食道アカラシアの鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 6月 2日

更新日:2021年 6月17日

本日は食道アカラシアについて解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 食道アカラシアとは
  • 食道アカラシアの原因
  • 食道アカラシアの症状
  • 食道アカラシアの改善方法
  • 食道アカラシアのまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

食道アカラシアは、食べ物が食道から胃に通らず食道に留まる

食道アカラシアは、食道と胃の接合部分が緩まなかったり強く収縮したりすることによって、食べたものが食道から胃の中に通っていかず、食道の中に留まる病気です。

 

代表的な症状は、食べたものがのつっかえることや食べた後に嘔吐が起こることです。

 

食道アカラシアが発症することは比較的珍しく、約10万人に2~3人が発症すると言われています。男女ともに発症する可能性があり、特に中年で発症することが多いです。

下部食道括約筋の運動を支配する信号に障害が起きることで起こる

食道アカラシアの原因は、下部食道括約筋の運動を支配する脳からの信号に障害が起きることです。

 

下部食道括約筋は運動することで、胃から胃酸や食べた物が食道に逆流しないために働いています。食べ物などを飲み込む時には、唾液や食べ物を食道から胃の中に移動させるために一時的に緩み食べ物が胃の中に進んでいくのです。

 

下部食道括約筋の運動は、脳から送られる信号に支配されて起こっています。食道アカラシアは、脳から下部食道括約筋に送られる信号に障害が起きることで、食道と胃の接合部分が緩まなかったり強く収縮したりして起きるのです。

食道アカラシアは、食道の筋肉が正常に緩和しないため、食物の消化が困難になる病気です。これにより、食道の下部の括約筋が緊張し続け、食物が胃に移動するのを妨げることがあります。食道アカラシアは、生活の質に影響を与えるだけでなく、長期的な合併症も引き起こす可能性があります。

 

食道アカラシアの原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与しているとされています。

 

神経細胞の損傷: 食道アカラシアの主な原因と考えられているのは、食道の神経細胞が損傷を受けることです。この損傷は、自己免疫反応やウイルス感染の結果として生じることがあります。神経細胞が損傷を受けると、食道の筋肉が緩和することができず、食物の通過が困難になります。

 

遺伝的要因: 食道アカラシアは、家族性の場合もあり、遺伝的要因が関与している可能性があります。特定の遺伝子変異がアカラシアの発症リスクを高めることが示唆されていますが、この関連性はまだ完全には理解されていません。

 

自己免疫の病気: 食道アカラシアは、自己免疫の病気と関連があるとされています。自己免疫の病気は、免疫システムが誤って自分の体の組織や細胞を攻撃することが特徴です。食道アカラシアの場合、免疫システムが誤って食道の筋肉や神経細胞を攻撃する可能性があります。

 

これらの要因は、食道アカラシアの発症に影響を与える可能性があるとされていますが、病気の完全な原因は未だに不明です

食道アカラシアの症状は、食べ物のつかえや嘔吐

食道アカラシアの症状は、食べ物のつかえや嘔吐です。固形物のつかえが少しずつ進行していき、液体も上手に飲み込むことができなくなります。嘔吐は特に食後に起こります。

 

他にも、胸の痛みや背中の痛みといった症状も現れます。病気が進むと、体重が減ったり、夜寝ている時に嘔吐することが多くなったりします。誤嚥性肺炎を起こすこともあります。

食道アカラシアは消化器系の病気であり、食道の筋肉が正常に緩和しないことが特徴です。これにより、食道の下部括約筋が緊張し続け、食物が胃へと進むのを妨げます。食道アカラシアの症状は患者によって異なりますが、一般的に以下のような症状が見られます。

 

飲み込み困難:食道アカラシアの主な症状は、飲み込み困難です。固形物や液体の両方を飲み込む際に問題を感じることがあります。食道の筋肉が緩和しないため、食物が適切に胃へ進まず、食道に滞留します。

 

胸痛:食道アカラシアでは、食物が食道を通過する際に胸痛を感じることがあります。胸痛は一時的であることもありますが、慢性的なものであることもあります。

 

逆流症状:食道アカラシアは、逆流症状を引き起こすことがあります。逆流症状には、胸焼け、喉の痛み、咳、声のかすれなどがあります。これらの症状は、食道に滞留した食物が逆流し、食道の粘膜を刺激することによって引き起こされます。

 

唾液や食物の逆流:食道アカラシアでは、唾液や食物が口へと逆流することがあります。これは特に横になっているときや寝ている間に起こることが多く、朝になって喉に違和感を感じることがあります。

 

減量:食道アカラシアによる飲み込み困難が長期化すると、栄養不良や体重減少が起こることがあります。これは、十分な量の食物や水分を摂取できないためです。

 

これらの症状は食道アカラシアの典型的な症状ですが、人によって症状の重さや出現する症状は様々です。

食道アカラシアを改善する方法は、薬や手術

食道アカラシアを改善する方法は、薬や手術です。

 

食道アカラシアの改善では、下部食道括約筋の圧力を下げることが必要です。そのために初期段階では、カルシウム拮抗薬が使われることが多いです。

 

下部食道括約筋の近くに風船状に膨らむ処置具を入れて食道を広げる方法も改善に効果的で、よく行われる改善方法です。

 

それでも改善が見られない場合は手術が必要です。手術では、下部食道括約筋の近くの輪状筋を切開します。切開によって下部食道括約筋の圧力を下げることができるのです。

 

しかし、切開する大きさによって、逆流性食道炎を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。

食道アカラシアは消化器系の病気であり、食道の筋肉が正常に緩和しないことが特徴です。この病気の改善を行うときには、症状を緩和し、食物の通過を改善することを目的としています。改善方法は、症状の重さや病状によって異なります。以下は、食道アカラシアの一般的な改善法です。

 

薬: 薬は、症状を緩和し、食道の筋肉の緊張を和らげることを目的としています。一般的に処方される薬には、カルシウム拮抗薬や硝酸剤があります。これらの薬には、一時的な緩和を提供することがありますが、長期的な効果には限りがあることがあります。

 

内視鏡的な改善法: この方法は、食道の下部括約筋を拡張することを目的としています。これには、バルーン拡張やボトックス注射が含まれます。バルーン拡張では、内視鏡を使用して括約筋にバルーンを挿入し、拡張します。ボトックス注射では、筋肉を一時的に弛緩させるボツリヌス毒素が括約筋に注入されます。これらの方法は、短期的な効果がありますが、繰り返し行う必要があることがあります。

 

外科手術: 食道アカラシアの症状が薬や内視鏡的な方法で改善されない場合、外科手術が検討されることがあります。外科手術には、ヘラー手術や食道切除術があります。ヘラー手術では、食道の下部括約筋の筋肉を切開して拡張し、食物の通過を改善します。食道切除術では、食道の一部または全部が切除され、再建されるか、胃が咽頭に直接接続されます。

 

ポエム: ポエムは、内視鏡的に食道の筋層を切開する新しい手術技術です。この手術では、内視鏡を使用して食道の筋肉にアクセスし、括約筋を緩和させるために筋層を切開します。ポエムは、低侵襲であり、入院期間が短く、回復が迅速であることが報告されています。

 

ライフスタイルの変更: 食道アカラシアの症状を緩和するためのライフスタイルの変更が推奨されることがあります。これには、ゆっくりと食事を摂取し、食物をよく噛むこと、食後にすぐに横にならないこと、背もたれを起こした姿勢で寝ることなどが含まれます。

 

これらの改善法は、食道アカラシアの症状を緩和し、食物の通過を改善することを目的としています。ただし、これらは根本的な原因を解決するものではありません。症状や病状に応じて適切に改善法が選択されるべきであり、医師と十分に相談が行われることが重要です。

早期発見が大事

食べ物がのどにつっかえたり、喉を食べ物が通らなかったりする場合は食道アカラシアの可能性があります。また、食べた後に吐いたり、食べた時に痛みを感じたりする場合は、早めに専門の医師に相談することをお勧めいたします。

食道アカラシアの改善例

以下は、食道アカラシアで実際に行われた改善の例と、それらをサポートする引用元です。

 

事例1: 薬

45歳の男性が飲み込み困難と胸痛を訴えて病院に行った結果、食道アカラシアと判断され、カルシウム拮抗薬であるニフェジピンが処方されました。症状が一時的に改善されたものの、数ヶ月後に再び症状が悪化しました。この事例は、薬が一部の患者にとって一時的な緩和をもたらすことがあることを示しています(参考:Vaezi, M. F., Pandolfino, J. E., & Vela, M. F. (2013). ACG clinical guideline: Diagnosis and management of achalasia. The American Journal of Gastroenterology, 108(8), 1238-1249.)

 

事例2: 内視鏡的な改善

60歳の女性が飲み込み困難と逆流症状で病院に行き、食道アカラシアと判断されました。バルーン拡張を受け、症状が改善しました。しかし、2年後に再発し、再度バルーン拡張を受けることになりました。この事例は、内視鏡的な改善方法が効果的であることを示していますが、繰り返し行う必要がある場合があることを示唆しています(参考:Boeckxstaens, G. E., Zaninotto, G., & Richter, J. E. (2014). Achalasia. The Lancet, 383(9911), 83-93.)

 

事例3: 外科手術

35歳の男性が飲み込み困難と体重減少で病院に行き、食道アカラシアと判断されました。薬や内視鏡的な改善方法が効果を示さなかったため、ヘラー手術を受けました。手術後、症状は大幅に改善され、長期的な効果が得られました。

 

事例4: ポエム

50歳の女性が飲み込み困難と胸痛の症状で病院に行き食道アカラシアと判断されました。ポエム手術を受け、症状が大幅に改善されました。ポエム手術は、最近の技術であり、低侵襲性であるため、回復が迅速であり、入院期間も短いことが報告されています(参考:Inoue, H., Minami, H., Kobayashi, Y., Sato, Y., Kaga, M., Suzuki, M., ... & Kudo, S. (2010). Peroral endoscopic myotomy (POEM) for esophageal achalasia. Endoscopy, 42(04), 265-271.)。

 

事例5: ライフスタイルの変更

55歳の男性が、飲み込み困難と逆流の症状で病院に行き、食道アカラシアと判断されました。医師からライフスタイルの変更を勧められ、ゆっくりと食事を摂取し、食物をよく噛むようにしたところ、症状が緩和されました。また、背もたれを起こした姿勢で寝ることで、逆流の症状も改善されました(参考:Vaezi, M. F., Pandolfino, J. E., & Vela, M. F. (2013). ACG clinical guideline: Diagnosis and management of achalasia. The American Journal of Gastroenterology, 108(8), 1238-1249.)。

 

これらの事例は、食道アカラシアの改善法が人によって異なることを示しており、医師と十分な相談が行われることが重要です。どのような方法で改善を行うのかについてや効果には個人差があるのです。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798