月経前不快気分障害の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  8月23日

更新日:2025年  5月 9日

本日は月経前不快気分障害について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 月経前不快気分障害とは
  • 月経前不快気分障害の原因
  • 月経前不快気分障害の症状
  • 月経前不快気分障害の改善方法
  • 月経前不快気分障害のまとめ

投稿者の吉田です。

 

このページを書いている私は、施術スタッフや鍼灸師として9年間臨床に携わり、多くの女性利用者様のお体を対応してきました。

その経験を記事にまとめておりますので、ぜひ最後まで御覧ください。

 

月経前不快気分障害は月経前症候群の精神的な症状が強く現れる

月経前不快気分障害は、月経前症候群の症状の中でも精神的な症状が強く症状として現れます。

 

月経前不快気分障害で現れる症状は、主に抑うつ気分、不安や緊張、情緒不安定、怒りやイライラです。

 

月経が起こる前に食行動が変わったり睡眠障害が起こったりすることが多く、社会活動や人間関係に影響ができることもあります。

月経前不快気分障害の原因は明らかにはなっていない

月経前不快気分障害の原因ははっきりと明らかにはなっていません。

 

現在では、女性ホルモンと黄体ホルモンの影響が関係しているということや感情に関わる神経伝達物質の量や働きに女性ホルモンが影響を及ぼしているということなどが考えられています。

発症に関係していること

◆ ホルモン変動と脳の感受性

大きな引き金は、排卵後に急激に変動する女性ホルモンです。排卵後、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンが増え、月経直前に、それが急激にガクッと減少します。この変化自体は誰にでも起きるものですが、PMDDの方は、脳がこのホルモン変化に過敏に反応してしまうのです。

 

◆セロトニンの不足

女性ホルモンの変動により、脳内のセロトニンが減少すると、気分の落ち込み、イライラ、怒りっぽさ、過眠や不眠、集中力低下など、まるで軽度のうつ病のような症状が現れます。PMDDとは、ホルモンバランスの乱れによってセロトニンが下がり、感情のコントロールが効かなくなる状態とも言えるのです。

 

◆ストレス耐性の低下と交感神経の過緊張

現代女性は、仕事、家事、育児、人間関係など多くのストレスを抱えています。これにより自律神経が乱れ、特に交感神経が優位になると、睡眠の質が下がる、脳の疲労がたまりやすくなる、セロトニンやGABAなどの精神安定物質が減るなどの現象が起こります。結果的に、ホルモンの影響だけでは説明できない爆発的な情緒不安定が起こります。

 

◆栄養不足、血糖バランスの乱れ

近年注目されているのが、現代型の隠れ栄養失調です。ビタミンB6、マグネシウム、鉄、亜鉛、トリプトファンなどが不足すると、ホルモンや神経伝達物質の合成や働きに悪影響を与え、PMDD症状を強めてしまいます。

 

◆「肝」と「血」の乱れ

東洋医学では、PMDDは「肝」と「血」のアンバランスととらえます。ストレスにより肝気が停滞しイライラや怒りっぽさが起こります。血の不足で栄養が巡らず、抑うつや涙もろさ、疲れやすさがみられます。

月経が始まる数日前から不安感などの精神症状が強く出る

月経前不快気分障害では様々な症状が現れます。主に、普段はうつ症状のない人が月経が始まる数日前から抑うつ感や不安感などの精神症状が強く出るようになります。

 

絶望感を感じたり、涙がとまらなくなったり、イライラしたり、怒りっぽくなったりして感情をコントロールすることが難しくなります。症状は、月経が始まるとなくなります。

 

感情のコントロールが難しくなることで周りに感情を爆発させてしまうこともあります。そのため、人間関係や社会活動に影響が出ることもあります。

主な症状

◆ 精神的な症状

突然イライラし、家族や同僚に強く当たってしまう

些細なことで怒りが爆発する

自分でも理由がわからないのに、涙が止まらなくなる

感情が不安定で、人と会いたくなくなる

自己嫌悪や無価値感、消えてしまいたいと感じる

集中力が続かず、ミスが増える

不安感が強く、常に緊張している

などの症状が起こります。特徴的なのは「自分で感情がコントロールできない」という感覚です。

 

◆ 身体的な症状

下腹部の張りや鈍痛

胸の張りや痛み

頭痛、肩こり、関節痛

胃腸の不調(便秘・下痢・食欲不振・過食)

倦怠感、異常な眠気、不眠

めまいや動悸

などが起こります。特に生理前だけに起こる身体のだるさは、PMDDのサインとして見落とされやすい症状です。

改善方法は、薬を使わない方法と薬を使う方法がある

月経前不快気分障害の改善方法には、薬を使わない方法と薬を使う方法があります。

 

薬を使わない方法は、自分が月経前不快気分障害であるということを知ることです。病気をきちんと理解し、症状が出る時期や自分に現れる症状、症状の程度をきちんと知ることが大切です。

 

ストレスがある場合は、適度な運動やリラクゼーションを行うこともお勧めです。

 

薬を使う方法では、症状を和らげるために精神安定剤や利尿剤鎮痛剤などを使います。症状が中等症以上の場合は抗うつ薬を使うことで改善を行います。

 

他にも経口避妊薬や漢方薬を使って改善を行うこともあります。

主な改善方法

◆ ホルモンバランスを安定させる生活習慣

PMDDの背景には、排卵後のホルモン急降下があります。この波をゆるやかにするために、就寝、起床時間を一定にする、無理なダイエットを避け、たんぱく質や脂質、鉄をしっかりとる、月経後〜排卵期に軽い運動をする、カフェイン、砂糖、アルコールは控えめにするなどを行いましょう。また、PMSカレンダーをつけ、自分の体調のパターンを知ることも大事です。

 

◆ セロトニンを増やすための脳と腸ケア

PMDDは「セロトニン不足型うつ」に近い側面があります。セロトニンは、腸と日光とリズム運動で増えると言われています。朝起きたら太陽を浴びる、よく噛んで食べる、トリプトファンを含む食材をとる、1日30分のリズム運動、腸内環境を整えるなどの習慣でセロトニンを増やしましょう。

 

◆ 心の緊張を解きほぐすセルフケア

PMDDの方は、感情の処理が過敏になる傾向があるため、自分にやさしくする習慣がとても大切です。つらいのは体のせいと思うだけでも、自己否定が和らぎます

病気を受け止めて相談することが大切

月経前不快気分障害は、自分の悩みであった月経前の症状が月経前不快気分障害であるということに気がつくだけで気持ちが楽になることもあります。まずは自分の病気を受け止めることが大切なのです。

 

症状がつらい場合は医師に相談することをお勧めします。医師に相談することで症状が少しでも軽くなることが期待できます。

 

症状を少しでも和らげ、心を落ち着かせ、安心して生活を送ることができるようにするためには相談することが大切です。

月経前不快気分障害は、性格の問題ではなく、身体の中で起きている化学反応によって感情が乱れている状態です。つまり、体を整えれば、心も整ってきます。

 

鍼灸では、ホルモン・神経・感情・栄養の巡りを同時に整える施術が可能です。自分の本来のバランスを取り戻すケアを始めてみませんか?

月経前不快気分障害に効果的なツボ

気海

三陰交

関元

気海

気海の気は元気や腎気の意味を持っており、気海の海は集まる場所という意味を持っています。気海は全身の気が集まるツボと言われているツボなのです。

 

気海は、刺激することでエネルギーの代謝が高まり、虚弱や下半身の冷えに効果的です。生理痛を和らげたり生理不順や便秘、下痢を改善したりする効果があり、月経前不快気分障害にもオススメのツボです。

三陰交

三陰交は、女性の不調に対して万能のツボと言われているツボです。生理のトラブルに非常に効果が高いツボなのです。そのため、生理痛や月経不順、月経前症候群、月経前不快気分障害など色々な症状にオススメです。

 

他におm、ホットフラッシュや冷え、むくみなどの更年期の症状にもオススメです。

関元

関元のツボの名前には、健康のもとである元気が存在するところという意味があります。そのため、体が弱っていたり精神的に疲れていたりしてやせ衰えている状態に使います。

 

腹痛や便秘、膀胱炎、頻尿、胃腸の不調や生理痛などに効果的です。

ツボの位置と押し方

気海

気海は、おへそから指2本分下あたりの正中線上にあります。

 

押すときは、押しやすい指を使ってゆっくり押しましょう。また、蒸しタオルをのせたり、お灸をしたりして温めることも良いです。

 

生理に関する症状の緩和のためには、生理予定日の1週間前から入浴後や寝る前などに押すことを習慣化することをお勧めします。

三陰交

三陰交は、内くるぶしの1番高いところから指4本分上にあるツボです。

 

押すときは親指の腹を使って押しましょう。力の強さは、痛気持ちいいと感じるくらいの強さがお勧めです。ゆっくり呼吸をしながら押しましょう。

関元

関元は、膝のお皿の内側のラインと上際のラインが交わる場所から指3本上に上がった場所にあります。

 

押すときは、親指でゆっくり押します。両手の親指を重ねて押しても良いです。強く押し過ぎてしまうと内臓を圧迫してしまうため、強く押しすぎないように注意しましょう。

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