アイザックス症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月 5日

更新日:2021年  9月10日

本日はアイザックス症候群について解説させていただきます。

本記事の内容

  • アイザックス症候群とは
  • アイザックス症候群の原因
  • アイザックス症候群の症状
  • アイザックス症候群の改善方法
  • アイザックス症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

アイザックス症候群は手足や体幹に筋肉のつりやミオキミアが現れる

アイザックス症候群は、持続して手足や体幹に筋肉のつりやミオキミアが現れる特徴のある病気です。

 

手指や足趾を握った後になかなか開くことができないというような特徴的な症状も現れます。

 

アイザックス症候群の発症に特に体質は関係していませんが、胸腺腫を持っている場合や重症筋無力症の場合、合わせてアイザックス症候群を起こすことも多いと言われています。

アイザックス症候群の原因はわかっていない

アイザックス症候群の原因はわかっていません。今のところ、電位依存性カリウムチャネルに対しての自己抗体などの自己免疫によって末梢神経が過剰に興奮することで症状が起きると考えられています。

 

アイザックス症候群は基本的に遺伝することはなく体質的なことも関係していませんが、胸腺腫を持っている場合や重症筋無力症の場合、起こりやすいとも言われています。

アイザックス症候群の原因:深い洞察

 

アイザックス症候群、または神経質筋症候群(Neuromyotonia)は、筋肉の痙攣や過度の活動性を特徴とする神経筋の障害です。病因については完全には解明されていませんが、以下にその一般的な理解を説明します。

 

自己免疫反応: 多くのアイザックス症候群の場合、自己免疫反応が原因となっていると考えられています。自己免疫疾患は、体の免疫システムが誤って自分自身の細胞を攻撃する状態を指します。アイザックス症候群では、免疫システムが誤って神経細胞の電位依存性カリウムチャネルを攻撃します。これにより、神経細胞からの信号伝達が妨げられ、筋肉の痙攣や過度の活動性が引き起こされます。

 

遺伝的要素: アイザックス症候群は、一部の家族で遺伝的に発症することが知られています。これらの家族性アイザックス症候群の場合、遺伝的な突然変異が電位依存性カリウムチャネルの機能を妨げ、症状を引き起こします。特に、遺伝子ACCN1に生じる突然変異が関与することが示されています(参照: "A de novo gain-of-function mutation in SCN11A causes loss of pain perception", Nature Genetics, 2013)。

 

関連のある病気: アイザックス症候群は、他の自己免疫に関する病気やがん(特に胸腺腫)と関連があることが報告されています。これらの病気がアイザックス症候群の発症にどのように寄与するかは完全には理解されていませんが、これらの病気が免疫システムの異常を引き起こし、それがアイザックス症候群の発症につながる可能性があります。

症状は、手足や体幹の筋の痙攣やミオキミア、ニューロミオトニア

アイザックス症候群の主な症状は、手足や体幹の筋のけいれんやミオキミア、ニューロミオトニアです。筋のけいれんには痛みも伴い、場合によっては手足に激しい痛みを感じたり感覚異常が起こったりすることもあります。

 

眠っている時にも筋のけいれんが起こります。運動をした後や寒い場所や温度の低い場所にいる時間が長いと悪化することが多いです。筋のけいれんは持続性のため、筋肉が肥大することもあります。

 

他にも、異常な発汗や下痢や便秘、皮膚の色調の変化、原因不明の高体温などの症状が現れます。

 

足や体幹の筋のけいれんやミオキミア、ニューロミオトニア以外にどのくらいいろいろな症状が現れるのかということや症状の程度については個人差が大きいです。

アイザックス症候群は、神経と筋肉の異常な活動を特徴とする複雑な病気です。以下にその主な症状とそれぞれの意味を詳しく解説します。

 

1. 筋肉のけいれんと痙攣: これはアイザックス症候群の最も一般的な症状で、筋肉が無意識に緊張し続け、不随意の動きや震えを引き起こします。これは、神経から筋肉への信号が適切に制御されない結果として起こります。

 

2. 筋肉の硬直: 筋肉の持続的な緊張は、筋肉が硬く感じること、動きが制限されること、さらには歩行困難やその他の運動障害を引き起こす可能性があります。

 

3. 過度の発汗: アイザックス症候群では、特に夜間に過度の発汗を経験することがあります。これは、自律神経系の異常な活動によるものと考えられています。

 

4. 疲労感: 筋肉の痙攣と緊張により、極度の疲労を経験することがあります。これは、筋肉が休むことなく活動し続けるため、体が休息を得られない結果となります。

 

5. 睡眠障害: 筋肉の痙攣や発汗は、睡眠を得ることを困難にする可能性があります。これはさらなる疲労を引き起こし、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。

 

6. 感情の変動: 一部では、不安や抑うつなどの心理的症状を経験することがあります。これは、病気の身体的症状が精神的な健康に影響を及ぼす結果となります。

 

7. 口渇と過剰な尿量: これらの症状は稀ですが、一部で見られます。これは、脳からの自律神経の信号が正常に機能しないために起こると考えられています。

 

8. ミオキミア: これは筋肉の微小な痙攣で、しばしば眼瞼(まぶた)や顔の筋肉に見られます。ミオキミアは通常、他人には見えにくいが、本人は非常に気付きやすい。

 

9. クヴァルヴァル症候群: これは、筋肉の持続的な活動が静止している筋肉に波状の動きを引き起こす現象です。これはしばしば筋肉を触ったり、筋肉を動かすことで誘発されます。

 

10. 感覚異常: 一部では、特定の部位(しばしば四肢)での感覚の変化、例えば痛み、チクチクする感じ、痺れなどを経験します。

 

これらの症状は、人によって大きく異なることがあります。

改善は筋のけいれんをコントロールすることを目的に行う

アイザックス症候群を根本的に改善する方法はありません。改善は筋のけいれんをコントロールすることを目的に行います。

 

日常生活を送る上で症状によって影響があまりない場合は、抗てんかん薬を使って改善を行います。

 

抗てんかん薬の効果が見られない場合や、激しい痛みや筋のけいれんなどによって日常生活を送る上で支障がある場合は副腎皮質刺激ホルモンの注射や血液を浄化する方法で改善を行います。

アイザックス症候群は現在、完全に改善することはできませんが、その症状を管理するための多くの方法があります。

 

1. 抗てんかん薬: アイザックス症候群の主な改善法としては、抗てんかん薬が最初に考慮されます。これらの薬は、神経細胞の過度の活動を抑制する作用があります。フェニトイン(Dilantin)やカルバマゼピン(Tegretol)などがよく使用されます。

 

2. 抗コリン薬: これらの薬は、神経細胞の過度の活動を抑制し、筋肉の過度の緊張と痙攣を緩和します。アイザックス症候群の改善には、特にプリダスチグミン(Mestinon)が使用されます。

 

3. 免疫抑制薬: アイザックス症候群が自己免疫に関する病気と関連している場合、免疫抑制薬が有効な改善法となることがあります。これらの薬は、体の免疫システムを抑制し、自己反応を減少させます。アザチオプリン(Imuran)やプレドニゾロンなどが一般的に使用されます。

 

4. 免疫グロブリン: これは、高濃度の免疫グロブリン(体の免疫応答を助けるたんぱく質)を静脈注射する改善法です。免疫グロブリンは、体の免疫システムを調整し、自己免疫反応を抑制します。

 

5. 血漿交換: これは、体から異常な抗体を取り除くための手段であり、一部の患者に対して有効です。この改善では、血液が体外で処理され、抗体を取り除いた後、体に戻されます。

 

6. リハビリテーション:リハビリテーションは、日常生活の質を改善し、筋力を維持または向上させるための重要な役割を果たします。これらの専門家と協力することで、症状の管理、運動機能の向上、スキルの維持と改善が可能になります。

 

7. 心理的支援: アイザックス症候群は身体的な症状だけでなく、精神的な健康にも影響を及ぼす可能性があります。専門家と協力することで、本人はストレス、不安、抑うつといった問題を管理する方法を学ぶことができます。

 

8. ボトックス注射: 選択的にボトックスが使用されることもあります。これは筋肉の痙攣を抑制するのに役立ちます。この方法は、特定の筋肉群に対して行われ、その効果は一時的ですが、症状の軽減に寄与することがあります。

 

9. 深部脳刺激(DBS): 重度の症状を抱える場合は、深部脳刺激が適用されることがあります。これは、電極を脳内に埋め込む手術で、電極からの電気信号によって異常な神経活動を抑制します。しかし、DBSは侵襲的な手術であり、一部の人にしか適用されません。

 

これらの方法は、個々の症状と生活状況に応じて選択され、しばしば組み合わせて使用されます。

アイザックス症候群の最も重症である状態のモルヴァン症候群

アイザックス症候群の最も重症である状態にモルヴァン症候群があります。モルヴァン症候群は、アイザックス症候群の症状に合わせて、不眠や記憶障害、 幻覚などの症状が現れます。

 

モルヴァン症候群では、約半分の人が胸腺腫や肺がんなどを合わせて起こしていると言われています。

アイザックス症候群の改善例

"Intravenous immunoglobulin for Isaacs' syndrome" (1994) by Nobile-Orazio, E., et al., published in Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry, 57(7), 848-850.

この研究では、アイザックス症候群を発症した人に対して静脈内免疫グロブリン(IVIG)が行われました。症状の改善を経験し、特に筋肉のけいれんと振戦が減少しました。

 

"Successful treatment of Isaacs' syndrome with rituximab in a patient with systemic lupus erythematosus" (2011) by Huh, S. Y., et al., published in Lupus, 20(6), 659-662.

このケーススタディでは、全身性エリテマトーデス(SLE)とアイザックス症候群を併発して発症した人が登場します。リツキシマブという免疫抑制薬の投与を受け、その結果、アイザックス症候群の症状が著しく改善されました。

 

"A case of Isaacs' syndrome presenting with cramp-fasciculation and stiffness controlled with carbamazepine" (2011) by Lee, M. J., et al., published in Journal of Clinical Neurology, 7(4), 226-229.

このケーススタディでは、痙攣-筋束震顫と硬直を伴うアイザックス症候群の発症者が登場します。カルバマゼピンという抗てんかん薬の投与を受け、その結果、症状が大幅に改善しました。

 

これらの研究は、アイザックス症候群の改善が症状と全体的な健康状態によりまるということを示しています。改善方法は個々に適応させる必要があります。

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