月11日
本日は肘部管症候群について解説させていただきます。
肘部管症候群の原因、対処法について詳しくしりたい方
こういった小指のしびれ、薬指半分のしびれに対してのお悩みについてお答え致します。
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
小指の痺れの正式名称は、尺骨神経障害です。尺骨神経とは、上腕の内側方前腕の内側を走行する神経のことで小指側の感覚と手指、手首の運動を支配する神経です。神経が興奮して痺れとして感じるのが尺骨神経障害です。
尺骨神経障害の中でも、当院では肘部管症候群が1番多いです。
肘には、肘部管を構成する筋肉が3つあります。尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋という3つの筋肉が神経の通り道を構成しており、筋肉が固まることで神経が圧迫されて症状が出ます。
肘部管症候群で当院に来院される方で多い原因は、
・繰り返しの肘の屈伸運動
原因: 繰り返し行われる肘の屈伸運動や、長時間肘を曲げたままにする動作(例:電話を長時間持つ、タイピングなど)が尺骨神経を圧迫し、炎症や腫れを引き起こします。
・外傷や圧力
原因: 肘への直接的な打撃や外傷が尺骨神経にダメージを与え、圧迫を引き起こすことがあります。また、肘を長時間硬い表面に押し付けること(例:デスクに肘を置く)も神経を圧迫します。
・骨の異常
原因: 骨棘、骨折後の変形、関節炎などの肘関節の骨の異常が神経の通り道を狭め、圧迫を引き起こします。
・筋肉や腱の異常
原因: 肘の周囲の筋肉や腱が過度に発達している場合、神経を圧迫することがあります。また、筋肉の異常収縮が神経を圧迫することもあります。
・組織の肥厚
原因: 神経を取り囲む腱鞘や結合組織の肥厚が神経を圧迫することがあります。炎症や腱鞘炎がこれを引き起こすことがあります。
・先天的要因
原因: 生まれつき尺骨神経の通り道が狭い人や、肘の構造に異常がある人は、肘部管症候群を発症するリスクが高まります。
・職業や趣味
原因: 配管工、コンピュータ操作など肘を頻繁に使用する職業やゴルフやテニスなどの趣味が肘部管症候群のリスクを高めることがあります。
尺骨神経の圧迫箇所は、おもに5ヶ所あります。
肘部管症候群の初期段階では、手の薬指と小指にしびれ感が出はじめます。尺骨神経の圧迫がながびくにつれ、麻痺が進行します。
手の筋肉がやせてきたり、手の指がまっすぐに伸びない鷲手変形が起こります。手の筋力が低下すると、握力は低下し、指をひらいたり閉じたりする運動ができなくなったりします。
・手指のしびれや感覚異常
小指と薬指のしびれ: 最も一般的な症状で、小指と薬指(特に薬指の内側半分)にしびれや感覚異常が生じます。
手の内側のしびれ: 手の内側部分にも感覚異常が生じることがあります。
・痛み
肘内側の痛み: 肘の内側に鋭い痛みを感じることがあります。この痛みは、特に肘を曲げた時に強くなります。
前腕から手指にかけての痛み: 痛みが前腕や手指に放散することもあります。
・筋力低下
手の握力低下: 手全体の握力が低下し、物を握ったり持ったりするのが難しくなることがあります。
細かい動作の困難: ボタンをかける動作などの指先の細かい動作が困難になることがあります。
・筋肉の萎縮
手の内側の筋肉の萎縮: 長期間にわたって神経が圧迫されると、手の内側の小指球や手掌の筋肉が萎縮することがあります。
筋肉のやせ細り: 進行すると、手の筋肉全体がやせ細ることがあります。
・指の曲げ伸ばしの制限
指の引っかかり感: 小指や薬指を曲げたり伸ばしたりする際に引っかかり感を感じることがあります。
・感覚の鈍化
鈍い感覚: 小指と薬指の感覚が鈍くなり、触覚の感度が低下することがあります。
・特定の動作での悪化
肘の屈曲時の症状悪化: 長時間肘を曲げた状態にすると、症状が悪化することがあります。これは、寝る時に肘を曲げている場合や、長時間電話を持つなどの行為によって顕著になります。
・他の関連症状
夜間の痛みやしびれ: 夜間に症状が悪化し、睡眠の質が低下することがあります。
1つ目は、小指だけに症状が現れます。小指球から小指、薬指の半分に違和感、しびれを感じます。しびれだけでなく、指の動かしづらさ、小指の筋肉がやせたりします。
①は当院で一番多いケースで、尺骨神経障害の一般的な症状です。肘部管症候群が非常に考えらます。鍼灸は非常に有効です。非常に改善しやすいです。
2つ目は、肘から小指球、小指、薬指の半分まで、ひろい範囲でしびれているパターンです。こちらの症状も、1つ目の同じく、肘~小指までのしびれ、鈍痛、筋肉のけいれんが見られます。
1番考えられる原因は、肘部管症候群です。筋肉の圧迫によっておこる尺骨神経の症状です。骨と神経の摩擦(尺骨神経溝での圧迫)でもおきます。鍼灸は非常に有効です。
3つ目は肘を曲げた時にビリビリ痺れるパターンで、脇のあたりから指まで違和感、しびれが出ます。このパターンは、頚椎ヘルニアなどで第8頚神経の興奮で起こることが多いです。
狭心症などのサインで起こることもあり注意が必要です。このパターンでは、脇にある神経の束を狙うことで回復するケースもあります。当院の鍼灸による回復率は10パーセントです。
4つ目は、肩の痛みと尺骨神経の症状が併発しているパターンです。非常に珍しいパターンで、当院も数例しかありません。肩甲下筋、上腕三頭筋のつかいすぎで、神経を圧迫していることです。
胸郭出口症候群の鍼灸により、早期に回復する特徴があります。
整形外科でお勧めとされる処置は以下のとおりです。
改善するためには手術を行うこともあります。
・尺骨神経の移動
前方移動: 神経を肘の前方に移動させ、圧迫を減らします。この方法には皮下、筋肉下、筋肉内への移動があります。
利点: 圧迫を根本的に解消し、神経の伸展や曲げによるストレスを軽減します。
・内側上顆の除去
方法: 肘の内側の骨の一部を削り取ることで、神経への圧迫を減らします。
利点: 神経を移動する必要がないため、手術の侵襲性が低い場合があります。
・肘部管開放術
方法: 腱や靭帯、筋肉の一部を切開し、神経周囲の圧迫を解放する手術です。
利点: 神経を直接圧迫から解放するため、効果的です。
・リハビリテーション
術後はリハビリテーションが重要です。専門家の指導の下で、適切なストレッチとエクササイズを行い、筋力を回復させ、再発を防ぐための運動を続けることが推奨されます。
肘部管による神経障害は、神経の圧迫が原因です。
消炎鎮痛剤を含んだ湿布では、圧迫を取り除くことはできません。ストレッチは圧迫を強めてしまう可能性があるため、当院ではお勧めしておりません。
肘部管症候群は、薬指の方から改善します。触っていくと段々痺れが取れます。小指球という小指の筋肉の膨らみがある場所の痺れが良くなり、最終的に小指の痺れが取れ、大体3段階で良くなります。
早く改善しないと神経自体が壊れると痺れ自体が完全に無くならないこともあるため早い改善が重要です。
神経には3段階あります。痛み、痺れ、麻痺という症状の進行度です。痺れの段階で処置をしなければ麻痺を引き起こす可能性もあります。
肘部管症候群を含む尺骨神経障害は長期間悩んだり神経が死んでしまうと鷲手という特徴的な手になります。
☆鷲手の特徴
・小指の前腕のあたりが痩せる
・母子対立筋も痩せて自分の力で手首を曲げることができなくなる
肘部管症候群のセルフケアは、肘と小指側の間の筋肉をつまんでほぐすことです。皮膚と筋肉の間をつまみましょう。
あまり強く刺激してしまうと筋肉の圧迫が強くなって悪化する危険があるため、皮膚を伸ばすように刺激することを心がけてください。時間があればずっと行って欲しいです。
筋肉は押さずに皮膚へのアプローチを行うことでゆっくり良くなります。
肘を曲げた時にビリビリ痺れる場合と小指と前腕がビリビリ痺れる場合は、早く手術が必要になります。手術は、尺骨神経移行術という神経の位置を動かす手術を行うことが多いです。様々なリスクがあるため早期に行うことが重要で、もたもたすると鷲手になってしまいます。鷲手になってしまったら回復は期待できません。
病院では良く手術を勧められるが改善する人は回復するため絶対手術が必要なわけではありません。過去に当院では、ギオン管まで手術した人もいました。改善するタイプの場合は無理して手術をする必要はありません。
肘部管症候群と鍼灸の相性は非常に良く、私の施術経験でも早期に回復する症状です。
施術ポイントは2つあります。
施術ポイント
尺骨神経は第8頚神経から出ており、影響をうけることでしびれ、神経痛を起こします。
この神経の興奮を鎮静化させることで、神経痛やしびれを落ち着かせます。
肘部管は3つの筋肉で構成されています。
肘部管を構成する筋肉
この3つの筋肉が固まることで尺骨神経が圧迫され、小指と薬指半分にしびれを感じさせます。この状況を正常化するため、肘部管のトリガーポイント鍼灸を行います。
※ギオン管から起きた痺れは靭帯の問題が多く、靭帯の緊張をやわらげる鍼灸を行います。
肘部管症候群の鍼灸を受けると、特徴的な改善の仕方がみられます。
※まれに最終的に小指の末端だけしびれが残ることがあります。しかし、生活上支障がないレベルまで落ち着きます。
本ページをまとめます。
当院は肘部管症候群のアプローチ件数は数百件は超えています。
様々なケースに対応してきておりますのでご安心くださいませ。
施術例を公開しております。ぜひご覧下さい。
手術をする前に、勇気を出して経験豊富な院長によるトリガーポイント鍼灸を受けてみませんか?
お力になれるよう対応致します。
20代
女性
3ヶ月前
寝て起きたら、小指と薬指にしびれを感じるようになった。
突然、小指がしびれ始めたことに驚かれたHさん。あさ起きると右の小指がしびれていたそうです。心当たりはなく、突然のことでビックリしたとのこと。何をしてても小指のしびれを感じるため、大変悩まれていました。
骨には問題のでメチコバールとリリカで様子をみる
脳に問題はなし、様子をみる
調べたところ、軽度の尺骨神経障害とわかりました。尺骨神経とは、首から小指にかけて通る神経で小指の知覚や手首を曲げる筋肉を支配する神経です。
この神経が何らかの問題で障害をうけると、小指や薬指の半分にしびれが出てきます。
60代男性
5年前
夕方突然小指がしびれ始めた。
①第7・8頸椎の狭窄がみられたため、椎弓形成術の手術を行う。
②手術後、小指のしびれが変わらないため、肘部管症候群の手術を2回受ける。
③2度の手術をしたがしびれに変化がない。
友人の紹介
尺骨神経のしびれと痛みで悩まされていたMさん。5年前、手の自由がきかなくなり、病院に行ったところ、頚椎の問題が発覚しました。医師のすすめで頚椎の手術をしたところ、若干手が動きやすくなりました。
ところがほどなくして、小指はもちろん腕に痛みとしびれが出てきて、どんどん手の筋肉が痩せてきました。病院に行って尺骨神経の場所を移動する手術を2度受けました。小指のしびれ、握力の低下は全く治りませんでした。好きだったサックスも辞めてしまいました。
肘部管症候群による鷲手でした。
尺骨神経の圧迫されるポイントは、4ヵ所あります。
写真でお分かりだと思いますが、Mさんの小指は大分痩せています。
2ヶ月集中的に鍼灸をしたところ、痛みとしびれは大幅に変化しました。自由がきかなかった小指は、折り曲げれるようになり、今ではサックスを吹けるまでになったとうれしい感想を頂きました。
○年齢・性別
○薬指と小指が痺れ始めた時期
○手のしびれの原因
・仕事でパソコンを使っている時間が長いせいだと思う。
○整形外科の対応
肘部管症候群といわれた
○銀座そうぜん鍼灸院の来院経緯
○銀座そうぜん鍼灸院では
〇肘部管内で神経が長期間圧迫されると肘部管症候群になる
肘部管内は狭いため、圧迫や引き延ばされた状態が続くと、容易に神経麻痺が発生します。
〇原因
○尺骨神経の役割
〇尺骨神経が麻痺すると
☆ここまでのまとめ
手のしびれは、以下の経緯で感じ始めます。
この悪循環を断ち切るため、鍼灸を行っております!
①肘部管の内部の炎症を抑える
筋肉の使いすぎにより、肘部管内で炎症が起きていることがあります。
②尺骨神経の再生
圧迫で痛んだ尺骨神経を刺激して、神経の再生を促がす。
③神経の興奮を鎮静する
神経に栄養を送る血管を刺激して、血流を改善させます。
週1回のペースで1月間、鍼灸を行いました。
手のひらの痺れもたまに感じる程度になった。
特に気になっていた薬指と小指の痺れが、かなり軽減した。
肘部管症候群に使われたツボをご紹介します。
・小海
・支正
・清冷淵
・消レキ
・養老
・肩貞
・青霊
東洋医学では肘部管症候群は痺症と考えます。
気の流れが悪くなった経絡を通して痛みを取っていきます。
小海の小は手の太陽小腸経の小のことを意味しており、小海の海はその場所が海のように陥没していることを意味しています。
小海には、尺骨神経が走っているため、前腕内側の痛みやこりに効果を発揮します。そのため、肩甲骨周りのこりからくる肩こりに効果的なツボなのです。
肘部管症候群だけではなく、尺骨神経麻痺や尺骨神経痛にも効果的です。下腹部の痛みや頭痛、耳鳴り、心臓の問題やヒステリーにも有効です。
支正の支は経脈の分支で離れることを意味しており、支正の正は正経、経脈のことを意味しています。
支正は、小腸経の気血の流れを正し、体の歪みを正しい状態に戻す効果があります。
支正は、肩こりや首や肘、腕の外側の痛みやしびれ、耳鳴り、顔の浮腫、ノイローゼ、喉の渇きなどに効果を発揮します。支正は、肩こりの中でも特に肩の後ろ側のこりが強い時に効果的です。
清冷淵には、寒冷で清涼な水を深く溜めている淵という意味があります。そのため、清冷淵は精神性の発汗やのぼせの汗を抑える効果があります。
肩こりや僧帽筋の痛み、手や指の痺れ、腕の痛み、腕や手の冷え感、頭痛やめまいなどの悩みがある人にも効果が期待できるツボです。
小海は、肘の後ろの内側にあるツボです。肘頭と上腕骨内側上顆の間のくぼみにあります。
ツボを探すときは、肘を少し曲げて小指側上顆と尺骨鈎状突起の間を押し、響く部分を探します。
押すときは、反対側の親指の腹で3~5秒ほど押します。何度も繰り返し押しながらゆっくりと肘を曲げ伸ばしするとより効果的です。
支正は、手首と肘の中間の位置で少し外側の骨の上にあります。
押すときは、反対側の手の親指の腹を垂直に当てて押します。5~6秒押して離すという動作を10回ほど繰り返すと良いでしょう。
改善したい腕の症状がある場合、症状がある側をより多く刺激をすることをお勧めします。
清冷淵は、二の腕の後ろ側にあるツボで、肘から指3本分上がったところにあります。
押すときは、反対側の人差し指と中指を使います。力加減は気持ちいいと感じる程度で行い、ゆっくりと押しましょう。
本ページをまとめます。
麻痺が進行すると、手の筋肉がやせてきたり、鷲手変形、鉤爪変形になっていしまいます。そうなると、神経の回復が満足にいかなくなってしまう為早めの改善をおすすめします。
今回の利用者様のような、仕事やスポーツによる使い過ぎが原因の場合は一旦休息を取り、日常生活でも肘に負担をかけないよう安静にすることが大切です。
手術が怖い方、後遺症を残したくないけど慢性化する前に何とかしたい。そんな方に少しでもお力になれるよう対応致します。
11時から21時
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始