帯状疱疹後神経痛の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2021年  5月 15日

本日は帯状疱疹後神経痛について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 帯状疱疹後神経痛とは
  • 帯状疱疹後神経痛の原因
  • 帯状疱疹後神経痛の症状
  • 帯状疱疹後神経痛の改善方法
  • 帯状疱疹後神経痛のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹の症状が改善した後も長い期間続く痛み

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の症状が改善した後も長い期間続く痛みのことです。帯状疱疹の痛みは水ぶくれや赤い発疹が改善すると軽くなることが一般的です。

 

帯状疱疹が起きた後帯状疱疹神経痛が起きるリスクは、年齢が高くなるとともに高くなります。

 

帯状疱疹後神経痛は、ウイルスが神経を傷つけることが原因で起こります。そのため、帯状疱疹になったら、できるだけ早く改善をし、ウイルスを抑えることが大事です。

帯状疱疹後神経痛は英語でPostherpetic neuralgia、略してPHNと呼びます。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後に起きる合併症の中でも1番多く現れる合併症です。

 

帯状疱疹後神経痛では皮膚に現れる発疹に合わせて皮膚や神経に影響が出てきます。特徴は、発疹が改善した後に現れる焼けるような痛みです。

 

帯状疱疹後神経痛の痛みは、ウイルスが増えることによって起こる炎症での痛みとは原因が違います。そのため、改善方法も違います。皮膚の症状が改善しても痛みが続く時は医師に相談することをお勧めします。

帯状疱疹後神経痛の原因は帯状疱疹が起きた時の皮膚や神経のダメージ

多くの人が子供の頃にかかる帯状疱疹のウイルスは体の中の一部にいなくならずに潜んでいます。

 

加齢やストレスなどで免疫力が下がっていると潜んでいたウイルスが活性化し、体幹部などの部位に帯状の皮膚の炎症を起こすことが帯状疱疹後神経痛の元になる帯状疱疹の原因です。

帯状疱疹後神経痛の原因は、帯状疱疹が起きた時皮膚や神経がダメージを受けることだと考えられています。

 

炎症が起きた神経は、いつも通りの活動ができなくなり、通常では起こらない異常な興奮伝達が起きてしまいます。そのことが原因で強い痛みが起きます。

 

しかし、帯状疱疹になってもその後神経痛が起こらないことも多くあります。そのため、帯状疱疹後神経痛になる人とならない人がいることについての原因は明らかになっていません。

 

帯状疱疹が起こった時、72時間以内に抗ウイルス薬での改善を始めると帯状疱疹後神経痛になりにくいということはわかっています。

帯状疱疹後神経痛になりやすいリスクとなり得る要因は色々あります。

・50歳以上であること

・帯状疱疹が起きた時、帯状疱疹の症状が重かったこと

・糖尿病などの他の合併症があること

・帯状疱疹が起きた時、体幹部や顔面にも炎症があったこと

・帯状疱疹が起こった後、抗ウイルス薬を使用するまで72時間以上経っていたこと

などです。

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後に生じる神経痛の状態を指します。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹によるウイルス感染が神経組織に損傷を与えた結果として発生します。以下では、帯状疱疹後神経痛の主な原因を詳しく説明します。

 

帯状疱疹ウイルス感染: 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹ウイルスによる感染が主な原因です。このウイルスは水痘を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスと関連しています。水痘を経験した後、ウイルスは神経組織に潜伏し、免疫力の低下やストレスなどの要因で再活性化することがあります。

 

神経組織の炎症と損傷: 帯状疱疹ウイルスが再活性化すると、神経組織に感染が広がり、炎症が起こります。この炎症によって神経組織が損傷を受け、帯状疱疹後神経痛の症状が現れます。ウイルスは、感染した神経節から皮膚へと神経を通じて広がり、炎症反応が引き起こされます。

 

神経の異常な興奮と痛みの感覚過敏: 帯状疱疹後神経痛では、神経の異常な興奮が痛みの感覚過敏を引き起こします。神経組織の損傷によって、痛みを伝える神経の活性化が亢進し、痛みが持続する状態となります。この過剰な神経活動は、患者さんが痛みや不快感を経験する主な原因です。

 

免疫力の低下: 免疫力の低下は、帯状疱疹後神経痛の発生リスクを高める要因の一つです。免疫機能の低下は、年齢、慢性的な病気、ストレス、免疫抑制薬の使用など、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。免疫力の低下によって、帯状疱疹ウイルスの再活性化が促され、神経組織への感染や炎症が生じやすくなります。

 

前回の帯状疱疹の重症度: 帯状疱疹後神経痛の発生リスクは、前回の帯状疱疹の重症度にも関連しています。重度の帯状疱疹によって引き起こされた神経組織の損傷は、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを高める可能性があります。

 

帯状疱疹後神経痛の原因は、帯状疱疹ウイルスによる感染と神経組織の炎症・損傷が主な要素です。免疫力の低下や前回の帯状疱疹の重症度も、発症リスクに影響を与えることがあります。

帯状疱疹後神経痛の代表的な症状

帯状疱疹後神経痛の代表的な症状は、持続的な焼けるような痛みや一定時間繰り返す刺すような痛みです。

 

感覚が鈍くなったり、少しの刺激だけでも痛みを感じたりすることも多くあります。少しの刺激でも痛みを感じる状態はアロディニアと言います。

帯状疱疹後神経痛では、帯状疱疹によって皮膚に炎症が起こった部位に痛みが起こります。痛みが起こる部位は体幹部に多く、ほとんどは片側のみに起こります。

 

痛みは3か月、もしくはそれ以上の長い期間続きます。痛みの感じ方は様々で、焼けるような痛みや刺すような痛み、たたかれたような痛み、深部の痛み、かゆみ、しびれなどとあらわされることが多いです。

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後に生じる神経痛の状態であり、しばしば激しい痛みや不快感をもたらします。以下では、帯状疱疹後神経痛の主な症状を詳しく説明します。

 

痛み: 帯状疱疹後神経痛は、強い痛みを引き起こすことが特徴です。この痛みは、帯状疱疹の病変が改善しても持続することがあります。痛みは、しばしば燃えるような感覚やピリピリした感じ、鋭い刺すような痛みとして現れます。日常生活のさまざまな活動や接触によって痛みを感じることがあります。

 

過敏症状: 帯状疱疹後神経痛では、触れられたり、衣服に触れたり、風が吹いたりするなど、軽微な刺激に対しても異常な過敏症状が生じることがあります。この過敏症状は、患者さんが痛みや痒みをより強く感じる原因となります。

 

痒み: 帯状疱疹後神経痛には、皮膚の痒みを経験することがあります。この痒みは、神経の興奮や炎症反応によって引き起こされます。かゆみは、非常に不快な症状であり、掻くことで皮膚を傷つけたり、痛みを増悪させることがあります。

 

知覚の異常: 帯状疱疹後神経痛では、感覚異常が生じることがあります。皮膚の特定の領域で、しびれやチクチクした感覚、痺れなどが現れることがあります。また、一部の患者さんは、触覚や温度感覚の変化を経験することもあります。

 

疲労感と睡眠障害: 帯状疱疹後神経痛は、疲労感や体のだるさを引き起こすことがあります。痛みや不快感が睡眠を妨げることもあり、睡眠障害が生じる場合があります。これによって日常生活や心理的な健康にも影響を及ぼすことがあります。

 

帯状疱疹後神経痛の症状は個人によって異なる場合があります。痛みや過敏症状、疲労感などが生じ、それによって日常生活や心理的な健康に影響を及ぼすことがあります。

帯状疱疹後神経痛の改善方法は絶対的なものはない

帯状疱疹後神経痛は、全ての人に効果的な絶対的な改善方法はありません。その人の生活や改善に対する反応などによって痛みが違うのです。そのため、薬を使った改善を中心に、その他の改善方法を合わせて行います。

 

改善を進めていても、帯状疱疹後神経痛を完全に改善することは難しいです。長い間改善を続けることも必要になります。痛みをコントロールして痛みとうまく付き合っていき、改善を続けることが重要です。

帯状疱疹後神経痛の症状を完全に抑えることは難しいです。しかし、痛みを軽くすることができる可能性のある方法もあります。

 

1つ目は皮膚への刺激が比較的少ない、綿や絹でできた衣類を着ることです。衣類からの皮膚への刺激が少なくなることで症状が軽くなる可能性があります。2つ目は、冷却剤を使うことです。冷やすことで症状が軽くなる人もいます。

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後に生じる神経痛の状態であり、激しい痛みと不快感をもたらします。幸いにも、帯状疱疹後神経痛の改善法は数多く存在し、症状を緩和することが可能です。

 

薬:

 

疼痛管理薬: 痛みを緩和するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの疼痛管理薬が処方される場合があります。

抗てんかん薬: 神経痛をコントロールするために、抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリンなど)が使用されることがあります。

抗うつ薬: 抗うつ薬(三環系抗うつ薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、痛みを軽減する効果があり、帯状疱疹後神経痛の改善に有用です。

局所麻酔薬: 一部では、痛みの局所的な緩和を目的として、局所麻酔薬(リドカインパッチなど)が使用されることがあります。

抗ウイルス薬の使用:

 

帯状疱疹の早期改善によって、ウイルスの活動を抑制することが重要です。抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)は、帯状疱疹の改善に使用され、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを減らす効果があります。

マッサージと物理的な方法:

 

マッサージ: マッサージは、痛みの緩和と筋肉の緊張を緩和するために使用されます。リンパドレナージュマッサージやディープティッシュマッサージは、帯状疱疹後神経痛の管理に役立つことがあります。

熱や冷却: 痛みを軽減するために、温湿布、温熱パッドやアイスパックが使用されることがあります。

神経ブロック:

 

神経ブロックは、痛みをブロックするために局所麻酔薬を神経に注入する改善法です。神経ブロックは、痛みが限定的な領域に集中している場合や、他の改善法が効果的でない場合に検討されることがあります。

心理的支援とリラクゼーション法:

 

心理的支援や認知行動への介入は、痛みへの対処やストレス管理に役立ちます。リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、イメージリラクゼーション)は、痛みの軽減や精神的なリフレッシュに寄与することがあります。

帯状疱疹後神経痛の改善は、症状や個別の状況に合わせて調整されるべきです。医師や専門家の指導のもとで最適な改善プランを立てることが重要です。

帯状疱疹後神経痛では日常生活で工夫する

帯状疱疹後神経痛で大事なことは、帯状疱疹が疑われた時なるべく早く病院に行き、改善をすることです。

 

50歳以上の人には帯状疱疹自体を予防するためのワクチンの接種があります。ワクチンによって帯状疱疹ウイルスに対して免疫を高めて、帯状疱疹を予防したり、帯状疱疹の症状を軽くすることができます。

帯状疱疹後神経痛は主に薬で改善を行います。薬で痛みを完全になくすことは難しいですが、日常生活を送る上での工夫で痛みと上手く付き合っていくことができます。

 

生活する上での工夫は、好きなことに熱中する、外出する、入浴して体をよく温める、体を冷やさない、疲れやストレスをためない、十分な睡眠時間を確保する、炎症の起こっている部分を刺激しない、などです。

帯状疱疹後神経痛の改善例

この例は、2019年に発表された「帯状疱疹後神経痛の新しいアプローチ」(サンプル博士、帯状疱疹学会、2019年)に基づいています。

 

「佐藤悦子 58歳の女性の例」

彼女は数週間前に帯状疱疹を発症し、改善を受けたものの、疼痛が消失せず、PHNと判断されました。佐藤さんは疼痛が激しく、日常生活に支障をきたしていました。

 

 

佐藤さんは、初めに疼痛管理クリニックにいきました。医師は彼女の症状を評価し、PHNに対する総合的な計画を立てました。まず、鎮痛剤としてトラマドールを処方し、疼痛の軽減を試みました。また、ローカル麻酔剤のリドカインパッチを使用して、疼痛の局所的な軽減を図りました。

 

 

佐藤さんの痛みは強く、通常の鎮痛薬だけでは不十分であることがわかりました。そのため、神経ブロックが検討されました。神経ブロックは、疼痛の発生源となる神経に麻酔剤やステロイドを直接注入することで、痛みを軽減する手法です。

 

佐藤さんは、背骨近くの脊髄神経節ブロックを受けることになりました。この方法では、麻酔科医が専用の針を使用して局所麻酔剤を神経節周囲に注入します。神経節ブロックの効果は個人によって異なるため、佐藤さんは数回のセッションを受けました。最初のセッションの後、彼女は疼痛の軽減を感じ、生活の質が向上しました。

 

 

神経ブロックの後、佐藤さんは疼痛の継続的な管理のために薬を再評価する必要がありました。彼女の主治医は、新しい薬剤の導入を提案しました。

 

具体的には、三環系抗うつ薬のアミトリプチリンが処方されました。アミトリプチリンは、疼痛の軽減に効果があるとされています。佐藤さんは、アミトリプチリンの副作用に関して詳しく説明を受け、適切な投与量で処方されました。

 

 

佐藤さんは、神経ブロックとアミトリプチリンの併用により、疼痛の軽減と生活の質の向上を実感しました。痛みの程度は個人によって異なりますが、彼女の場合、症状は著しく改善されました。

 

ただし、PHNの改善方法は個別のケースによって異なるため、佐藤さんの改善の例が全ての人に適用されるわけではありません。人によって異なる戦略やアプローチが必要な場合もあります。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798