嚢胞様黄斑浮腫について【原因・症状・鍼灸の効果】

公開日:2020年2月5日

更新日:2021年 5月 15日

本日は嚢胞様黄斑浮腫について解説をさせて頂きます。

嚢胞様黄斑浮腫について

  • 嚢胞様黄斑浮腫とは?
  • 白内障の手術をしてから物がぼんやり見える。
  • 改善法はなにか?

 

こういった嚢胞様黄斑浮腫の基本的なことについて説明いたします。

 

○本ページの内容
  • 嚢胞様黄斑浮腫のことがわかる
  • 嚢胞様黄斑浮腫の症状がわかる
  • 嚢胞様黄斑浮腫の病院での対応がわかる

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

嚢胞様黄斑浮腫は黄斑に液体貯留をしてしまう病気

嚢胞様黄斑浮腫とは?

嚢胞様黄斑浮腫(のうほうようおうはんふしゅ)【CME】は、目の中で拡張した毛細血管から血漿成分の漏出がおこり、網膜の中心である「黄斑」という部分に液体貯留をしてしまう病気です。

 

液体が貯留してしまうことにより浮腫を生じ、黄斑の神経線維層の進行した場合、嚢胞様黄斑浮腫といいます。

特徴的な浮腫

 

黄斑部に菊の花びらのように見えます。

 

視力低下の原因

 

白内障手術後の不良な視力低下の最大の原因であると考えられています。

 

嚢胞様黄斑浮腫は、眼の黄斑領域に液体が蓄積して小さな嚢胞が形成される状態を指します。黄斑は、網膜の中心部に位置しており、私たちが物を鮮明に見るために重要な領域です。以下は、嚢胞様黄斑浮腫がなぜ視力低下の原因となるのかを詳しく説明します。

 

網膜の解剖と機能:黄斑は、中心視と色覚を担当しています。この領域の細胞は特に物を鮮明に見るために最適化されており、高解像度のビジョンを実現します。嚢胞様黄斑浮腫はこの黄斑領域の正常な構造と機能を妨げます。

 

液体の蓄積:嚢胞の形成は、網膜の中間層に水分が蓄積することで起こります。この液体の蓄積は、光が網膜の感受性の高い部分(光受容体)に到達する前に乱れることを意味します。これにより、物が歪んで見えたり、中心視がぼやけたりします。

 

細胞の損傷と変性:長期間浮腫が持続すると、網膜の細胞は酸欠や栄養不足により損傷を受ける可能性があります。この細胞の損傷や変性は、視力の低下を引き起こす可能性があります。

 

代謝異常:網膜の液体のバランスは、さまざまな細胞間の通信や代謝プロセスによって維持されています。何らかの原因でこれらのプロセスが乱れると、液体のバランスが崩れ、浮腫が発生する可能性があります。

 

嚢胞様黄斑浮腫の原因は多岐にわたり、眼の手術、炎症性の病気、糖尿病、静脈塞栓などが考えられます。視力の低下は、浮腫の程度や持続時間、関連する病気によって異なります。

予後

発症後、4か月間未満の浮腫は白内障手術後の急性症状のひとつなので、自然に回復する傾向にあります。

 

しかしながら、持続的に視力低下をきたす場合があります。経過観察と患者さんのヒアリングがとても大切です。

嚢胞様黄斑浮腫は白内障手術後の代表的な合併症

 

正確な原因は不明ですが、主に白内障手術後の代表的な合併症の1つで起こる可能性が非常に高いです。

 

目の病気における早期発見が必要である代表的な疾患であり、最も注意すべきものの1つがこの病気です。

 

網膜の黄斑部がむくみ、視力に異変が起きます。最悪の場合、視野の中心に歪みが残ることもあります。

 

黄斑浮腫は実は様々な病気から引き続いて起こることがある

 

  • 糖尿病網膜症
  • 網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血
  • ぶどう膜炎

これらの病気が原因の場合が多いです。

◎特に原因となる病気のある場合に医師の指示による点眼や注意行為(飲酒等)を守らない場合や、糖尿病網膜症を有する場合に多いので、術後安定するまでの間は決められた点眼、注意事項を遵守し、指示どおりにすることが非常に大切です。

 

合併症として最も多いのが、白内障手術後です。特に嚢胞様黄斑浮腫は白内障手術とIOL挿入後に頻繁にみられます。症例のおよそ70%までに生じ、大半の症例が介入なしで解消するが、2%程度ではある程度の視力喪失を経験すると考えられています。

 

改善をせずに放置すると、永久的な視力障害につながることもある非常に恐ろしい病です。

 

嚢胞様黄斑浮腫は、眼の黄斑領域に液体が蓄積することにより、小さな嚢胞が形成される状態を指します。以下は、嚢胞様黄斑浮腫の原因となる可能性のある病気や状態について詳しく説明します。

 

糖尿病性網膜症:糖尿病の場合において、高血糖の影響で網膜の毛細血管が損傷し、液体やタンパク質が漏れ出すことがあります。この結果、嚢胞様黄斑浮腫が発生する可能性があります。

 

網膜静脈塞栓:網膜の静脈が塞栓すると、その領域の血流が滞ることで網膜浮腫を引き起こすことがあります。

 

黄斑穴:黄斑の中心部に小さな穴が開く状態で、これが液体の蓄積とともに嚢胞様黄斑浮腫を引き起こす可能性があります。

 

眼内炎:眼の中の炎症、特に後眼部の炎症は、黄斑に浮腫を引き起こす可能性があります。

 

眼内手術:特に白内障手術の後、一部で嚢胞様黄斑浮腫が発生することが知られています。これは手術に関連する炎症や他の要因によるものと考えられています。

 

加齢黄斑変性:進行性の黄斑の変性の病気で、一部で嚢胞様黄斑浮腫が見られることがあります。

 

薬物:特定の薬物、例えばニコチン酸やタモキシフェンなどが嚢胞様黄斑浮腫の原因となることが知られています。

 

網膜色素上皮炎や中心性浆液性網膜症:これらの病気も黄斑領域に液体の蓄積を引き起こすことがあります。

 

眼の外傷:頭部や眼の外傷は、網膜の損傷や炎症を引き起こし、嚢胞様黄斑浮腫の原因となることがあります。

 

これらの病気や状態が嚢胞様黄斑浮腫の原因として考えられますが、それぞれの状態や病歴、他の関連する病気などによって、詳しい原因や改善の戦略が異なる場合があります。

嚢胞様黄斑浮腫の症状は黄斑部にむくみが生じる

 

黄斑部に液状の成分がたまり、浮腫(むくみ)が生じる病気である。

 

主な症状
  • ぼやけて見える
  • ゆがんで見える
  • 物が全体的に暗く見える
  • 視野の中央が特に見づらくなる
  • 真ん中がかすんで見える

  • 人の顔や文字がゆがんで見える​

 

嚢胞様黄斑浮腫は稀に手術後しばらく経ってから、網膜の中心部分(黄斑部)が腫れてだんだん視力が落ちてしまうことがあります。目の調子が良くても忘れずに点眼を続けましょう。

 

 

嚢胞様黄斑浮腫は、眼の黄斑領域に液体が蓄積し、小さな嚢胞が形成される状態を指します。黄斑は網膜の中央部に位置し、詳細な視覚情報の処理に関与しています。嚢胞様黄斑浮腫が生じると、以下の主な症状が現れることが一般的です。

 

中心のぼやけ:最も一般的な症状は、中心視がぼやけることです。読書や顔を見る際など、細かい作業や詳細を必要とする活動に困難が生じることがあります。

 

歪んだ視覚(メタモルフォプシア):まっすぐな線が波打って見える、または物体が歪んで見えるという症状が現れることがあります。これは、網膜の形状が変化することにより生じる現象です。

 

中心の暗いまたは欠けた部分(中心暗点):視野の中心に暗い部分や欠けた部分が現れることがあります。これは、浮腫の影響を強く受ける黄斑の領域での光受容体の機能低下によるものです。

 

色の知覚の変化:一部では、色の知覚が変わったり、色が褪せたように感じることが報告されています。

 

光視症(フォトプシア):一部では、目を閉じた状態で明るい光や閃光を感じることがあります。

 

嚢胞様黄斑浮腫の症状は、病態の進行度や原因となる病気によって異なることがあります。

病院での対応、費用

 

まず、蛍光眼底造影で網膜の断面を視察します。黄斑部の病態を十分に把握して、最も有効と思われる方法を選択します。しかしこれらは、いずれも網膜を元通りに回復させるような効力はなく、浮腫をひかせて現状を維持するということを目的にしている対処法です。

※蛍光眼底造影…腕の血管から造影剤を注射して、眼の奥の血管や網膜などの写真を撮影する

 

また、もともとの病態が慢性的な血管の傷みから浮腫を起こしていることが多いため、しばらくすると再発してしまうことも少なくありません。完全に浮腫がなくなるまでには相当根気よく継続する必要な病気です。

 

万が一何もしなければ、浮腫が続くことによって徐々に黄斑部の視細胞が傷み、最終的には不可逆的な視力障害を残してしまいます。神経は取り替え不可能です。

 

調べ方

 

蛍光眼底造影や網膜の断面を観察する(OCT)

 

病院の対応

 

黄斑浮腫の改善法として、現在、浮腫を早く引かせるさまざまな方法が行なわれています。

主な対応

1:抗VEGF薬の注射

2:トリアムシノロンの注射

3:硝子体手術

4:浮腫全体への格子状凝固

その他の対応

 

《一般的な内服薬》

  • 循環改善剤(カルナクリン)
  • 血管拡張剤
  • ※プロスタグランディン阻害剤
  • 炭酸脱水素酵素阻害剤(ダイアモックス)

※プロスタンディン阻害剤…血管の拡張にかかわる物質であるプロスタンディンの産生を抑える薬

 

《点眼》

  • 炭酸脱水酵素阻害剤(トルソプトなど)
  • 非ステロイド性消炎剤(ジクロード点眼液、ニフラン点眼液)
  • 点滴としてプロスタグランディン阻害剤
  • 血小板凝集阻害剤 ※血栓の形成を抑えて血管をつまらせないようにする薬

 

 

他にも星状神経節ブロック、高圧酸素法、※汎網膜光凝固術、黄斑部の格子状光凝固なども行われます。

※網膜を広範囲に凝固する手術。蛍光造影撮影にて適応の場合に行う。

 

 

これらは、いずれも結果的に黄斑部の「血流」の改善を促すものである。もうひと

つ、積極的な方法としてぶどう膜炎ではテノン嚢内にステロイド(ケナコルト)の注射を行うことも有る。

 

 

 

視力上昇の期待

黄斑浮腫は、これまで改善の効果が期待しにくい病気でしたが、硝子体手術を受けた場合などでは浮腫消失期間が短くなっています。

 

硝子体手術は、硝子体や硝子体が原因で起きる増殖膜をきれいに取り除き黄斑を守る手術です。黄疸のみならず、幅広い眼底の病気に対応しています。近年硝子体手術の道具が劇的に進歩し安全性が高まり、硝子体中の炎症物質の除去、硝子体への直接的薬物の投与、そして網膜へ直接的酸素供給することにより浮腫の軽減そして視力上昇が期待できるようになりました。

ステロイド・非ステロイド

 

手術後の嚢胞様黄斑浮腫管理には、複数のステロイドおよび非ステロイドの選択肢があります。

主な薬剤はトリアムシノロン(ステロイド)薬を硝子体、または眼球の結膜と強膜の間にある薄膜「テノン嚢下」に注射する方法です。

 

ただ、効果はばらつきがあるようで、特にステロイドには安全上の問題があります。(副作用によって眼圧が高くなり緑内障が発症、進行する。また眼球の感染症に注意を要す)

 

また、現在「血管新生阻害薬」である※抗VEGFの注射も注目されています。

※薬剤を直接眼内に注入し、浮腫に作用してこれを退縮させ病変を改善させる方法。網膜や黄斑を傷つけることなく、新生血管及び浮腫を抑えられる。

 

嚢胞様黄斑浮腫は、黄斑領域に液体が蓄積し、小さな嚢胞が形成される状態を指します。その原因や背景に応じて、改善方法が選択されます。ステロイドや非ステロイド抗炎症薬を使用する改善法は以下のようになります。

 

・ステロイド

効果: ステロイドは強力な抗炎症作用を持っているため、網膜の炎症や浮腫を減少させる効果があります。

目的: 網膜の浮腫や炎症を抑え、視力の低下を改善することが目的です。

適応する人: 白内障手術後のCMEや、眼内炎、網膜静脈閉塞、糖尿病性網膜症など、炎症が主な原因となっているCMEの場合に適応されます。

使用方法: トリアムシノロンやデキサメタゾンなどのステロイド薬が、眼内注射や点眼薬として使用されます。眼内注射の場合は、持続放出型のデバイス(例: オズデックス)も利用されることがあります。

 

非ステロイド抗炎症薬

効果: NSAIDは軽度の抗炎症作用を持ち、浮腫の形成を抑えるプロスタグランジンの合成を阻害します。

目的: 黄斑の浮腫を減少させ、視力の低下を防ぐことが目的です。

適応する人: 主に白内障手術後のCMEの予防や初期の改善方法として使用されます。手術後の炎症を抑えるための補助的な方法としても使用されることがあります。

使用方法: ネパフェナクやフラベノキサムなどのNSAID薬が点眼薬として使用されます。

 

改善方法の選択は、CMEの原因や重症度、全体的な状態などによって異なります。

硝子体内ベバシズマブ(アバスチン)の試験

嚢胞様黄斑浮腫のベバシズマブの試験結果

 

白内障手術に続発した嚢胞様黄斑浮腫(CME)で、ステロイド薬と非ステロイド薬による過去に反応しなかった人12名を対象として、ベバシズマブの硝子体内注射を実施しました。

 

ベバシズマブは、血管新生の改善における視力の有益な効果を示しています。しかし、これら硝子体内注射の問題点は、効果を維持するために、長期にわたる未知の期間があり、その間頻繁に投与されます。 長時間の頻繁な注射は、安全性リスク、 利便性と高い費用が懸念されます。

 

過去の改善に無反応であることの定義は、初回の介入から1ヶ月にわたる嚢胞様黄斑浮腫(CME)の持続としました。黄斑厚が350 µmを超え、最高矯正視力が20/30未満である場合に1.25 mgの硝子体内注射を実施したところ以下のような結果が現れました。

 

※BCVAは、注入前の20/60から、注入から1週間後には平均20/30、1ヵ月後には20/25、3ヶ月後には20/20に改善。

(※BCVA:眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正用レンズを身に着けている時の最良視力の測定値のこと)

黄斑の平均厚も改善しており、ベバシズマブ注入前の765 μmから、注入から1週間後には590 μm、1ヶ月後には371 μm、3ヶ月後には225 μmに改善。

12名全員が過去の改善後ではBCVAの改善が得られなかったのに対し、ベバシズマブから1週間以内には改善がみられました。

 

この所見から、抗VEGFは実際にCME解消の原因要素であるとの結論が支持されています。嚢胞様黄疸浮腫(CME)はベバシズマブの硝子体内注射で改善し、こうした改善は自然的な回復ではないと判断されたと記載があります。

十分に忍容され、硝子体内ベバシズマブ注入に伴う有害作用は報告されていません。

嚢胞様黄斑浮腫の病院での費用

 

収入や保険によって差がありますが一つ言えることは「高額」なことです。

 

※病気の人の経済的負担を減らすために、病院や薬局の窓口で支払った費用の自己負担額が自己負担限度額(所得によって差がある)を超えた場合に、払い戻しを受けられる制度があります。

自己負担限度額は月に¥35,400~¥252,600と所得によって差があります。

自己負担限度額: これは所得や年齢に応じて異なります。一般的には、所得が低いほど、また年齢が高い・低いほど限度額は低く設定されています。

 

申請方法:払い戻しを受けるためには、各都道府県や市町村の窓口を行う必要があります。必要な書類は、病院から発行される「明細書」や「領収書」などです。払い戻しの金額は、自己負担限度額を超えた部分となります。

 

所得別の自己負担限度額: 以下は一般的な例ですが、詳細は所得の状況や年齢、世帯状況などによって異なるため、具体的な額や条件については各自治体や保険者に確認が必要です。

 

所得が一定以下の低所得者: 超低額

70歳以上の高齢者: 一定の上限額

一般の成人: 所得に応じて異なる額

注意点:払い戻しを受けるには、一定の期間内に申請する必要があります。認定を受けるための「認定証」を所持していると、病院や薬局の窓口での支払いが自己負担限度額までになる場合があります。

 

この制度は、経済的負担を軽減し、必要な対応を受けることができるようサポートする目的で設けられています。しかし、制度の詳細や条件は時々変更されることがあるため、最新の情報や具体的な手続き方法については、自治体や健康保険組合などの関連機関に問い合わせることが推奨されます。

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