公開日:2019年 12月23日
更新日:2025年 4月 5日
本日は小児神経症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
神経系の病気の多くは脳や脊髄、運動や感覚の末梢神経、筋肉に起きる神経症状です。そのため、神経症は脳に何か問題があるということです。
なにかおかしいという異変を感じたらそのまま様子見をするのではなく、なるべく早く小児神経の専門医に相談することをお勧めいたします。
出来るだけ早く正しい判断をし、適切な改善と指導を進めていくことは子供の将来にも大切なことです。
神経疾患の原因は、先天性のものと後天性のものの2種類あります。先天性の原因は産まれる前の時点で発症の原因がある時です。
最近の研究では、多く先天性が原因の神経症は、遺伝子の異常が原因になっているということがわかってきています。遺伝子の異常が起きる原因は遺伝性です。
他にも、母体に対しての感染症やX線、喫煙などの何かしらの外的要因が胎児の遺伝子に悪い影響を与えることが原因であると考えられます。
後天的な原因は、脳の外傷や骨髄炎や脳炎などの感染症、脳腫瘍などの腫瘍性病変、脳梗塞などの血管性病変が考えられます。
このような後天的原因で小児神経症が起こった場合、後遺症として神経障害が残る可能性もあります。
先天性の原因でも後天性の原因でも原因となることを事前に知っておくことで、疑わしい症状が現れた時、すぐに専門医に相談することができます。
◆ 親子関係の問題
過干渉・過保護:子どもが自分の意思で行動する自由がなく、自己肯定感が育ちにくいです。
逆に放任的すぎる:情緒的な安定が得られず、見捨てられ不安や愛情飢餓に繋がります。
◆ 兄弟間の比較
兄弟間などでの比較が、劣等感や緊張を引き起こします。
◆ 学校でのプレッシャー
成績への期待、いじめ、教師との関係、集団生活のストレスなどがあります。
◆ 内向的・感受性が高い子
周囲の刺激や人間関係に敏感で、ストレス耐性が低い傾向にあります。
◆ 完璧主義・優等生タイプ
失敗を極端に恐れ、常に自分を追い詰めることで心身の負荷がかかります。
◆ 不安定な家庭環境
夫婦喧嘩、離婚、引っ越し、家族の病気など、子どもにとっての環境変化は強いストレスになります。
◆ 睡眠不足・生活リズムの乱れ
成長期の脳にとって、生活リズムの安定は情緒の安定にも直結します。
◆ 脳の前頭葉や自律神経系の未発達
子どもは環境変化に柔軟に適応できません。そのため、些細なことが引き金で神経症的な反応を起こします。
小児神経症の症状には様々なものがあります。夜泣きや憤怒けいれん、チックやてんかんなどが特に多く見られる症状の1つです。
夜泣きは、0歳から3歳までの子供に多いです。夜泣きの原因はの心理的背景として、昼間に起こる刺激的な体験や生体リズムの乱れなどが言われています。
特に、神経質な子供やヒステリー傾向の子供に多いといわれています。憤怒けいれんは激しく泣きわめいている時、急に呼吸がまり、唇が紫色になりチアノーゼの状態になることです。
全身がけいれんを起こしたり、数分間の間意識を失うこともあります。特に神経質な子供に多く起こります。親が子供に干渉しすぎることが原因といわれていますが、多くの場合は原因がわかりません。
チックはまばたきをしたり、口をゆがめたり、顔をしかめたり、鼻や喉をならしたり、首を振ったり、肩を上げたり、手首をピクつかせたりする症状があります。チックは、体の一部の筋肉を意味も無く繰り返し動かすことです。
てんかんは、脳細胞の異常な電気的活動が原因で突発的におこるけいれん発作のことです。てんかんのが起きた時にはてんかん波といわれるてんかん特有の脳波が出ます。
◆ 頭痛・腹痛
調べても異常が見つからないですが、登校前などに強く訴えることが多いです。精神的なストレスが痛みとして表れる典型的な心身症です。
◆ 食欲不振・吐き気
緊張や不安が強いと自律神経のバランスが崩れ、消化機能が低下します。
◆ 夜尿症
排尿コントロールができる年齢を過ぎても頻繁に起こる場合は、心理的な不安や甘えの欲求が背景にあることが多いです。
◆ 不眠・中途覚醒
寝つきが悪い、夜中に目が覚める、怖い夢を見て泣き叫ぶなどが見られます。
◆ チック症状
緊張や不安が高まると、一時的・反復的に現れる無意識な動作です。
◆ 強い不安・心配
特定のことに対して極端に怖がります。常に不安を口にします。
◆ 落ち込み・抑うつ気分
楽しかったことに興味を示さなくなります。表情が乏しく、口数が減ります。
◆ 対人不安・恥ずかしがり
友達と遊びたがらない、他人の視線を極度に気にします。
◆ 甘え・依存傾向の強さ
母親から離れられない、抱っこを求める、指しゃぶりが再発します。
◆ 登校拒否(不登校)
朝になると体調不良を訴えたり、急に泣き出して学校を嫌がるようになります。
◆ かんしゃく・イライラ
些細なことで怒ったり、泣きわめいたりします。
◆ 強迫的行動
同じ言葉を繰り返す、手洗いを何度もするなどの儀式的行動です。
◆ 赤ちゃん返り
おしゃぶり、夜泣き、意味のない赤ちゃん言葉など、発達が逆行したような行動します。
神経症は原因がわからないことが多いです。多くの場合、精神的なことが関係しているといわれています。
特に親子関係は未発達の子どもの心に大きく影響します。 過保護すぎても厳しすぎても、子どもに干渉しすぎるという点では同じです。子どもにとってストレスになります。
さらに、関心が薄すぎても子供は欲求不満と感じることがあります。まず大事なことは親が神経質にならず、のんびりした気持ちで子供と接することです。そのことで、子供は改善に近づくのです。
神経症の症状に効果的な薬は現在はまだ確立されていません。そのため、小児神経症の改善には、両親にカウンセリングすることや、子供が日常生活の中でストレスをためないようにできることが大事です。
規則正しい生活を心がけてください。てんかんの場合は抗けいれん薬を使って発作を予防することができます。
小児神経症の改善には、漢方が使われることもあります。感情の爆発や攻撃的で不安定な感情を漢方では肝気の高ぶりと考えます。癇が強い、癇が高ぶるなどの癇のことを肝気と同じと考え、興奮しやすい気の動きのことです。
漢方では高ぶるものを抑えて足りないものは補います。そのため、神経症には比較的効果を発揮します。
◆ 小児精神科・児童心理外来
特に長引く不登校、チック、強迫症状、うつ傾向がある場合は早めに専門機関にいきましょう。状態に応じてカウンセリンなどが行われます。
◆ 鍼灸・東洋医学的アプローチ
鍼灸は自律神経を整えることで、不安やチック、夜尿症などに有効なケースがあります。東洋医学の考え方に基づき、脳の興奮を鎮め、安心感を取り戻すサポートが可能です。
◆ 音楽やアートなど
言葉以外で心を表現する方法が、子どもの癒しや回復を助けます。特に敏感で繊細な子どもには、こうした非言語的アプローチが効果的です。
◆ 安心できる心の基地をつくる
子どもにとって最も大切なのは、ありのままの自分でいられる場所です。否定せず共感的な声かけを心がけてください。
◆ 原因追及よりも気持ちを受け止める
問い詰めるのは逆効果です。感情の存在を認めてあげましょう。
◆ 小さな成功体験を積ませる
成功の体験が自己肯定感を高めます。勉強よりも、遊びやお手伝い、お絵描きなどで達成感を感じさせる工夫をしましょう。
◆ 生活リズムを整える
睡眠、食事、起床時間を一定に保ちましょう。脳と自律神経の安定には朝日を浴びること、朝食をとることがとても効果的です。
◆ 親自身のストレスケアも重要
親が不安定だと、子どもも安心できません。親が深呼吸をしたり、落ち着いて接するだけで、子どもの情緒も整いやすくなります。
人間の脳の発達は遺伝子で決められる部分と、外からの要因で決められる部分があります。外からの要因で大事なことは規則正しい生活リズムと睡眠と覚醒リズムのを確保することです。
昼夜逆転をしないように生活すること、三度の食事をきちんと摂ること、日中に日光を浴びることなどに心がけて規則正しい生活をしてください。
適度に運動することやよく歩くことも非常に大事なことです。日中、子供と一緒に散歩などをすると良いでしょう。
乳幼児の発達の段階では乳幼児に適正な睡眠と覚醒のリズムがあります。規則正しい睡眠と覚醒のリズムを身に付けるためには、専門医からのアドバイスに従うことが大事です。
幼児段階では昼寝が重要になります。昼寝の睡眠の長さは長すぎず、短すぎない1時間半程度が良いといわれています。昼寝のタイミングは午後の早い時点が良く夕方ごろはあまり良くありません。
夜更かしは子供にとって良くないため、早寝早起きの習慣をつけさせることが重要です。最近は就学期以降、勉強に追われて夜更かしをする子供が増えてきています。
しかし、幼年期の時点で睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまうと何かしら影響が出てしまうことが多いです。