公開日:2022年 1月11日
更新日:2023年 1月22日
本日はファロー四徴症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
ファロー四徴症は、チアノーゼをともなう先天性の心疾患です。120年前にフランスの医師であるファローによって報告されたことから、ファロー四徴症と名前がつきました。
ファロー四徴症は、心臓が発生する過程で、肺動脈と大動脈の2つの大きな血管を分ける仕切りの壁が体の前方にずれることによって心臓の異常が起こっており、4つの特徴がある場合に判断されます。
特徴1つ目は左右の心室を分ける心室中隔の大きな穴があること、2つ目は全身へ血液を送る大動脈が左右の心室にまたがっていること、3つ目は肺へ血液を送る肺動脈の右室の出口が肺動脈弁と一緒に狭くなっていること、4つ目は左右の心室の圧が等しくなり右室が肥大していることです。
ファロー四徴症の多くは、生まれてすぐに心雑音が現れていることから発見されます。乳児期には、激しく泣いた後などにチアノーゼが現れたり呼吸困難が強くなる発作が起きたりすることもあります。
ファロー四徴症の原因は、心臓が発生する過程の初期に起きる異常です。
心臓が発生する過程で神経堤細胞が適切な場所に移動できないことによって発症すると言われています。しかし、色々な要因が関係しているため、原因は一つではありません。環境や遺伝など色々な要因が関わっていると考えられています。
ファロー四徴症は、多因子遺伝であると言われています。22q11.2欠失症候群を合併していることが多いということもわかっています。
ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)は、心臓の先天性異常の一つであり、新生児期から幼児期にかけて見られる病気です。ファロー四徴症は、複数の心臓の異常が同時に存在することから四徴症と呼ばれています。この症状は、心臓の形成段階での問題によって引き起こされます。以下に、ファロー四徴症の原因について詳しく説明します。
心室中隔欠損(Ventricular Septal Defect, VSD):
心室中隔欠損は、心臓の中隔(壁)が欠損している状態を指します。この欠損によって、心室間に異常な通路ができ、酸素濃度の異なる血液が混ざってしまいます。通常、心臓の左側は酸素を含んだ血液を送り出し、右側は酸素を含まない血液を肺に戻す役割を担っていますが、VSDによって混合した血液が動脈に送り出され、体全体に酸素を供給できなくなる場合があります。
肺動脈狭窄(Pulmonary Stenosis):
肺動脈狭窄は、肺動脈が狭窄している状態を指します。肺動脈は肺への血液供給を担っていますが、狭窄することで肺への血液流量が減少し、肺への酸素供給が十分に行われなくなります。これによって、体内の酸素供給が不十分になります。
右心室肥大(Right Ventricular Hypertrophy):
心室は血液を体内に送り出すために力を必要とします。しかし、ファロー四徴症においては、肺動脈狭窄により右心室が心臓の負荷を増加させる必要があります。これによって、右心室は肥大し、正常な大きさを超えて拡大してしまいます。
人工血管通路(Overriding Aorta):
通常、大動脈は左心室から酸素を含んだ血液を全身に送り出す役割を担っています。しかし、ファロー四徴症においては、心室中隔欠損によって混合した血液が大動脈に流れ込みます。これによって、心臓が酸素を含まない血液を体に送り出してしまいます。
これらの4つの異常が同時に存在することによって、ファロー四徴症は発症します。各異常が相互に影響し合い、循環系に大きな影響を及ぼします。心臓の左右の部分が混合されることで、体全体に適切な酸素供給が行われず、重篤な症状を引き起こします。
なお、ファロー四徴症の原因は一部遺伝的要因による場合がありますが、ほとんどの場合は偶発的な出来事であり、明確な原因が特定されていないこともあります。遺伝的な要因によるものは、遺伝子の変異や染色体の異常に関連することがあります。しかし、遺伝的なリスクファクターを持たない場合でも、胎児の発育過程で何らかの影響を受けることでファロー四徴症が発症することがあります。
また、母親の妊娠中の行動や環境要因がファロー四徴症の原因と関連している可能性もありますが、具体的な因果関係は明確ではありません。さらなる研究と科学的な知見が必要とされています。
ファロー四徴症の原因は、現在も研究が進行中であり、これからも新たな知見が得られることが期待されています。
ファロー四徴症の症状は、チアノーゼやチアノーゼ発作です。チアノーぜが現れる時期と程度は、右室から肺動脈への通路の狭さによって人それぞれ違います。
約3分の1の人は生まれてから1ヶ月以内でチアノーゼが現れます。約3分の1の人は1ヶ月から1年以内で現れ、約3分の1の人は生まれてから1年以後で現れます。
初期段階では、泣いた後や運動をした時にチアノーゼが現れるようになりますが、成長するとともに、よくチアノーゼが現れるようになります。歩き始めると、走ったり歩いたりして息が切れるとしゃがみ込むようになります。
生まれてから2ヶ月以上経つとチアノーゼ発作が現れるようになります。初めはたくさん寝た後や午前中に発作が起きることが多いですが、症状の程度が重くなると1日の中でいつでも発作が起きるようになります。
チアノーゼが現れた後、6ヶ月以上経つと手足の指先が円く変形する症状も現れます。
ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)は、心臓の先天性異常の一つであり、新生児期から幼児期にかけて現れる病気です。ファロー四徴症の症状は、心臓の形成段階での問題によって引き起こされます。ファロー四徴症の症状は症例によって異なることがありますが、一般的な症状を以下に詳しく説明します。
発作的なシアノーシス(紫斑症):
ファロー四徴症の特徴的な症状として、発作的なシアノーシス(紫斑症)が挙げられます。シアノーシスは、体内に酸素が不十分に供給されることによって皮膚や口唇、爪の先などが青紫色に変色する状態を指します。これは、心室中隔欠損によって混合した血液が動脈に送り出されることによって引き起こされます。心臓が酸素を含まない血液を体に送り出すため、全身に酸素が適切に供給されなくなります。
労作時の呼吸困難:
ファロー四徴症では、労作時に呼吸困難を経験することがあります。心臓の機能が低下しているため、運動などの身体的な活動によって酸素要求が増加し、心臓がこれを満たすことが難しくなります。そのため、呼吸が浅く早くなり、息切れや疲労感を感じることがあります。
発育不良:
ファロー四徴症では、十分な酸素供給が行われないため、正常な成長と発育が妨げられることがあります。特に乳幼児期に発育不良が見られることが多く、体重や身長の増加が遅れる場合があります。また、エネルギーを使い果たすことで、食欲が低下することもあります。
頻拍(不整脈):
ファロー四徴症では、心臓の異常によって不整脈(心拍数の異常)が生じることがあります。心臓は正常に機能せず、心室中隔欠損によって混合した血液が動脈に送り出されるため、心臓の拍動が不規則になる場合があります。
バレル胸(Barrel Chest):
心室中隔欠損によって右心室が拡大し、胸郭が拡張されることでバレル胸が見られることがあります。胸郭の拡大は、心臓の負荷を軽減するための体の適応反応ですが、これによって胸が広がり、胸の形状が変化します。
遅延成長や発達遅れ:
ファロー四徴症の症状によって、体内の酸素供給が不十分になることで、発育や発達に遅れが生じることがあります。特に幼児期には神経発達にも影響を及ぼすため、発達遅れが見られることがあります。
これらの症状は症例によって異なる程度で現れることがあります。重度のファロー四徴症では症状が顕著に現れる一方で、軽度の場合は軽い症状や無症状であることもあります。また、症状の程度や重症度は年齢によって変化することもあります。
ファロー四徴症の基本的な改善方法は、心臓の手術です。ファロー四徴症の改善のために行われる手術は主にブラロックータウシッヒ短絡手術と心内修復術の2つです。
心内修復術は、一般的に生まれてから6ヶ月より後で2歳以下の時期に行われます。ブラロックータウシッヒ短絡手術は、新生児や乳児早期で体重が小さい場合や心内修復術が難しい場合に行われることが多いです。
チアノーゼの発作に対しては、改善のためにβ遮断剤を使うこともあります。手術を行った後不整脈が現れることもあります。その場合は、抗不整脈剤を使ったり、心臓カテーテルアブレーションを行ったりすることもあります。
ファロー四徴症を改善するための主な方法は手術ですが、症状や程度によっていくつかの方法を組み合わせて行うこともあるのです。どのような手術を行うのかということや組み合わせる方法は人によって違います。
ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)は、心臓の先天性異常の一つであり、重要な改善が必要な疾患です。改善法は、症状の程度や年齢によって異なりますが、一般的な改善法として以下のような方法があります。
外科手術:
ファロー四徴症は重篤な心臓の異常であり、多くの場合、外科手術が必要です。主な目的は、心室中隔欠損の修復、肺動脈狭窄の緩和、および心室肥大の軽減です。手術は、通常は生後数ヶ月から幼児期にかけて行われることが一般的ですが、症状の重症度や状態によっては、より早い時期に手術が必要な場合もあります。
主な外科手術としては、以下のようなものがあります。
心室中隔欠損の修復: 心室中隔欠損を修復するために、心臓の中隔にパッチを当てるなどの方法が行われます。これによって、心室間の異常な通路を塞ぎ、酸素濃度の異なる血液が混ざるのを防ぎます。
肺動脈狭窄の拡張: 肺動脈狭窄を緩和するために、肺動脈に拡張用のバルーンカテーテルを挿入する治療法(バルーン血管形成)が行われることがあります。この手術によって、肺動脈の狭窄を拡張し、肺への血液流量を増やすことができます。
心室肥大の緩和: 心室肥大を軽減するために、心臓の拡大を抑える手術が行われることがあります。心室の拡大が進行することで、心機能の低下や呼吸困難が増悪するため、これを予防するための手術が行われます。
プロスタグランジンE1(PGE1)法:
重症のファロー四徴症の新生児に対して、生後間もなくPGE1法が行われることがあります。PGE1は、動脈管(大動脈と肺動脈をつなぐ血管)を開いたり、拡張させたりする効果があります。これによって、酸素供給を改善し、生命維持に必要な血液流量を確保することができます。
この方法は一時的な対応策であり、症状の緩和や生命の維持のために用いられますが、長期間にわたって使用することは難しい場合もあります。
アニューロトミー(アニューロプラスティー):
アニューロトミーは、重症のファロー四徴症に対して、一時的な措置として行われる改善法です。この手術では、動脈管を部分的に切除することで、動脈管が完全に閉塞するのを防ぎます。アニューロトミーによって、一時的に酸素供給を改善し、手術までの期間を稼ぐことができます。
バルーン血管形成:
バルーン血管形成は、肺動脈狭窄を緩和するために行われる方法です。カテーテルを用いて肺動脈にバルーンを挿入し、拡張させることで、肺への血液流量を増やします。これによって、酸素供給が改善され、症状が軽減されることがあります。
定期的なフォローアップと薬:
外科手術後、定期的なフォローアップが必要です。定期的に調べて、心臓機能や症状の経過をモニタリングします。また、必要に応じて薬での改善が行われることもあります。心臓の負担を軽減するために、利尿剤や心臓強化剤などが用いられる場合があります。
日常生活で注意することや必要な制限などは、手術を行う前と手術を行った後の症状や手術を行った後の状態によって違います。
ファロー四徴の改善のために行う心臓の手術は人工物を使うため、抜歯や出血の可能性がある歯科での改善や、何か別の病気を発症したときに行う手術などの時には、感染性心内膜炎の予防をきちんと行うことが大事です。
重い合併症がない場合は、妊娠をして出産をすることはできます。その場合は、医師と相談のもとで行うことが必要です。
例:Aさん(仮名)の経過
Aさんは生後2週間の新生児として、発作的なシアノーシス(紫斑症)と呼吸困難を呈して入院しました。心臓の先天異常が疑われ、ファロー四徴症と確定しました。Aさんの場合、VSD(心室中隔欠損)と肺動脈狭窄が重篤であり、早急な改善が必要でした。
PGE1法の開始:
Aさんが入院した際、重症の紫斑症が確認されました。Aさんは酸素供給が不十分であり、生命維持に必要な血液流量を確保するため、まずPGE1法が開始されました。PGE1は、動脈管を開いたり拡張させたりする効果があり、一時的に酸素供給を改善します。
アニューロトミーの実施:
PGE1法によって一時的に酸素供給が改善された後、Aさんは肺動脈狭窄の改善方法としてアニューロトミーが実施されました。アニューロトミーは、動脈管を部分的に切除する手術であり、動脈管が完全に閉塞するのを防ぐための一時的な措置です。この手術によって、Aさんの呼吸困難が一時的に改善され、外科手術までの期間を稼ぐことができました。
心臓外科手術の実施:
Aさんが生後1ヶ月を迎えた頃、重症のファロー四徴症に対して心臓外科手術が行われることが決定されました。手術は、心室中隔欠損の修復、肺動脈狭窄の拡張、および心室肥大の緩和を行うものでした。
手術当日、Aさんは心臓外科チームによって手術室に運ばれました。手術は胸骨を開いて行われ、心臓を一時的に停止させる心肺停止が行われました。心臓が停止している間、心臓の中隔にパッチが当てられ、心室中隔欠損が修復されました。また、肺動脈にバルーンカテーテルが挿入され、肺動脈狭窄が拡張されました。さらに、心室肥大を軽減するために心室壁に縫合が施されました。
退院と定期的なフォローアップ:
Aさんの心臓外科手術から数週間後、症状が改善し、呼吸困難や紫斑症がほぼ解消されました。Aさんは無事に退院し、自宅でのリハビリテーションが始まりました。
しかし、ファロー四徴症は一生涯にわたってフォローアップが必要な病気であるため、Aさんは定期的に調べて心臓の機能や症状の経過をモニタリングし、早期の合併症や再発を防止することが目指しました。
成長に伴う改善の調整:
Aさんは成長に伴って心臓の状態が変化する可能性があります。そのため、成長と共に改善を調整する必要があります。例えば、心室中隔欠損の修復によって心室の形状が変化する場合や、肺動脈狭窄の再狭窄が起こる場合があります。定期的なフォローアップでこれらの変化を捉え、適切な改善を行うことが重要です。
健康管理と予防策:
Aさんの場合、心臓外科手術は成功し、症状が改善されましたが、ファロー四徴症を持つ場合は心臓の健康を保つために生涯にわたる健康管理が必要です。健康的な生活習慣、バランスの取れた食事、定期的に調べ、適度な運動、ストレス管理などを行うことが重要です。特に喫煙や過度の飲酒は心臓の健康に悪影響を及ぼすため、避けることが大切です。
11時から21時
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