公開日:2021年 12月23日
更新日:2025年 1月 4日
本日は破傷風について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
破傷風の原因は、破傷風菌です。傷ができた時、破傷風菌が傷口から体に入ることによって発症するのです。
大きい傷でも小さい傷でも発症する可能性があります。傷の原因は、怪我や動物に噛まれること、やけどや凍傷などが多いです。場合によっては傷ができているという自覚がないこともあります。
破傷風菌は土などの環境の中に存在しています。人や家畜のふんの中にも存在しており、日常生活を送る上で全く触れずに生活を送ることは難しいと言われています。
破傷風菌は皮膚の傷口から体内に侵入します。特に、土壌や泥に触れた傷、錆びた釘や金属片による刺し傷、動物に噛まれた傷、交通事故や外傷による傷、火傷や凍傷による皮膚の損傷、手術後の傷口などの状況で感染リスクが高くなります。
破傷風菌は酸素が少ない環境で繁殖するため、深い刺し傷や壊死した組織を含む傷で感染しやすいです。
破傷風菌が増殖すると、テタノスパスミンという強力な神経毒素を産生します。この毒素が血流やリンパを通じて中枢神経に到達し、神経系を障害します。テタノスパスミンは神経のシナプスに作用し、抑制性神経伝達物質の放出を阻害します。これにより筋肉の弛緩が妨げられ、持続的な筋肉の収縮やけいれんを引き起こします。
破傷風菌の症状は、筋肉のこわばりや呼吸障害、けいれんなどです。初めの段階では、開口障害や首筋の張りなどの症状が現れます。
その後、だんだんと開口障害が強くなり、顔の筋肉のこわばりが現れます。さらに症状が進むと、腕や体の大きな筋肉のけいれんが起きるようになります。
症状が重くなると、体が後ろにのけぞるようなけいれん発作が起き、場合によっては背骨や足が骨折するほどの強い発作が起こることもあります。
自律神経の異常も現れます。そのため、呼吸困難や急激な血圧や心拍数の変化が起きることもあり、急に心停止することもあります。
破傷風の潜伏期間は大体3~21日です。
症状は、局所的な筋肉のこわばり、軽いけいれん、違和感、不快感です。
初期症状では、開口障害が最もよく見られる症状で、あごの筋肉の硬直によって口が開けづらくなります。顔面のひきつりや首や背中の筋肉の硬直、全身の強直性けいれんなども見られます。
症状が進むと、頻脈や不整脈、血圧の変動、発汗、発熱なども見られます。
破傷風の改善方法は、破傷風菌に感染した部分を開いて洗い流し、膿や血流が通わなくなった組織を取り除くことです。
破傷風菌によって起きた血液の中の毒素を中和するために抗破傷風ヒト免疫グロブリンを使って改善を行うこともあります。
抗体を作るために破傷風トキソイドを投与することや、体の中で破傷風菌が増えることを防ぐために抗菌薬を投与することもあります。
けいれん発作が現れている場合は、抗けいれん薬を使ったり気道確保を行ったり人工呼吸器を使ったりすることが必要になることもあります。
・傷口の処置
傷口に残った破傷風菌の芽胞や壊死組織を取り除くために、創部を徹底的に洗浄し、壊死した組織を除去します。
・酸素供給
破傷風菌は嫌気性菌であるため、傷口に酸素を供給することで菌の増殖を抑えます。
・抗破傷風免疫グロブリンの投与
体内に入った破傷風毒素を中和するために、抗破傷風免疫グロブリンを筋肉内または静脈内に投与します。
・抗菌薬の投与
メトロニダゾールやペニシリンなどの抗菌薬を使用します。
・鎮静剤、筋弛緩薬の使用
筋肉の強いけいれんを抑え、苦痛を軽減するために使用します。
・早期の洗浄
傷を負った際は、すぐに水と石鹸でしっかり洗い流し、細菌を除去します。
・消毒
消毒液を使用して傷口を消毒し、感染を防ぎます。
土や錆びた金属、動物の糞などが関わる傷を負った場合は、すぐに病院に行きましょう。必要に応じて破傷風トキソイドワクチンの追加接種や抗破傷風免疫グロブリンの投与を受けます。
特に農作業やアウトドア活動などで土や泥に触れる場合は、手袋や長袖の衣服を着用し、怪我を防ぐことが大切です。また動物の糞便には破傷風菌が含まれていることがあるため、怪我をした際は適切に処置しましょう。
破傷風は誰でもかかる可能性がある病気です。防ぐためには、ワクチンの接種をすることが大事です。
ワクチンを受けることで抗体を獲得することができますが、ワクチンの効果は大体10年程のため、怪我をしやすい仕事をしている場合や海外に行く場合はワクチンの接種を継続することが必要です。
さらに、怪我をした時にはよく洗い流すことを心がけておくことも大事です。怪我をした後に気になる症状が現れた時は、早めに病院に行きましょう。