公開日:2021年 5月23日
更新日:2021年 6月14日
今日は社会不安障害について解説させていただきます。
☆本記事の内容
・社会不安障害とは
・社会不安障害の原因
・社会不安障害の症状
・社会不安障害の改善方法
・社会不安障害のまとめ
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
社会不安障害は、人前に出た時やある特定の状況で何かをすることになった時、緊張を感じすぎてしまい不安や恐怖を感じ、段々と人前に出るような緊張する場面を避け始める病気です。
誰でも緊張を感じることはあります。しかし、ほとんどは色々な場面を経験することで自然に過ごせるようになります。
しかし社会不安障害の場合、色々な場面を経験することでどんどん緊張を感じるようになってしまい、日常生活に支障が出るほどになります。
社会不安障害は、そのままにしておくとうつ病など精神病につながる可能性もあります。
社交不安障害の原因は、はっきりとはわかっていません。しかし、体質や育ってきた環境が大きく影響して社会不安障害が起きると考えられています。
体質的には、脳の扁桃体が過活動状態になりやすい人や、社会的な状況において戸惑いを感じ動けなくなる人に起こりやすいと考えられています。
体質的に社会不安障害を起こしやすい人が緊張した時などに大きなストレスを感じると、パニックになり発作を起こすことがあるのです。
このような発作がきっかけとなり、社会不安障害が起きるのです。実際に人前などで大きな失敗をしてしまったことなどが社会不安障害につながることもあります。
育ってきた環境では幼児期の家庭環境が影響します。幼児期に親が過保護であったり過剰なしつけを受けていたり、批判的な環境であったり、親から関心を持ってもらえなかったりする場合、社会不安障害が起きやすいと言われています。
親の過保護や過干渉: 子供の頃に親が過度に干渉したり、過保護な対応を取ることで、自分で決断したり、他者と対話する機会が少なくなります。これにより、社会的なスキルが十分に発達せず、社交的な場面での不安感が強まることがあります。
厳しい批判やしつけ: 厳格な家庭で育ち、親から過度に批判や否定的な言葉を受けて育った場合、自己肯定感が低下し、人前で自分の意見を言ったり、自信を持って行動することが難しくなります。
いじめや孤立: 学校や職場でのいじめや孤立した経験は、社交不安障害を引き起こす大きな要因です。他者との接触に対して恐怖感を抱き、同じような状況を避けようとするため、社交的な場面での不安が強まります。
パフォーマンスに対する過度な期待: 職場や学校での成績や成果に対する過度な期待やプレッシャーを感じると、人前で自分の能力を発揮しなければならない場面で強い不安を感じます。これが繰り返されることで、社交不安が定着することがあります。
・完璧主義傾向のある人
高い自己要求: 完璧主義の人は、自分の行動や発言に対して非常に高い基準を持っており、少しの失敗や欠点も許せません。「他人に失敗を見られたくない」「自分は完璧でなければならない」と考え、人前での失敗や批判に対して過剰に不安を感じやすくなります。
自己批判が強い: 完璧主義者は、失敗やミスに対して過度に自分を責める傾向があります。そのため、過去の失敗経験を引きずりやすく、再び同じ失敗をしたくないという強い不安感が社交的な場面で表れます。
・内向的な性格
他者との接触に疲れやすい: 内向的な性格の人は、他者とのコミュニケーションにエネルギーを使いすぎて疲れやすく、社交的な場面での不安感が増す傾向があります。内向的な性格は必ずしも社交不安障害を引き起こすわけではありませんが、ストレスに対して過敏に反応しやすく、不安感が強まることがあります。
自己表現が苦手: 自分の感情や考えを他者に伝えることが苦手で、他者の前で話すことに強い抵抗感を持つことがあります。このため、会話中にどのように話せばよいのかを過剰に考えすぎてしまい、結果として不安感が増します。
・ネガティブ思考が強い人
否定的な自己評価: 自分を低く評価し、他人よりも劣っていると感じることが多いです。「自分は価値がない」「他人にどう思われるかが怖い」といった思考が強く、人前での行動や発言に対して過剰に不安を抱きます。
未来の失敗を予測する: 社交的な場面に臨む前に、うまくいかないシナリオを繰り返し頭の中で想像し、そのことが不安感を増幅させます。例えば、「話が続かないだろう」「笑われるかもしれない」といった否定的な予測を立てることが多いです。
社交不安障害の症状の特徴は、予期不安と回避行動です。
予期不安とは、注目を集めたりや何か恥ずかしい行動をしてしまうかもしれないという強い不安や恐怖のことです。回避行動とは、そのようなことが起こるかもしれないと感じる状況を避けることです。
社会不安障害の人は、緊張を感じる状況で発汗したり手足が震えたりする症状が起こります。
そのような症状が現れることによって、周りに不信感を持たれるかもしれないという不安や恐怖を感じ始め、段々と症状が現れた時と同じ状況や行動を避けるようになるのです。
緊張を感じる状況になるとパニック発作を起こしてしまうこともあります。回避行動が悪化した場合は、学校や仕事に行くことができなくなったりうつ病を引き起こしてしまうこともあります。
社会不安障害には、限局型と全般型があります。限局型は、緊張を感じたり不安や恐怖を感じてしまう状況が1つだけの場合です。色々な状況で緊張や不安や恐怖を感じてしまう場合が全般型です。
全般型は社会不安障害の症状が重い場合がほとんどです。
注目されることへの強い恐怖: 人前で話す、発表する、会話するなど、他者の注目を集める状況に置かれると、激しい不安や恐怖を感じます。特に、自分が他者からどう見られているか、批判されていないかといったことを過剰に気にします。
恥をかくことへの恐れ: 他者の前で失敗したり、恥ずかしい思いをすることを極度に恐れます。例えば、「言葉が詰まってしまうかもしれない」「変なことを言って笑われるかもしれない」といった具体的な恐怖が頭をよぎります。
先取り不安: 社交的なイベントや会合がある前から、「うまくいかないかもしれない」「また失敗してしまうかもしれない」といった先取りした不安を感じ、イベントの前日や数日前から緊張や不安に苛まれることがあります。
自分の行動に対する過剰な意識: 自分の言葉遣いや表情、態度などが他者にどう映っているかを過剰に気にし、自分の行動をコントロールしようとします。これにより、自然な振る舞いが難しくなり、ぎこちなくなってしまいます。
他者の評価に対する過敏性: 他者からの些細な表情や態度、言葉に過度に反応し、「今、相手が怪訝な顔をした」「あの人は自分を馬鹿にしているのかもしれない」と考え、それがさらなる不安を引き起こします。
社会不安障害を改善する方法は、薬と不安を感じる状況に対しての対処法を身につけることです。薬と対処法を身につける方法の両方を合わせて改善を行うとより効果的であると言われています。
社会不安障害を改善する際には、主にSSRIを使います。SSRIは脳の中のセロトニンのバランスを整える働きがあります。
SSRIの効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、約2週間から8週間かけて少しずつ効果が現れると言われています。
SSRIと合わせてベンゾジアゼピン系抗不安薬が使われることもあります。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は即効性があるため補助的に使われることが多いです。
他にも、震えや動悸、発汗などの症状を和らげるために降圧薬のβ遮断薬が使われることもあります。
不安を感じる状況に対しての対処法を身につける方法は、色々あります。不安や恐怖を感じることに対しては思考パターンを変えることで改善を行い、回避行動に対しては緊張感を和らげることで改善を行います。
例えば、自分の行動が周りに不信感を持たれているかを改めて考え直す機会を作り実際に確認することで不安や恐怖を和らげることにつなげたり、不安や恐怖を感じる状況を作り体験して少しずつ慣れ回避行動を和らげることにつなげたりするのです。
強い緊張感: 社交的な場面で強い緊張を感じ、体が硬直したり、肩や首に力が入ることがあります。これにより、体全体がぎこちなくなり、普段通りの行動が難しくなります。
手や声の震え: 特に、人前で話す場面では、手が震えたり、声が震えることがあります。これにより、「震えているのを見られたくない」といったさらなる不安が生じ、悪循環に陥ることがあります。
過度な発汗: 緊張や不安が強まると、手のひらや額、背中に汗をかきやすくなります。これが気になり、さらに不安感が増してしまうことがあります。
顔が赤くなる(赤面恐怖): 人前で話したり、注目を浴びると、顔が赤くなってしまい、それが恥ずかしくてさらに緊張するという悪循環が生じます。「赤くなったらどうしよう」という恐れが、さらなる赤面を引き起こします。
心臓がドキドキする: 社交的な状況に直面すると、心拍数が急激に上がり、胸が締め付けられるような感覚を覚えます。これにより、さらなるパニック感を引き起こし、状況を避けたくなる衝動に駆られます。
息切れや息苦しさ: 緊張すると息が浅くなり、呼吸が速くなります。これにより、息切れや息苦しさを感じ、「このままでは倒れてしまうのではないか」といったパニックに近い感覚を覚えることがあります。
社会不安障害は、本人も悩みを多く抱えてしまいがちな病気です。性格が弱い、気持ちの問題、とすることは本人を苦しめてしまうことにもなります。
社会不安障害は、正しい知識をもつことが大切です。不安なことがある場合は、すぐに専門医に相談に行き、周りも支えてあげることが必要です。
改善が遅れると社会との関わりも減ってしまいます。早めに改善することが大切です。
・認知行動療法
認知の歪みを修正する: 認知行動療法は、社交不安障害に非常に効果的な方法です。まず、自分の思考パターンを観察し、どのような場面で不安や恐怖を感じるかを記録します。次に、「自分は必ず失敗する」「他人は自分を批判している」といった否定的な思考(認知の歪み)を特定し、それを現実的かつ論理的な思考に置き換える練習を行います。
暴露療法: 不安を感じる状況に少しずつ慣れていくために、徐々に不安を引き起こす状況に身を置く練習をします。例えば、最初は少人数の会話に参加し、次にもう少し大きなグループで話すなど、段階的に不安な状況に慣れていくことで、恐怖感を和らげます。
マインドフルネス認知療法
今ここに集中する: マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を集中し、過去や未来にとらわれない心の状態を作ることを目指します。呼吸や身体の感覚に意識を向け、思考や感情を客観的に観察することで、不安な思考に巻き込まれにくくなります。
瞑想の実践: マインドフルネス瞑想を日常的に行うことで、思考や感情に対する過剰な反応を抑え、リラックスした状態を保つことができます。毎日10〜15分間、静かな場所で瞑想を行うことで、不安感のコントロールがしやすくなります。
・神門
・労宮
・内関
神門は、精神状態を安定させるツボであるため、社会不安障害の症状である予期不安に効果が期待できます。
悩みや不安を抱え込んでしまう前にストレス発散のツボである神門を刺激することで適度にストレスを解消しておく効果が期待できるでしょう。
労宮は、自律神経のバランスを整えて倦怠感や憂うつな気分を改善する効果があります。そのため、社会不安障害で起こる不安にも効果が期待できます。
また、ストレスによる不眠などを改善する効果もあるため、恐怖で眠れない時にもおすすめのツボです。
内関は、精神をリラックスさせる効果があります。そのため、社会不安障害の症状である恐怖や不安に効果を発揮します。不眠やイライラなどを和らげたい時にぜひ刺激してみましょう。
ストレスによる吐き気やムカつき、胃の痛みを和らげる効果もあります。
神門は、手首の横じわの小指側の少しくぼんでいる場所にあります。
押すときは、親指を使って押します。指の先で押す面積を狭く押したり、お灸で温めたりする方法もおすすめです。
労宮は、手のひらにあるツボです。手のひらの中央より少し上の中指と薬指の骨の間のあたりにあります。
緊張した時や不安に感じた時に手のひらを揉みほぐすだけでも落ち着く効果があります。
内関は、手のひらが自分に向くように返し、手と手首の境目にあるしわの真ん中から指3本分ひじ側に進んだ場所にあります。
押すときはゆっくりと親指で押します。深呼吸をしながら押してみましょう。