慢性炎症性脱髄性多発神経炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年   6月 1日

更新日:2023年   7月 2日

本日は慢性炎症性脱髄性多発神経炎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎の改善方法
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、2ヶ月以上進行性または再発性の経過

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、2ヶ月以上、進行性または再発性の経過で四肢の筋力の低下やしびれ感が現れる神経炎です。

 

慢性炎症性脱髄性多発神経炎で傷つく末梢神経は主に髄鞘です。慢性炎症性脱髄性多発神経炎の特徴は、髄鞘が障害され脱髄と呼ばれる状態になることなのです。

 

脱髄の状態になるために、運動神経や感覚神経で情報が伝わりにくくなり、筋力が低下したりしびれが現れたりするのです。

免疫の異常によって自己の末梢神経を攻撃してしまう

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因は、今のところはっきりとわかっていません。

 

考えられていることは、免疫の異常によって自己の末梢神経を攻撃してしまうことです。特に髄鞘を標的にして攻撃する免疫の異常によって発症すると考えられていますが、免疫の異常によってなぜ病気を発症するかについてはわかっていません。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の概要

 

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、身体の免疫システムが誤って周囲の神経を攻撃し、神経の絶縁材として機能する髄鞘を破壊することで特徴付けられる神経の病気です。この状態は、神経のシグナルの伝達が遅れたり、中断されたりすることを引き起こします。

 

原因と潜在的な要因

 

免疫応答の誤動作:

CIDPは、本質的には自己免疫性の病気です。これは、身体の防御システムが誤って自分の組織を異物として攻撃する状態を指します。CIDPの場合、免疫システムは末梢神経の髄鞘を攻撃します。髄鞘は、神経のシグナルの伝達を高速化し、効率的に行うための絶縁材として働きます。

 

感染症:

一部の感染症はCIDPの発症のトリガーとなる可能性があります。例として、上気道感染症や胃腸炎などが挙げられます。これは、感染の結果として体が生成する抗体が、誤って神経髄鞘を攻撃する可能性が考えられるためです。

 

遺伝的な要因:

CIDPの原因に関する研究は続けられていますが、家族内での発症のパターンなど、遺伝的な要因が関与している可能性も考えられます。

 

他の自己免疫性の病気との関連:

CIDPを発症する人々の中には、他の自己免疫性の病気(例: ループス、関節リウマチなど)を持つ人もいます。これらの病気がCIDPの発症リスクを高めるかどうかは明確ではありませんが、関連性が指摘されています。

 

ワクチン接種後の反応:

まれに、ワクチン接種後にCIDPのような症状が報告されることがあります。これは、ワクチンが免疫応答を引き起こすことにより、誤って神経髄鞘が攻撃される場合があると考えられます。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状は、運動神経や感覚神経の障害

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の症状は、運動神経や感覚神経の障害です。そのため、腕が上に上がらなくなったり箸が使いにくくなったり、くるぶしから先の感覚が鈍くなったりスリッパが脱げやすなったりします。

 

慢性炎症性脱髄性多発神経炎によって現れる症状は、改善を行なっても何度も繰り返すことが多いです。さらに、少しずつ障害が溜まっていき、筋力の低下の症状が重くなったり、四肢の筋肉が痩せてきたりすることもあります。

 

症状が重くなった場合は、杖や車椅子を使うことが必要になることもあります。

1. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは

 

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、末梢神経の髄鞘が炎症を起こし、次第に損傷されてしまう自己免疫性の病気です。この損傷が進行すると、神経伝達が遅れるため、さまざまな神経症状が現れます。

 

2. CIDPの主な症状

 

筋力の低下:最も一般的な症状の一つです。特に下肢が影響を受けやすく、立ち上がることや階段の昇降が困難になることがあります。

 

感覚異常:四肢の先端部から始まるしびれや痺れ、痛みや熱感、冷感などの感覚の変化が現れます。

 

歩行障害:筋力の低下や感覚異常の結果として、歩行が不安定になったり、つまずいたりすることが増えます。

 

筋肉のけいれんや痙攣:神経の伝達異常が筋肉の収縮を引き起こし、突然のけいれんや痙攣を感じることがあります。

 

反射の低下または消失:特に膝や足首の反射が影響を受けることが多いです。

 

3. 進行すると現れる症状

 

自律神経の障害:発汗異常、排尿障害、便秘、血圧の変動などの症状が現れることがあります。

 

呼吸筋の弱化:極端な場合、呼吸筋が弱化することで呼吸困難を引き起こすことがあります。

 

4. CIDPの症状の特徴

 

両側性の症状:CIDPの症状は通常、体の両側に現れます。例えば、両足や両手に同時に影響が出ることが多いです。

 

徐々に進行する症状:CIDPの症状は数ヶ月から数年にわたって徐々に悪化していきます。

改善に継続的に取り組むことが必要

慢性炎症性脱髄性多発神経炎を改善するためには、ステロイドを使ったり、免疫グロブリンを使ったり、血液を浄化したりします。

 

多くの場合は、改善に継続的に取り組むことが必要になります。

免疫グロブリン(IVIg):

静脈内に免疫グロブリンを投与する方法で、最も一般的に使用される改善の一つです。IVIgは、異常な免疫反応を抑制し、症状の改善を促します。

 

ステロイド:

プレドニゾロンなどのステロイド薬を投与することで、炎症を抑える効果があります。しかし、長期間の使用には副作用が伴うため、使用量や期間を医師が厳密に管理します。

 

プラズマフェレーシス:

この改善は、血液を機械を使って外部に取り出し、異常な抗体を取り除くプロセスです。その後、清浄化された血液を体に戻します。

 

免疫調整薬の使用:

メソトレキサートやアザチオプリンなどの免疫調整薬が、ステロイドや他の方法に反応しない場合や、副作用を最小限に抑えるために使用されることがあります。

 

新たな改善方法の開発と試験:

 

医学界ではCIDPの改善法の向上を目指して研究が続けられています。新たな薬剤の試験や、現在使用されている改善法の改善に関する研究が進行中です。

 

リハビリテーションとサポート:

 

CIDPでは、筋力や機能の回復をサポートするリハビリテーションを受けることが推奨されます。これにより、日常生活の質を向上させることができます。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎における免疫グロブリンの効果と目的について詳しく解説します。

 

1. 免疫グロブリンとは

免疫グロブリンは、主にプラズマから抽出されるタンパク質の一種で、体内での免疫反応に関与しています。特にIgGと呼ばれるクラスの免疫グロブリンが、IVIgの改善で使用されるものです。

 

2. 目的

免疫反応の調節:CIDPは、体の免疫系が末梢神経の髄鞘を攻撃することで発症します。IVIgは、この異常な免疫反応を調節し、髄鞘への攻撃を抑制することが目的です。

 

炎症の抑制:免疫グロブリンは、炎症反応を抑制する効果も持っています。これにより、神経の髄鞘がさらなる損傷を受けるのを防ぐことが期待されます。

 

3. 効果

症状の改善:多くの場合で筋力低下や感覚異常などの症状が改善します。効果は人によって異なるものの、一般的に開始してから数日〜数週間で効果が現れることが多いです。

 

病態の進行の抑制:長期的な視点で見ると、IVIgはCIDPの病態進行を遅らせる効果も期待されます。

 

4. 用法と注意点

用量と頻度:体重や症状の重さに応じて、投与量や頻度が調整されます。初回の投与は比較的大量になることが一般的で、その後は維持量での投与が行われます。

 

副作用:一般的には良好に耐えられる改善方法ですが、発熱、頭痛、筋肉痛、アレルギー反応などの副作用が報告されています。重篤な副作用は稀ですが、改善中や改善後に異常を感じた場合は速やかに医師に相談することが重要です。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎とギラン・バレー症候群

慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、ギラン・バレー症候群と似ています。しかし、慢性炎症性脱髄性多発神経炎は、経過が2ヶ月以上と慢性です。さらに、多くの場合は再発と寛解を繰り返します。

 

ギラン・バレー症候群は、症状のピークは4週間以内でその後は再発することは非常に珍しくあまりありません。

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